【言論StrongStyle】(241) 野田佳彦が新代表なら自民党の救世主だ! 立憲民主党よ、それでいいのか?



自民党総裁選が、公示もしていないのに大盛り上がり((注記)9月27日投票)。すっかり影が薄い立憲民主党代表戦((注記)23日投票)。しかし、国民の殆どが忘れているだろうが、岸田文雄首相が何故退陣表明をしたか。昨年末から、突如として"政治とカネ"の問題が浮上した。自民党の五大派閥の政治資金記載漏れが発覚、特に安倍・岸田・二階の三派は悪質と判断され、会計責任者の逮捕等に至り、裁判が続いている。

疑惑を持たれた多くの議員は不起訴となったが、何れも額が3000万円以下だったことから、「今年は3000万円以下の脱税はOK」等と揶揄され、実際に全国の税務署員は苦労したと聞く。抑も論である。政治家が貰ったお金を公に報告したら政治資金で、免税の対象となる。公に報告しなければ裏金で、時に賄賂となる。裏金を納税するバカはいないので、自動的に脱税である。

これを「単なる記載漏れであって、脱税ではない」とか強烈な自民党支持者が言い出すから、大多数の国民に呆れられるのだ。しかし、それでもいいから自民党を庇いたくなる気持ちもわかる。代わる選択肢もなく、立憲民主は地獄絵図だ。泉健太代表は「3年間、立憲民主党に一度も狂ったことをさせなかった」という驚異の成果を残しているのだが、あの党で評価されるわけがない。

そして「泉には実績がない」と、マイナスの実績しかない枝野幸男と野田佳彦の2人が批判して代表選挙に出馬。「泉には存在感がない」と、もっと存在感がない中堅が吠えている。挙げ句、野田佳彦待望論が湧き起こっている。

断言するが、野田佳彦は日本一愚かな政治家だ。女系天皇容認で、消費増税論者。あらゆる政策を間違える天才と言っていい。首相時代には全幹部が反対する中、「僕は小学校の通信簿でも正直者と書かれた。嘘吐きと言われたくない」と驚愕の理由で衆議院を解散、民主党を野党に叩き落としたが、せめてもの党勢を維持する努力ではなく、自分を裏切った小沢派潰しに邁進していた。

勿論、大量の落選者を出し、多くの人を路頭に迷わせ、塗炭の苦しみを味合わせた。その人達の面倒をどれほど見たのか知らないが。こんな人物にも取り柄があり、超一流のハッタリ屋だ。安倍晋三元首相の国葬の際の演説は堂々としていたが、それだけ。はっきり言う。野田佳彦が新代表なら、自民党の救世主だ! これでいいのか? 野田代表の返り咲きなら、いっそ枝野代表の返り咲きのほうを歓迎する。未だ会話が通じる。

私は「野党第一党があまりに愚かだからといって、自民党の腐敗と無能を許すべきではない」と言い続けたが、野田佳彦返り咲きなら話は別だ。この御仁、議論ができない人なので、力で押さえつける以外にない。ならば、それができるのは誰か? 一般に自民党総裁選は小泉進次郎有利とされていて、私もそう思うが、野田返り咲きのような国体の危機には、何としても"高市早苗首相"を実現して皇室をお守りせねばならない。

その高市氏、出馬の条件である推薦人20人を集めるのに四苦八苦しているとも言われるが、逆転のチャンスはある。先ず、何故進次郎有利なのか。簡単な話で、自民党総裁選は国民世論と党内世論のバランスで決まるからだ。前回のおさらいである。第一法則、自民党議員は絶対に落選したくない。だから選挙で負ける総裁を選ばない。どんなに大嫌いでも、選挙に負けるとなったら、そいつに従う。

第二法則、党内で人気のある候補を総裁にしたい。選挙で負けないとなったら、身内の論理で決める。第一法則に従い、"小石河"と言われる、世論調査で人気の高い小泉進次郎・石破茂・河野太郎の3人が、今回の総裁選では上位に浮上。衆議院の任期は来年の秋までで、前回総選挙から既に3年も経った。だったら、人気のある総理でさっさと終わらせておきたいからだ。

×ばつを据えても勝てる。派閥の論理だけで決めて良いなら、基本的には現職の官房長官や幹事長が有利だ。

だが、今回は流石に自民党に危機感があるので、国民世論であまりに人気がない候補は支持されない。ここで第一法則と第二法則のバランスだ。徐々に知名度と共に支持率を上げている小林鷹之のような人が上がってくれば別だが、"選挙に勝てる総裁"となると、小石河と高市の4人に候補は絞られる。

そこで第二法則。党内での人気とは、派閥の離合集散、合従連衡であり、仲間内での人気であり、政策能力への評価である。つまり、「こいつを総理にして大丈夫か?」も、派閥の領袖や党内の大勢が支持してくれる条件となり得る。ここで「進次郎では野田に対抗できない」の空気が生まれたら、高市の勝機だ。

河野・石破は"政治とカネ"や"経済"、そして"皇室"で発言が怪しい。先ず、"政治とカネ"で問題となった議員に対して、河野・石破は厳しいことを言って反発を受けている。只でさえ厳しい党内世論を更に厳しくしている。経済に関して、河野は岸田内閣の現職大臣として今の時期の利上げを主張、評判が悪い。悪いどころで済まないのが石破で、「首相に就任したら即座に利上げしてアベノミクスを潰す」とまで言い切った。最早、正気ではない。この2つは国民に受けない。

そして玄人が見るのは、皇室観だ。河野は女系論者で知られるが、今回は封印。石破は「女系天皇を議論しないのはおかしいと言っただけ」と過去の発言を軌道修正、「悠仁殿下までの継承順位は変えない」とマスコミが望む愛子天皇論を全否定。こういうのは自民党で受けない。

一方、保守を自認する高市は、皇室観は勿論、ブレーンが良く、経済観もしっかりしている。立憲民主が"野田佳彦代表"を出してくるなら、日本最初の女性総理で対抗するしかない。難しいが、できなくはない。次善の策だが...。


倉山満(くらやま・みつる) 憲政史研究家。1973年、香川県生まれ。中央大学文学部史学科卒。同大学院文学研究科日本史学専攻修士課程修了。在学中の1999年から2015年まで国士舘大学日本政教研究所非常勤職員。2012年に『希望日本研究所』所長、ウェブ配信サービス『倉山塾』開講。2013年に『YouTube』上に『チャンネルくらら』開局。『国際法で読み解く世界史の真実』(PHP研究所)・『右も左も誤解だらけの立憲主義』(徳間書店)・『工作員・西郷隆盛 謀略の幕末維新史』(講談社)・『桂太郎 日本政治史上、最高の総理大臣』(祥伝社新書)等著書多数。


キャプチャ 2024年9月10日号掲載

テーマ : 立憲民主党
ジャンル : 政治・経済

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