ナショナリズム論(2) 対E・ルナン

(追記) (追記ここまで)

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西洋のナショナリズム論

前回に論じたことを念頭に置きながら、西洋のナショナリズム論を参照していきます。
有名どころから、E・ルナン『民族とナショナリズム』・ベネディクト・アンダーソン『ネイションとエスニシティ』・E・J・ホブズボーム『国民とは何か』を参照していきます。一読してみると、ルナンが述べている国民は新しい現象のようにも思えてきます。しかし、ルナンの述べていることを注意深く読むと、近代以前にも類似例があることが分かります。

古典古代には都市国家の共和国や王国、地域共和国の連邦、帝国などがありましたが、私たちが理解する意味での国民はほとんど存在しませんでした。アテナイ、スパルタ、シドン、ティルスは、驚嘆に値する愛国心を備えた小中心地です。しかし、これらの都市国家は比較的限られた領土の上に成立したものです。

実例数の違いや傾向性に相違はあるにしても、人類史の中に愛国心などの国民意識を見つけることは十分に可能です。ルナン自身は、過去にほとんど存在しなかったことを強調したいようですが、ここでは過去にも実例があるということに注目したいと思います。

過去と現在と

ルナンは、〈精神的原理の創造のためには不十分なもの〉として、〈種族、言語、利害、宗教的類縁性、地理、軍事的必要など〉を挙げています。その上で、次のように述べています。

国民とは魂であり、精神的原理です。実は一体である二つのものが、この魂を、この精神的原理を構成しています。一方は過去にあり、他方は現在にあります。一方は豊かな記憶の遺産の共有であり、他方は現在の同意、ともに生活しようという願望、共有物として受け取った遺産を運用し続ける意志です。

ルナンは国民の過去と現在について言及しています。ここで、エドマンド・バークが1790年に出版した『Post
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  • 木下元文

    投稿者プロフィール

    1981年生。会社員。
    立命館大学 情報システム学専攻(修士課程)卒業。
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