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なんとなく会社に行きたくない人へ!脳疲労の視点から「具体的な対処法」をお届けします

[ 2024年8月19日 09:00 ]

連休明けや月曜日は「会社(学校)に行きたくない」と気が重くなる方も多いのではないでしょうか。

今回は、休み明けの行きたくない要因を明らかにし、その対処法もご提示いたします。キーワードは「なんとなく」がサインです。そして、解決策は脳の疲労にあります。

「あと30分」「あと5分」......なぜズルズルと行動できない状態が続くのか

たとえば、朝起きて「なんとなくだるい。あと30分布団の中にいよう。そうすれば、スッキリとするはずだ」と考えたことはありませんか?

しかし、30分経ってもスッキリせずに、ズルズルと「あと30分」を繰り返してしまう。誰しも経験があると思います。一体、何が原因なのでしょうか。

これは、「身体の疲労」と「脳の疲労」が混同している状態と考えられます。

身体の疲労と脳の疲労

身体の疲労の場合は、酷使した筋肉の筋繊維の炎症が大きな要因です。従って、その部位に痛みが伴います。

これに対して、脳の疲労の場合は、身体が痛むわけではありません。そのため「なんとなくだるい」と感じます。倦怠感と呼ばれるものです。

もし、「なんとなく」のだるさや疲れを感じた場合、脳の疲労の可能性があります。

疲れが取れないのは「脳疲労」が原因かも。専門家に聞いた、脳の疲れを回復させる方法

この場合、上述したように身体を横にしていても、なかなか回復には至りません。脳のエネルギーの回復に必要なことは、新鮮な空気や栄養を脳に送り込むことだからです。

そこで、ぜひ布団の中で次の「トレーニング」をお試しください。

朝スッキリと起床できるトレーニング

(1)布団に接しているかかとを起点にして、足の先を前後に動かします

(2)両腕を天井に伸ばし、手をグーパーと動かす。手首をブラブラさせます

この動きは、手や足をポンプとして活用し、滞った血流を循環させることが目的です。

(3)頭が少し軽くなったところで、天井の中央の一点をジィ〜と見つめます

(4)天井の四隅をゆっくりと目で確認します。その際、顔は動かしません。眼球だけを、左上⇒右上⇒右下⇒左下⇒左上、この順番に動かし、四隅を確認しながら一周させます。反時計回りも行いましょう。何回か繰り返した後、再度天井の中央の一点を見つめます。

最初と較べて、鮮明にハッキリと見えたのであればそれだけ脳の疲労が取れたということ。変わりない場合、(1)〜(4)を繰り返しましょう。

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次:なぜ脳の疲労は起きる? 脳の疲れを引き起こす2つの要因とは

なぜ脳の疲労は起きる? 脳の疲れを引き起こす2つの要因とは

では、なぜ脳の疲労は起きるのでしょうか。大きな要因は次の2つです。

  • 脳を「今ここ」に居ない使い方をするとき
  • そもそも脳力(脳のエネルギー)が少ないとき

1.「今ここ」に居ない使い方をすると、脳はへとへとになる

マインドフルネスでは「今ここ」が大事と言われますね。これは、脳の活動が「今ここ」に居ないときに、脳が疲労するからです。

たとえば、あなたがジムでトレーニングに取り組んでいます。その際、次のAとB、どちらが効果的と思いますか?

A 目の前のプログラムだけに集中する
B 仕事上のミスを思い出しながら行う

答えはAです。

Bの場合、脳がトレーニングに意識を向けていないからです。

「なぜミスをしたのだ」「明日こそ取り戻そう」「あの上司のせいだ」などと考えてしまうと、意識が過去や未来、他者へと意識が向いてしまい、「今ここ」に集中できなくなってしまいます。

休日の夕方、あなたは頭の中で、何を考えているでしょうか。

もしかすると、明日の仕事や上司、得意先など、「今ここ」ではない方向に、過剰に意識が引っ張られたり、グルグル思考に陥っていたりしませんか? これでは脳みそ君もヘトヘトになりそうです。

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続いて、脳疲労を引き起こすもうひとつの要因「そもそも脳力(脳のエネルギー)が少ないとき」について。

2.脳力(脳のエネルギー)が少ないと疲れやすい

身体を動かすためのエネルギー(体力)が必要なように、脳にもエネルギー(脳力)が必要です。このエネルギーが総じて少ない人がいます。

要因は、上記の(1)のように、普段から「今ここ」の使い方をしていないことや、「自分なんか、でも、どうせ」のように、マイナスの使い方をすることです。マイナス思考とは文字通り、脳のエネルギーを減らす発想になります。

脳力が少ない場合、同じトラブルに遭遇した場面でも、ダメージの度合いが異なってきます。

「モヤモヤ」の対処には2つある

脳の疲労について考えてきました。体力の低下と比べ、脳力の低下は気づきにくいものです。

ただ、思い出してください。キーワードは「なんとなく」でした。そして、この「なんとなく」から生じる「モヤモヤ」も、実は2つに大別できます。

「なんとなくだるい」ときは、脳の血流を良くしよう

あなたが「なんとなくだるい」と感じる場合、脳の血流を良くすることが大事です。先述した「手足・眼球トレーニング」で対処できます。

まだモヤモヤが残るなら......

しかし、まだなんとなくモヤモヤが残る場合も多いです。では、次のどちらで対処したいか選んでみてください。

A 緑豊かな自然の中、一人でのんびりしたい
B モヤモヤした思いを、誰かに聞いて欲しい

このAとBは、どちらを選んでも正解です。なぜならば、どちらも自律神経の迷走神経((注記))の疲労から生じるものだからです。

((注記))迷走神経はポリヴェーガル理論に基づいています

くろまる「自分が自分ではない」感覚のときは、のんびり過ごす

Aは、背中に走る背側迷走神経が疲れているときの対処法です。「自分が自分ではない」感覚が疲労感になります。自分の背骨(自分軸)がグラついた状態です。

自分の軸を整えるために「のんびり」を意識することが大事です。

背側迷走神経の疲労を解消するワーク

自分の軸を整えるための「のんびり」が必要です。

(1)さまざまな動作をゆっくりと行います。やらなくてもよい作業は、やらなくても大丈夫です
(2)腎臓に手を当てます。アドレナリンの分泌を抑える効果があります。興奮を抑えることも、のんびりには必要です
(3)首の後ろを温かいタオルで温めます。背側迷走神経は首の後ろを通り脳に通じているからです

くろまる「誰とも繋がっていない」感覚のときは、繋がりを意識する

Bは、腹側に走る腹側迷走神経が疲れているときの対処法です。「誰とも繋がっていない」感覚が疲労感になります。仲間意識が持てない状態です。

孤立を回避し、繋がり感を取り戻すための「繋がり」を意識することが大事です。

腹側迷走神経の疲労を解消するワーク

交流を回復させるための「つながり」が必要です。本来であれば、誰かが傍に居てくれることが安心感に繋がります。しかし、それが難しい場合、喉や表情を動かすことが大事です。なぜならば、腹側迷走神経は喉(首の表側)や顔を通じて脳に通じているからです。具体的な方法をいくつか挙げます。

(1)音を出す、声を出すなど、喉を動かすことです。「あ〜」などの簡単な音や「ボ〜」と汽笛の音のようにシンプルな方が、余計なことを考えずに済みます
(2)うがいをする。これも喉の運動に通じます
(3)クシャと顔をさせる。梅干を食べた場面をイメージしてください。顔全体をクシャとさせる行為は、顔を通る腹側迷走神経を刺激します

あなたが月曜日の朝に感じるモヤモヤ感、ご自分の身体に意識を向けてください。背中側か腹側か、どちらに強く感じるでしょうか。

また、日頃の職場の様子を思い出してください。背中側に感じ、自分の立ち位置や仕事の内容などが明確になっていない場合は、Aの背側迷走神経と推測できます。

腹側に感じ、組織の中で浮いているなどスタッフとの関係に問題がある場合は、Bの腹側迷走神経と推測できます。

もちろん、2つが混在するケースもあります。判断に迷う場合は両方取り組んでみてください。また、改善が見られない場合は、医療機関をおすすめいたします。

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「職場や同僚に迷惑をかけたくない」はダメではない

「職場や同僚に迷惑をかけたくない」と発言をするクライエントさん、本当に多いなと実感しています。

「迷惑を掛けない」発想はダメではありません。ただ、これが行きすぎると「人に頼ってはいけない。何事も自分でやるべき」となります。そして、頑張り過ぎた結果、自分の軸がボロボロになってしまうケースも多いようです。

なお、この「迷惑を掛けてはいけない」を「自分が迷惑を掛ける存在と思われたくない」と思うと、周囲の視線を過度に気にしてしまい、ますます固くなってしまいます。これは、また他の機会にお伝えしますね。

ときには頼ってもいいし、自分の心身のケアを心掛けたいものです。

著者プロフィール

佐藤城人(さとうしろと)

心理カウンセラー・心理セラピスト・気功師範。過去にアルコール依存症を患った経験があり、それを克服する過程で40代に再度大学に入学、心理学と出会う。各種依存症やインナーチャイルドを抱える方、さらには摂食障害の悩みなど、これまで10年間で約5000名様の悩みをサポート。摂食障害の回復プログラムの中で「正しさよりも心地良いダイエット法」を提唱する。2019(令和元)年一般社団法人インナークリエイティブセラピスト協会を設立。現在はカウンセラー・セラピストの養成にも力を入れている。https://www.in-ct.org/

<Text:佐藤城人、Edit:編集部>

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