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沢村賞5年ぶり該当者なし 過去にない「難産」選考会で苦渋の決断 堀内委員長「帯に短しタスキに長し」

[ 2024年10月28日 17:00 ]

会見する堀内委員長(撮影・白鳥 佳樹)
Photo By スポニチ

沢村賞の選考委員会(堀内恒夫委員長)が28日、都内で開かれ、5年ぶり6度目の該当者なしとなった。

午後1時開始予定の沢村賞発表が約45分間もずれ込んだのは、故沢村栄治氏の冠にふさわしい傑出した成績を残した投手が今季は見当たらなかったことの表れだった。

堀内恒夫委員長が厳しい表情で切り出した。

「たくさんの選手(候補者)の名前が出ました。こういう表現がいいかどうか分かりませんが、帯に短しタスキに長し、どちかかが良ければこちらがよくないと非常に難しい選考でした。いろいろな意見が出ましたが、一本化することは難しくできませんでした。ですから今年は該当者なしにさせていただきます」。

委員会内で名前が浮上したのは巨人・菅野、戸郷、ソフトバンク・有原、日本ハム・伊藤、DeNA・東だったという。それでも同賞の選考基準となる7項目中、4項目達成者が1人だけ。あとは3項目クリアがせいぜいだった。堀内委員長は「最後は戸郷、有原両投手だった」と明かす。投高打低の時代だからこそ「5項目以上をクリアした」"権威と威厳"にふさわしい投手を選出したかったからこそ、苦渋の決断にいたった。

選考委員を20年以上務めてきた平松政次氏の感想が今回を象徴していた。「これぐらい時間がかかった、難産したというのは記憶にないくらい、そのくらい傑出した投手が出ていないというのか、選べなかった。残念ですが、それくらい選考は難しかった」。

ちなみに現役時代は「カミソリシュート」の異名を持っていた平松氏は35歳ながら、4年ぶりに最多勝のタイトルを獲得した菅野を挙げたが、選考基準のうち、3項目をクリアしたにとどまった。

ちなみに戸郷は4項目、有原と伊藤、東はそれぞれ3項目を満たしていた。

投手分業制、先発投手中6日制が定着した現在、堀内委員長に時代に即していない同賞の基準見直しが議論されたかについて質問がとんだ。

同委員長は今回話題に上らなかったとしつつ「少しずつ手を加えていく必要はあるんじゃないか、と考えています」と話した。具体的には(3)=10以上の完投試合数(5)=200イニング以上の投球回数―について今ではないが、再考すべきとの試案を出した。ちなみに先述の候補者で完投数が一番多かったのは伊藤で5試合(うち4完封)だった。

▽沢村賞 プロ野球史上初の無安打無得点試合を達成した伝説の大投手、沢村栄治(巨人)を記念し、1リーグ時代の1947年に制定。シーズンで最も優れた先発完投型の投手に贈られる賞で、2リーグ分立の50年からはセ・リーグの所属投手だけが選考対象、89年から両リーグに広げられた。選考基準は(1)25登板以上(2)完投10試合以上(3)15勝以上(4)勝率6割以上(5)200投球回以上(6)150奪三振以上(7)防御率2.50以下の7項目。

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