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韓国の不動産法3
3.住宅・建築分野
住宅の計画、建設、供給、資金等について定める総合的な立法として1972年に「住宅建設計画法」が制定された。同法は、住宅ストックの量的充足を背景に2003年に「住宅法」に全面改正された。そして、基本原則、計画、住居基準等に関する部分を独立させて、2015年に「住居基本法」が制定された。
住居基本法
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「住宅法」は、住宅の建設、供給及び住宅市場の管理等に関する事項、具体的には住宅建設事業者・敷地造成事業者の登録、住宅組合、事業計画、住宅建設基準、監理、使用検査、分譲手続、分譲価格制限、リモデリング、土地賃貸付譲住宅を規定する。
公的資金による賃貸住宅に関する法制として2003年「国民賃貸住宅建設等に関する特別措置法」が制定された。その後、公的資金による分譲住宅も対象として2009年「ポグムチャリ住宅建設等に関する特別法」に全面改正され、政権交代に伴い2013年「公共住宅建設等に関する特別法」、2015年「公共住宅特別法」に改正されている。
民間賃貸住宅の建設、供給及び管理並びに民間住宅賃貸事業者の育成等に関する事項を定めることを目的として1993年に「賃貸住宅法」が制定され、2015年に「民間賃貸住宅に関する特別法」に全面改正された。
「集合建物の所有及び管理に関する法律」は、日本の区分所有法を参考にして1984年に制定された。
日本で言うマンションを韓国ではアパートと称する。アパートを含む共同住宅の管理に関する事項は「住宅建設促進法」、「住宅法」の施行令として規定されていたが、2015年に独立した法律として「共同住宅管理法」が制定された。
1981年に制定された「住宅賃貸借保護法」は、「民法」の特別法であり、日本の借地借家法と同様、正当事由制度を規定する。ただし、住宅のみを対象とする。
2001年に制定された「商家建物賃貸借保護法」は、店舗の賃貸借を対象とし、「住宅賃貸借保護法」と同様の内容を規定する。
「空き家及び小規模住宅の整備に関する特例法」は、日本の空家対策特別措置法を参照して2017年に制定されたが、小規模住宅整備法という略称に示されるように、老朽・不良建築物の面的整備事業に重点を置いている。
「建築法」は、日本の「建築基準法」に相当する法律として、1962年に制定された。同法の内容のうち集団規定は、2000年改正により「都市計画法」(現在は「国土の計画及び利用に関する法律」)に一元化された。そして、管理に関する規定を独立させた法律として2019年に「建築物管理法」が制定された。
「建築物管理法」は、日本の「建築基準法」に相当する「建築法」の内容のうち管理に関する規定を独立させた法律として2019年に制定され、建築物生涯管理台帳、建築物生涯履歴情報体系、建築物管理計画、点検、安全診断、解体・滅失、補強・是正命令などについて規定する。
「グリーン建築物造成支援法(略称:グリーン建築法)」は、グリーン建築物造成計画、建築物エネルギー・温室ガス情報体系、新築建築物及び既存建築物のエネルギー消費総量の制限、エネルギー性能改善基準、エネルギー節約計画書、建築物エネルギー効率等級認証制・ゼロエネルギー建築物認証制などについて規定する
韓国の不動産証券化は、日本と同様、不良資産処理の一環として整備された経緯があるが、不動産に特化した会社制度として「不動産投資会社法」が2001年に制定され、自己管理不動産投資会社、委託管理不動産投資会社、企業構造調整不動産投資会社の類型を導入した。
韓国民法のうち、不動産に最も関係の深い物権編の条文の翻訳である。