ホーム > 調査研究 > 海外研究 > 韓国の不動産法1

韓国の不動産法1

1.不動産取引分野

1950年に制定された「地籍法」が、2009年に「測量法」、「水路調査法」と統合されて「測量・水路調査及び地籍に関する法律」となり、2014年改正により法律名が「空間情報の構築及び管理等に関する法律」(略称:空間情報管理法)となった。
空間情報の構築及び管理等に関する法律(略称:空間情報管理法) PDF形式:914KB
韓国の地籍は、日本の植民地時代の1912年に実施された朝鮮土地調査事業の成果が基になっているところ、100年ぶりに地籍公簿の正確性を図り、デジタル地籍に転換するために、「地籍再調査に関する特別法」が制定された。
韓国では、不動産登記事務は裁判所が所管している(戦前の日本と同じ)。「不動産登記規則」は、日本の最高裁判所に当たる大法院が制定している。
不動産登記法 PDF形式:589KB
不動産登記規則 PDF形式:782KB
韓国の不動産登記は、日本と同様、公信力がない。世界的バブル期の1990年、不動産投機抑制と実権利者の明確化を図るため、不動産の所有権移転を目的とする契約を締結した者に登記を義務付けること、契約書を登記所に提出させることを内容とする「不動産登記特別措置法」が制定された。
2020年に制定された「不動産の所有権移転登記等に関する特別措置法」は、登記しなければならない不動産であって、この法律施行当時所有権保存登記がされていない不動産及び登記簿の記載が実際の権利関係と一致していない不動産を簡易な手続により登記できるようにすることを目的としている。
韓国で不動産投機が横行している背景の一つに、他人の名義による登記「名義信託」が判例上認められていることが挙げられる。1995年に制定された「不動産実権利者名義登記に関する法律」は、実権利者名義で登記させることにより、不動産登記制度を悪用した投機、脱税、脱法行為等反社会的行為を防止して、不動産取引の正常化と不動産価格の安定を図ることを目的とする。
2016年に制定された「不動産取引申告等に関する法律」は、不動産の売買及び住宅賃貸借の取引当事者又は仲介をした公認仲介士に対し、実際の取引価格等を契約締結日から30日以内に基礎自治体に申告する義務を課すとともに、日本の国土利用計画法と同様、土地取引許可区域制度を規定している。
韓国でも公的土地評価が多元化していたため、1989 年に「地価公示及び土地等の評価に関する法律」が制定され、公的地価が公示地価に一元化された。同法は2013年に「不動産価格公示及び鑑定評価に関する法律」に改正され、住宅価格も対象になり、2016年に「不動産価格公示に関する法律」に改正され、非居住用不動産も対象とされた。
1973年に「鑑定評価に関する法律」が制定され、1989 年に「地価公示及び土地等の評価に関する法律」が制定されたことに伴い、同法に吸収された。同法は2013年に「不動産価格公示及び鑑定評価に関する法律」に改正された後、2016年に「不動産価格公示に関する法律」と「鑑定評価及び鑑定評価士に関する法律」に分離・改正された。
日本の宅地建物取引業法に相当する法制は、1961 年に制定された「紹介営業法」に始まり、1983 年 の「不動産仲介業法」、2005 年の「公認仲介士の業務及び不動産取引申告に関する法律」、2014年の「公認仲介士法」で現在に至っている。
公認仲介士法 PDF形式:588KB
ページの先頭に戻る

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /