今年も、第56回日本神経学会学術大会(西澤正豊大会長、新潟)の初日(2015年5月20日(水))に、日本神経学会専門医試験の受験を目指す若手会員を主たる対象者として、教育セミナーを行います。本セミナーは、従来「卒後教育セミナー」と言う名称で行ってきたものですが、「専門医育成」という目的が、より明らかになるように名称変更され、一昨年の学術大会時に第1回が行われました。今回は昨年の秋に千葉県船橋市で行った第4回に続いて第5回となります。
今回も受講者アンケートで希望の多いテーマとして、「中枢神経の病理、高次脳機能、筋電図と神経伝導検査」の3テーマを選び、また2014年に新しい重症筋無力症診療ガイドラインが出版されましたのでその解説もお願いすることにしました。
免疫性神経疾患は、明らかな治療効果を期待することができる神経疾患であり、その診療は専門医の腕のふるいどころでもあります。今回は新しい重症筋無力症ガイドラインについて、作成に携わられた九州大学神経内科の村井弘之准教授に御講演いただきます。きっと専門医試験だけでなく、日常の診療にも役立つお話しになると思います。
近年、剖検が基幹病院でも少なくなっており、中枢神経の病理は専門医試験の大きなヤマであるにもかかわらず、第一線の若手会員にとって学習する機会を得るのが難しくなっているのではないかと思います。今回はこの分野の権威である愛知医科大学加齢医科学研究所の吉田眞里教授にお話しいただきます。
高次脳機能障害は、「何となくとっつきにくい」という印象をもつ神経内科医が多いのではないかと思います。しかし、試験には必ず出題される重要なテーマです。今回はこのテーマについて、山形大学高次脳機能障害学の鈴木匡子教授に御講演いただきます。難解なテーマを、わかりやすくお話しいただけると思います。
帝京大学神経内科の園生雅弘教授の御講演です。園生教授にはこれまでも何度かこのセミナーでお話し頂いていますが、毎回臨床に直結したお話しをいただき好評を博しています。今回も、神経内科の診療に欠くことのできない電気生理検査について、解剖学的知識に裏付けられた明快なお話しが期待されます。
このセミナーは受験生が対象ですが、専門医を既に持つ会員にとっても知識を整理し、また最新のものにする良い機会になると思います。専門医も含めて多数の御参加を期待いたします。
日本神経学会専門医育成教育ワーキンググループ部会
部会長 楠 進