すこやかな高齢期をめざして 〜ワンポイントアドバイス〜
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老化疫学研究部 Department of Epidemiology of Aging
みなさんは、眼鏡をもっていますか?
眼鏡は、眼の屈折の異常(遠くが見えない、手元が見えないなど)を矯正するための道具です。屈折の異常があると、眼に病気がないにもかかわらず、眼鏡をかけなければ見えづらいということがおきます。脳の約70%くらいは眼から入ってくる情報の処理にかかわるといわれており、眼が見える状態を保つことは、とても重要です。
屈折の異常には、近視(遠くがみえない)、遠視(手元がみえない)、乱視(全体がぼやける)の3種類があります(注) 。今回はNILS-LSA(ニルス・エルエスエー)のデータを用いて、乱視と年齢の関係を男女別に調べてみました。
図をごらんください。男女ともに、年齢が高いほど乱視が強いことが分かりました。特に男性において、この傾向が強く示されています。
[画像:男女別に40歳代、50歳代、60歳代、70歳代、80歳以上の乱視の大きさを示した図。]
図:乱視の大きさと性・年代との関係
屈折の異常は、眼科にある特別な機械を使わないと診断できません。また、(若い場合にはコンタクトレンズや手術などの手段を取ることもありますが)高齢者の場合には、眼鏡をかけることでしか、治療をすることができないのです。
乱視によって視力が落ちた際の症状の一部をご紹介します。
[画像:視力低下により現れる症状一覧。テレビの字幕が見えにくくなった。信号の矢印が見えにくくなった。新聞を読む回数が少なくなった。目を細めて見るようになった。]
眼鏡をもっていない、あるいは、以前から使っている眼鏡をかけているけれども上記のような症状があるという場合には、医療機関を受診して適切な処置を受けることが必要です。
(注)今回とりあげた”屈折の異常”はいわゆる“老眼”とはすこし異なります。“老眼”については、また別の機会にご説明する予定です。
適切な眼鏡をかけて、最適な視力を保ちましょう。
<コラム担当:福岡 秀記>
*このコラムの一部は、以下の研究成果として発表しています*
福岡秀記,丹下智香子,山中行人,大塚礼,安藤富士子,下方浩史:
地域在住中高年者の角膜形状と乱視の大きさ・角度の性差・年代差に関する検討.
角膜カンファランス2014(第38回日本角膜学会総会・第30回日本角膜移植学会),1月30日,宜野湾,2014.
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