■しかく プロービング
プローブという目盛りのついた細い検査器具を歯と歯肉の境目に静かに挿入し、歯周ポケットの深さを測定し「mm」で示した値で歯周病の進行状況を診断します。だいたい3mm以下が正常ないし軽度の歯周病を示し4〜6mmでは中程度7mm以上の物は重度の歯周病であると考えられます。
喫煙者と非喫煙者のプロービング測定の結果を見てみますと、男性の10〜20代では(プロービング値が4mm以上)中程度ないし重度の歯周病患者の割合は、喫煙者非喫煙者で大きな差はありませんでしたが、30代では喫煙者で26.8%、非喫煙者で13.4%と差は広がり、40代では喫煙者で35.7%、非喫煙者で20.7%となり、明らかに喫煙者のほうが歯周病は進行していることがわかりま
した。この調査から喫煙者の方が早期にそして大幅に悪くなる傾向が明らかにされたとい えます。また、初診の男性で歯の根元の骨(歯槽骨)が平均して半分以上喪失していた重症患
者のうち70%以上の人が喫煙者でした。
■しかく 「ニコチンの為害作用」
タバコの含まれるニコチンは血管を収縮させる作用があるため、歯肉が炎症を起こしても出血が抑えられ歯周病の症状のひとつであるフロービングによる出血が隠さ
れてしまい、気づかないうちに進行してしまう事が多いのです。さらに、歯周治療をしても非常になおりにくいのです。 ニコチンは歯の根っこを覆っているセメント質とよく結びつく性質があるために、せっかくスケーリング(歯面についた沈着物=汚れを機械的に除去する治療)やルートプレーニング(歯の根元に浸透した有毒物質を取り除いて滑択にする操作)を行っても、喫煙を継続して行うと、この治療後にニコチンが歯の根元に結合してしまい
、歯周治療の効果が台無しになってしまうのです。ニコチンはこのような局所的な為害作用と同時に全身的に個体の免疫系を傷害し、その機能を低下させるのです。これらの作用によって、歯周病が悪化したり、歯周治療後の治癒が悪くなるのです。