産業政策を打ち出せる「ゼネラルユニオン」の確立を/全国ユニオンの定期大会
2025年10月1日 調査部
個人加盟の地域ユニオンの全国組織である全国コミュニティ・ユニオン連合会(全国ユニオン、山岡直明会長代行、約3,500人)は、9月6日、都内で第24回定期大会を開き、新活動方針などを確認した。新方針は、1万人組織を目指すとし、そのための中長期的な取り組みとして、1 中小・非正規労働運動の再構築のための各地のユニオン・合同労組との大同団結 2 ギグワーカーやフリーランスなど曖昧な雇用で働く労働者の組織化 3 ディーセント・ワークの実現4産業政策を打ち出せる「複合産別(ゼネラルユニオン)としての全国ユニオン」の確立に向けた、産業部会の設置――などを柱としている。
合同労組が16組織に拡大
合同労組との大同団結では、昨年の全国一般群馬地方労働組合、全国一般福岡地方労働組合、四国ユニオンの加盟に続いて、今年1月に、オブザーバー加盟だった岐阜一般労働組合が正式加盟し、3月には札幌地区ユニオンが新規加盟。構成組織総数は16団体となった。新規加盟労組では全国一般からの離脱組が多い形となっている。
「スキマバイト」の新たな規制ルールづくりを求める
ギグワーカーやフリーランスについては、「労働者保護法の適用を受けない、極めて不安定な働き方」だとし、そのなかには、各ユニオンの交渉経験から「委託契約を結びながら、実態は労働者として就労させている『ニセ自営業者』」もいると批判。フリーランス、業務委託、あいまいな雇用で働く労働者の組織化を進めるとしている。ギグワーカーでは、プラットフォーマーの責任追及を求め、法制度の整備を含めた活動に取り組む。また、プラットフォームによる職業紹介の「スキマバイト」についても、日雇派遣と同様にワーキングプアの拡大につながるとして、新たな規制ルールづくりを求めていく。
少数派労組の意見が尊重されない「労働者代表制度」の創設には反対
公正な働き方を求めるディーセント・ワークの実現については、無期雇用転換を忌避する雇い止めや、無期であっても次の仕事が紹介できなければ雇用が終了する派遣労働者の「名ばかり無期雇用」、就業日を定めないフリーシフト制の休業補償などの問題に取り組むとしており、「あらゆる働き方の労働者に権利を」と訴えている。また現在、労働基準法見直しの中で検討されている「労働者代表制度」の導入について、「少数派の労組の意見が尊重されないことがあってはならない。安易な『労働組合もどき』の創設には反対していく」としている。
医療・福祉分野の部会設置を打ち出す
産業政策を打ち出せる「複合産別(ゼネラルユニオン)としての全国ユニオン」を目標としており、今期の具体的な取り組みとして医療・福祉分野の部会設置をあげている。産業別労働組合としての機能強化と仕組みづくりで、いわゆる合同労組の寄合い所帯からの脱皮を図る試みだ。今年初めて、春闘の成果について、それぞれの構成組織ごとではなく、組織全体の共通指標でとりまとめたのも、その一環だ。春闘とりまとめで、医療・福祉分野の賃金水準が低いことが明らかになり、部会設置の検討につながった。
新会長に山岡直明氏を選出
役員改選では、山岡直明会長代行(全国一般福岡地方労働組合)が会長に選ばれ、関口達矢事務局長(東京ユニオン)は留任した。なお、規約改定により、会長代理職は廃止した。