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調査シリーズNo.183
ものづくり産業における労働生産性向上に向けた
人材育成と能力開発に関する調査結果

平成30年10月1日

概要

研究の目的

平成29年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2017〜人材への投資を通じた生産性向上〜」では、働き方改革のほか、人材投資を通じた生涯現役社会の実現や人材への投資による生産性の向上等を柱に掲げている。基本方針は、今後本格化する人口減少・少子高齢化は必ずしもピンチや重荷ではないと述べるとともに、労働力の減少は生産性、創造性の向上の機会でもあると指摘して、Society5.0(超スマート社会)の実現に欠かせない投資が起き、経済社会の生産性向上に向けた好循環が生じることを期待する。一方、内閣官房が同月にまとめた「未来投資戦略2017―Society5.0の実現に向けた改革―」は、第4次産業革命に対応できる人材投資等を進めるとしており、IT人材に焦点を当てる。人手不足が深刻化し、若者のものづくり離れも進むものづくり産業においても、限られた人材の中でどのように一人ひとりの能力を高めて生産性の向上につなげるかといった課題がある。そこで、ものづくり産業における労働生産性向上に向けた人材育成の取り組みの実態等を企業アンケートにより把握する。

研究の方法

企業アンケート調査(郵送方式)

調査対象は、全国の日本標準産業分類(平成25(2013)年10月改訂)による項目「E 製造業」に分類される企業のうち、プラスチック製品製造業、鉄鋼業、非鉄金属製造業、金属製品製造業、はん用機械器具製造業、生産用機械器具製造業、業務用機械器具製造業、電子部品・デバイス・電子回路製造業、電気機械器具製造業、情報通信機械器具製造業、輸送用機械器具製造業に属する従業員数30人以上の企業20,000社。

平成26(2014)年経済センサス基礎調査(確報)での企業分布に従い、民間信用調査機関所有の企業データベースから業種・規模別に層化無作為抽出した。

主な事実発見

  • 人材育成・能力開発の方針が社内に浸透している企業では、7割弱が育成の成果があがっていると実感

人材育成・能力開発の方針が、社内に浸透していると認識している企業と、浸透していないと認識している企業とで、人材育成・能力開発の取り組みの成果の状況が異なるのか確認したところ、浸透していると認識している企業(「認識している」+「やや認識している」)では、成果があがっていると認識している企業(「あがっている」+「ややあがっている」)の割合は7割弱(66.5%)にのぼるのに対し、浸透していないと認識している企業(「あまり浸透していない」+「浸透していない」)では2割程度(22.7%)にとどまる(図表1)。

図表1 人材育成・能力開発方針の社内での浸透度別にみた人材育成・能力開発の成果の状況

単位:%

[画像:図表1画像]

  • 労働生産性が高いと認識している企業では人材育成・能力開発方針が社内に浸透

人材育成・能力開発方針の浸透度が労働生産性の状況によってどのように異なるのか確認したところ、生産性が高いと認識している企業(「高い」+「やや高い」)では、人材育成・能力開発方針が浸透していると認識している割合が8割(80.1%)に達し、かつ、生産性が低いと認識している企業(「やや低い」+「低い」)の同割合(56.7%)よりも20ポイント以上高い。(図表2)。

図表2 労働生産性の状況別にみた人材育成・能力開発方針の社内への浸透度

単位:%

[画像:図表2画像]

  • 人材育成・能力開発で成果があがっている企業の方が、労働生産性の向上分を再び人材に投資しようとする姿勢が強い様子がうかがえる

人材育成・能力開発で【成果があがっていると認識している企業】と【成果があがっていないと認識している企業】との間で、労働生産性向上分の配分先(複数回答)を比べてみたところ、「採用・人材育成の強化」をあげる企業割合で最も差が大きくなっており、成果があがっていると認識している企業の方が10.7ポイント、割合が高い(36.8%に対し、26.1%)(図表3)。

図表3 人材育成・能力開発で成果があがっている企業とあがっていない企業との、労働生産性向上分の配分先の違い

単位:%

[画像:図表3画像]

政策的インプリケーション

労働生産性が高いと認識している企業では、人材育成・能力開発の方針が社内により浸透しており、方針が浸透している企業ほど人材育成、能力開発で成果をあげている傾向が確認できる。生産性向上につながる競争力のある技術などの確立のためにも、引き続き、ものづくり産業においては人材の確保・育成が重要である。

政策への貢献

「平成29年度ものづくり基盤技術の振興施策」(平成30年版ものづくり白書)に活用。人材開発行政にかかる政策立案のための基礎資料として活用される。

本文

全文がスムーズに表示しない場合は下記からご参照をお願いします。

研究の区分

情報収集

研究期間

平成29年度〜平成30年度

担当者

郡司 正人
労働政策研究・研修機構 調査部 次長
藤本 真
労働政策研究・研修機構 人材育成部門 主任研究員
荒川 創太
労働政策研究・研修機構 調査部 主任調査員補佐

データ・アーカイブ

本調査のデータが収録されています(アーカイブNo.159)。

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