海水を調べる
CTD【電気伝導度(塩分)・水温・水深計】
- センサーで深さごとの海水を調べる
- CTDは海水の塩分、水温、圧力(深度)を計測するセンサーで構成された観測装置です。ケーブルにつないで海水中に投下し、水温と塩分の深さ方向の分布を観測します。これらのデータは、海水の特性や流れの解析などに使います。
採水器
- 海水を採取して調べる
- 採水器は海洋の様々な深さの海水を採取するために用いられる機器です。一般的な仕組みでは、上下にふたが付いているパイプ状のボトルを、ふたを開けたまま海中へ投下し、目的の深度で上下のふたを閉じることで海水を採取します。採取された海水は、船上の分析機器を用いて、塩分や、二酸化炭素(全炭酸)、栄養塩濃度、溶存酸素濃度などを精密に測定します。これらのデータはCTD観測のデータと併せて、海水の特性や流れの解析などに使います。
ADCP(音響ドップラー流向流速計)
- 音波で海水の流れを計る
- ADCP(Acoustic Doppler Current Profiler)から海中に照射した音波は、海中を漂う粒子やプランクトンなどによって反射されます。その反射された音波を受信することで、一定の深度における海流の流れる方向・速さを検出します。ADCPは実際に海中に設置するもの、採水器のように船上からケーブルを用いて吊り下げられるもの、船底にあらかじめ取り付けておき船を走らせながら広範囲に調査するものなど、さまざまな種類があり、目的によって使い分けられます。
XBT・XCTD(投下式水温計・投下式塩分水温深度計)
- センサーで瞬時に海水を計る
- 海洋調査では、決められたポイントで調査を行うこともあれば、航走しながら調査を行う方が効率的である場合があります。XBT(eXpendable Bathy Thermograph)及びXCTD(eXpendable CTD)はキャニスタと呼ばれる筒状のケースと、センサーが組み込まれたプローブから成ります。船上からプローブを投下し、付属のセンサーを用いて、塩分、水温をCTDと同様に測定します。深さは、投入後の経過時間により、自由落下を仮定した経験式で推定して求めます。「投下式」と呼ばれるように、投下したプローブは使い捨てのため、回収する必要がなく、航走しながら、もしくは荒天の場合でも調査が可能であるという利点があります。
トライトンブイ
- 太平洋とインド洋の定点で大気と海洋を観測する
- トライトン(海洋観測係留ネットワーク)は、エルニーニョやアジア・モンスーンなどの気候変動現象を解明するため、熱帯太平洋および東インド洋西部に展開された観測ブイのネットワークです。
トライトンブイでは風、気温、湿度、気圧、雨量、日射、海水の流れ、深さ750mまでの水温および塩分を測定しており、データはリアルタイムで近くの衛星によって送信され、世界中の研究者に供給されます。毎日の天気予報にも利用されています。
新しいトライトンブイ(m-TRITON)を開発し、2006年10月に「みらい」で設置しました。
アルゴフロート
- 海を漂流しながら観測する
- 全世界の海洋に約3,500個のアルゴフロートと呼ばれる観測機器を展開し、海洋表層から中層のリアルタイム監視システムを構築する国際プロジェクト「アルゴ計画」が推進されています。
アルゴフロートは、通常水深1,000mの滞在深度を漂流し、10日に1度、2,000mまで沈降したのち、海水の水温・塩分・圧力データを測定しながら海面まで浮上します。浮上後に通信衛星を通じて観測データを陸上へ送信した後、再び滞在深度へと戻っていきます。フロートはこのようなサイクルを繰り返し、約4年間稼働し続けます。
このアルゴフロートを、全世界の海洋、300km四方に1個の割合で展開することにより、刻々と変化する海洋の状況をリアルタイムでチェックし、長期予報の精度向上や気候変動予測のために役立てます。
- - アルゴ計画紹介サイト
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画像:表層から中層の水温・塩分濃度観測データを、衛星通信によって自動的に陸上へと送信する]
表層から中層の水温・塩分観測データを、衛星通信によって自動的に陸上へと送信する
POPS
- 北極海の変動を調べる
- 北極海を観測するために開発されたアルゴフロートを用いた観測システムです。海氷にプラットフォームを設置し、そこから下ろしたケーブルにアルゴフロートを装着して、水深10〜1,000mの範囲の水温・塩分・圧力データを測定します。
現在、北極海の海氷は10年で8%以上のペースで減少しており、その原因を解明するためにも詳細な観測データが求められています 。