"人生という試合で最も重要なのは、
休憩時間の得点"ナポレオンの成功哲学とは?

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「不遇時代をどう過ごすか。それが未来の飛躍を決める」。35歳の若き皇帝ナポレオンは、いかに出世の階段を駆け上がったのでしょうか?世界史5000年の歴史から生まれた「15の成功法則」を記した『最強の成功哲学書 世界史』 から見ていきましょう。

前回の記事では、「逆境に置かれたとき、いかに考え、行動するか」をナポレオンの青年期から見てきました。

さて本日は、コルシカではなく、フランスに目を向けたナポレオンが、いかにしてチャンスをモノにしてきたかをお話しします。

チャンスを掴むことができる人と、できない人。その差はどこにあるのでしょうか?

コネがなければ、
自ら動いて作る!

ナポレオンを包んだ闇の中に一筋の光明が射してきたとはいえ、いつの時代も、実力より先にモノを言うのがコネです。

どんなに「実力」があっても、それを発揮する場が与えられないことにはどうしようもありません。コネがあって初めてチャンスが与えられ、チャンスが与えられて初めて「実力」は発揮できるからです。生粋のフランス人ではないナポレオンには、フランスに何のコネもツテもありません。

ここで多くの人は、「結局、なんだかんだきれいごと言ったって、世の中コネじゃないか! いくら才能があっても、コネがなきゃいつまで経ってもうだつが上がらない!どうせ俺なんか!」と腐ってしまいがちです。

しかし、ここからがナポレオンのすごいところです。ナポレオンはすぐに机に向かい、わずか1ヵ月で『ボーケールの晩餐』という小冊子を書き上げます。

当時、彼が住んでいたマルセイユからわずか80キロメートル北西の町、ボーケールの宿屋を舞台に、軍人と市民との議論が交わされる中、「ロベスピエールのやり方でしかフランスが生き残る道はない!」という結論を記したものです。

要するに、時の最高権力者ロベスピエールへの「ゴマすり」なのですが、彼がこの『ボーケールの晩餐』を自費出版した直後、彼の人生を変える事件が起こります。

彼の住むマルセイユからわずか50キロメートルしか離れていないトゥーロンで政府打倒を標榜する王党派の叛乱が起こったのです。

これを鎮圧すべく、ただちに政府軍がトゥーロンに派兵されたものの、いきなり砲兵隊長を失ってしまいます。

「すぐに新しい砲兵隊長を補充せねばならん! 誰か適任者に心当たりはないか?」

ちょうどここに赴任していたサリセッティ議員は、ナポレオンがコルシカに渡ったときに、ともにパオリ将軍と戦った同志でした。

「私にひとり心当たりが!」
「うむ、どんな男だ?」

「以前、私がコルシカに赴任していたころに知り合った者ですが、なかなか優秀な男です」
「いや、軍人としての才より、私が心配しているのは、そいつが革命軍人として信用できるのかどうかという点だ」

「その点なら大丈夫です。彼は、こんな小冊子を自費出版したほどの熱烈なジャコバン派ですよ!」

このときの推薦資料として提出されたのが『ボーケールの晩餐』でした。

「む、なるほど!よし、すぐにそやつを呼び寄せよ!」

こうして推薦資料としての『ボーケールの晩餐』が効いて、何の実績もなかったナポレオンがいきなり砲兵隊長に大抜擢されることになります。ナポレオンはこの貴重なチャンスをモノにしたのです。

チャンスが来てから、
あわてて努力を始めたのでは遅い。

ひとつの夢や目標に向かって努力する。そんなことなら誰でもやっています。問題はその夢が破れたとき、失意に打ちひしがれることなく、すぐに気を取りなおして「次」に向かって努力を怠ることなく続けることができるか?失意の中にあっても、好機が訪れていないか目を光らせ続けることができるか?

ここが人生の岐路となります。多くの人は、そこで意気消沈し、自らの不幸を呪い、しばらくは何もする気が起きなくなるものですが、そんなときこそ、「好機の神」は目の前を駆け抜けていくのです。

ナポレオンが失意のうちにコルシカから逃げ帰ってきたのが6月。しかし、すぐに次の目標を立てて『ボーケールの晩餐』を書き上げたのが7〜8月。ナポレオンの出世の足がかりとなる「トゥーロン港叛乱」が起こったのが9月です。もしこのとき、ナポレオンが帰国後のほんの1〜2ヵ月でも無為に過ごしていたら!

ナポレオンはこのチャンスを摑むことができず、このまま名もなき貧乏将校のひとりとして歴史の中に埋没していったかもしれません。

「人生という試合で最も重要なのは、休憩時間の得点である。」

これはナポレオン本人の言葉です。好機の神の前髪を摑むことができたナポレオンは、これを足がかりとして、そこからはとんとん拍子、わずか1年たらずの間に、大尉から少佐、大佐、准将、少将と出世の階段を駆け昇っていきます。ナポレオンの人生には、そこから一波乱二波乱あるとはいえ、このときの飛躍があったからこそ、その先に「玉座」が待っていたのです。


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