「社員のやる気が世界最低」の元凶とは?
日本企業を襲うモチベーションの罠

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「日本の社員のやる気は世界最低」――そんな記事を年初に書いたら、大きな反響をいただいた。アクセスも多く、日別でランキングで1位。月間ランキングでも3位となったが、特筆すべきは反応の大きさで、「いいね!」の数は3000を越えている。(2013年10月28日14時現在)。それだけ、ビジネスパーソンのこのテーマに対する関心が高いということだ。

【第81回】
世界でダントツ最下位!
日本企業の社員のやる気はなぜこんなに低いのか?

「社員のやる気が世界最低」というのは、もうそれだけで大きな社会問題だと思う。事実、ビジネスパーソンの鬱病問題は大きな社会問題となっている。やる気もないのに無理矢理仕事をしなければならず、会社からも無理矢理モチベーションを上げろとプレッシャーをかけられて、それで鬱にならないほうがおかしいかもしれない。この問題はまた、日本経済成長の大きな阻害要因にもなっている。やる気のない社員ばかりで、企業が成長できるわけがなく、企業の成長なくして国の経済成長があるわけがないことくらい、どんなバカでもわかることだ。

筆者が翻訳を担当した新刊『Dr.ディマティーニの最高の自分が見つかる授業』(フォレスト出版)

この問題に対する唯一最大の解決策は、社会と個人と企業の価値観のエンゲージメントである。これを僕は「バリュー・エンゲージメント」と呼んでいるが、根本的な解決策はそこにしかないということも上記の記事で書いた。 以来、僕はこの日本最大の社会問題のひとつである「社員のやる気問題」解決のために、バリュー・エンゲージメントという概念の普及に尽力しているのだが、今回、この理論の大きなバックボーンであり、実践的なメソッドでもある「バリュー・ファクター」というコンセプトに関する本を出すことができた。

といっても翻訳書で、つまり僕が翻訳させてもらったわけだが、ドクター・ジョン・ディマティーニという人が書いた『THE VALUES FACTOR』の日本語版『Dr.ディマティーニの最高の自分が見つかる授業』(フォレスト出版)である。原著のタイトルにもあるように、「価値観というものが人生やキャリアやビジネスにおいていかに重要で役に立つか」ということについて書かれた本だ。ちなみに、アメリカのAmazonでは哲学ジャンルで1位となっている。

「価値観を理解する」
とはどういうことか?

「価値観」というと、多くの人はわかったような気になっている。実際、さまざまな企業で「会社と従業員の価値観のエンゲージメントが大事です」という話をしても、ほとんどの場合「それはそうでしょうね」という顔をされる。しかし、本当にわかっていてエンゲージメントが実現できているかというと、できてないわけで、「そんなことは分かっている」という顔をする人の会社の離職率が40%を越えていたりする。

あるいは、マーケティング関連の部署の人間に、バリュー・エンゲージメントの話をしても、多くの場合、「当然です」という顔をされるが、ではいまの生活者や社会の価値観を本当に理解しているかというと、できていない。それどころか、自分の会社の価値観、さらには自分自身の価値観すらわかってないケースがほとんどだ。だからヒット商品が生まれない。その代表的な例が自動車業界で、いまだに「若者がクルマを買わないのは、その魅力が伝わってないからだ」などと考えている(少なくとも、メディアに登場する自動車業界関係者には、そのような発言が多い)。しかし、そもそも「クルマの魅力」とは、ユーザー個人個人の価値観による。

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