ドローン戦争と旧来型消耗戦「ウクライナが再び耐える年に」小泉悠氏が読む戦争3年目
小泉悠・東京大学先端科学技術研究センター准教授インタビュー(前編)
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ロシアがウクライナに侵攻を開始して、2月24日で丸2年になる。米国の追加軍事支援が議会の抵抗でめどが立たず、ウクライナ側の司令官更迭も起きるなかで、3年目に入るウクライナ戦争の行方はどうなるのか。プーチン氏の戦争目的を頓挫させるための鍵は何か。ロシアの軍事・安全保障の専門家で、この2年の状況を見てきた小泉悠東京大先端科学技術研究センター准教授に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部特任編集委員 西井泰之)
ウクライナの反転攻勢失敗で膠着状態
ドローン出現で守りが有利な戦いに
――首都キーウを一気に攻略しゼレンスキー政権を転覆させるというロシアがもくろんだ短期決戦は失敗し、一方でウクライナが欧米の軍事支援のもと昨年6月から始めた反転攻勢もうまくいっていません。この2年の戦争や現状をどうみていますか。
いま東部から南部にかけてベルト状にウクライナの国土の18%をロシア軍が占拠している状況は、2022年11月にウクライナ軍が反撃してヘルソンからロシア軍を撤退させて取り返して以降、大方は変わっていません。
直近では、ウクライナ軍の反転攻勢に失敗して消耗しているなかで、今度はロシア軍がじりじりと攻勢を強めようとしていますが、これもうまくいっておらず、まさに膠着(こうちゃく)状態です。
この状況を生み出したのは、ハイテクとローテクが組み合わさったウクライナ戦争独特の構図です。
「3年目はウクライナ側がロシアの攻勢に再び守りを強いられる」とみる小泉氏。次ページでは、ウクライナ戦争の今後の展開や停戦・和平の行方について小泉氏の見解を明かしてもらった。
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