日銀用語の目途は「めど」ではない、YCC柔軟化の先を見据えた"植田マジック"

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植田和男日銀総裁Photo:Bloomberg/gettyimages

柔軟化という名の枠組み修正
異次元緩和の終了も視野に

日本銀行は7月の金融政策決定会合で、イールドカーブ・コントロール(YCC)の運用の柔軟化を決定した。展望レポートにおける物価見通しの上方修正は、事前に予想されていたことであり、それに合わせた今回の対応は、物価目標を掲げる日銀にとっては当然の対応であり、サプライズではない。

日銀は、今回の措置が政策変更ではなく、金融緩和の持続性を高めるための対応としている。2%の物価安定の目標の持続的・安定的実現を見通せる状況には至っていないとする日銀は、粘り強く金融緩和を継続する方針であり、引き締めや金融政策の正常化に向けた動きを公には封印している。

一方、昨年12月の変動幅の拡大は、インフレの加速と長期金利の上昇圧力の拡大に対して後手に回り、債券市場を中心とした金融市場の混乱と、日銀による指値オペによる長期国債買い入れの急増という副作用をもたらしてしまった。

この反省に立って日銀は、インフレが想定より上振れするリスクに備えて、YCC運用の柔軟化という先手を打ってきた。

持続性を高めるための運用の柔軟化は、同時にYCCを骨抜きにする効果を持っている。その意味で、今回の対応は、異次元緩和の終了も視野に入れたものと考えることができる。

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