問い合わせ件数はコロナ前の100倍!?「うまくいく1on1」と「うまくいかない1on1」を分けるものは何か
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コロナ禍で物理的に分断された上司と部下。そのコミュニケーションが難易度を増すなか、あらためて1on1ミーティングへの関心が高まっている。よき対話を通して部下の成長を支援するために、上司は1on1の場をどのように活用すればいいのか。『部下が自ら成長し、チームが回り出す1on1戦術』の著者で人材・組織開発コンサルタントの由井俊哉氏と、このほど『上司と部下は、なぜすれちがうのか』を上梓した1on1支援クラウドシステム「Kakeai」(カケアイ)を開発販売するKAKEAI代表取締役社長兼CEOの本田英貴氏に、1on1の現状とこれからについて語り合ってもらった。(聞き手、構成/間杉俊彦)
1on1支援システムへの問い合わせ件数は、コロナ前の100倍に
――コロナ禍以降の2年余りで、1on1の実施状況や実施法にどんな変化がありましたか?
ODソリューションズ代表。1985年株式会社リクルート(現リクルートホールディングス)入社。人材アセスメントの営業を経て、現リクルートマネジメントソリューションズで、人材・組織開発領域のソリューション営業及びコンサルティング業務に携わる。2012年よりコーチング事業の立ち上げを推進し、事業責任者を務める。2016年に退職し、「リーダーシッップ・組織開発」を事業とする株式会社ODソリューションズを設立。発行部数7万部超の『ヤフーの1on1――部下を成長させるコミュニケーションの技法』(本間浩輔著)、『1on1ミーティング――「対話の質」が組織の強さを決める』(本間浩輔・吉澤幸太著)の刊行をサポート。
由井 コロナ禍でリモートワークが広がったことで、チームのメンバーが見えるところにいない、という職場が増えたことから、1on1の状況もガラッと変わりました。一緒にいなくても部下を成長させなければならないし、アウトプットも出さなければならない。それをどのように実現していくか、と考えたときに、意図的にコミュニケーションを仕掛けるしかない。そこで1on1への関心があらためて高まっています。
本田 「1on1をしたほうがいい」から「しなければいけなくなった」へ、という変化ですね。実際、私たちの調査で、2021年には国内で261万人が1on1に新たに着手しており、コロナ前の2019年と比べると約2倍になっています。Kakeaiに対するお問い合わせ件数も、コロナ前の100倍ぐらいになっているんです。
由井 100倍というのはすごいですね。おそらく始めてはみたもののなかなかうまくいかないということが、問い合わせ件数の増加に表れているのでしょうね。
本田 多くの人が1on1の質を改善する必要に迫られている、ということでしょう。1on1に新たに着手した人数が2倍になったということは、ご指摘の通り「うまくいく1on1」以上に、「うまくいかない1on1」の総量がとても増えてしまったということだろうと思います。
由井 始める企業が多ければ多いほど、「よくない場」がつくられてしまっている、ということですね。
本田 1on1が最初からうまくできる上司・部下のペアというのは2割ぐらいではないか、という感覚があります。
由井 私の感覚値でも、やっぱり2割ぐらいだと思います。そして、よく言われる「2対6対2の法則」でいくと、中位層の6割が研修を通じて「できる2割」になれるかが重要です。ただ、この層の人は、もともとちゃんと部下と向き合いたいと思っている人が圧倒的に多いですね。最近は特にそう感じます。かつていた、斜に構えて「こんなの意味ないだろ」と言っていたような人は、今はほとんどいません。そこはだいぶ変わりました。
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