「Web3」を机上論にしないために不可欠な、従来ビジネスからの発想転換
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「Web3」の将来像は、まだ確立しているわけではない。投機的な期待感が先行する様子には眉をひそめる人も多い。マイクロソフトやグーグルでエンジニアとして活躍し、複数の企業で技術顧問を務める及川卓也氏が、前回の記事に引き続き、Web3で実際に何が期待できるのか、どのように広がっていく可能性があるのかを考察する。
「Web3」はウェブの理想か
それとも詐欺師の道具なのか
今回は、前回記事「『Web3』とはいったい何か?ウェブの歴史から読み解く理想と現実」に引き続き、最近注目を集める「Web3(ウェブスリー)」の現状と、このテクノロジーがもたらす可能性について、考察してみます。
Web3とは前回説明した通り、ブロックチェーンを中心に、巨大プラットフォーマーなどの中央集権的なプレーヤーが存在しないかたちで、本当の意味での自律分散的なシステムを生み出そうという概念です。
Web3に関連する技術やサービスとしては、「非代替性トークン(NFT)」や「分散型金融(DeFi)」「メタバース」といったキーワードがよく取り上げられます。ただ現時点ではさまざまな人のそれぞれの思惑により、Web3および関連する技術・サービスについて異なる説明がなされることも多く、全体像が把握しにくい傾向があります。
とりわけ、投機的なフィンテック(金融テクノロジー)の文脈で語られることが多いWeb3には、今のところどうしても、うさんくささがつきまといがちです。実際、Web3を巡っては詐欺も起きていて、理想論から語る人とビジネスとしての期待や不安を語る人との間で、溝も生まれやすくなっています。
これには、Web3が目指す非中央集権化=ディセントラライズ(Decentralize)を完全にできているサービスや事例が、今はまだないということも影響しているでしょう。現状ではむしろ、Web3関連サービスにはプラットフォーマー的な存在がいることの方が多いのです。
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