なぜ今「1on1ミーティング」が注目されているのか
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管理職のみなさんは、進捗報告以外で、部下の考えていることを聞く機会はあるでしょうか。部下のみなさんは、上司に自分の考えていることを忌憚なく話す場はあるでしょうか。「1on1ミーティング」は、部下の話を聞く場であり、コロナ禍でコミュニケーションが希薄になっているなか、注目が高まっています。2020年秋に上梓された『1on1ミーティング』の著者の言葉から、そのエッセンスを紹介します。
職場の中に
忌憚なく話ができる機会はあるか
職場におけるコミュニケーション施策として、1on1ミーティングはすっかりおなじみのものになりました。
ダイヤモンド社が2020年11月に刊行した『1on1ミーティング』は、2017年の『ヤフーの1on1』に続く第2弾。前著で示された「目的」「効果」をさらに深掘りするだけでなく、組織開発、経験学習、カウンセリング、コーチングという背景にある考え方について、それぞれの専門家との対話によって客観的に解説するなど、その価値をくわしく解説しています。
なぜ、1on1に関心が集まるのか。『1on1ミーティング』から著者たちが語る言葉を引用してみましょう。
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本間 日本企業では、人の好き嫌いなど言わないで成果を上げろよ、というのが、この20年間の振り子の方向感だったと思います。それで昔なら当たり前だった「飲みニケーション」を否定し、「社員旅行」を否定し、部下のプライベートについて聞くことなどを全部「ハラスメント」だ、ということになった。それは決しておかしい方向ではないけれど、振り子は戻って来るべきだと思っていて、そこで信頼関係とか、業務以外のことでも相談できるという安心感が重視されるようになった。
部下にとっては業務とそれ以外の私的なことなど、これは言っていいことなのかどうか、なんて判断できないと思う。上司にしてみれば「それ、早く言ってよ」と思うこともあります。「最近の社員って考えないよね」とよく言われますが、考えていないんじゃなくて、忌憚なく話ができる場がそもそもない。1on1の、なんでも話せる安心感は重要です。
吉澤 加えて1on1は、仕事のスピード感にも効果を発揮します。資料づくりなどの身近な例をとっても、本人としてしっかり仕上げて持っていったつもりが、実は上司が求めていたものとは違ってやり直しなんてことがよくあります。途中経過でマメに認識合わせができていれば、不要な手戻りは減るわけで、結果として生産性を上げることになります。
本間 対話の価値は多方面に効きます。風土改革を課題とする企業は多いと思いますが、1on1を通じて上司と部下との信頼関係を築くことによって、よき組織風土を作ろうという企業は、まだ少ないでしょう。私は、対話の質を上げることで、風土改革だけでなく、顧客との信頼関係も強くなる、と考えています。
由井 本間さんがよく言われる「言葉の解像度」を上げる、ということですね。上司と部下でいうなら、「いいからやれ!」で話が終わりがちですが、そうじゃなくて、「どうしたいんだ?」という問いかけができるかどうか。目的を確認したり、意思を問う、ということがあるだけで、事態はかなり変わるでしょう。
1on1の研修でしばしば聞かれるのは、自分が上司と1on1をやる時には、上司がこういうことを言ったら喜ぶだろうな、ということを探してしまう、という部下の言葉です。そして次に、自分が聞き手になったときに、相手がこう言ってくれたらいいな、と考えてしまうというのです。上下関係のカルチャーが、それだけ強く染み付いているということです。
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1on1は、いわゆる「業務面談」とは違い、部下が日頃考えていることについて自由に語る場。いわば「部下のための時間」です。上司は基本的には傾聴します。もちろん部下の求めに応じて意見を述べたり、アドバイスをするのはかまいませんが、基本は「聞く場」ということになります。
みなさんの職場の中で、そのような時間、そのような場は、確保されているでしょうか。
管理職の方は、進捗報告ではなく、部下が考えていることを聞く機会はありますか?
一般社員の方は、上司と忌憚なく話ができる場はあるでしょうか。もし、自分が考えていることを遠慮なく話す場があるとしたら、そのことは、日常の業務に、どのような変化をもたらすでしょうか。
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