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在宅勤務可でも社員の不満が多い企業が忘れている「重要な権利」

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在宅勤務「在宅勤務がOKな職場」というだけでは、人を惹きつけることはできません Photo:PIXTA

2020年はテレワークが浸透し、働き手の意識にも大きな変化が生まれた1年だった。リクルートキャリアが運営する転職情報サイト『リクナビNEXT』では、「在宅勤務OK」求人への応募数が急増している。しかし、在宅勤務OKでも社員に"ある権利"がなければ、不満に直結しているという。このように働き手の意識と企業の方針がすれ違えば、働き手の転職相談につながりやすい。では、企業が社員や求職者にとって魅力的であり続けるには何を重視すべきか。リクルートキャリアの藤井薫HR統括編集長に話を聞いた。(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)

在宅勤務OK求人への応募数5倍に
「安全性」と「裁量権」がカギ

――『リクナビNEXT』では「在宅勤務OK」求人への応募数が20年5月から10月の間で、5.67倍に急伸している。この背景には、働き手の意識のどのような変化があるか。

リクルートキャリアの藤井薫HR統括編集長リクルートキャリア 藤井薫HR統括編集長

在宅勤務など働き方の自由度のある会社が重視されるようになったのは、コロナ禍で「2つのライフシフト」が起きたことが大きな要因と言っていいだろう。まず、自分や家族の健康を守るため「安全性」を求める人が増えたこと。そしてもう一つが「仕事の自由度・裁量権」を求める人が増えたことだ。

一方で、在宅勤務OKの記載のない求人に関しては、データは取得していないものの、相対的な劣位は確かにある。工場や研究所といった現場で仕事をしなければならない人やエッセンシャルワーカー、小売業の方についてはこれまでと変わらずに応募が寄せられている。しかしテレワークが可能な、IT系のエンジニアやデジタルマーケティングの方など、必要がないのに出社義務があるような企業は応募劣位にある。

――在宅勤務を含めたテレワーク経験者と未経験者では、キャリアに関する考え方などにどのような違いが生まれているか。

まず、経験者の中でもテレワークを通じた「ポジティブな経験」のある人は、継続への気持ちが高い。テレワークというIT環境は必要条件だが、それプラス裁量権がセットになっていると、ポジティブな反応につながりやすいといえる。しかし、テレワークの環境があるだけで「裁量権」がなく、監視体制が強化されるとネガティブな印象につながっている。

そういう意味で、仕事の進め方を自ら自由にデザインできること、仕事選びにおいても自由度のあることが大事だと気付き始めたのが、今の日本の労働市場だろう。

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