2500年前の兵法書『孫子』、作者・孫武の人物像と名著誕生の時代背景

ダイヤモンド編集部
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不敗の戦略「孫子」#2史上最強の兵法書を著した孫武の生涯は、今も謎だらけである Photo:Bridgemen Images/AFLO

『孫子』は、執筆されてから約2500年がたつ今も世界各国で研究が続けられている。この名著は、どのような背景で成立したのか。作者とされる孫武とは、いかなる人物だったのか。特集『最強のビジネス書!不敗の戦略「孫子」』(全7回)の#2では、その人物像と孫子が誕生した時代背景を解説する。

「週刊ダイヤモンド」2016年9月10日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの

『孫子』超入門!
作者・孫武の人物像と誕生時の時代背景

凄惨と言えば、あまりにも凄惨だった。紀元前512年のこと。呉の国王である闔閭(こうりょ)は、孫武(そんぶ)に「先生の書いた兵法13篇を読ませてもらった。非常に感銘を受けたので、わが軍隊を指揮してくれないか」と告げた。孫武が承知すると、「まず女で試してくれ」ということだった。

孫武は、練兵場に集まった宮廷の官女180人を二つのグループに分けて全員に矛(ほこ)を配った。その上で、孫武は闔閭に「二つの隊の隊長には、ご寵愛の2人の愛妾をお借りしたい」と願い出た。

闔閭が承諾すると、2人の美女をそれぞれの隊長に任命し、孫武は「太鼓を鳴らして、右向け右と号令したら、その通りに動け」と命じて軍事演習を開始した。

案の定、まるで演習にならない。彼女たちにやる気はなく、笑い声までこぼれてきた。この状況を侮辱だと受け止めた孫武は、「あと3回だけ繰り返す」と述べ、その後で本番に入った。そして、孫武は、補佐官に「できなかった2人の隊長の首を斬れ」と命じる。これには、闔閭も顔色を変えて泣きを入れてきた。

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