生保の憂鬱、高齢化と「遺伝子検査」が収益基盤を破壊する理由
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遺伝子検査による病気の見える化。人工知能(AI)を活用した自動運転の技術革新――。「デジタル破壊」の波は保険業界にも容赦なく押し寄せようとしている。「銀行・証券断末魔」特集(全5回)その5は、上・中・下編に分けてお届けする。今回のその5(上)では、本業がジリ貧に陥りかねない生命保険業界の将来像に迫った。(ダイヤモンド編集部 中村正毅)
アンケート調査に基づく
付き合いたくない生保ランキング
住宅の次に高い「買い物」――。契約期間が20年や30年といった長期にわたり、総額で数百万円、1000万円単位のお金を保険料として支払うこともある生命保険は、時にそう呼ばれ家計の大きな負担となってきた。
その負担の大きさは、保険の加入段階においていまだ決定的な影響を与えており、大手をはじめ伝統的な生保会社の経営に、有利に働いているのが業界の現状だ。
その様子は、ダイヤモンド編集部が8月下旬に実施した個人向けアンケートに如実に表れている。
20〜60代の男女各200人ずつ計2000人を対象に、生保会社に対する印象などを聞いたところ、「付き合いたくない」「信頼感がない」「ニーズや希望を聞いてくれない」という項目で、ライフネット生命保険がいずれも上位に入る結果になったのだ。
ライフネットは、パソコンやスマートフォンを通じて気軽に加入できる、インターネット生保の代表格だ。
2006年の設立以降、割安な保険料を武器に徐々に支持を広げており、保有契約数は現在32万件。対して、業界最大手の日本生命保険の保有契約数は約3400万件で、100倍以上の開きが依然としてある。
通販をはじめネットを基点にした消費活動が広く浸透する中で、ネット生保への認知と理解が進みにくいのは、やはり高い買い物であるが故だろう。
終の棲家(ついのすみか)をネットでは購入しないように、生保商品は生活設計に深く関わり家計の負担が大きいだけに、営業担当者と直接対面してじっくり話を聞きながら、と考える消費者がいまだに多いようだ。
生保会社が商品の仕組み自体をあえて複雑にし、他社商品と保険料だけでは単純比較しにくくしていることも、ネットでの加入のハードルを上げている。
それ故、昔ながらのいわゆる「プッシュ型営業」が依然としてモノをいう世界がそこには広がっている。大手生保を中心とした生保レディー(営業職員)の数が、減るどころかここ数年は23万人を超えて推移し、むしろ増加傾向にあるのも、業界の置かれた現状をよく表している。
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