LINEと連携した損保ジャパンの保険販売、「友だち申請」が1ヵ月530万人

西澤敬二(損保ジャパン日本興亜社長)

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大規模な自然災害が多発し、対応に追われた損害保険業界。損保ジャパン日本興亜の西澤敬二社長に災害をめぐる財務上の課題と、今後の経営動向を左右するデジタル戦略について聞いた。

西澤敬二(損保ジャパン日本興亜社長)Photo by Noa Asanuma

──自然災害の多発で、財務上の引当金となる「異常危険準備金」の残高が火災分野で400億円台に減少する見通しです。今後どう手当てしますか。

今年度中に積み立てをするかどうかは、まだ決めていません。政策保有株が約1.6兆円ありますし、計画している以上に保有株を売却すれば、準備金を積み立てても損益上の影響は少ないので、特段心配はしていません。

──数年に1度という大規模な災害が、国内外で2年連続発生しています。

今年の一連の自然災害は、(単年度の)保険金支払額としては過去最大になりました。こうした災害が来年は落ち着くのか、それとも「ニューノーマル」になってしまうのか。異常危険準備金の手当てや再保険によるリスクヘッジをはじめ、経営の選択において難しい時期を迎えていると感じます。

──デジタル戦略を推進する中で、LINEと連携した保険の販売を始めましたが出足はどうですか。

「友だち申請」が初日に116万人、1カ月で530万人に上りました。これはかつてないことです。LINEというプラットフォームの影響力と、若い人たちにもっと身近に感じてもらえるよう、59種類ある商品のネーミングや打ち出し方を工夫したことがヒットの要因だと思います。

全ての保険がその中で売れるわけではありませんが、商品の作り方、見せ方を含めてマーケティングをしっかりやっていくと、LINEというデジタルエージェンシーの中でもかなりインパクトのある数字、売り上げが期待できると感じましたね。今後大きな転換が起こる可能性があるなと。

──LINEで自動車保険を販売するのはハードルが高いですか。

LINEでの提供は検討していません。それ以前に、自動車保険というものが今後どんどん変わっていくだろうなと思っています。CASE(通信による接続、自動運転、シェアリング、電動化)が自動車の世界を変えるといわれていますが、そうなると、個人が車を買う時代から共有していく時代にどんどん移っていく可能性があります。

車の変化が産業構造自体を変えることで、われわれの顧客接点や商品、サービスが全て変わってくる。場合によっては、保険会社のビジネスモデルそのものが大きく変わる可能性があります。そういうことが十分にあり得ると想定しながら、経営として今後さまざまなチャレンジをしていく必要があると考えています。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)

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