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デジタル化の進展によって企業が有するデータ量は幾何級数的に増大している。それを貴重な経営資本として有効活用し、新たな価値を創出できるかどうかが、企業の成長を大きく左右する。
人、物、金と同様に経営資本としてデータの利活用を推進していくためには、データオーナーシップを発揮し、しっかりとガバナンスを機能させる必要がある。その実現策について、デロイト トーマツの貞本康裕氏と染谷豊浩氏に聞いた。
生成AIがデータ利活用の起爆剤となる可能性
――企業における最近のデータ利活用の取り組みに関して、どのような変化が見られますか。
染谷 データ利活用は、企業が取り組まなくてはならない必須の経営課題であるという意識は確実に広がっています。
そのため、ここ数年はビッグデータやAI(人工知能)を扱う専門部署を立ち上げ、データサイエンティストなどの専門家を外部から採用するといった動きが活発でした。それは大事なことではありますが、息の長い取り組みなのですぐにROI(投資収益率)が上がるといった目に見える成果が出るわけではありません。そこで最近では、成果を出しやすいビジネス部門主導でデータ利活用に取り組む企業が増えています。
その背景としては、プログラミングの知識がなくても業務アプリケーションをつくれるローコード・ノーコードなどの新しいツールが急速に普及し、いわゆる"データの民主化"が進んできたことがあります。1990年代半ばにWindows95が登場し、ビジネスの現場でPCの活用がいっきに広がった頃と同じような大きな波が、データ利活用の現場に押し寄せています。一部の専門家の世界だったデータサイエンスが、一般のビジネスユーザーにもどんどん開かれていっている状況です。
今後、この波をさらに後押ししそうなのが、生成AIです。大規模言語モデルによって、従来は業務特化型だったAIの汎用性が大きく高まりました。しかも、問いかければ必要な情報が得られる対話型のインターフェースなので、特別な知識や技術がなくても使えます。データ利活用においても、生成AIが新たな起爆剤になる可能性を秘めています。
――業種や業態によって、データ利活用の推進状況に違いはありますか。
染谷 過去を振り返ると、規制対応のためもあって金融業は一般的にデータが揃っており、他業種に比べてデータ利活用が進んでいました。近年話題になっているAIによる貸し出し審査も、20年以上前からあったデータによる自動審査の仕組みにAIを応用したものです。ただ、最近の状況で言えば、金融業と他業種に大きな差はなく、業種・業態を問わず、データ利活用の取り組みは盛んになっています。
一方、海外と比較するとまだ違いはあります。根源的にはビジネスカルチャーの違いに起因するともいえますが、欧米ではファクトやデータに基づいて判断するのが当たり前になっていて、データを整備し、それを活用するために資金や人材などのリソースが必要だと言っても誰も反対しません。重要な経営資本を蓄積、活用するのに当然必要な投資だと考えているからです。日本ではまだコストだという意識が強いので、そこにデータ利活用のギャップが生じています。
貞本 最近では小学生でもスマートフォンを普通に使っていて、社会に出始めたZ世代は完全なデジタルネイティブです。若者のデジタルリテラシーについて、欧米との差はありません。
しかし、いざ企業に入ってみると、データやデジタル技術の利活用に関して欧米と厳然たる差があるとしたら、若者たちはどう感じるでしょうか。もちろん、ふだんの生活でデジタルを使うのと、仕事として使うのとでは違いがあり、企業はコンプライアンスやガバナンスに十分配慮しなければなりませんが、戦略やオペレーションにデジタルを組み込んでいかないと、データだけでなく人材という貴重な経営資本も活かすことができなくなってしまいます。
企業におけるITガバナンス・情報戦略策定、データリスクアドバイザリー、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)およびシステム導入全般における変革シナリオ策定やプロジェクト運営支援などに従事。オブジェクト指向業務分析やアプリケーションシステムデザインが専門領域。1999年の部門異動を契機にライフサイエンス業界や消費財業界を中心に活動し、多数のデジタル化プロジェクトをリード。
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