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〈事例・ヤマハ発動機〉予算策定プロセスを変革し、トップの意思を反映する予算づくりを推進

2024年08月28日

KPIコミットメント型で「ものの考え方」を変える

YNSプロジェクトのキーワードは「シンプルを力に ヤマハ発動機を強靭にする」である。社内ではこの言葉とともに、業務とシステムの変革によって得られる会社のメリットと個人のメリットが示された(図表1)。

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図表1 YNSプロジェクトの目指す姿

「プロジェクトに先立ち、社外取締役から『ERP導入はpainful(苦しい、つらい)な取り組み』と言われました。私にとっては、覚悟を決めるきっかけになった言葉です。慣れ親しんだ業務を変えるのですから、現場にとっては大きな負担です。ただ、painの時期を乗り切れば、個人にとっても大きなプラスがあります」と野田氏。さらに、小藤氏がこう続ける。

「目指す姿には、合理化一辺倒ではなく、当社を最も強靭にする、ヤマハ発動機らしさと合理化を融合させたDXを実現したいという思いが込められていますが、YNSプロジェクトは時間との競争だと思っています。組織、オペレーション、システムの3つをシンプルにすることで、会社と個人の両方のメリットを、いかに早期に実現するかがポイントです」

ヤマハ発動機
IT本部 兼 企画・財務本部
フェロー
小藤智志氏

大規模なYNSプロジェクトを円滑に進めるためには、専門家集団のサポートが必要だ。グローバルERPシステムの刷新を通じたオペレーションの標準化と予算策定プロセスの見直しを行うに当たり、ヤマハ発動機がパートナーに選んだのはPwCコンサルティングである。同社は2020年からプロジェクトに参画している。

従来の予算策定における課題について、野田氏は次のように話す。

「これまで、当社は各事業・各地域が独自性を持ち、地域最適や個別最適を追求することで成長してきました。それが地域のニーズをつかみ、各事業部門による市場にマッチした製品づくりにつながっていたと思います。ただし、こうしたスタイルの限界も感じていました。予算策定に関していえば、非常に時間がかかるという問題がありました。本社の視点だけでなく、駐在時の経験でも、拠点と本社でのやり取りに時間を要しており、不確実で曖昧なこの時代を勝ち残るためには、業務・スピードの抜本的な改善が必要だと感じていました」

PwCコンサルティング執行役員 パートナーの小林たくみ氏は、野田氏の言葉を引き取ってこう続ける。

「時間がかかるということに加え、経営の意思が予算に反映されづらいという課題もありました。さらに、数字を集める仕事に多大な時間が投入されていましたが、これらは目標に数字を合わせるだけの作業にすぎず、本質的な価値を生みません。これらの課題認識を踏まえると、『目標の達成のために何をしたらいいのか』の検討に時間を割くべきです。シミュレーション結果を活用して本社と事業のトップが目標に合意できたら、ギャップが埋まるまでやり取りを繰り返すのではなく、翌年の活動の中で適切に対処することとし、予算編成にかかる時間・コストの削減を目指すべきだと考えました。このように、目標達成に向けた施策検討に注力できるようにするために、改革案として提言したのがKPIコミットメント型の予算策定です」

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PwCコンサルティング合同会社
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