クレジット
甘くまた苦い思い出
概論
"チョコレートの巻き上げ"は毎年2月14日のバレンタインデーに、"漢"の廻し手の間で寿司でなくチョコレートを戦闘させる行為のことだ。敗者は勝者に所持しているチョコレートを全て献上しなければならない。チョコレートを所持していない者には、慈悲深い闇親方から嫌々サイコロチョコを手渡しされる。
バレンタインデーの発祥はご存じの通りだが、この"チョコレートの巻き上げ"がいつ頃に発生した文化なのかは不明。
スシブレード運用
攻撃力
防御力
機動力
持久力
重量
操作性
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このパラメーターは俺が彼女にもらったチョコレートを戦闘させたときのステータスだ。このステータスはチョコレートの形状と種類によって変化し、俺が受け取ったチョコレートは手作りの生チョコだ。生チョコは特有のしっとりとした食感が防御力を向上させ、大き目のサイコロ状にすることで攻撃力を向上させている。
なんで重量が高くて機動力が低いのかって?愛が重いってよく言うだろう。持久力が高いのも、あの子に振り回されっぱなしってのもあるだろうな。ただ、今日に限っては回るのは俺じゃない。
さて、0時丁度に俺は彼女からチョコレートを受け取った。これは、彼女からの戦場に行って来いというメッセージだろう。
俺は24時間後に、2本の足でこの愛の巣へと帰還してみせる。
他の活用法
たぶん普通に食べた方がいいと思う。
エピソード
2/14、俺は次々と襲い掛かってくる血に飢えたスシブレーダー達と激戦を繰り広げていった。これは男の戦いである。皆が皆兵士であり、ここは戦場なのだ。チョコレートを失った者は渋々と闇親方の下へと出向き、サイコロチョコを受け取るのだ。
それだけは絶対に避けなければならない。このチョコレートは愛の形であり、私にとって最上のものだ。
すると、背後から声が聞こえる。
天川「よぉ、なかなか大変そうじゃねぇか。」
まさかここで出会うとは思っていなかった。天川あまがわ 道治どうじはあまりにも横暴な"チョコレートの巻き上げ"廃止運動の末、闇寿司を追放された。そのはずだが...
俺 「今更何の用なんだ?お前とバレンタインは無縁のはずだろう」
天川「まぁまぁいいじゃないの。そんなことより、"巻き上げ"しなくていいの?」
確かにそうだ。奴もスシブレーダーの一員、どんなチョコレートも回さなければただのチョコレートだ。両者が構えを取る。そういえば、奴はどのような手を使うのか?
両者 「3、2、1、へいらっしゃい!!!!」
奴の手から放たれたそれを見た瞬間、俺の体は全身に寒気を覚えた。
俺 「バカな、マシュマロだとッッ!?」
天川「ああ、君のその反応が見たかったんだ。マシュマロが持つ寿司言葉は"あなたが嫌い"」
凶器のような弾力
奴のマシュマロのステータスはお手本のように攻撃力と機動力に傾いている。一撃必殺を狙いとしていやがるな。
マシュマロはその特有の弾力から高い攻撃力を誇り、かつマシュマロ自体が持つ寿司言葉は"あなたが嫌い"。普段は見向きもされないが、バレンタインでは寿司言葉が持つワードのあまりの強力さに禁忌寿司とされていた。なのに何故。奴はそれを自在に操っている!?
天川「動揺しているようだねぇ!君の持つその愛とやらも砕いてしまおう」
マシュマロの弾力による致命の一撃が与えられる。俺の生チョコは勢いを失い、今にも回転を止めてしまいそうなまでに失速していた。
ここから挽回できるようなパワーは生チョコに残されていない。俺もここまでか。くそ、これでは彼女に顔向けできない。
いや、ここで諦めちゃ男が廃る!
愛は情熱、金属をも溶かすその熱は、チョコレート一つを融解させることくらい造作もないッッ!
天川「な、何だぁ!?」
俺の身体と生チョコは炎に包まれる。
俺 「さっきから、俺の中で何か食い違ってんだよ」
天川「何を言っている!」
俺 「マシュマロってのは、よくチョコでコーティングされてるだろ?」
天川「だから何だってんだ!」
奴はそこまで言ったところで、ようやく自分の愚かさに気づいたようだ。
天川「まッ、まさか!」
俺 「あぁ、チョコに包まれたマシュマロの寿司言葉は"あなたを包み込む"ッッ!」
俺のチョコレートがだんだんと融解し、奴のマシュマロへと付着してゆく。やがて冷え固まり、それは完全なチョココーティングとなった。
天川「馬鹿な、ありえないッ!」
俺 「これが俺の、いや、俺達の愛だッッッ!!!!!!」
完全にこちらに主導権を握られたマシュマロはそのまま奴へと向かってゆく。
俺 「とくと味わえ、天川ァ!!!」
天川「ぐわああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
天川はその場に横たわり、マシュマロを咀嚼していた。きっと奴にも何か想うものがあったのだろう。ただ、立ち向かう壁には容赦しない。
腕時計が15日を告げる。俺は勝ったのだ。愛の巣へと帰還し、彼女の暖かい笑顔に溶けてしまいそうになる。俺は彼女から受け取ったチョコレートを頬張り、激闘で失った糖分を補給する。
俺 「渡したいものがあるんだ」
俺はポケットからおもむろに小さな箱を取り出した。
関連資料
"チョコレートの巻き上げ"に関するさらなる情報。
みんなも作ってみよう
文責: 俺
闇親方による声明
私も結婚式に出席しよう。
生チョコ使いの末永い幸せを願っている。
闇