4:本当にあった怖い名無し:2031年01月30日(木) 09:59:26 ID:5iHnuGhy9
みようがみまいが、もはやせんなし
2000年代の大阪で乱交パーティーの主催者が検挙された。
聴取によると、参加者が代わる代わる入れ替わり、逮捕時は既に開催を始めてから17日ほど経過していたそうだ。警察が踏み込んだ際、現場には男が50人ほど集まっていたが、不思議なことに女性の参加者はひとりも居らず、ベッドの上にはひどく汚損された盗品と思しき地蔵が転がっていたという。
この子の事を、もっと皆に見てほしくて。主催者はそう語った。
みようがみまいが、もはやせんなし
2031年1月7日 15時00分配信
国内でも話題の怪奇創作サイト「SCP財団」での記事の削除が話題となっている。
それもそのはず、削除される運びとなった人気記事の名はSCP-173。全ての始まりである「原初のSCP記事」だったからである...
56:本当にあった怖い名無し:2031年01月30日(木) 10:15:02 ID:5iHnuGhy9
みようがみまいが、もはやせんなし
埼玉県の妙蓮寺の住職は、墓に悪戯をする者に悩まされていた。
朝になると墓石が動かされており、酷いときは寺の門扉まで移動させられている事もあったのだという。ある日、師である高僧が寺を訪ねて来て、言った。
「観世音菩薩さまの像を墓地の中心に建立しなさい。皆寂しがっているのです」
言う通りにするといたずらと思っていた現象はぴたりと治まった。住職は高僧に「仏様もこれで寂しく無くなったのでしょう」と連絡した。
高僧は言った。
「寂しがっていたのは、仏様ではなく石たちの方です」みようがみまいが、もはやせんなし
収容室内から聞こえる筈の異音。石を引きずるような音が完全に停止したと判断された朝。
うららかな日曜、サイト-19は即時にロックダウンされ、管理者は久方ぶりに核の起爆キーの形状をポケットの中で確かめた。
クレフと呼ばれる男は単身で収容室に入って行く。背後で赤錆びた防爆扉が落ちる音を聞き届けたのち、ゆっくりと瞼を閉じて、開いた。
彫像も、クレフの首も、変わらぬ座標に佇んでいた。
「お休み、クソ彫像」
博士は無害で無力なコンクリートの塊を蹴飛ばす。倒れた彫像は、ばくり、と音を立てて真ん中から割れた。
139:本当にあった怖い名無し:2031年01月30日(木) 10:36:41 ID:5iHnuGhy9
みようがみまいが、もはやせんなし
こっくりさんの亜種が小学校で全国的に流行しつつあり、教師と医師と警察が頭を抱えている。
「イチナナさん」と呼ばれるその占いは、多くの手順がこっくりさんと同じであるが、大きな違いが三つある。一つ目は、10円玉ではなく小石を使うという点。
二つ目は、指を使わずとも石が移動しするという点。参加者が同時に目を閉じ、再び開くと石が移動しており、次の文字を指し示すのだという。
三つ目は、儀式をしているところを最低でも三人で囲むようにして見守らないといけない、という点である。特に外傷のない小学生の体内から小石が発見されるという検死結果は、今年度に入ってから既に20件ほど報告されている。
みようがみまいが、もはやせんなし
恐怖の対象や重心は時代によって変遷し、移り変わる。
のっぺらぼうの怪談を恐れる人間は令和社会に存在せず、依談を恐れる人間もまた、江戸社会には存在しないだろう。
では、かつて恐怖の対象だったものは、恐怖されなくなった瞬間に失われるのだろうか。
幼少期にどれほど怖がりだったとしても、20歳を過ぎるころには、夜に鏡を眺める事も、瞬きすると近付いてくる彫像についての怪奇創作も、もう恐ろしくは無いだろう。
しかしそれは恐怖から目を逸らすのがうまくなっただけで。
夜の鏡の中の自分は、背を向けてもきっと此方の背中を見つめているし、目を離すと近付いてくる石像は、形を変えて再び我々の死角に姿を現すだろう。
173:本当にあった怖い名無し:2031年01月30日(木) 10:42:11 ID:5iHnuGhy9
みようがみまいが、もはやせんなし
某国で発令された実質的な緘口令は、とても奇妙なものであった。
石、コンクリート、鉱物などをモチーフにした怪談や都市伝説を創作や流布する事を禁じるという内容のそれは、至って真剣に運用された。その内容の異質さにも拘わらず、不思議と多くの国民は極めて協力的であったという。
ある建築士は、木造と鉄骨造りの新築物件が異常なほど増えたと言った。
ある葬儀会社は、墓を建立する客が激減し、もはや自然葬が9割を占めていると言った。
河原や寺院を見守っていた地蔵や仏像は、ほぼ消滅した。みようがみまいが、もはやせんなし