SCP-CN-979
評価: +11

クレジット

タイトル: SCP-CN-979 - 塹壕の守衛
原題: SCP-CN-979 - 战壕守卫
著者: ©︎Dr Aral See Dr Aral See
作成年: 2018

評価: +11
評価: +11

アイテム番号: SCP-CN-979

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-CN-979が活動区域の離脱に応じないことと、強制的な収容は人員の損耗を招く恐れがあることを踏まえ、軍需工場に偽装された臨時収容サイトを建設し、オブジェクトを取り囲む形で収容しています。オブジェクトには毎日十分な食料を与えてください。また、オブジェクトの要求に基づき、サイトからは██辞典、財団が記録した██戦争以降の歴史文献、当日の新聞、『あぶ』等の書籍、中国将棋、二胡が提供されています。

説明: SCP-CN-979は12名の人型実体に対する総称で、それぞれSCP-CN-979-1〜12に指定されています。オブジェクトは中国██省の日中戦争期に遺された塹壕の周辺に位置しています。SCP-CN-979-1はモンゴロイドの青年男性で、集団のリーダーを務めています。オブジェクトは日中戦争期の中国█軍の軍装を着用しており、身体には異なる程度の機械的改造が施されています(付録: SCP-CN-979関連記録を参照のこと)。これらの改造はSCP-CN-979に身体的障害がある状況下において施されたものです。193█年から現在に至るまで、オブジェクトに老衰が見られない理由は明らかになっていません。

通常、SCP-CN-979は塹壕内でのみ活動しますが、毎日3名の個体が塹壕を離れ、食料の収集にあたります。収容されて以降、食料はサイト経由で供給されています。人間が接近すると、オブジェクトは対象の脅威レベルを分析します。対象が武器を所持していない場合、オブジェクトは敵意を示さず、その場から離れるよう誘導します。一方、対象が長時間離れなかった場合、オブジェクトはSCP-CN-979-Aを発射し、警告を行います。接近者が強い敵意を示し、かつ武器を構えて攻撃の姿勢を見せた場合、オブジェクトはSCP-CN-979-Aを用いて攻撃を加えます。しかしながら、これらの攻撃は非致死的であり、対象の攻撃能力を失わせるのみに留まります。

SCP-CN-979-A〜Cはオブジェクトが用いる専用の武器です。SCP-CN-979-9は背部の加工機械を通して、SCP-CN-979-A〜Cに用いる弾薬を供給することができます。SCP-CN-979-Aは全長100cm、外観は現代の███狙撃銃に類似しており、長さ15mm・直径9mmの円錐形弾薬を使用します。SCP-CN-979-Aはオブジェクトが最も利用する武器ですが、同時期や現代の銃とは異なり、弾丸は歯車等で構成された機械を通じて発射しており、火薬は使用いられていません。SCP-CN-979-Bは現代のレールガンに類似しており、100cmのレールと50cmの銃身によって構成されます。直径20mmの球形弾薬を使用し、銃身上部の装填口から1度に1発込めることが可能で、遠距離からの暗殺や破壊に使用されます。SCP-CN-979-Cは現代のメタルストームに類似しており、直径15mmの球形弾薬を大量に消費することで、地雷処理や火力制圧を行えます。

収容記録: 20██年11月██日、██省に位置するサイト-CN-██において、Dクラス職員による暴動事件が発生しました。当時、SCP-CN-██に関する実験を行うため、4名の武装職員が20名のDクラス職員を引き連れ、サイト-CN-██に向かっていました。しかしこの時、護衛担当者は手順に従わず、手錠での拘束を行いませんでした。このため、サイトに到着する直前、D-████が職員1名の武器を奪い、他の職員3名を射殺し、護送車を奪取しました。その後、20名のDクラス職員は武装職員を脅しつつ、██省の森林を抜け、財団の監視下から逃れよう試みましたが、道中でSCP-CN-979に遭遇。銃撃するDクラスに対して、オブジェクトは攻撃を行いました。その後、財団の武装VTOL機が到着し、現場にいた全てのDクラスを終了、武装職員を解放しました。同時にオブジェクトも発見され、収容されることとなりました。

付録:

番号 本名 改造内容 改造前の身体状態
SCP-CN-979-1 陳█ 両足を機械義足に換装
右腕を投擲に適した機械義手に改造 枕木に足を挟んだ児童を助ける際、列車に轢かれ、両足を切断 / 右腕の先天的な奇形
SCP-CN-979-2 陳█ 右腕を投擲に適した機械義手に改造 右腕の先天的な奇形
SCP-CN-979-3 李██ 両眼をサーモグラフィーに改造
耳の後部に高度な補聴器機能を備えた装置を搭載 両眼の先天的な失明
難聴
SCP-CN-979-4 顧█ 外骨格装甲に類似した装置を左足に搭載
末端は脊椎に連結している キリスト教会の屋根瓦を補修中、不注意で転落、膝から下を切断
SCP-CN-979-5 陳█ 心臓を機械装置に改造 先天的な心臓疾患。改造前に発病
SCP-CN-979-6 仇█ 頭蓋骨を金属素材に換装 伏撃戦の最中、砲弾の破片によって右頬骨から頭頂骨にかけてを損傷
SCP-CN-979-7 楊█ 骨格全体の硬質化
両腕の機械的改造 骨粗しょう症。改造前に全身を骨折
SCP-CN-979-8 張██ 両足を錨状に変形できる
両腕に衝撃吸収装置を装備
SCP-CN-979-Bの反動を相殺する [データ削除]により、四肢の主要な腱を損傷
SCP-CN-979-9 陳██ 背部に加工機械を搭載。金属を原料にして、SCP-CN-979-AやB、Cに用いる弾薬を提供することができる
脚部の機械的改造 両足の先天的な奇形
SCP-CN-979-10 袁█ 外骨格装甲に類似した装置に覆われている 筋無力症
SCP-CN-979-11 董█ 肩と腰に2台のSCP-CN-979-Cを装着
脚部を三脚構造に変形する機械義肢に改造 塹壕の掘削時、地雷によって左足を切断
SCP-CN-979-12 薛██ 両腕をサーベルに改造
両足を高機動な機械義肢に改造 遊撃中に機銃掃射を受け、脚部を負傷。傷口を長期間放置したため、切断を余儀なくされる

インタビューログ:

インタビュー日: 20██年1月█日

インタビュアー: A██博士、中国名は顧██。

対象: SCP-CN-979-1

インタビュー目的: SCP-CN-979の起源を探る。

備考: 現在、SCP-CN-979は我々を認知している。数ヶ月前のように、銃声で警告されることはないだろう。 - A██博士

<記録開始: a.m.08:36>

A██博士: こんにちは、SCP-CN-979-1。

SCP-CN-979-1: やあやあ、顧██先生!洋語で呼ぶのはよしてくれ、俺の名前は陳█だ。

A██博士: 分かりました、陳█。聞き取りを始めても宜しいですか?

SCP-CN-979-1: もちろん、どうぞ。

A██博士: 君たちが着ているのは、日中戦争期の中国█軍の軍服ですよね。すると、あの戦争に参加したのですか?

SCP-CN-979-1: ああ。193█年以来、俺たちは[編集済]先生の指揮の下、日本と小競り合いをやってきた。

A██博士: [編集済]先生というのは、君たちの身体を改造した人ですか?

SCP-CN-979-1: そう、[編集済]先生は洋人だ。俺らの身体にあるブツは、どれも先生が取り付けたものだ。

A██博士: 彼はどうしてそんなことを?強制的に付けられたのですか?

SCP-CN-979-1: いんや、こっちから願い出たんだ。[編集済]先生の援助には本当に感謝してるよ。

A██博士: 改造された経緯について、詳しく説明してください。

SCP-CN-979-1: 分かった、顧先生。あれは193█年......この頃、俺と弟(SCP-CN-979-2を指す)は山東省の波止場で魚売りをしていた。7月のある日、北平が日本人に落とされたことを、朝の新聞で知った。軍営はちょうど、兵士を募集していた。俺たちはガキの頃から「天下の興亡は匹夫が担う」と、親父に口酸っぱく言われてきた。だから、軍に志願することにしたんだ。だがな......(SCP-CN-979-1は右腕を挙げる)俺たちは二人共、右腕に障害があった。軍は俺たちを拒んだが、糧食の運搬を手伝わせてくれた。それから、俺たちは前線へ物資を送り始めた。2ヶ月くらい経っただろうか。ある朝、俺はいつものように、配給所へ糧食を取りに出かけた。線路を横切ろうとした時、男の子が1人、枕木に足を引っ掛けているのが見えた。俺はそいつを助けようとするあまり、列車が来ていることに気づかなかった。坊主を引っ張り出せたものの、自分の身はどうにもできなかった。(SCP-CN-979-1は自分の脚を小突く)というわけで、俺の足はちぎれてしまったんだ。

A██博士: その後、[編集済]先生が改造したのですね?

SCP-CN-979-1: ああ。俺はなんとか一命をとりとめた。[編集済]先生は家で俺たちを見つけ、援助したいと言ってきた。俺たち兄弟は洋人が開いた医院に連れ込まれた。医院に着くと、そこには俺たちと同じような、障害やらなんやらを持つ人間が沢山いることに気付いた。大体50人はいただろう。[編集済]先生は服を脱ぎ、身体の機械を晒しながら、俺たちに語りかけた。私は君たちの障害を取り除くことができる。その代わり、君たちは私のために、日本との戦いに加わることになる、と。加えて、手術中に死ぬ可能性もあると言った。

A██博士: 全員が受け入れたのですか?

SCP-CN-979-1: 大半はな。死ぬかもしれないと知った途端、帰った人もいたよ。

A██博士: 分かりました。続けてください。

SCP-CN-979-1: しばらくして、残った奴は皆、医院の地下室へと運ばれた。そこはとても広くて、工場で見かけるような機械が沢山置かれていた。寝台はほとんど鉄製で、[編集済]先生に似た洋人もいた。俺たちは1つの宿舎で暮らすよう指示され、[編集済]先生の治療を待った。

A██博士: [編集済]に集められた人間は50名程度と聞きましたが、立ち去った人を除いて、君たちは現在、12名しかいません。他の方は亡くなったのでしょうか。

SCP-CN-979-1: その通り。出撃した奴の多くは、満身創痍で医院へと戻り、間もなく死んだ。強そうな奴でさえ、一人また一人と死んでいった。おおよそ1ヶ月後には、俺たち12人だけになっていた。まあ、死んだ奴のうち2人は、[編集済]先生を攻撃しようとしたんで、射殺されたんだがな。

A██博士: 彼らの武器も君たちと同様、SCP-CN-979-Aなんですか?

SCP-CN-979-1: うん?(困惑)ああ......そうか、すまない。銃に付けられた横文字には、まだ慣れていなくて。

A██博士: お気になさらず。ところで、どうして頑なに離れようとしないのでしょうか。この塹壕から。

SCP-CN-979-1: 俺たちの約束なんだ。

A██博士: 約束?詳しく教えてください。

SCP-CN-979: もちろんだ、顧██先生。俺らが[編集済]先生と交わしたのは、日本との戦いに加わること、ただそれだけだった。国を背くような真似は、絶対にさせることはなかった。俺らは指揮権を持たず、[編集済]先生の言う通りに動いた。194█年8月、先生の命令に従い、俺らはここで塹壕を掘り、██人からなる日本軍部隊の撤退を防いだ。あの時、[編集済]先生は俺らに対して、ここを死守せよ、次の命令が来るまで、決して離れるなかれと訓示した。けれど、敵を全員倒しても、次の伝令が来ることはなかった。今日までずっとな。

A██博士: だから、君たちはここで待ち続けていると?伝令役が死んだり、忘れていたりする可能性もあるのでは?どう考えても、不毛なやり方ではありませんか。間抜けとすら思えます。(A██博士はいくらか興奮している)

SCP-CN-979-1: (荒々しい声で)君子一言、四馬難追。[編集済]先生のおかげで、俺らは国に報いることができた。でも、俺らは約束を守ることでしか、先生に報いることができない。だから、俺たちのしていることは、別に大げさなことじゃないと思うんだ。

<双方、20秒の沈黙>

SCP-CN-979-1: すまない、顧██先生。気持ちが昂ぶっちゃって。

A██博士: 謝る必要はありませんよ。収容計画を作る時、私は君たちの内情を汲み取れていませんでした。こうした事実を知っていれば、退去を拒む君たちに苦悩することはなかったでしょう。......それでは、最後の質問に移ります。君たちは193█年から現在まで、衰える気配がありませんが、これはどうしてでしょうか。

SCP-CN-979-1: それについては、俺にも分からない。

A██博士: 分かりました。では、本日の聞き取りはここまでにしましょう。次回は3月██日に行います。お疲れさまでした。

SCP-CN-979-1: 待ってくれ、顧██先生。

A██博士: 他にも何か?

SCP-CN-979-1: 本で読んだんだが......俺たちは勝ったのか?日本人が降伏して?

A██博士: ええ、私たちは勝ちました。日本人は降伏文書に調印しています。

SCP-CN-979-1: (僅かに身体を震わせ、鼻をすする)それは良かった......。

A██博士: 君たちの頑張りも、きっと役に立ったはずです。

<SCP-CN-979-1は涙を拭く>

SCP-CN-979-1: ありがとう、顧██先生。落ち着かなきゃいけないな。また今度会おう。

A██博士: それでは、また。

<記録終了: a.m.09:24>

メモ: SCP-CN-979と壊れた神の教会の繋がりはほぼ確定と見て良いだろう。だが、[編集済]という名前については、財団内に記録が存在しない。偽名の可能性もあるが、公開はしばらく控えた方が良いだろう。最後の会話に関しては、故意に切り出した訳ではない。前回の収容法がSCP-CN-979に拒まれて以来、私はその理由について、ずっと頭を捻っていた。これでようやくスッキリしたよ。それから、研究員を1人手配しておくように。SCP-CN-979-1〜12の本名を調べて、こちらへ送って貰いたい。 - A██博士

インタビュー日: 20██年3月█日

インタビュアー: A██博士

補助: N██研究員

対象: SCP-CN-979-1~12

インタビュー目的: SCP-CN-979に関するデータの収集

備考: 今回は作業量が比較的多いため、補佐役を申請した。 - A██博士

ログ01: SCP-CN-979-1

<記録開始: a.m.06:45>

SCP-CN-979-1: おや、おはよう顧██先生。こんなに早く来るとは思わなかったよ。

<SCP-CN-979-1が食事を止める>

A██博士: どうぞ続けて。君たち兄弟については、先日の聴取で十分記録できました。次はSCP-CN-979-3の番です。

SCP-CN-979-1: 待ってくれ先生、あんたと話がしたい。

A██博士: 構いません、陳█。N██、椅子と机を持ってきてください。

<N██研究員が机と椅子を運び入れる>

A██博士: どうぞ座って、陳█。何か聞きたいことが?

SCP-CN-979-1: 俺たちは本当に、ここで70年も過ごしたのか?

A██博士: ええ。日本人が降伏してから73年が経ちます。

<SCP-CN-979-1は5秒沈黙>

SCP-CN-979-1: (溜息)70年の間に、外ではさぞ、沢山の事が起きたんだろう。先生たちは毎日新聞を届けてくれるが、紙面の言葉がよく分からなくて。でも、国が豊かになっているという情報は、多分本当なんだろうな。

A██博士: その通りです。これもひとえに、君たちや君たちのような、抗日戦争に貢献してきた人々のおかげです。君たちが侵略者を退けていなければ、今日の全ては水泡に帰していたでしょう。

SCP-CN-979-1: (手を振る)言葉にしにくいが、実の所、俺たちは今、国中をあちこち飛び回りたい気分なんだ。1日でもいい、[編集済]先生が許可をくれたら良いのに。

A██博士: 申し訳有りませんが、それは恐らく無理でしょう。君たちは我々の管理下に置かれなければなりません。他の人も同じことを言うと思います。悪く思わないでください。

SCP-CN-979-1: いやいや、顧██先生。あんたが謝る必要はない。様子が分かっただけで、俺たちは十分満足してるんだ。少なくとも、百足精の投入が無駄に終わったということなんだから。

A██博士: 百足精?それは一体?説明できますか?

SCP-CN-979-1: そうだな。あれは夜中、[編集済]先生に任務を命じられた頃だ。李██は自分の眼を使って、日本人部隊の中に、手足を沢山生やしたバケモノを見た。あれは恐らく、百足の妖怪だろう。俺は張██に向かって、彼の銃で遠距離から狙撃するよう言った。

A██博士: その後はどうでしょうか。再び見かけたことは?

SCP-CN-979-1: いいや。顧██先生は妖怪も研究しているのか?

A██博士: いえ、違います。少し気になったもので。ところで、君たちは普段どういった任務を行っていたのか、説明願えますか?

SCP-CN-979-1: もちろん。普通は[編集済]先生の指示で、車隊を襲撃しに行ったり、敵を阻むための防御線を構築したりしていた。

A██博士: では、あの百足精を除いて、他の妖怪や異常な物に会ったことはありますか?

SCP-CN-979-1: 会ったのはそれだけだな。

A██博士: 分かりました。他に気になる点はありますか?無ければ、戻って構いません。

SCP-CN-979-1: 満足したよ、先生。それでは。

<記録中断: a.m.07:09>

ログ02: SCP-CN-979-3

<記録再開: a.m.07:12>

A██博士: どうぞ座って、李██。聞き取りを始めましょう。

SCP-CN-979-3: 了解です、先生。

A██博士: 君も[編集済]先生に訪ねられ、改造に応じたのですね?

SCP-CN-979-3: はい。

A██博士: どうして改造することになったか、経緯を教えてください。

SCP-CN-979-3: 私は生まれつき盲目で、聴力も酷いものでした。親は私が1歳の頃、歩行を学んでいる時に、ようやくこの事実に気付きました。2人は商売に忙しかったので、僕をおばさんに預けてからは、二度と姿を見せませんでした。しばらく経ったある日、いつものように玄関前に座り、ぼうっとしていると、耳のそばで声が聞こえたんです。声は私に、視力を授けられると言ってきました。

A██博士: [編集済]ですね?

SCP-CN-979-3: はい。あの、全身が赤い方です。

A██博士: 全身が赤い?どういうことですか?

SCP-CN-979-3: [編集済]が私に教えてくれたんです。私が見る世界は、皆が見る世界と異なること、私に見えるのは、温度の色のみだと。暑ければ赤、炎のような色で、寒ければ青、冬の雪路のような色に見えるんです。[編集済]は私に、世界の見方を教えてくれました。私の眼の中で、人や家畜は赤や黄、様々な色に移り変わって見えます。

N██研究員: (小声で)サーモグラフィーですね。

A██博士: (僅かに頷く)君はなぜ[編集済]の申し出を受け入れたのですか。死ぬ可能性があるのはご存知のはずです。

SCP-CN-979-3: 私は世界を全く知りませんでした。物心ついたのは、両親が呼んできたおばさんに、面倒を見られている頃です。おばさんは耳元で語りかけ、私に勉強させました。おばさんから伝え聞いたことだけが、私の全てでした。「早く死んじゃえばいいのに」という、誰かの囁きを聞くまでは。私は自殺を考えました。しかし、思い返すと、おばさんは十数年来、私に愛想を尽かしたことがありませんでした。私だって、自分に愛想を尽かしちゃいけない......そう胸に刻みつけました。やがて、[編集済]がやってきて、世界を見せられると言ってきたので、私は喜びました。ですが、彼は死ぬかもしれないとも語った。躊躇しなかったと言えば嘘になります。でも、私は賭けることにしました。そして、私は賭けに勝った。

<SCP-CN-979-3は10秒沈黙>

SCP-CN-979-3: 私はおばさんを見に行きました。おばさんの身体には沢山の青色が見えました。おばさんは親を見に行くよう言いましたが、私は行きませんでした。(不明瞭な呟き)その後、私は別れを告げ、戦場へと赴いたんです。それ以来、私はおばさんを見ていません......(身体を揺らす)

<SCP-CN-979-3は沈黙>

A██博士: 落ち着いて、李██。最後にもう一つ。陳█が言う百足精について、君はどう形容しますか?

SCP-CN-979-3: 百足精?いいえ、アレは人間ですよ。

A██博士: 人間?

SCP-CN-979.-3: はい。彼らが何故ああなったのかは知りません。それでも、観察して分かったことがあります。彼らは7人の体で出来ています。脚は体に巻き付き、7つの頭と7対の手が生えていました。それに、沢山の██も。

A██博士: 分かりました。では、本日の聞き取りはここまでにします。どうぞお戻りください。次の聞き取りはN██が担当してください。私は少々用事がありますので。

<記録終了: a.m.07:37>

メモ: インタビュー中に任務を受けたため、一時的に離脱した。現在、私はオブジェクト全員の改造記録と改造理由をリストにまとめている。[データ削除] - A██博士



警告: アクセス制限


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from: Aral博士

to: O5

件名: SCP-CN-979とIJAMEAの関連性について

SCP-CN-979-1およびSCP-CN-979-3の供述を見るに、彼らはかつてIJAMEAの生物兵器に遭遇したと思われる。彼らの改造者であるマテオ・リッチはIJAMEAに立ち向かうため、彼らを組織したのだろう。しかしながら、妖怪大隊の実力水準を鑑みるに、サイボーグの小隊だけで対抗するのは極めて困難だと考えられる。任務に関するSCP-CN-979-1の供述を加味すると、SCP-CN-979は恐らく、IJAMEAの補給を断つために生み出された襲撃部隊だったと推測される。SCP-CN-979から得られたマテオ・リッチに関する情報は以上である。

Footnotes
. 訳注: 1897年刊行の長編小説。革命闘争に巻き込まれたイングランド人青年の物語。
. 訳注: 中国の伝統的な擦弦楽器の一種。
. 豪メタルストーム社の取締役であるマイク・オードウェルが発明した兵器。銃身に銃弾と発射火薬を一定間隔で詰めたものを幾重にも並べ、1分間に数百万発以上の銃弾を発射するというもの。
. 訳注: 現在の北京市。
. 訳注: 君子がひとたび放った言葉には、四頭の馬で引く馬車でも追いつかない。一度口に出したら取り返しがつかないことを意味する故事成語。
. 訳注: イタリア人のイエズス会宣教師、マテオ・リッチ(1552 - 1610)と同名。
. IJAMEAの妖怪大隊は主に異常実体で構成されており、最盛期には500名以上の隊員が所属していた。特筆すべきことに、大隊内の士官は皆人間(現実改変者や奇跡術師を含む)であることが報告されている。
ページリビジョン: 7, 最終更新: 10 Jan 2021 17:44
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