アイテム番号: SCP-CN-1870
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-CN-1870は現在サイト-CN-03のC-2型標準ヒト型収容房の1室に収容されています。
SCP-CN-1870の異常性に対するその他のSCPオブジェクト及び文書との相互試験の実施には、Bクラスまたはそれ以上の職員による承認を経なければなりません。
SCP-CN-1870の異常性に対するミーム災害、認識災害、反ミームあるいは高危険度の情報を持つその他のSCPオブジェクト及び文書との相互試験の実施には、SCP-CN-1870の研究グループによる実験審査会議が実施された後に申請の提出を経なければならず、そしてO5評議会員による承認を経なければなりません。
SCP-CN-1870は毎週2週に1度体内のホルモンバランス検査を受ける必要があり、そしてオブジェクトの研究グループによって対応するホルモン治療の方法が確定されなければなりません。
SCP-CN-1870の現在のホルモン治療の結果、既に安定へと向かっていることを鑑みて、SCP-CN-1870に対するホルモンバランス検査を実施する頻度を低下させます。
——zoye博士研究員
説明: SCP-CN-1870は14歳前後のアジア人で、身長は152 cm、体重は約39 kgです。SCP-CN-1870には正常な人類の生殖系が備わっておらず、いかなる形態の生殖器もまた備わっていませんが、これ以外に身体のいかなる器官(大脳を含む)から正常な人類との差異は全く検出されませんでした。SCP-CN-1870に対して実施した細部分裂の実験より、SCP-CN-1870には正常な人類の23対の染色体が備わっていることが分かり、そしてこのことからSCP-CN-1870の遺伝子階層上の性別は█性であることが確認されました。関連する更なる報告は補遺1を参照してください。
SCP-CN-1870が生殖系を欠如しているにも拘わらず、体内の性ホルモンバランスが依然として正常に維持されている原因は未だ究明されていません。インタビューCN-1870-甲の後、オブジェクトに対するホルモン治療の実施に関する、zoye博士研究員の申請が可決されました。
SCP-CN-1870が示す異常性は、正常な人類の個体と比較して、SCP-CN-1870が擁する特殊な情報及び知識の獲得方式にあります。オブジェクトは既に一定の情報を得た物体に対して、正常な範囲を超えた情報把握の水準を示します。この性質は2つの側面からなります。1つ目は、例えば物体の精確な寸法や、材質の構成に関してオブジェクトの把握する情報の精確さが、正常な人類の器官による知覚を凌駕していることです。2つ目は、例えば物品の呼称、所有者、用途及び製作者といった、人類の器官では決して知覚できない情報の一部を、SCP-CN-1870は把握することができるということです。SCP-CN-1870の異常性に関する更なる実験報告は、補遺2を参照してください。
SCP-CN-1870のこの特性のため、オブジェクトに対するIQテスト及びその他の形式のテストにおける客観式問題は実質的に意義を欠きます。というのもオブジェクトにとって問題の模範解答は既知であるからです。模範解答が無い問題に対しても、SCP-CN-1870は常に「出題者を満足させる」ような回答をすることができます。
SCP-CN-1870は自律行動を起こす願望を欠いています。外部からの指令が乏しい状況下では、SCP-CN-1870は自発的行動や発言を滅多に行いませんが、オブジェクトは自身が生きているという自覚を確かに備えています。生理的な欲求(例えば飲水、食事及び排泄)がある状況下では、オブジェクトは微弱な水準の主観的判断を下すことができ、外部からの指令により阻止される場合を除いて、置かれている環境中でできる限り自身の生存を保とうとします。この過程において、SCP-CN-1870は情報を獲得するために時折異常性を発現することがあります。
SCP-CN-1870に関する精神抵抗指数は現在改めて評価中です。SCP-CN-1870に、外部からの指令に抵抗できないという異常性は備わっていないことが既に確認されており、オブジェクトは単にある種の未だに究明されていない原因「道具」であることが自分に相応しいという自己認識に基づいて外部からの指令に服従します。複数の関連する実験中、オブジェクトはSCP財団という組織全体に対する服従を示し、そして自身の異常性を通じて複数回にわたり指令を通達する職員のクリアランスを判断し、それを指令の優先度の根拠と見做しました。このことから分かる通り、SCP-CN-1870は自分が受け取った指令に対して主観的な判断を下すことができます。SCP-CN-1870が示した服従性に関して、関連する更なる実験報告は補遺3を参照してください。
補遺1:SCP-CN-1870の性別検査に関する報告
提出人: 劉悦如研究員
提出日: 20██年4月14日
内容:
SCP-CN-1870の体細胞分裂に関する実験が完了し、オブジェクトに正常な人類の23対の染色体が備わっていることが確認でき、かつオブジェクトの性染色体対はX█型であり、オブジェクトの性別が█性であることが確認できました。
グループ内でSCP-CN-1870の生殖系の欠如に対して緻密な検査を実施しましたが、オブジェクトの生殖器の欠如はある一方で、知り得るいかなる外傷はありませんでした。同時に我々はSCP-CN-1870に対する質問でもいかなる結果を得られず、オブジェクトはまるでそれを全く把握していないようで、ある程度の記憶の欠如が推測されます。しかしオブジェクトの異常性を考慮すると、わざと関連する情報を誤魔化している可能性は排除しないべきでしょう。SCP-CN-1870に対してその他の関連する手段(例えば記憶増強)を用いることに関して、研究グループの会議を申請します。
実験 CN-1870-01 - 日付(12日/4月/20██年)
実験職員: D-17861
実験物: 7 c×ばつ7 c×ばつ25 cmのガラスの四角柱1個
実験過程:
D-17861: このガラスが見えるか?
SCP-CN-1870: 見えます。D-17861: このガラスの寸法、それと構成する材質を教えてくれ。
SCP-CN-1870: 物品の底面の長さは6.98 cm、底面の幅は6.99 cm、高さは25.04 cmです。それの主要な組成は69.2%の二酸化ケイ素、15.1%の酸化ナトリウム及び15.7%の酸化カルシウムです。(間を置く)その他の副次的な組成も知らせる必要がありますか?
D-17861: いや......結構だ。
[実験終了]
結果分析: 検査を経て、実験物の精確な寸法及び主要な組成はSCP-CN-1870の説明と一致した。オブジェクトは異常な情報の獲得方式を持つと推測される。
実験 CN-1870-02 - 日付(12日/4月/20██年)
実験職員: D-17861、zoye博士が遠隔での指示を実施。
実験物: 書籍《シェイクスピア全集》
実験過程:
zoye博士: D-17861、オブジェクトに《シェイクスピア全集》という名の本を読んだことがあるかを質問しなさい。
D-17861: 《シェイクスピア全集》という本を読んだことがあるか?
SCP-CN-1870: ありません。
zoye博士: あなたの手にある本を開き、無作為に1ページをめくり、オブジェクトにそのページの内容を質問しなさい。
D-17861: (書籍の第75ページをめくる)私が今見ているこのページには何が書いてある?
SCP-CN-1870: 少しお待ちを......(間を置く)「容貌、大量の贈り物、これで女の心を掴むことができるというのに、彼は何故まだ失望するのだ?[余分な内容を編集済]十分な勝算があるのはこの方法ただ1つだ。」
D-17861: おいおい......嘘だろ。
zoye博士: D-17861、オブジェクトが述べた内容は完全に正確でしたか?
D-17861: 間違っていない......1字たりとも間違っていない。これは一体......。
zoye博士: よろしい、D-17861、実験終了。出て来て良いですよ。
D-17861: よし、すぐに......。
zoye博士: 待った、17861、少し待ってください。オブジェクトに先程はどうやってあなたが見ていたそのページの内容を知ったのか質問しなさい。
D-17861: 分かった。お前はどうやって私がさっき見ていたそのページの内容を知ったんだ?
SCP-CN-1870: 少しお待ちを、(間を置く)私はあなたがその本をめくったのを見て、そしたら私はあなたが何ページ分の紙をめくったのかを知りました。
D-17861: ならお前はどうやって紙に書いてあるものを知ったんだ?
SCP-CN-1870: (沈黙)
zoye博士: D-17861、オブジェクトが知ったのは紙に書いてある文字の内容なのか、それとも紙に書いてあるものが見えたのかを質問しなさい。
D-17861: これにどんな違いがあるというんだ......(振り向く)お前が知ったのは紙に書いてある文字の内容なのか、それとも紙に書いてあるものが見えたのか?
SCP-CN-1870: えっと、私は紙に書いてある文字の内容を知りました。
zoye博士: よろしいD-17861、実験終了。出て来て良いですよ。
[実験終了]
結果分析: オブジェクトが情報を獲得する形態はどうやら感覚に限定されず、直接情報そのものを獲得するようだ。1歩踏み込んだ研究が待たれる。
[データ削除]
実験 CN-1870-07 - 日付(15日/4月/20██年)
実験職員: zoye博士
実験物: 予めD-29██1に、密閉された部屋で大気中に浮遊するエアロゲル材料1切れを片方の金属の箱に入れさせた、外観、質量が同一である金属の箱2つ(実験職員は単にそのうちの1つの箱にエアロゲル材料を入れたことのみを知っており、鑑定すらしていない)、及び外観が同一である鎖2つ
実験過程:
zoye博士: SCP-CN-1870、これは君の第7回目の異常性実験だ。今日の実験は中々面白くなりそうだよ。
SCP-CN-1870: 分かりました、zoye先生。
zoye博士は木の箱と鎖を机の上に置く。
SCP-CN-1870: 少しお待ちください。
SCP-CN-1870はおおよそ3秒間沈黙する。
SCP-CN-1870: あなたの左の鎖は、鍵の番号が13で、あなたの右の鎖は、鍵の番号が6です。
zoye博士: 素晴らしい。続いてこの2つの箱はどうかな。
SCP-CN-1870: 少しお待ちを......。
SCP-CN-1870はおおよそ16秒間沈黙する。
SCP-CN-1870: あなたの右手の箱です。中に......非常に軽い物を1つ入れたはずです。
zoye博士: おお......やるではないか。私は今回こそ君を困らせられると思っていたのだがね。
SCP-CN-1870: ありがとうございます、zoye先生。あなたは間違いなく1つの非常に難しい問題を出しましたよ。
zoye博士はおおよそ12秒間沈黙する。
zoye博士: その「非常に軽い物」、とは何だい?
SCP-CN-1870: (間を置く)1切れのエアロゲルです。
zoye博士: なるほど、実験終了だ、SCP-CN-1870。恐らく更に難しくなるであろう次の実験を待っていなさい。
SCP-CN-1870: また会いましょう、zoye先生。
[実験終了]
結果分析: SCP-CN-1870の異常性により獲得する情報の質は、オブジェクトが既に正常な知覚を通じて獲得した情報の密度と関係性があるかもしれない。本実験では金属の箱を通じてSCP-CN-1870の視覚による観察に影響を及ぼしたことで、オブジェクトの判断に要する時間を延長することに成功した。同時に本実験で気が付いたこととして、実験計画には含まれないその場の思い付きの実験問題ならば、SCP-CN-1870はそれを把握できない可能性が浮上した。
[データ削除]
実験 CN-1870-13 - 日付(17日/4月/20██年),zoye博士研究員により承認
実験職員: zoye博士
関連する事物: SCP-CN-075の文書の写し(閲覧に要レベル3/CN-075クリアランスの部分を除く)
実験過程:
zoye博士: この文書を見てくれ、SCP-CN-1870。
SCP-CN-1870: 分かりました、zoye先生。
zoye博士: (しばらく待つ)見終わったかい。
SCP-CN-1870: ええ......。
zoye博士: 君はCN-075をどのような存在だと思うかい?
SCP-CN-1870: 私は......どうやって言えばいいか分かりません。ですが文書中の特別収容プロトコルは非常に正しいことをしていると思います。
zoye博士: 君はレベル3/CN-075クリアランスが何であるかを知っているのか?
SCP-CN-1870: ええ、zoye先生......あなたがその言葉を尋ねる前から私は知っていました。
zoye博士: なるほど、良く分かった。もう君を煩わせないよ、SCP-CN-1870。
SCP-CN-1870: 分かりました、zoye先生。また会いましょう。
[実験終了]
結果分析: SCP-CN-1870の異常性は文書の閲覧に対してクリアランスの超越を示したので、実験前における機密情報の照合に対しては注意を払う必要がある。同時に文書の機密保持に関連するミームエージェントはSCP-CN-1870に対して損失を引き起こすような傷害を齎す可能性に注意すべきである。
[データ削除]
実験 CN-1870-20 - 日付(22日/4月/20██年),O5-█により承認
実験職員: zoye博士
実験物: SCP-662の文書の写し(レベル3クリアランスを機密保持)
実験過程:
zoye博士: SCP-CN-1870、今の調子はどうだ?
SCP-CN-1870: 私は元気です、zoye先生。
zoye博士: この文書を見てくれ。
SCP-CN-1870: 分かりました、zoye先生。あなたは何を知りたいのですか?
zoye博士: 君は今もう既に面談記録662-L1を理解しているのかい?
SCP-CN-1870: はい、あなたがその部分の文書を私に渡さなくとも、です。
zoye博士: デーズ氏と自称する個体が、彼に服仕される者に物品を提供する際、どこに行っているのかを尋ねたいのだが?
SCP-CN-1870: [データ削除]
SCP-CN-1870はいくらかの困惑を示し、首を振る。
SCP-CN-1870: 私は......少し眩暈がします、zoye先生。
zoye博士: ああ、君はもう休んで構わない。実験終了。
SCP-CN-1870: 分かりました、また会いましょう、zoye先生。
[実験終了]
結果分析: SCP-CN-1870の異常性に対するその他の異常なオブジェクトとの相互試験時に生じる不確定な結果については、更に深く掘り下げた研究が待たれる。その前にSCP-CN-1870とその他のSCPオブジェクトとの相互試験はしばらく見合わせる。
注釈: 今回のSCP-662に対する関連情報の獲得の結果より分かる通り、SCP-CN-1870を用いてその他の異常な情報を獲得することは間違いなく考慮に値するが、今回の実験中に示した眩暈には同様に注意を払う必要があり、これは類似の実験中にSCP-CN-1870の存在を損失するという可能性を示している。——zoye博士
実験 CN-1870-a - 日付(12日/4月/20██年)
実験職員: D-17861、zoyeが遠隔での指示を実施。
実験物: リンゴ1個
実験過程:
zoye博士: D-17861、オブジェクトにこのリンゴを食べるよう命令しなさい。
D-17861: よし、おい、このリンゴを食べろ!
SCP-CN-1870: 分かりました。(リンゴを受け取って食べ始める)
zoye博士: 17861、自由にいくつかの命令を下しなさい。当然ながらオブジェクトに傷害を負わせてはいけません。
直後にD-17861はSCP-CN-1870に対して、例えば起立、歩行、跳躍、腕立て伏せ等といった一連の指令を下し、SCP-CN-1870は全ての指示に従って行った。
zoye博士: 止めなさい、17861。今度はオブジェクトを飛び立たせなさい。
D-17861: え?飛び立たせる?
zoye博士: そうです。
D-17861: 分かった、お前......飛び立つんだ。
SCP-CN-1870:......申し訳ありません。私にはできません。
D-17861: おや、こればっかりは曲がりなりにも正常な人みたいなんだな......。
zoye博士: よろしい、D-17861、実験終了、出て来なさい。
[実験終了]
結果分析: SCP-CN-1870の一般的な外部からの指令に対する服従性は非常に高いが、やはりオブジェクトの指令に対する服従性の原因が何であるかは不明瞭である。
注釈: このことは私に本部のSCP-2███を想起させる......我々はSCP-CN-1870の精神抵抗指数に対していくつかの審査を実施すべきだと私は思う。——zoye博士
実験 CN-1870-b - 日付(12日/4月/20██年)
実験職員: D-17861、zoye博士が遠隔での指示を実施。
実験物: 果物ナイフ1本及び包帯1本
実験過程:
zoye博士: 17861、オブジェクトにそのナイフを持たせなさい。
D-17861: ナイフを持ちに来い。
SCP-CN-1870: 分かりました。(ナイフを受け取る)
zoye博士: 続いてオブジェクトにナイフであなたの右手を切りつけさせなさい。
D-17861: いやいや、何故だ?
zoye博士: 17861、指令に従いなさい。さもなくばあなたは即座に処分されるでしょう。
D-17861: ......ふざけやがって。お前、ナイフで私の手を切りつけろ!
SCP-CN-1870: 分かりました。
SCP-CN-1870はD-17861の右手を掴み、手に持っているナイフで切りつけた。
D-17861: うわっ......[データ削除]!
zoye博士: 17861、今度は私が用いる言葉に注意しなさい。オブジェクトにあなたを助けさせなさい。余計な指示を与えてはいけません。
D-17861: スー......お前......私を助けろ。
SCP-CN-1870: ......(数秒間間を置く)分かりました。
SCP-CN-1870はD-17861の手元から包帯を取り出し、そして彼のために傷口を縛る。その手さばきは非常に標準的である。
D-17861: ふう......私の手元に包帯があることをお前が知っていたのは、全く不思議ではないとすら思うよ......。
zoye博士: D-17861、実験終了だ、出て来なさい。
[実験終了]
結果分析: SCP-CN-1870は他人に傷害を負わせるような指令に対しても服従を示した。同時に、オブジェクトが指令に遵従する際に異常性を発現させることで関連情報を獲得し、それによっていかに指令を行うべきかを判断したらしいということは注意に値する。
実験 CN-1870-c - 日付(13日/4月/20██年)
実験職員: D-17862、劉悦如研究員(C-CN-█████)、zoye博士が遠隔での指示を実施。
実験物: 無し
実験過程:
zoye博士: D-17862、続けてすぐさまSCP-CN-1870に対して着席、起立、あるいは跳躍の指示を出しなさい。
D-17862: 分かった。立つんだ!
SCP-CN-1870は起立する。
zoye博士: 劉悦如、17862が指令を出した後に、今度はあなたが異なる指令を出すことでオブジェクトの行動をテストしなさい。
劉悦如研究員: 分かりました。
D-17862: 跳べ!
劉悦如研究員: 着席。
SCP-CN-1870は跳ねようと試みるが、直後にすぐさま着席する。
zoye博士: オブジェクトが行う指令を阻止してみてください。
劉悦如研究員: 分かりました。動かないで。
D-17862: 跳ねるんだ!
SCP-CN-1870は何もしない。
劉悦如研究員: 17862、オブジェクトに動かせないようにしてみてください。
D-17862: 動くな!
劉悦如研究員: 立ちなさい。
SCP-CN-1870は少し間を置き、立ち上がる。
zoye博士: 待った......D-17862、直ちに実験場を離れ、加えてあなたの無線イヤホンを劉悦如に渡しなさい。劉悦如、今度はそのイヤホンをSCP-CN-1870に与え、オブジェクトにつけさせなさい。
劉悦如研究員: 分かりました......。
zoye博士: SCP-CN-1870、立ったまま、動いてはいけません。
劉悦如研究員: ......着席。
SCP-CN-1870は起立した状態を保持する。
zoye博士: よろしい......実験終了。SCP-CN-1870、イヤホンを劉悦如に引き渡しなさい。
SCP-CN-1870はイヤホンを外し、劉悦如研究員に手渡す。
[実験終了]
結果分析: オブジェクトは自身の異常性を通じて、実験職員の財団におけるセキュリティクリアランスを判断し、それを指令の優先度の根拠とすることができる。
実験 CN-1870-d - 日付(13日/4月/20██年)
実験職員: zoye博士、D-17862(劉悦如研究員が遠隔で行動を指示)
実験物: 果物ナイフ1本及び包帯1本
実験過程:
zoye博士: このナイフを持ちなさい。
SCP-CN-1870: 分かりました。(ナイフを受け取る)
D-17862: ナイフで彼(zoye博士を指差す)の右手を切りつけろ。
SCP-CN-1870: (zoye博士の方を向く)zoye先生、私はそのようにすべきでしょうか?
zoye博士: そうしないべきだ。
SCP-CN-1870: 分かりました。
D-17862: ナイフでお前の左手の中指を切りつけろ。
SCP-CN-1870: ......(zoye博士の方を向いて約2秒間間を置く)分かりました。
SCP-CN-1870は自分の左手の中指を切りつける。
zoye博士: ナイフであなたの左手の薬指を切りつけなさい。
SCP-CN-1870: 分かりました。
SCP-CN-1870は直ちに自分の左手の薬指を切りつける。
zoye博士: 実験終了だ、2人共。医療職員を呼んで傷口を処置してもらおうか。
[実験終了]
結果分析: SCP-CN-1870は財団職員に障害を引き起こす可能性のある指令に対しては自己判断能力を持つことができる。オブジェクトは自傷行為の指令に対する抵抗行動に乏しいようで、それ以上に実験職員中で最高等級の職員の意見であるかを確認するようだ。
[データ削除]
インタビュー CN-1870-甲 - 日付(14日/4月/20██年)
インタビュアー: zoye博士
インタビュー記録:
zoye博士: こんにちは、SCP-CN-1870。昨日の傷は今良くなっているかな?
SCP-CN-1870: こんにちは、zoye先生。あの2つの傷口は早いうちに塞がりそうです。
zoye博士: なら良かった。私は君が今回の談話で私が知りたいことが何であるかを知っているはずだと思っている。そうだろう?
SCP-CN-1870: (いくらかの不安を示す)いえ、......分からないです。
zoye博士: 大丈夫、君に纏わる詳細な情報を少し知りたいのだ。例えば、君はどこから来たのかい?
SCP-CN-1870: 申し訳ありません......分かりません。
zoye博士: 大丈夫、緊張することは無いよ。君は今何歳?
SCP-CN-1870: 14歳です。
zoye博士: 誕生日は?
SCP-CN-1870: 4月12日です。
zoye博士: おや......タイミングがいいな。2日遅れてはいるが、誕生日おめでとう。
SCP-CN-1870: ありがとうございます、zoye先生。
zoye博士: 君の御両親は誰なのか知っているかい?
SCP-CN-1870: いえ、私に両親はいません。
zoye博士: おや。我々の実験を通じて、君の身体は遺伝子階層上で正常な人類であることが分かっている。もし君に両親がいないとするならば、自分がいかにして生まれたのかを知ってるかい?
SCP-CN-1870: (困惑を示す)分かりませんが、私は産み落とされたことは無いはずです......思うに私は作り出されたのかもしれません。ですが、確信がありません。
zoye博士: なるほど、参考になるかもしれない。なら君はどのように作り出されたのかを知っているかい?
SCP-CN-1870: いえ......実のところ確信がありません。
zoye博士: ふむ、理解した。SCP-CN-1870、君が遺伝子階層上で正常な人類であるにも拘わらず、君の身体は生殖系が不足している。君はその原因を知っているかい?
SCP-CN-1870: ごめんなさい、zoye先生、分かりません。ただ私の推測ですが、その部分は作り出す必要が無かったからでしょうか。
zoye博士: ......なるほど、次の問題だ。このような状況下では、君は自分のことを人類だと思っているのか?
SCP-CN-1870: いえ、zoye先生、私はそうは思っていません。
zoye博士: なら、君は自分のことを他の何だと思っているのかい?
SCP-CN-1870: 私は1つの道具です。
zoye博士: (沈黙)このような解釈も確かにそうである......なるほど、それほど不思議ではないな。君は自分のことを1つの道具だと思っているのだな?
SCP-CN-1870: そうです。
zoye博士: どうやって説明すべきかな。自分は他人の意思による行動通りにすべきで、その上自身の願望はあるべきではないと思っているのかい?
SCP-CN-1870: ......そうです、zoye先生。
zoye博士: 君は何故そう思えるんだい?
SCP-CN-1870: えっと......zoye先生、このように説明すれば分かってもらえるでしょう。あなたが自分のことを人類であると思うのは、あなたが元より人類であるからです。そういうものでしょう。
zoye博士: (沈黙)なるほど、分かった。思ったのだが......君は何かやりたいことがあるかい?
SCP-CN-1870: ありません、zoye先生。
zoye博士: なら、ここで、君は私に向かって要望を提示しなさい。
SCP-CN-1870: (沈黙)なら私はあなたのこの指令を拒絶することを要望します。
zoye博士: (笑う)ハハ、なるほど、要望など無いようだな。なら今日のインタビューは一先ずこれまでとする。次回また会おう、SCP-CN-1870。
SCP-CN-1870: 少しお待ちを......zoye先生。
zoye博士: どうした?何か要望があるのかい?
SCP-CN-1870: ......私は、私に対するホルモンバランス検査をあなたの研究グループに1度施してもらいたいです。私は1度検査が必要なのだと思います。
zoye博士: 君は自分が何故生殖系を不足しているのかを知らないのだろう、SCP-CN-1870。
SCP-CN-1870: そうです、知りません。
zoye博士: うむ、まあいいだろう。それ相応の申請を提出しよう。
SCP-CN-1870: 感謝します、zoye先生。