クレジット
アイテム番号: SCP-CN-143
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 捕獲した8匹のSCP-CN-143個体は現在、サイト-CN-34の12号生物収容室にて収容されています。オブジェクトの栄養補給を必要としない体質を鑑みて、8キログラム前後のスイカが特定の状況下でのみ"報酬"として与えられます。オブジェクトの出現を監視するため、機動部隊-庚午-01("唯有暗香来")を派遣しています。オブジェクトと思しき出現報告がなされた場合、ただちに対象を収容しに行かなければなりません。
説明: SCP-CN-143は既知の動物種と異なる外観を持った生物で、「形は小犬のようで、非常に狂暴」と形容されます。オブジェクトの平均体長は約58センチメートル、平均体重は27キログラムです。オブジェクトは哺乳類の特徴と一部合致しています。例として、体表面には毛を生やしており、頭部・頸部・胴体・四肢および尻尾の5部位から成り立ちます。体温は一定で、恒温動物です。また、脳は比較的大きく発達しています。しかしながら、生殖器官は見つかっておらず、オブジェクトの繁殖方法は明らかになっていません。X線検査の結果、オブジェクトの体内には通常の動物器官が見当たらず、未知の構造となっています。オブジェクトに対する解剖実験は現在申請中であり、レントゲン写真を閲覧するにはドキュメント143-alphaを参照してください。
SCP-CN-143は通常の摂食方式で栄養を取る必要が無いとみられています。最も長く収容されている個体は現在、372日間に渡って摂食要求を示していません。一方、オブジェクトはスイカといった果物に対して絶大な興味を示しますが、その理由は今の所不明です。
SCP-CN-143の主な異常性は、児童虐待に対する予知能力と傷害を受けた人間児童に対する精神影響です。オブジェクトと触れ合った児童は「気持ちがずっと和らいだ」等といった感想を述べています。
SCP-CN-143の出現記録は最も古いもので1894年に遡ります。当時、中国浙江省紹█市の[データ削除]において、中華異学会のメンバーであった周██が初めてオブジェクトを発見しました。供述によると、彼は当時、紹█市郊外[データ削除]の農地付近の草むらにて一時的に野宿していた際、SCP-CN-143個体が出現し、周██を連れて近くのスイカ畑へと移動しました。周██はこの時、身元不明の人物2名による口論を耳にしており、口論の内容は少年(当時、スイカ畑の見張りをしていた)が着けている銀の首輪を奪うか否かというものでした。周██が大声で叱りつけたところ、身元不明の2名は逃走。その後、SCP-CN-143個体は周██の眼前から消失しました。
ミームチェッククリア。ようこそ、O5様。
From: サイト-CN-34管理官代理 ハンナ博士
To: O5議会全体メンバー
SCP-CN-143を収容するにあたって、私は異学会の一次資料に目を通しました。その中で私は、SCP-CN-143に対する初めての文章記録を突き止めました。これは異学会のメンバーであった故・周██によって記されたものです。文献は現代語に翻訳したのち、ファイルにアーカイブされています。
アーカイブの最中、サイト-CN-34において小規模な収容違反が発生しました。収容を再開するまでの間、こちらのエージェントは財団で最近開発された██儀を使用しています。
今回のインシデントでは、わずか7分で収容プロトコルが復旧されています。ですが、オフィスに戻ったところ、異学会の記録原本にいくつかの変化が発見されました。これは恐らく、██儀の影響だと考えられます。
具体的には、原本内の「浙江省寧紹台道付近」という記述が、すべて「浙江省寧紹台道, 魯鎮」に変化していたのです。
「魯鎮」なる地が実在する証拠はまったくもって見つかっていません。実際のところ、歴史学者や文学者は全員、「魯鎮」を架空の地域とみなしています。しかしながら、文章が改変された事実は確かに存在しています。
私はその後、SCP-CN-073の残した藁苞と着物を持ち出して、SCP-CN-143個体と接触させてみました。対象はこの時、強い依存と親近感を示しています。なお、SCP-CN-073がSCP-CN-143との過去に言及したことは一度もありません。2つのオブジェクトにおける共通点は、先述した最もありえない仮説に該当するものではないでしょうか。ひょっとすると、「魯鎮」は実際にあったものの、文学作品がもたらす現実改変によって、作品内だけの存在になってしまったのかもしれません。より踏み込んだ調査を申請します。
ハンナ博士。