SCP-CN-068
評価: +7

アイテム番号: SCP-CN-068

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-CN-068は財団によって購入され、内装工事を名目に周囲の建築物から隔離しています。周辺の不動産は、全て中国支部財団の不動産リストに記録され、監視が行われています。許可なくSCP-CN-068に立ち入ることは禁止されています。

説明: SCP-CN-068は██省██市郊外の████山海抜███メートルに存在する古い別荘群です。この別荘群は地元の名門貴族の居住地として19██年に建設されましたが、不明な理由により、誰も入居することなく老朽化しました。その後、多くの民間団体による無断使用(密輸品の保管など)がされてきました。同時に行方不明者の報告が多数存在しています。[データ削除済]。19██年に国有地となりましたが、未開発のまま残されていました。20██年に█████有限会社が買い取り、修復と改造、拡張を行った後に「民国山間別荘」として販売されていました。

該当する別荘群の中には██棟の一戸建てが存在しており、SCP-CN-068はその中の3階建て(地下室を含む)の建物です。(地下室を除いた内部の物品リストは付録CN-068-Aを参照。)SCP-CN-068の異常性は、有機生命体が壁に接触することによって発生します。対象が壁に接触している間は、壁の中に入ることができ、向こう側に行くことが可能となります。しかし、この方法で別荘の外側に移動することはできません。

付録:

付録CN-068-C:
備考:詳細な実験記録は付録CN-068-Bを参照

実験番号:CN-068-01
日時:20██/██/██
実験場所:1階の通路
実験対象:CN-D-5671
実験記録:CN-D-5674は研究員の監視下の下、腕を壁の中に入れる。Dクラス職員は驚くも、研究員の説明を受けた後そのまま壁の中への潜入を試みる。しかし、半袖の布が原因で壁の中に入れなかった。
実験分析:布は壁の中に入れないようだ。有機体のみが侵入できるのだろうか?より貴重な他のものも試してみよう。人体が通り抜けられるなら、壁が無いのと同じことではないか。

実験番号:CN-068-02
日時:20██/██/██
実験場所:2階のトイレ
実験対象:ノートパソコン1台
実験記録:研究員はノートパソコンを壁に押し付けるが、壁の中に入っていく様子は確認されない。
実験分析:必ず人間である必要があるのか?それとも、このパソコンがダメなのだろうか?

実験番号:CN-068-08
日時:20██/██/██
実験場所:3階4号室
実験対象:1年6ヶ月のパグ1匹
実験記録:研究員は個体を誘導し、壁の中へと侵入させた。身体が半分侵入した時点でつっかかり、これ以上の侵入ができなくなる。3分後に研究員が押し込む形で、該当する個体の頭が1階の通路から出現。
実験分析:これはこのフロアの最後の部屋だ。人間に限らず他の動物も可能だが、より難しくなっている。あと数回の試行で人間を使うことができるだろう。

実験番号:CN-068-10
日時:20██/██/██
実験場所:1階食堂
実験対象:CN-D-8709(衣服および装飾品なし)
実験記録:研究員の監視の下、Dクラス職員を侵入させると、もう片側から出てくる。Dクラス職員は驚いていたものの、身体的な異常は見受けられない。
実験分析:推測は正しいはずだ。人体は引っかかることなく入ることができ、通過できる。他の性質があるのかに関してはより一歩踏み入った実験が必要だ。

実験番号:CN-068-13
日時:20██/██/██
実験場所:地下室のホームシアター
実験対象:CN-D-4413(衣服および装飾品なし)
実験記録:[データ削除済み]
実験分析:[データ削除済み]
注記:地下室を封鎖し、あらゆる人員の立ち入りを禁止。実験は凍結。

文書06801:生存者へのインタビュー記録

インタビュアー:研究員L.C.
インタビュー対象:███博士(解職済み)
日時:20██年██月██日
注記:███博士は実験CN-068-13の唯一の生存者です。インシデント発生後、救難信号を受信した財団の救援隊はSCP-CN-068に突入、階段の最上部で全裸の███博士が混乱状態で発見されました。地下室には腐食性の液体が大量に流れており、地下室への侵入を伴う救助は実行できませんでした。残りの行方不明者は死亡と判断。その後、2ヶ月に及ぶ精神療法により、███博士は基本的な会話をこなせる程度にまで回復しました。しかし、論理的な思考は依然として混乱状態にあり、軽度の人格分裂、及び暴力的な傾向が見られます。

<インタビュー開始>

研究員L.C.:こんにちは博士、あなたの協力にとても感謝します。

███博士:[両手で顔を覆っている]余はとても怖い......私は後悔している......

研究員L.C.:第13次実験の状況を教えてくれませんか?

███博士:[手をおろし、前かがみになる]私のせいだ、私は地下室に入るべきではなかったんだ。元々地下室の階段は壊れていて...いや、地下室には階段なんてなかったんだ。

研究員L.C.:その点に関しては否定させてください。記録によれば、1階から地下室にいく場所には階段がありました。ただ、階段が他のと比べて狭かったのは確かですが。

███博士:[力任せに机を叩く]お前は全くわかっていない!あれは一緒じゃない!全く違うものなんだ!あの中で溶解しない階段はあの家のものじゃないんだ!

研究員L.C.:[突発的な状況に対応できるよう警備員に合図する]博士、どういうことですか。SCP-CN-068の性質は、有機体が壁をすりぬけて向こう側に行けることができるだけではないのですか?

███博士:[立ち上がる]溶解なんだ!材料は溶液で、人体は最高の溶質だ。だから、布や設備、動物は壁を通り抜けにくいんだ。1階から地下室への階段は人間を溶かせない!私はもっと早く見つけるべきだった。余はもっと早く見つけるべきだったのだ!余はずっと上から吊るされながらお前たちを見ていたよ。あの変な大きなモノを動かしている間も、まだ我らの間を通り抜けて......[座る]

研究員L.C.: もしそうだとしたら、服を身に着けていないDクラス職員が、なぜ、実験開始直後に落下しなかったのですか?

███博士:[沈黙]

研究員L.C.:いえ、それでも貴重な意見に感謝します。[約一分間の沈黙]博士、落ち着きましたか?第13次実験では何が起きたのですか?

███博士:[低い声で話す]ただ壁だけが溶解できる、これでもう説明できただろう。それで、プロジェクタースクリーンも同じ材質で、同じく溶解できる。あるいは、私たちがあれがただのスクリーンだと思っているだけかもしれない。なぜなら、他の別荘の映画スクリーンもこんな感じだから......

研究員L.C.:博士!財団はあなたの検証されていない予想に対して裏付けをとる準備があります。私達はただ、第13次実験で何が発生したかを知りたいだけなのです。なぜあなた以外の人間が失踪したのですか?なぜ地下のシアタールームで突然腐食性の液体が湧き出たのですか?

███博士:[大きく笑う]余は吐き出されたのだ!余はずっと一番上に吊り下げられていたが、逆に余が一番あそこに近かったんのだ!余は吐き出されたのだ![突然立ち上がり、机を乗り越え研究員L.C.の首元に飛びつく]あれは多くの人間を溶解してきた。犠牲者は彼を構成する一部になって、出て来られない、出て来られないんだ!でも、私は吐き出された。それは、私は完璧な人間じゃない、完全な人間じゃないからさ。余はなぜ中に閉じ込められたんだ?なぜ?[博士は警備員によって引き離される]あの家の壁はとっくに無いんだ。私は誰かが再び壁を作ったんだと思うよ!余は壁を作った女性に会ったことがあるのだ!彼女は、この家は私が住むために作ったと言ってたんだ。その結果を尊重しない人は全員彼女からの懲罰を受けるんだ!

[警備員が麻酔剤を███博士に注入。███博士は昏睡状態に陥った。]

<インタビュー終了>

文書06802:SCP-CN-068材質鑑定
申請者:研究員L.C.
鑑定材料:
1.SCP-CN-068 1階の壁
2.SCP-CN-068 2階の床
3.SCP-CN-068 地下のホームシアターで発生した腐食性の液体(1階1号室前に残っていた液体から採取)
鑑定結果:
1.SCP-CN-068 1階の壁から大量のケラチンを検出。いかなる建築材料とも一致せず。
2.SCP-CN-068 2階の床から大量の石灰化コラーゲン繊維を検出。いかなる建築材料とも一致せず。
3.SCP-CN-068 地下室ホームシアターの液体から塩酸とペプシノゲン、粘液、"内因子"を検出。液体成分の解析結果は胃液と判定。

文書06803:███博士健康レポート
███博士は重度の心臓病を患っており,19██年██月██日に心臓の手術を実施。左心房の開口弁に金属のペースメーカーを装着しましたが、SCP-CN-068失踪事故の後、心臓ペースメーカーが未知の原因により腐食し、███博士の心臓機能が徐々に低下。失踪事故後、███博士の脳内に余分の脳組織が出現したことを鑑みて、医療班は███博士への延命措置を中断することを勧告しました。

文書06804:██博士後任報告
███博士の仕事を引き継ぐことができたことを光栄に思います。彼は優秀な人であり、彼の身に起きた不幸に対して哀悼の意を示します。彼の報告資料はほぼ完璧ですが、小さな間違いがあります。SCP-CN-068の3階の部屋数は4部屋ではなく、5部屋です。また、内部の物品リスト表を見るに、最上階のシャンデリアが一つ少なくなっています。各職員はオブジェクトを遊び場として使わないようにするとともに、持ち去ったシャンデリアは早急に返還するように。

Footnotes
. 訳注:胃壁細胞から作られる糖タンパクを指す
ページリビジョン: 12, 最終更新: 03 Oct 2023 13:06
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