クレジット
タイトル: SCP-CN-028 - 株を守りてウサギを待つ
原題: SCP-CN-028 - 守株待兔
著者: ©︎Airalin_Knowledge Airalin_Knowledge
作成年: 2017
アイテム番号: SCP-CN-028
オブジェククラスト: Safe Euclid
特別収容プロトコル: オブジェクトの異常性および移動不可な性質を踏まえ、財団はSCP-CN-028を周囲の村落からより遠ざけるために、農地への植林活動を続けています。機動部隊-甲午-玉狐をSCP-CN-028周辺に駐屯させ、民間人の接近を阻止してください。必要時には記憶処理の実施が許可されます。SCP-CN-028-2は検査の後、その価値に応じて収容/破棄が決められます。甲午-玉狐の隊員が直接/間接的にSCP-CN-028-2を閲覧することは禁止されています。違反した職員は記憶処理の後、他のオブジェクトの担当へと移されることになっています。
更新: SCP-CN-028が繁殖によって伝染する可能性を考慮して、オブジェクトクラスがSafeからEuclidに引き上げられました。SCP-CN-028の影響を受けた種子を孕んでいる恐れがあることから、収容区域内に存在する全ての鳥類は機動部隊-甲午-玉狐によって駆除されなければなりません。
説明: SCP-CN-028はSCP-CN-028-1および(CN-028-1の異常性を起点として生じた)SCP-CN-028-2の総称です。
SCP-CN-028-1は江蘇省██市近郊に位置する、異常なクスノキの森林です。人体が触れた人体のうち、いずれかの部分により、SCP-CN-028-1の幹枝部分を(広義的に)囲んだ際、その異常性が発現します。この時、対象には極めて現実味のある幻覚が現れ、目にしている光景が幻であることを認識できなくなります。幻覚の出現とともに、対象のバイタルサインは急速に低下していき、10-20分後に死亡します。この間、対象は幻覚に依存するような素振りを見せ、幹枝の包囲を止めさせることができなくなります。
現在保有している資料によると、SCP-CN-028-1が引き起こす幻覚の内容はどれも酷似したものとなっています。: 幻覚が発生すると、対象は1匹のウサギが向かいより駆けてくるのを目撃しますが、ウサギは必ず頭部をオブジェクトの枝幹に激突させ、死亡します。その後、対象は様々な動物が単体で連続して走ってきては、枝幹にぶつかり死亡する場面を目にします。こうした動物は幻覚の継続時間が長くなるほど、外観の現実味が低下していき、やがては存在が証明されていない未確認生物が現れるようになります。対象はこれらの生物を"霊妙で美しい"としばしば評します。
SCP-CN-028-1による異常な幻覚中に対象が死亡すると、死体の近くに1枚のSCP-CN-028-2が即座に出現します。CN-028-2は一般的なビデオテープですが、対象がCN-028-1に触れてから死亡に至るまでの様子を、未知の手段によって近距離から撮影したものとなっています。CN-028-2はおおよそ正常に再生されますが、対象の見た幻覚を様々な角度で描写した映像も中には含まれます。注意すべきことに、CN-028-2に登場する幻覚の描写は、対象が説明した内容と著しい差異が見受けられます。特に生物の外観に関しては"醜悪で奇怪な"ものとなっており、対象の説明と明らかに相反しています。
SCP-CN-028-2を視聴した者にはある種の没入感や依存感が生じます。これはオブジェクト自身が有している微弱なミーム性質に起因するものであり、閲覧者の中にはSCP-CN-028に対して執着を見せる者が出現することもあります。
SCP-CN-028-1に一定時間誰も触れなかった場合、最後に死亡した対象と交流を持っていた人間が、オブジェクトのそばに出現します。出現した人物は大抵、直ちにオブジェクトの異常性質を発現させます。財団の収容下においては、死亡した対象と同期で加入したDクラス職員の中から、新たな対象が現れる傾向にあります。
実験記録: SCP-CN-028-2-14
- 注意: 対象となるD-3652には視覚した内容を即時に説明するよう、実験前に予め要求している。
<記録開始>
██研究員: D-3652、手でクスノキの枝を握って、見えた物をありのままに説明してください。D-3652: よし......握ったぞ。それからどうすんだ?
██研究員: そのまま握り続けて。何か見えたら我々に報告してください。
D-3652: 特には何も......あっ、待て待て!ウサギが1匹、こっちに向かってくる!おい、お前ら見えたか?木にぶつかって死んじまったぞ!
(ビデオでは褐色・短毛のイエウサギが林の中から出現し、高速で枝幹に激突した後、地面に倒れ込んだ。ウサギの頭部は変形している)
██研究員: 良いですね。続けてください。
D-3652: こ、このウサギは一体どうしたんだ?
██研究員: ...... 私にもよく分かりません。おそらく、ある種の生物学的な現象だと思われます。ともかく、こうした研究のためにも、あなたの協力が必要なのです。
D-3652: 分かったよ......うわっ!(小声で)ありゃ何だ......?1頭のシマウマ?何でシマウマがここに?
██研究員: シマウマに何か異常な所は見られませんか?(対象の脈拍に乱れが生じる)
D-3652: あいつ、踊りながらこっちに来るぞ!...あれっ、木にぶつかった。こりゃあ、多分死んでんな......
(ビデオでは足の萎えた三毛猫が出現し、軽く幹にぶつかった後、転倒・気絶した)
D-3652: けど、どうも......変だな......このシマウマ、他とは何か違う感じなんだ......うまく言い表せない......うーん......
██研究員: ...... あなたが見たのは踊るシマウマ、でしたよね?
D-3652: そうだ......しかも、なんというか、こいつはとても綺麗だ。博士もそう思うだろ?
D-3652: おっ?あれは......サイだ!いや...サイじゃねぇ!あれはもっと不思議な生きモンだ!なんだろう......まるで、色とりどりのキラキラした毛を持つ......巨大なセンザンコウみたいだ!......額に、銀色の角が1本ついてる、あっ......!銀白色!なんと純白だろう!おお、神よ!クラゲみたいに色彩を変え、軽やかに瞬き、脈動する光斑。ただのデカいセンザンコウな訳がない!......ゴホ、ゴホ...あれは、矛盾する美しさ、調和しない美しさだ!...木にぶつかった......
(ビデオでは赤いペースト状の物体が出現し、対象に向かい緩慢な速度で匍匐を始める。物体の形状は運動中、不規則に変化し続けていた。映像からは物体を正確に説明することは不可能。物体は幹に当たった途端、液体に変化して地面に飛び散り、最終的に地面に染み込んでいった。死亡したと推測される)(D-3652のバイタルサインが下降を続ける。以下、余分な内容は省略している)
D-3652: あ、あれは本当に美しい!見ましたか博士?金色の鹿角が、陽の光を浴びて爛々と輝いている......あのたてがみも......おお......まつ毛も素晴らしく長い......上に向かって、ピンとそそり立っている......目は沈んだような蒼色だ......美しい、涙をたたえています......彼は木にぶつかり......彼の美麗なケトン体が、龍の如きその身体の上に......
(ビデオではおよそ100本の大型副肢がねじ曲がって形成された、緩慢な動作で前進する生命体が出現した。身体には人間の上肢が確認できる)
D-3652: あれは天使だ......美しき輝き......!彼女の羽......羽!羽毛1本1本から漏れ出る、パラダイスの栄光......見えない......彼女の顔つきが、はっきりと見えない......白いので......光で輪郭が覆われて......木にぶつかった......
(ビデオでは████の姿をした████が出現、██しながら████、最終的に██を幹にぶつけ、転倒した)
(D-3652の鼓動が急速に減少する。医療班が即座に突入したものの、D-3652は死亡した)
<字幕が出現した後、映像は終了>
補遺1:
以下は各SCP-CN-028-2の最後に共通して現れる字幕です:
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