クレジット
タイトル: SCP-CN-027 - 囚星蝶
原題: SCP-CN-027 - 囚星蝶
著者: ©︎bitchangelover bitchangelover
翻訳者: kihaku kihaku
作成年: 2017
アイテム番号: SCP-CN-027
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-CN-027-1はサイト-CN-054昆虫類収容エリア内の半径5mの球型収容ユニット内に収容されており、暗視機能搭載型の監視カメラによって常時SCP-CN-027-1の活動状況は確認されます。収容ユニットの内壁は吸光度99.994%のカーボンナノチューブで塗装されており、SCP-CN-027-1の収容区域内にはいかなる輝度の人工光源を持ち込むことも固く禁じられています。機動部隊-CN-Tau-032("三垣庭")によるSCP-CN-027-1の異常影響の修復は271-天鎖プロトコルに基づき実施されます。SCP-CN-027-1が活動停止あるいは非異常化が成された際は、271-天鎖プロトコルは即時失効します。
SCP-CN-027-2は、レベルII監視を受けることや六笛原則に従うことを条件に、指定の人口密集区域で生活することが許可されています。現在、SCP-CN-027-2に対する更なる身柄拘束措置は予測不能の結果を招くと危惧されており、SCP-CN-027-2の収容措置はSCP-CN-027-2の許容可能な範囲内に留められています。
説明:
暗闇の中で撮影したSCP-CN-027-1の姿
SCP-CN-027-1は正体不明の微小な発光粒子によって構成された霧状の構造体であり、蝶の形状をとり、不定期に一般的な蝶のように羽ばたく動作を行います。SCP-CN-027-1の空中における移動速度は毎24時間に5~10mmです。SCP-CN-027-1は輝度0.5nit以上の任意の光源に誘引され、自発的にその光源に移動します。
SCP-CN-027-1自身の輝度は極めて低く、限りなく光源の排除された暗所以外でSCP-CN-027-1の位置を確認することはできません。当環境の平均照度が0.2lx以上に増加した場合、SCP-CN-027-1は光学的な探知手段での観測は不可能になり、オブジェクト自身が発する光は環境光に埋もれます。
SCP-CN-027-1は物理的手段で触れることはできず、任意の実体が物理的にSCP-CN-027-1との接触を試みた場合、SCP-CN-027-1は当初の位置を原点とした、半径10mの範囲内に存在する照度が最低の箇所に転送されます。また、直接SCP-CN-027-1に複数回接触を試みた場合、SCP-CN-027-1は自発的に超遠距離の空間移動を行う可能性があり、現在判明している最長距離は2942.4kmです。
SCP-CN-027-2は1名の16歳のアジア系女性です。その異常性は、SCP-CN-027-1が複数回接触を試みられた後、自発的にSCP-CN-027-2の付近10m以内の低照度区域に空間移動し、その両者がこの距離を保った状況でSCP-CN-027-2が手指を挙げた際、SCP-CN-027-1は自動的にSCP-CN-027-2の指先周辺に転送され、自発的に指先に止まるというものです。SCP-CN-027-2は、SCP-CN-027-1はベルベットの表面のような感触であり、少しピリピリと形容される若干の快感を伴う刺激痛を伴うと表現しています。
付録CN-027-A
271-天鎖プロトコル必須執行報告
提案者: Brief博士、███博士、███s管理官
プロトコルの主要目標:
- SCP-███を用いて、現在人類が使用している等級概念を、虚偽の等級体系に置き換えて再構築を行う。
- 地球上の各種の政府あるいは民間による宇宙観測行為を監視し、適切な処置を施す。SCP-CN-027の影響を発見した人員に対してレベルIII記憶処理、またはミーム情報誘導を施してその現象についてを忘却させる。
- 機動部隊-CN-Tau-032("三垣庭")におけるSCP-CN-027の影響を受けた宇宙空間に対してSCP-███に基づき再構築を行い、恒星級の発光体を偽造する。現在、主な修復箇所は、███、少辅、东次相、████。
- 現在、人類の各文明の今までの天文研究典籍を改竄し、SCP-CN-027が影響後の状態に基づいた再加工を施しており、改竄以前の情報が漏洩、流布により民間への蔓延が確認された場合、漏洩した内容を誇張されたデマとして宣伝し、その後、対応した反論を行う。
西暦18██年から、天空中の一等星の数は本来の476223個から現在の21個まで急速に減少しました。二等星の数は本来3483万個以上、現在は46個まで減少しています。三等星の数は約72億個存在していましたが、現在はわずか134個になっています。財団は、恒星が大量に夜空から消失するという、人類が目視可能な異常現象を観測したために率先して人類社会に介入し、人工照明技術の発展を推進しました。そして財団はSCP-████によって大規模に人類の常識を再構築し、夜に恒星が目視できない原因は光害にあるとして人類の宇宙観測学データを全て再構築しました。
こうして、271-天鎖プロトコルの初期草案が製作され、当時の我々はその現象に仮の番号を与えていただけでしたが、SCP-CN-027を発見したことにより、271-天鎖プロトコルは正式に表舞台に提示されました。
本プロトコルは、すでに完全に異常化した星空を公衆の目から見て"正常"にする事が目標です。我々は天空中から億万の星々を失いましたが、SCP-CN-027の収容によって、我々は肉眼で観測できる数千の恒星や、望遠鏡で見ることのできる朦朧なる宇宙の景色を残すことに成功しました。
我々が為す全てのことは、まさに明日終わるかもしれませんし、人類の滅亡するその日まで、何十年、何百年、何千年間続くかもしれません。人類にとってそれは無限の長さではありますが、夜空に煌めく星々にとっては刹那に過ぎないのかもしれません。この星々の煌めきは、何十万年の時や想像を絶する距離を超え、ついに私たちの夜に足を踏み入れたのです。そしてこれらは一頭の蝶に奪われることもなければ、ただ一人の人間の独占品にもなりはしません。
天鎖は我々の星空を鎖ることになるでしょう——その繁星燦爛がもう一度、我々が仰ぐ方角に戻るまで。
補遺SCP-CN-027-1: 現在累計六千億個以上の恒星から地球へ放射されている可視光は、不明な手段でSCP-CN-027-1に転嫁されていることが確認されています。
1883年に撮影した██区域の星空の写真
SCP-CN-027-1が発する光情報を解析した結果、それらに人体に害を及ぼす有害放射および対応する熱放射が含まれていないことが確認されました。SCP-CN-027-1自身が比較的明るい環境にいる時、すなわち0.2lx以上の照度環境にいる場合、自身を構成する微小な発光体が徐々に増加します。それらを確認した結果、SCP-CN-027-1を構成する微小な発光粒子は実体ではなく膨大な数の恒星の光学画像であることが確認されました。
1904年に撮影した██区域の星空の写真、確認できる恒星は大幅に減少
現在、SCP-CN-027-1を構成する恒星の光学画像は全て、18██年以降の一連の異常な恒星消失現象の影響を受けた数千億個の恒星由来のものであることが判明し、SCP-CN-027-1は長期間にわたる異常現象の原因であると確認されました。SCP-CN-027-1は、SCP-CN-027-2がインターネット上にアップロードした旅行の写真内に輪郭がぼやけて写っていたことで財団の注意を引き、2010年にSCP-CN-027-2の元の住所で財団に存在を認知されました。
SCP-CN-027-1の影響を受けた恒星は物理的に消失はしませんが、SCP-CN-027-1の異常な性質によって地球に届くべきはずである恒星の光と影に干渉し、個人が地球表面で光学観測しても、影響を受けた恒星を特定できなくなると同時に、恒星から地球への放射光がSCP-CN-027-1の中に閉じ込められているかのように、影響を受けた恒星の光学画像がSCP-CN-027-1内部で増加しています。同時に、SCP-CN-027の影響をさらに調査した結果、オブジェクトは人工発光体に影響を及ぼさないと確認されました。現在、外宇宙空間に大量の人工発光体を構築することで従来の恒星の分布を模倣しています。
SCP-CN-027の収容後、SCP-CN-027-1に対する暴力的な破壊行為は直接[削除済み]を招くことになり、SCP-CN-027の現象のさらなる激化を招きました。今回の事件を考慮し、SCP-CN-027-2に対する強制収容計画は現在凍結中です。
付録CN-027-B: ██/██/19██にSCP-CN-027-2のダイニングルームのテーブルの足元で発見された紙の手紙。
注: 年代が古いかつ、適切な保存措置が施されていなかったため、手紙は酷く腐敗しており、部分的な文字内容のみ復元されました。
【ぼやけた筆跡】
儚い艶美さを推して この燦爛たる空に目を瞑る彼らはこのような夜に値しない
【ぼやけた筆跡】
蒼穹の上に歩き 星空を貴方に捧げましょう