SCP-748
評価: +42
アイテム番号: 748
レベル3
収容クラス:
euclid
副次クラス:
none
撹乱クラス:
vlam
リスククラス:
caution


interior.jpg

SCP-748の内部。

特別収容プロトコル: SCP-748上部の異常でない建築物はサイト-68に改装されました。民間人との遭遇時は、保安職員は非致死的な武力と記憶処理薬を用いてください。鋼鉄製の有刺鉄線フェンスが、SCP-748周辺の半径4kmの地点に維持されています。有毒物質による汚染の警告サインが3m間隔でフェンスに取り付けられます。

SCP-748の最近の変化を考慮し、保安職員は増員されています。研究者は少なくとも3人のグループで移動・勤務し、常に武装した護衛を伴わなければなりません。保安職員はヘルメットに取り付けられたライブ音声/映像記録装置を装着する必要があり、全人員はGPS追跡装置を装備しなければなりません。

説明: SCP-748は異常な技術による量産が可能な工業建築物です。SCP-748はマサチューセッツ州ローウェルに位置する異常性の無い工場の下部に構築されていました。SCP-748の異常な機械群は錆びて損傷しており、大部分は動作不能に陥っています。回収された文書に基づき、これらの機械は核融合炉と同等の動力レベルを必要としたと考えられますが、その意図された動力源は未だに発見されていません。SCP-748の構造は不完全であるように思われ、証拠としてはドア向こうの壁・行き止まりの大広間・何処にも接続されていないワイヤー/配管などが挙げられます。施設各所のポスターには"A HARD WORKER IS A HAPPY WORKER"(勤勉な労働者こそが幸福な労働者である)、"ACTIVE MINDS LEAD TO IDLE HANDS"(頭を働かせると手捌きが遅くなる)などの意欲付け/プロパガンダを意図したスローガンが記されています。

地下一階にはSCP-748上層構造の崩落した部分を介してアクセス可能です。金属製の案内板は、この場所を"寄宿舎 03/1200 – Ι: 21"と表記しています。この階層は8つの廊下(セルブロック1-8)を特色としており、各廊下は大型機械リフトを備え付けた円形の部屋へと収束します。この"房"は労働者の収容のために設計されています。この階層は、混み合った不衛生な状況下で4000〜6000人を住まわせることを意図して設計されたと推定されています。

地下二階は長方形のチャンバーです。地上との距離が離れているにも拘らず、ここは製品の包装と出荷のために設計されているように思われます。ここの案内板には"出荷 03/1200 – Φ: 5190"とあります。この階には中央エレベーターを含めて21機の機械リフトがあり、リフトは組立担当の階層からアイテムの輸送に使われた可能性が最も高いと考えられます。

ここには同一設計の機械も4台あり、南側・東側・北側の壁に取り付けられた機械にはそれぞれ"Νότος"、"Εὖρος"、"Βορέας"と表記されています。動作不能ではあるものの、回収された文書は、これらの機械が対象物の輸送に関連していたことを示唆しています。西側の壁にもかつては同種の機械が設置されていたようですが、既に破壊されたと思われます。これらの機械は発見以来SCP-748-1と指定されています。

酷く錆び付いた輸送用の箱が、エリア全域に無作為に散在しているのが発見されました。箱は非異常性であり、異常な積荷は研究のためサイト-██に移送されています。これらの箱から回収された異常なオブジェクトには以下が含まれます。

  • 生物学的に生きている揺り木馬、500個。観察されている間は悲鳴を上げる。高い放射線レベル。
  • 様々な未知の種の毛皮から作られた毛皮のコート、500着。常に炎上している。
  • 表面的にはスプリングフィールド1903小銃に類似するライフル、2000丁。観察可能な異常性は無いものの、カント計数機は50ヒューム以上を表示し、潜在的な高い非現実レベルを示唆する。
  • 一度着用すると脱ぐことが出来ない山高帽、800着。着用者は全ての開口部からスズメバチを放出する。
  • タバコ、200000本。直接吸入した人物をウバザメに変える。影響者は完全な変化(プロセスに約30分掛かる)の後に爆発する。
  • 腐敗した肉、10トン。遺伝子分析ではヒト・ブタ・イカのハイブリッド種であると判明した。高い放射線レベル。

地下三階は、中央エレベーターを使ってアクセス可能な半円形チャンバーです。案内板はこの階を"生産 03/1200 - Ω : 91"と指定します。この場所はコンベアベルト・気送管・電子管・配管で構成されており、その全てがチャンバー南部にある大型機械(SCP-748-2と指定)に接続されています。回収された文書に基づくと、SCP-748-2の意図された目的は分子アセンブラーとほぼ類似したものです。しかしながら、SCP-748-2の設計と力学はそのような仮定上の構築物とも確立された自然法則とも相関性が無く、プロセスを完全に異常なものとしています。

SCP-748-2は過去のある時点で、恐らくはSCP-748の無力化に関連する出来事によって顕著な被害を受けたことが見て取れます。この出来事は、地上の工場が1915年に閉鎖・放棄されたことが記録上で示されているにも拘らず、1950年代初期に発生したと考えられています。

最終的にSCP-748を内包することになった工場は、1882年にランドルフ・T・メッツガーによって建てられ、当初は織物工場として運営されていました。SCP-748は、1896年から1908年の間に秘密裏に構築されたと考えられています。

収容以前に長期間放棄された状態だったこの工場は知名度が高かったものの、危険な探索目的の侵入者も多く、都市伝説(どの噂も異常性との関連性は無いと考えられています)の源泉でもありました。1992年09月04日、この地で数年間にわたって失踪が相次いでいることから財団は調査を開始しました。SCP-748は同年10月までに財団に収容されました。

ランドルフ・T・メッツガー:伝記

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ランドルフ・T・メッツガー、1898年。

ランドルフ・T・メッツガー(Randolph T. Metzger, 1840-1915)は織物業界における裕福な大物であった。ドイツ系移民として生を受けた彼は少なからぬ称賛の対象であり、その人生は"無一文から大金持ちへ"の物語としてしばしば引き合いに出された。彼が所有していた幾つかの工場の中でも、最も収益性が高かったのはマサチューセッツ州ローウェルの町に位置するものであり、メッツガーは地元住民の約70%を雇用していた。メッツガーはまた、"我儘な少年のためのメッツガーの家"および"人間向上組織"の運営を含む慈善事業への貢献でも有名だった。

その慈善活動にも拘らず、メッツガーは組織化された労働者たちの目には軽蔑の対象であり続けた。工場内の状態は報告内容惨憺たるもので、安全性を欠いていた。彼と労働運動の対立は、1895年に勃発し23名の死者を出したローウェル工場の爆破で絶頂に達した。事件は無政府主義者の扇動によるものとされ、6人の男性が証拠の欠如にも拘らず逮捕・処刑された。事件の実際の原因は、警察がこの問題の更なる調査を拒否したため、未知のままである。この一件では汚職が疑われている。

メッツガーは1896年初頭に企業の再構築を開始し、後にSCP-748に分類されるものを作り出す結果となった。ほぼ同時期に、メッツガーの個人的な日誌によると、彼は"投資家"なる存在と提携している。

メッツガーは1915年11月13日に自殺し、屋敷の近くで銃声を聞いたという郵便配達員の通報に続いて、巡査が死体を発見した。解剖により、死因は頭部へ自ら発砲したことによる銃創と判明。脳組織は回収されず、検死官はペットの犬に食べられたものと判断した。家族や使用人は失踪していることが発覚したものの、その運命は未知のままである。

日記:ランドルフ・T・メッツガー、1896年

取引は行われた。私は何も後悔していない。必要な犠牲だった。皆そうだった。

単純な、良いビジネス。

投資家は数多くのことを約束してくれた。

すぐに、私はクロイソスよりも裕福になるだろう。

送られなかった手紙:ブリアナ・オドネル、1897年

ママへ

このお金は来月までには着いているはずです。妹に愛してると伝えて。手紙を受け取ったわよ、って。

良いニュースです! メッツガーさんは心を入れ替えました! 新しい工場は目を見張るばかりで、寮もとても広々としています! メッツガーさんが言うには、これで終わりじゃないんだそうです。お給料を上げることも考えているとか。抗議運動で考えさせられるものがあったのかしら? 私には分からないけれど、メッツガーさんは誠実そうだし、いつもニコニコしています。女の子たちも嬉しそう。工場は世界のモデルになるだろうって皆言ってます! 私たちはもうただの労働者なんかじゃない、そんな風に感じてるんです。何て言えばいいのか、もっと大きなものの一部みたいな感じ。メッツガーさんほどのものでは無いけれど、これも確かに改善です。そう言えば、しばらくメッツガーさんの家族を見ていません。奥さんも息子さんたちも前はよく訪ねて来たはずなのに。

敬具
ブリアナ

日記:ウツィア・チャイコフスキー、1900年

ポーランド語からの翻訳:

みんな何処に行ってしまったの? 階層はたくさん。此処に今どれだけの人がいるの? 注意しているのに精一杯。202でサーシャと働いていた。私たちは話をしていて、その時突然あの子は消えてしまった。監督は心配ないと言った。もう一度尋ねると監督は私を殴った。どうしてなのか分からない。彼には顔が無い。

あの子を探したけれど、202を見つけることは出来なかった。数字は動き続けている。

目の後ろが痛む。鼻と耳からは血が出てきた。監督はそれで正常だと言う。彼らの前で泣くことなんかできない。さもなければ警棒が飛んでくる。

もういやだ。私は内側から死んでいくんだ。

日記:ランドルフ・T・メッツガー、1902年

M装置が予定よりかなり早く作動し始めた。ヤヌス・ドアは目的地へロックされている。原材料の無限の供給だ。

最高級の絹の服が欲しい? 機械はそれを作成する。玩具が欲しい? それも作成する。M装置はありとあらゆる消費者を満足させる物を魔法の如く呼び出すのだ。私は肉をパンに、血を葡萄酒に変える!

工場は私の意思で動く。労働者どもは私の慈悲だけで生かされている。私は此処の神なのだ。

日記:フィオナ・マーフィー、1906年

この場所は刑務所だ。誰も逃げ出す事は出来ない。この地下牢が外の人たちに知られてはならないんだ。いつも大勢の労働者がいる。何百人も、何千人も。工場は広がる。移り変わっていく。監督が話すのを聞いた。彼らは此処が数多くあるうちの一つだと言う。ヤヌス・ドアで繋がっていると。どういう意味だろう? 壁は動く。階層は多すぎる。注意し続けることが出来ない。何もかも現実とは思えない。私の胃はうごめき、毎日吐く。彼らは私たちの食事を注入する。それで十分なんだ、私たちを生かして便利なままに留めておくには。騒音は耳をつんざくようだ ― 機械と悲鳴の音。

苦労が終わることは決して無い。人々は死に向かって仕事をしている。そしてあのおぞましい機械のエサになる。私たちはあらゆる物を作る。食品、おもちゃ、衣服。

武器さえも。私が想像できるような物とは違う、恐ろしい、恐ろしい武器。

私たちは4時間眠るのは許されているけれど、私はよくザトウムシ(Hervestmen)の動く音に目を覚ます。金属と金属が擦れ合う音。朝になると、時々、誰かがいなくなっているのに気が付く。質問するような勇気は無い。頭を下げて、目を合わせないようにする必要がある。

あいつらは人間じゃない。もう違う。

日記:ランドルフ・T・メッツガー、1912年

投資家は戦争を夢見ている。最も収益性の高い投機的事業だと。これで近頃の受注に関しても説明が付いた。それらが何処へ送られているのか私は知らない。投資家は、私に何も知らせないことを好んでいる。私は彼の機械の歯車になりつつある、酷く退屈だ。この工場は私と結びついている! あまりにも効率的に、あまりにも完璧に成長する。私には将来的にこれを収めておく場所が無い。

私は時代遅れになってしまったのだろうか?

遺書:ランドルフ・T・メッツガー、1915年

わたしがやくそくされたのわこんなものじゃなかったんだ

補遺: 1996年05月14日、構造物全域で使用されている幾つかの大型配管から、骨や金属くずによる閉塞が除去されました。この除去は配管内に水が溢れ返る事態を引き起こし、11名の職員が死亡しました。この事件の後、構造物全体で電気照明が作動し(ちらつきや薄暗さは低電力を示唆する)、かつて中央エレベーターシャフトの終点だった地点に開口部が出来て、地下四階への接続が可能となりました。

地下四階は中央エレベーターシャフトを介してアクセス可能な球状チャンバーです。金属案内板はこの階を"管理 03/1200 - Δ : 586"と指定しています。この階層には数百台もの柱状の機械があり、お互いに銅線・ブロンズ管・真空管で接続されています。各機械には、正体不明の緑色の液体と保存された人間の脳1つを含むガラスのシリンダーが収容されています。これらの脳は生物学的には生きているものの、ロボトミー手術と一致する損傷を受けています。これらの機械はSCP-748-3と分類され、階層の北東部にあるSCP-748-4と指定された大規模で複雑な装置に接続されています。

SCP-748-4は、SCP-748の制御および管理に関連した275トンのバイオメカニカルマシンです。SCP-748-4の機械部品は(信じがたいほどに複雑ですが)アナログコンピュータに匹敵し、有機的な構成要素はランドルフ・T・メッツガーを自称する生きた人間の脳です。SCP-748-4の声は多くの場合、歪み、空電によって損なわれています ― どのようにSCP-748-4が話し、聞くことができるのかは分かっていません。

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SCP-748-4の脳の容器。

インタビュー01

インタビュー対象: SCP-748-4 / "ランドルフ・T・メッツガー"

インタビュアー: エマーソン博士

序文: SCP-748-4との最初の公式インタビュー。

<記録開始>

エマーソン博士: 貴方のお名前を述べてください。

SCP-748-4: 私はランドルフ・タデウス・メッツガーだ。投資家が君を送り込んだのか? これだけ長い時が過ぎて、ようやく新たな投資に打って出ようと言う訳か?

エマーソン博士: いいえ、私は"投資家"に送られて来た訳ではありません。教えてください ― 貴方はどのようにして今の状態になったのですか?

SCP-748-4: 君は、自分が私と同格とでも思っているのかね。もっと謙虚に口を利きたまえ、そして頭を下げろ。私は回答を求めているのだ。私の欲求が満たされたなら、君の好奇心を満足させてやっても良い。

エマーソン博士: わかりました、メッツガーさん。質問をどうぞ。

SCP-748-4: 投資家にへつらう胡麻摺りどもの一人でないとしたら、君はいったい何者だ?

エマーソン博士: 私は研究者です、それ以外の何者でもありません。これで-

SCP-748-4: [割り込む。音声は歪み、金属質に軋るようなトーン] 嘘吐きめ。嘘吐きめが! 私は全ての目で君たちを見てきたぞ。研究者、確かにそうだ。だが私を騙そうとしてもそうはいかん。

エマーソン博士: 残念ですが、情報は機密のものです。

SCP-748-4: ならば君たちは寄生虫だ。くれてやるものは何一つない。

<記録終了>

終わりに: 監督本部にToI合意を行う要求を提出しました。要求は承認されました。
ポーラ・エマーソン博士

インタビュー02

インタビュー対象: SCP-748-4 / "ランドルフ・T・メッツガー"

インタビュアー: エマーソン博士

序文: SCP-748-4との第二の公式インタビュー。

<記録開始>

エマーソン博士: 貴方の条件に合意します。私たちは異常な存在を取り扱っている組織です...たとえば貴方のような。

SCP-748-4: 私は今では異常なのかね? あぁ、これは単なる企業秘密だ...

エマーソン博士: 瓶詰めにされた脳味噌であることが、ですか?

SCP-748-4: まぁまぁ、そう皮肉を飛ばさなくてもよかろう。

エマーソン博士: 私たちの質問に答えて頂けますか?

SCP-748-4: 話してみたまえ。回答するか否かは私が決めることだ。

エマーソン博士: どのようにして現在の状態になったのですか?

SCP-748-4: 私としても全く仰天したよ、君。少なくとも最初はな。間違いなく私の敵どもは"詩的正義"とか何とか下らんことをほざいたんだろう。

投資家は私を罰した訳ではない。いやいや...効率を高めたのだ。重要なのはそれだけだよ。

エマーソン博士: 投資家というのは何者ですか?

SCP-748-4: 非常に裕福な男だ。私よりも裕福な ― しかも、私が地球上で六番目に裕福な男だった時に。私の上に立つ5人の者たち? 彼らもまた市場の見えざる手に奉仕するのに熱心だった。私は彼の名も、彼がどのように財を成したのかも知らない。おそらく誰かが小銭を落とす度に、それは彼の懐に収まるのだろう...

影の市場というものがある。影の市場は常にそこにあり続けた。ロックフェラーが白昼の世界を治めたとすれば、投資家は闇の世界を支配していた。そしてロックフェラーでさえも彼には頭を下げたのだ。

この世のカスどもめ。汚物、社会主義者、寄生虫ども! [金属の軋るような歪んだ音、続けて空電] ...奴らは私たちを"泥棒男爵"などと呼んだものだ。私たちが男爵だとすれば、投資家は皇帝だろう。

他ならぬ私たちだけが彼の存在を知っていた。最終的に、彼はあえてプロジェクトに終止符を打った。壁に描かれた文言を見て、彼が抑制を失ってしまったことを知った...

さぁ、行きたまえ。会話するのに疲れてきた。せねばならん事は、また後で戻って来てから頼む。

<記録終了>

終わりに: 思いがけない対話となりましたが、大げさな発言のせいで、どの程度誇張が入っているかを判断するのが困難です。
ポーラ・エマーソン博士

インタビュー03

インタビュー対象: SCP-748-4 / "ランドルフ・T・メッツガー"

インタビュアー: エマーソン博士

序文: SCP-748-4との第三の公式インタビュー。

<記録開始>

エマーソン博士: より多くの質問に答えて頂いても宜しいですか?

SCP-748-4: 訊きたまえ、場合によっては答えよう。

エマーソン博士: この複合体が何なのかを教えて頂けますか? この目的は何なのです?

SCP-748-4: 君はそれでも自分を研究者と呼ぶかね? なぜ目的を理解することが出来ないのだ? もし君が従業員だったら、解雇した後にスクラップとして坩堝に叩きこんでやるところだ!

エマーソン博士: 訂正させてください。製造のための建造物であることは分かっています、しかし、より大きな目的は何なのですか? どのように動作しているのですか?

SCP-748-4: 産業界を論理的帰結へと導くのが目的なのだよ! それで、どのように動作しているかと? ハッ! [金属質な叫び] 企業秘密だ、友よ。 我々は優位を維持しているのが好きでね。

エマーソン博士: "我々"? あなたが言うのはここにある他の脳のことですか?

SCP-748-4: あれは単に私の記憶を保存するための余剰領域に過ぎん。思考無きパーツ、それ以上の物ではない。私がただ一人だけだと思ったかね? 投資家の下には数多くの者が仕えていた。君はこの場所の真の規模さえ知ってはいるまい?

エマーソン博士: 規模? 説明してください。

SCP-748-4: いや、私の方は退屈してきた。君と話すのは退屈なのだよ。一人にしてくれ。

<記録終了>

終わりに: SCP-748は、似たような数多くの工場の一つに過ぎないようです。妙なことに気付きました ― SCP-748-4は会話において非常に限られた範囲にしか興味を示していません。他に何を支配しているというのでしょうか? 私の考えすぎかもしれませんが。
ポーラ・エマーソン博士

補遺: 1996年08月14日以降、計6名の職員が消息を絶っています。各職員は消失時に他者の視界から外れた地点におり、幾つかのケースでは、近くにいたが機械の裏に回る、あるいは通路の角を曲がるなどしている最中に消失していました。これらの消失の原因は不明のままです。以来、保安プロトコルがこの問題に対処するべく更新されました。

失踪について質問を受けたSCP-748-4は「事故は起こるものだ。諸君の安全は私の知ったところではない」と述べました。

WARNING:

SCP-748の収容違反は進行中のため、この文書は不完全であり、変更される可能性があります。

O5-12

1999年12月31日

アイテム番号: 748
レベル4
収容クラス:
keter
副次クラス:
uncontained
撹乱クラス:
ekhi
リスククラス:
danger

特別収容プロトコル: SCP-748と関連する異常存在は現在未収容です。特別収容プロトコルはSCP-748製品の回収とマモン・イベントの緩和に重点を置きます。

説明: SCP-748は異常な生産活動が可能な工業建築物です。SCP-748は唯一の存在ではなく、潜在的に数百棟はあると考えられる同種の実例と協力体制で機能できると考えられています。サイト-68から回収されたGPSの表示は、南極以外の全大陸に発信源が散在していることを明らかにしました。これは、SCP-748が現在これらの関連する実例群と融合し、次元的異常を介する単一の実例として機能していることを示唆するものです。

現時点では、いつSCP-748が封じ込め違反を起こしたかは不明ですが、サイト-68の保安体制はSCP-748-4の発見直後から危うい状態になっていたと仮定されています。財団は最初に記録されたオメガ=マモン・イベントの発生まで収容違反に気付いていませんでした(サイト-68が破壊されたのはアルファ=マモン・イベントの発生中と思われます)。

アルファ=マモン・イベントは、材料の採取と販売可能な製品への変換を伴う事象です。材料はSCP-748-5個体群によってあらゆる方法で収集され、生物と無生物を区別しません。

SCP-748-5個体は大雑把に人間の姿をしてはいますが、大幅に機械的および外科的増強を受けています。総数は不明ですが、これらはかつてのSCP-748労働者とサイト-68職員で構成されていると考えられています。SCP-748-5は皮膚を欠いており、プラスティネーションと同様の処置を受けているように見えますが、より強力かつ柔軟な材質が用いられています。SCP-748-5の背中には錆びた鉄の籠が取り付けられており、これは上部が解放されていて、明らかに材料収集のため設計されています。左手は工具に置換されており、最も一般的な例は鎌と丸鋸です。顔は完全に切除され、空洞部には(初期の蓄音機に見られるような)喇叭が収まっています。

SCP-748-5は自らを触れることのできない無形存在と化し(この間の彼らは物理世界に干渉できません)、任意の場所に実体化/非実体化できます。このため、生体試料の収容は実質的に不可能です。死亡した個体(SCP-748-5は脳幹の破壊によって終了できます)の解剖の結果は、SCP-748-5の機械構成部品が本体の死亡/無力化の際に自壊することを示唆しています。残される技術は修復不可能であり、研究価値は僅か、あるいは全くありません。

オメガ=マモン・イベントは、小売店へのSCP-748製品の出現を伴う事象です。これらのオブジェクト、ならびに使用される包装は、影響を受けた店舗の従業員と経営者の認知に影響を及ぼします。小売業者がSCP-748製品を奇妙または場違いな物と看做すことはありません。これらの製品を購入する際に使われた金銭は、レジに収められた瞬間に消失します。購入時に使用したクレジットカードやデビットカードからは適切な額が差し引かれますが、何処へ金が転送されたかの証拠は残りません。

最初のオメガ=マモン・イベントは、SCP-748の40km圏内にある小売店へ異常なオブジェクトが大量に流入する事態を招きました。幾つかの異常物品は意図して作られたように思われましたが、その他はSCP-748の創造物の大部分に関連する分子および実存的不安定性の副生成物のようでした。購入された商品は56名の被害者(うち死亡33名)を出し、大規模(かつ継続的)な隠蔽工作を必要としました。

マモン・イベントは、以来、世界的に報告されています。

サイト-68は破壊され、大々的なサルベージが行われていました。生き残った職員は回収に当たった工作員に敵対的であり、回収エージェント9名とサイト-68職員12名全員が死亡しました。他に約50名のサイト-68職員が無力化されることなく姿を消しています。

解剖により、サイト-68職員には化学的処理・ロボトミー・機械的増強を含む重大な改造が施されていたことが判明しました。これ以降サイト-68職員はSCP-748-5に分類されています。彼らが変換を受けたのは少なくとも発覚の2〜6年前ではないかと考えられています。この時期、サイト-68は先進的設備を要求して受け取っており、それらは未だ回収されていません。現在のところ、この装置はSCP-748を修復するために使用されたと理論上想定されています。

SCP-748は現在、変成状態にあります。これらの変成には見てそれと分かるようなパターンが存在せず、回収工作員32名の死亡を引き起こしました ― 死因は主に変形とSCP-748への組み込み、あるいは急激な配線および配管の出現による内臓放出です。CCTV機器が使用できなくなり、リモート操作のドローンは変成事象で即座に破壊されるため、監視は不可能になりました。

補遺: サイト-68に残っていた物から音声データが回収されました。CCTVに記録されていたビデオであり、映像は利用するには余りにも歪みの酷いものでしたが、音声は復活可能でした ― 記録されているのはSCP-748-4による一方的と思しき会話です。これは、SCP-748-4が世界各地の自分に似た実例と通信しているものだと理論上想定されています。財団職員は既にこの時SCP-748-5に変換されていたと考えられます。SCP-748-4は数ヶ月間にわたり、以下のように述べているのが記録されていました。

「起きたまえ、リヴァプール。仕事に戻る時が来た」

「素晴しいアイデアがある。我々が市場を独占するというのはどうかね」

「ああ、トーキョー、生きていたか。戦時中に我々が眠っていたのは惜しいことだよ。最も収益性の高い事業だったろうに」

「誇りに思いたまえ、我が友たちよ。プロジェクトは順調に進んでいる」

「無限大エンジンは再起動した。坩堝が新鮮な材料を求めている」

「我々は長きに渡ってこの時を待っていた! 世界は生産者と消費者のそれとなり、拒否する者どもは工業化されるのだ。我々は宿命を遂行し、自由市場と一つになる...

紳士諸君、ここに宣言しよう ― これより、ザ・ファクトリーは操業を再開する!」

Footnotes
. "ノトス"。南風を司るギリシャ神話の神。
. "エウロス"。東風を司るギリシャ神話の神。
. "ボレアス"。北風を司るギリシャ神話の神。
. 原子精度で反応性分子を配置することによって化学反応を誘導することができる理論上の機器。ユニバーサル・コンストラクターとも呼ばれる。
. 以来PoI-296に分類。現時点では未知の存在であり、異常な技術を提供することが出来た/出来る。
. 訳注:リュディア王国の最後の王(紀元前595-547)。"大金持ち"の代名詞。
. "Trade of Information / 情報貿易"。現時点で未知のデータを取得するために、制限かつ制御された情報を放出して相手に与える駆け引きを指す。
. 意味は不明だが、おそらくSCP-748構成部品の一つと思われる。
. 身体やその一部を保存するために解剖学で用いられる技術であり、1977年にグンター・フォン・ハーゲンスによって最初に開発された。水分と脂肪分をプラスチックに置換することで、解剖学的特性を維持しつつ腐敗を防止できる。
ページリビジョン: 14, 最終更新: 10 Jan 2021 16:08
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