クレジット
翻訳責任者: Yukth Yukth
翻訳協力者: Yamano_Nakano_Kemono Yamano_Nakano_Kemono
翻訳年: 2025
著作権者: Monkeysky Monkeysky
原題: Wiggly
作成年: 2023
初訳時参照リビジョン: 10
元記事リンク: https://scp-wiki.wikidot.com/scp-7071
実験以前に撮影されたSCP-7071の写真
アイテム番号: SCP-7071
オブジェクトクラス: Safe Neutralized
特別収容プロトコル: 実験・観察を理由とした持ち出しがされない限り、SCP-7071は標準的なオブジェクト保管庫に収容されます。
説明: SCP-7071は、ミミズ・昆虫の幼虫・ヘビに類似する外見をした1個のぬいぐるみであり、青色の生地・ポリエステル製の詰め物・2個のボタンから構成されています。当該の玩具は物理的な異常性を持ちません。
当該オブジェクトを用いて自由に遊ぶ・当該オブジェクトについて説明する・当該オブジェクトに関する空想上の物語を話すなど、SCP-7071の近辺に位置する人物がこれらを行うように他者から促された際にその異常性が発現します。この時点で、被影響者の全てで共通されるキャラクターが当該オブジェクトに設定されます。以下に、言及されたSCP-7071のキャラクター性を記載します。
- SCP-7071の名前はウィグリー(Wiggly)である。
- SCP-7071はオスである。
- SCP-7071にはスクイグリー(Squiggly)とジグリー(Jiggly)という名の親とプープシー(Poopsy)という名の妹がいる。
- SCP-7071は6歳である。
- SCP-7071のお気に入りの色は青色である。
- SCP-7071のお気に入りの食べ物はチョコレート・ファッジである。
- SCP-7071のお気に入りの歌は『How to Make Alien Ice Cream』である。
- SCP-7071は歌うこと・絵を描くこと・彫刻を作ることの才能を持つ。
- SCP-7071はそれ単体での飛翔が可能である。
- SCP-7071は全長約3mであり、少なくともヒト1人を背中に乗せることが可能である。
- SCP-7071の親友はビリー(Billy)である。
- SCP-7071は長い間ビリーに会っていない。
- SCP-7071の最優先事項はビリーを探し出して再会することである。
2019年 リトル・フットプリンツ・デイケアセンターでのマーカス・█████によるSCP-7071の描画
回収記録: SCP-7071は、サウスカロライナ州 ██████・█████████に位置するリトル・フットプリンツ・デイケアセンターで最初に発見されました。互いに面識のない複数の児童が同一の架空の存在について話しているという施設スタッフおよび児童の保護者からの証言によって、財団は当該異常性を検知しました。
エージェント・シモン・ヤネチェクは保育雑誌記者に偽装し、現地のデイケアセンターに関する調査を装って、児童およびスタッフにインタビューを実施しました。その過程でSCP-7071が特定、回収されました。
インタビュー#06 - 2022年05月21日 - リンジー・███████ (5歳)
ヤネチェク: こんにちは、リンジー、どのおもちゃが好きなのか教えてくれるかな?
リンジー: わたしはねー、うちのバービーちゃんとー、おっきなクマちゃんとー、スーパーボールが好き。
[ヤネチェクがSCP-7071を指差す。]
ヤネチェク: あのおもちゃはどう?
リンジー: ウィグリーでしょ!ウィグリーは好きだけどお気に入りじゃないな。
ヤネチェク: ウィグリーのどこが好き?
リンジー: わたしと同じで子供なんだけど飛べるし大きいから。
ヤネチェク: 大きい?
リンジー: 彼、キリンぐらい大きいの!
[デイケアスタッフに聞かれないよう、リンジーがヤネチェクに身を寄せる。]
リンジー: それに、"ウンチ(poopy)" みたいな名前の妹がいるんだよ。
ヤネチェク: なるほど、なるほど。じゃあ、どうしてお気に入りじゃないのかな?
リンジー: エイリアンはイヤ。気持ち悪いもん!
ヤネチェク: それじゃ、えっと、つまりウィグリーはエイリアンなの?
リンジー: 違うよ!ウィグリーは普通だけどエイリアンたちといっしょに行くんだよ。それでウィグリーは悲しいの!
[リンジーがSCP-7071の頭を撫でる。オブジェクトに対して直接話しかける。]
リンジー: 可哀相なウィグリー!
ヤネチェク: どうして彼は悲しんでいるのかな?
リンジー: ビリーを見つけることばっかり考えてるから。うんざりだよ。
[ヤネチェクが再びSCP-7071を指差す。]
ヤネチェク: あのオモチャは誰かを探したがってるってことかな?
リンジー: ホンキで受け取らないでよ!やだなー。
[リンジーが立ち上がる。話しながら歩きだす。]
リンジー: もういーい?おそとで走りたいから行くね。じゃね!
[インタビュー終了]
SCP-7071の異常性が最初に発現した時期については不明ですが、スタッフの証言により当該オブジェクトはリトル・フットプリンツ・デイケアセンター(2006年竣工)を以前に利用していた児童の保護者である、ヴァネッサ・ロン・ジョンストン氏によって作成されたことが明らかになりました。
選別された実験記録
実験7071-A: SCP-7071はパース・ソルアンキ研究助手に提示されました。ソルアンキは当該オブジェクトの異常性について一切の説明をされず、レイニー・デイ上級研究員からの質問に答えるよう指示されました。
実験#09 - 2022年06月03日
デイ: このオブジェクトについて詳らかにしてもらえる?
ソルアンキ: こいつは動物のぬいぐるみです。大きなイモムシのように見えます、多分。
デイ: あなたならどんな名前を付けると思う?
ソルアンキ: 名前を付けるとするなら、ウィグリー、でしょうか?
デイ: その名前には理由がある?
ソルアンキ: 見た目のまま、そうじゃないですか?つまり、くねくね動く(wiggle)んじゃないかってそんな風に見えるので。
デイ: このオブジェクトのパーソナリティについてはどう言葉にできる?
ソルアンキ: 言葉にするのならフレンドリーでしょうか、でも心配性というか、もしくは不安定な性格と言えるかも?
[ソルアンキが口ごもる。気恥ずかしそうにしている。]
ソルアンキ: つまりですね、彼、もしくはコレですか、が仮に実在するとしたら、そう思えるってことですよ。実際にはパーソナリティなんてありはしませんけど。
デイ: 分かってます。見てくれの観察から、オブジェクトについて何か他にわかることは?
ソルアンキ: ハンドメイドって感じの見た目というか、まるで何度も手直しされていたみたいです。彼、じゃなくてコレ、は小さい子のために作られたように見えますし、それに、とても柔らかそうに見えます。まぁ、最後に言い加えたことはぬいぐるみの大半で言える内容ですけど。すみません、それ以外はどうにも。
デイ: このオブジェクトについて、ここまでで何か異常な特性を目にしなかった?
ソルアンキ: いえ、ないと思ってますが。何かあるんですか?
[実験終了]
実験7071-B: SCP-7071はルビー・イレーヌ研究助手に手渡されました。イレーヌは当該オブジェクトの異常性について一切の説明をされず、当該オブジェクトを用いて自由に遊び、その様子を観察しているレイニー・デイ上級研究員へ自身の行動について口述して説明するように指示されました。
実験#17 - 2022年06月22日
デイ: どうぞ、始めて。
[イレーヌがまずSCP-7071を持ち上げる。飛翔しているかのようにオブジェクトを宙で泳がせる。]
イレーヌ: 彼の家族にお別れを言っているところです、私たち2人して暫くおうちを離れますから。
[SCP-7071の発言と区別するため、イレーヌが高い声風で話す。]
イレーヌ:「さよなら、スクイグリー!さよなら、ジグリー!さよなら、プープシー!」
[SCP-7071を把持したイレーヌが部屋の反対側まで移動する。SCP-7071を宙高くに掲げる。]
イレーヌ: ウィグリーと私とは友達のビリーを探しています、でも迷子なんです。
デイ: 2人して迷子なの?
イレーヌ: 私たちは海を、そして見たこともない沢山の島々の上を飛んで越えています。ウィグリーは背中に私を乗せたままで。緑色をした小人の沢山いる島が1つあって、その島では小人たちが歌ったり踊ったりをしていて、でも…
[イレーヌがSCP-7071の声色で続ける。]
イレーヌ:「ビリーがここにいてくれたらなあ。」
[イレーヌがSCP-7071を頭上高くに持ち上げる。床に向かうようにオブジェクトを傾ける。]
イレーヌ: 私たちは大気圏外まで飛んでいって、下方にはエイリアンのパーティ全体が一望できます、でもどこにもビリーは見つけられない。可哀相なウィグリー。
[イレーヌがデイに向かい話しかける。]
イレーヌ: そろそろ何か起こる手筈でした?これはこれで面白いのですけど、何か起こる想定なのですか?こんなの無意味だと私は思います。
[実験終了]
実験7071-C: SCP-7071はベリンダ・ジョンストンに渡されました。ジョンストンは当該オブジェクトの元の所有者であり、ジョンストンの現職のスケジュールと合わなかったために実験への参加が遅れていた状態が続いていました。
ジョンストンには遊び行動に関する心理学的研究の被験者として選ばれたことが知らされ、レイニー・デイ上級研究員の監督のもとで当該オブジェクトと自由に会話するように指示されました。
実験#41 - 2022年07月15日
[本記録におけるジョンストンは、まるでSCP-7071が返事をしているかのように定期的に発話を止めてはSCP-7071を見つめていた。]
ジョンストン: ウィグリーじゃない!元気だった?
ジョンストン: あーん、私も寂しかったよ、ウィグリー。
ジョンストン: 本当にね、随分と久しぶり。私の顔ほとんど忘れちゃってたんじゃない?
ジョンストン: あら、ならよかったのにね!でもダメ、宇宙からのヒトには全然出会えてないの、少なくとも私に分かる範疇ではね。
ジョンストン: うん、叶えたよ!いつかやってやるって、ずっと言ってたとおりに。
ジョンストン: あの頃思ってたよりもとっても大変なことで、だけど大好きなんだ。
[ジョンストンが大声で笑う。]
ジョンストン: それ覚えてるなんて信じらんない、けどそうだね、今でもおんなじCD持ってるよ。うちのクラスの子みんな、その歌が大好き、それに『Alien Food』もね。
ジョンストン: いいえ、あの、彼女はもういないの。
ジョンストン: ええ、もちろん。
ジョンストン: そうだったね、あの人はそうだった。
ジョンストン: 私もそう思ってるよ。きっとどこかで会えるんだって、そう思うんだ。
ジョンストン: そんな、心配しないでウィグリー。いつだって私もそのどこかにいるからね。
ジョンストン: そう、衛星みたいに。あなたの愛を私に送って、そうしたら私の愛が送り返されてくるから。そしたらいつだって私がそこにいることが感じられるから、私に何が起こってもね。
ジョンストン: そう、ママみたいに。そうね。
ジョンストン: 心配しなくていいのよ、ね?
ジョンストン: じゃあ、ウィグリー、私そろそろ行かないと。
ジョンストン: 分かってる、でも大丈夫だよ。私が言ったことを忘れないで。愛を送れば、それは自分に返ってくるからね。
[ジョンストンがSCP-7071の頭を撫でる。]
ジョンストン: さよなら、ウィグリー。
[実験終了]
実験-7071-Cの後、ベリンダ・ジョンストンはデイ上級研究員からの質問に対し、当該オブジェクトとは会話をする真似をしていただけであり、本実験最中において異常に思われることは全くなかったと答えました。
実験-7071-C終了後、SCP-7071はいかなる異常性も示さなくなりました。現在に至るまで、ジョンストンの家族にSCP-7071以外の何らかの異常現象と関係する人物はいませんでした。