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アイテム番号: SCP-6691
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-6691はサイト-81で常時鎮静状態に保たれ、冷凍状態での保存が準備されています。近親者や地元のメディアには、住宅のガス爆発で死亡したというカバーストーリーが流布されています。
説明: SCP-6691は、アメリカ合衆国ペンシルベニア州出身の63歳の農家で5人の子供をもつ、ロバート・"ボブ"・フィールドの肉体です。2019年07月06日、SCP-6691の近隣住民はフルトン郡に位置する彼の住宅から爆発が発生し、建物の大部分が破壊されたと通報しました。
救急隊が到着した際、SCP-6691は首から下の内臓、骨、筋肉のほとんどを欠いた状態で発見されました。この臓器は建物のがれきに散乱していました。深刻な外傷を負ったにもかかわらずSCP-6691は生存しており、意識を朦朧とさせながらもがれきからSCP-6691を救助した消防士と会話をすることが可能でした。財団は混乱した消防士の無線メッセージを傍受し、アノマリーの存在を認知しました。
補遺:
SCP-6691は救急救命士を装った財団エージェントによって拘留されました。アノマリーはサイト-81に移送され、民間の病棟を模して建造された医療ユニットに収容されました。SCP-6691の精神状態、自身の状態に対する認識、およびその異常性の潜在的な発現要因を把握するためにダゴン博士によりインタビューが実施されました。
[[記録開始]]
[SCP-6691は病院用ベッドでネックカラーを着けた状態で寝かされており、それにより本人から自身の体が見えなくなっている。インタビューが開始すると、SCP-6691は移送中に使用された麻酔から意識を取り戻す。頭部は正常な構造と外観を保っているが、首から下は萎んでいるように見える。皮膚は垂れ下がっており、内部に骨や臓器が存在しないことを示している。]
SCP-6691: ここは…ここはどこだ?
ダゴン博士: こんにちはロバート、私はダゴン博士です。聞こえますか?
SCP-6691: ああ、聞こえる。 聴覚に障害はない。
ダゴン博士: ここはカウンティメディカルセンターです。あなたは自宅で事故に遭ったのです。爆発です。気分はどうですか、苦痛はありませんか?
SCP-6691: ここしばらく苦痛だよ…結婚式の日からな!
[SCP-6691は起き上がり、ダゴン博士を見つめる。博士は笑わない。]
SCP-6691: いや、いつも以上にだな。俺に何が起きたんだ、博士?
ダゴン博士: それを調べているところです。
[ダゴン博士はSCP-6691に接近し、以前は右手だった萎びた皮膚の山を軽く叩く]
ダゴン博士: 感触はありますか?
SCP-6691: ああ、感じる。
ダゴン博士: わかりました。では今が何時か言ってもらえますか?
[ダゴン博士は壁にかけられた時計を指さす。時計は19:45を示している。]
SCP-6691: もちろんだ、俺はアナログ時計というものについて知って育った最後の世代だぞ!若いガキ共ならたぶんあれを芸術作品とでも思うだろうな。6時45分だ。
ダゴン博士: ...結構です。さて、何か思い出せますか?
SCP-6691: 多くはない。俺は家にいて、家族は外出してて、それで俺は妻が先週買ってきた新品の電子レンジを試してた。いつも通りのくだらん金の無駄遣いだ。だがそのクソ機械は壊れた。技術ってのは複雑になるにつれ壊れやすくなるもんだ、だろう?
[ダゴン博士はSCP-6691の胴体を調べ始める。]
SCP-6691: だろう?
ダゴン博士: あー、ええ — 分かります。ロバート、左のつま先を動かしてみることはできますか?
[現在SCP-6691の左脚をなしている皮膚の束が弱弱しくはためき、病院用ベッドを打つ。]
SCP-6691: 俺の時代にはな、コンロに火をつけて昔ながらの自然食品を食べてた。そのおかげでタフになれたもんだ。だが今は何をするにも時間に追われてる。それで俺たちは電子レンジで作んなきゃならない放射性食品をまるで家畜みたいに餌付けされてるんだ。だから若い世代は全員弱っちいんだ、だろ?あいつらは自分の食いもんのためには働いてねえんだ。
ダゴン博士: 爆発の原因となったものを覚えていますか?電子レンジだったのでしょうか?
[SCP-6691が不明瞭につぶやいている間に、ダゴン博士はフィールドチームに電子レンジを見つけ異常な改ざんがないか調べるよう指示するメッセージを送信する。]
ダゴン博士: すみませんロバート、もっと大きな声で言ってもらえますか?
SCP-6691: 覚えてないって言ったろ!あんたは俺に耳が聞こえるか尋ねてるがな、聴力検査が必要なのはあんたのほうだ。そしてあんたからしたら俺はフィールドさんだ、若造。俺の払った保険料はあんたらの給料になってんだぞ!この国の最近の社会保障は、どんどんクソに成り下がってやがる。
[SCP-6691の右脚が膨張し始め、本来の形状を取り戻す。これにダゴン博士は気づかない。]
ダゴン博士: わかりました、フィールドさん、申し訳ありません。どうするのがあなたの助けになる最善の方法か考えています。一緒に何が起こったのか調べてみましょう。そうすれば解決できるはずです。それで問題ありませんか?
SCP-6691: フン。たぶんな。
ダゴン博士: それではあなたはこの新品の電子レンジのセットアップに苦労していたということでよろしいですね?一通り教えてくれませんか-
[SCP-6691は再度大声を上げる。空気で膨らませたかのように全身が膨張し始める。]
SCP-6691: そんなことは言ってない。お前世代がどう思おうが、俺たち年上が使い物にならなくなったなんてことはない。それと俺の口に言葉を詰め込んでくる下らない科学野郎なんか必要としてない。俺は物がどう動くかも分からないろくでなしの怠け者なんかじゃない!俺はこれまでの全生涯を完全に立派にやってきた。ブルーベリースマートフォンだって自分で設定したのを手に入れた!クソ電子レンジはぶっ壊れた!プラグを挿して、残り物を投げ入れて、それで何も起きなかった!
[ダゴン博士の電話が、電子レンジが発見されたが異常性は確認されない旨を伝えるサイト主任からのメッセージの通知音を鳴らす。SCP-6691は声が大きくなると同時にその身体が膨張し続ける。ダゴン博士はこの事態に気づき驚く。]
SCP-6691: 最近のクソスマホ中毒のお前らは!5分の会話でさえもメッセージを送りあったりtikとかtokしたりせずにできやしない!きっとお前らは俺たちが昔はダイヤル式電話をポケットに入れて持ち運んだとか本には電源ボタンがついてるだとか思ってるんだろうな!
ダゴン博士: あの、あなたの体が-
[SCP-6691は膨張を続け、その下にある病院用ベッドは過重により押しつぶされ変形する。]
SCP-6691: それはお前がbookとFacebookの違いを知ってさえいればの話だ。だが言いたいことがある、若造。俺たちはお前ほど生きるのは簡単じゃなかった。他人と話すのにも頑張って、努力しなくちゃならなかった。お前は力強い握手を交わしたこともないに違いない。全員礼儀知らずの世代で愚痴うるさいガキ共が。教えてやる、ニュースはずっと俺たちのガキ共に残す地球について心配しているがな、それ以上に地球に残そうとしてるガキ共の方こそ心配しなきゃならねえ!
[SCP-6691は病院用ベッドからあふれ出て付近の机と椅子を倒す。ダゴン博士は後ずさる。]
ダゴン博士: どうか落ち着いてください。あなたに何が起きているのか分かった気がします-
SCP-6691: ほう、そうか?天才少年ならいきなり全ての答えが分かるとでも?お前世代は全員自分がどんなことでも分かってると思ってやがるがどうなんだ?お前はなんにも知らない!お前らは2年かけてガキ共に喋ることを教えて、それから残りの全人生かけてそいつらを黙らせることを教えるんだ!俺の時代だったら口をチャックして聞くことをすぐに学習したのに。だが今ここでお前は、俺がお前に話してるときに邪魔してくる。俺はあの電子レンジ、あのクソボケ電子レンジが操作できなかった!誰が電子レンジにタッチスクリーンなんかつけやがった、俺がどうしてその使い方なんざ知ろうとしなきゃならないんだ!そんなことをするイカれた理由はねえ、あれが信用に背いたんだ!ものの進歩する速さっつったら、誰がどうしたくて-
[ダゴン博士は部屋の扉から隣接する廊下に出ることを余儀なくされている。SCP-6691の巨体は部屋全体のほとんどを占めている。]
ダゴン博士: ボブ!落ち着いてください!そうしないと爆は-
SCP-6691: お前は俺のことを老が-BOO-
[SCP-6691は爆発し、内臓がその直近からダゴン博士の後方にまで飛び散る。爆発の衝撃により部屋の強化天井と強化壁が崩壊する。残骸が晴れると、SCP-6691は空中で元の萎んだ状態に戻っており、破片の山に緩やかに落ちて止まる。]
[ダゴン博士は立ち上がり、体を払ってSCP-6691に近寄る。]
SCP-6691: 見ていろ。あんたが俺と同じ歳になってこんな体の変化に対処することになったらそんなに面白くは思えないだろうさ。
[[記録終了]]