初めに
SCP-654-JPは、21██年██月██日に突如出現したオブジェクトです。項目内容を編集・消去・追加・閲覧制限を設けることは、全て失敗に終わりました。
SCP-654-JPは、SCP-654-JP-補足-B・SCP-654-JP-補足-C・[データ破損]・SCP-654-JP-補足-Eで構成されています。いずれの補足内容は転載されたもので、現実世界で現存する財団職員が記述した情報及び内容は一切含まれていませんSCP-654-JP項目前ページにセキュリティレベルの承認を行うことで、閲覧制限を行っています。セキュリティレベル3以上の職員にのみ閲覧が許可されます。
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セキュリティレベルを承認しました。
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Item #: SCP-654-JP
Object Class: Euclides Kether Juggernaut
取扱方: SCP-654-JPが観測可能である██山に建設された礼拝堂から半径500m以内の区域を封鎖し、職員及び部外者がSCP-654-JPを視認することがないよう監視を行って下さい。封鎖区域に侵入しようとした人間には、尋問と記憶処理を実施して下さい。SCP-654-JPの観測領域の拡大が確認された場合、サイト管理者に報告し、封鎖区域の範囲を拡大して下さい。
概要: SCP-654-JPは██県███市に位置する、標高820mの██山の中腹に建設された礼拝堂の中庭内の上空、半径約4m150m内(以下、領域)を肉眼で視認した瞬間、認識障害を発症する異常空間です。SCP-654-JPは領域外から上空を視認した場合、認識障害を発症することはありません。SCP-654-JPが観測可能である礼拝堂は25██年、新興宗教の一員である███氏が建設したもので、オブジェクトが財団に発覚するまで50年もの間、使用された痕跡はありませんでした。
SCP-654-JPが観測可能な礼拝堂の中庭
SCP-654-JPによる認識障害は、時間経過によって症状が進行します。進行の度合いは極端な個人差があることが判明しており、中期症状者は記憶処理を施すことで初期症状に症状を緩和させることが可能ですが、SCP-654-JPによる影響から脱することは出来ません。
初期症状における一般的な症状として、自然界に存在する雲や発生した波浪を罅割れや亀裂・星や月等の天体を穴のように認識します。その他に軽度の高所恐怖症を発症します。
中期症状では、初期症状で報告される症状の他に、異常な圧迫感を訴えるようになります。中期暴露者に圧迫感の理由を尋ねたところ「段々小さくなる」とコメントされており、この発言の意味は未だ明らかになっていません。
中期暴露者は夜間になると異常な行動を開始します。天体に向けて両腕を伸ばして、中空を掻き分けるような仕草を行います。この時暴露者は「月が出口(もしくは穴)であり、早く出なければならない」と訴え、付近に鏡や水面など天体が投影された物体が存在する場合、その穴に急接近し中に入ろうとする動作を行います。この異常行動の投影対象が鏡である場合、爪が剥がれることも厭わず、時間経過によって天体が投影されなくなるまで鏡面を引っ掻きます。水面が対象の場合 [データ消失]、溺死するまで同様の行動を行うことが確認されています。
末期暴露者は重度の高所恐怖症と閉塞感を訴えるようになりますが、中期暴露者と同じ異常行動を行うことはありません。末期暴露者は未観測者に対して、SCP-654-JPを視認したことにより発症した認識異常を認知させようと、積極的にオブジェクトに関する発言を行います。末期感染者の話に興味や共感を抱いた人間は、SCP-654-JPを直視の有無に関係なく、初期症状と同様の認識障害と恐怖症を発症します。末期感染者による二次感染は初期症状のみに限定され、SCP-654-JPを視認しない限り症状が進行することはありません。
Appendix-1: SCP-654-JPの観測領域は、拡大することが判明しました。SCP-654-JPの収容当初SCP-654-JPの観測領域は半径約4mで、礼拝堂中庭の半分程度の面積でした。しかしSCP-654-JPを収容してから3年後、その領域は約150mに拡大。この拡大現象はSCP-654-JPの周辺地域を監視していた職員が、SCP-654-JPによる認識障害を発症させたことにより判明しました。SCP-654-JPの領域拡大について大森博士は、拡大現象の発覚前[編集済]の沖合いで震度6弱の地震が発生しており、地震に影響され領域が拡大したのではないかと指摘しています。
アイテム番号: SCP-654-JP
オブジェクトクラス: Euclides Malchut Juggernaut
取扱方: SCP-654-JPが観測可能な██山に建設された礼拝堂[データ消失] 現在SCP-654-JPが日本国内において観測不可能な場所は存在しません。オブジェクトの収容及び秘匿は未達成のままです。現在財団は機動部隊-や"杞憂"を派遣し、対認識障害防護フルフェイスを着用して、SCP-654-JPの影響を受けた一般市民への対応を行っています。SCP-654-JPを無力化及び終了する方法を急募しています。
概要: SCP-654-JPは██県███市に位置する、標高820m██山[データ消失] この礼拝堂は24██年[データ消失] SCP-654-JPを視認した人間は認識障害[データ消失] 中林博士は[データ消失]
SCP-654-JPは自身の位置や距離に関係なく、マグネチュード3.0以上の地震が[データ消失] 拡大することが判明しました。SCP-654-JP収容から██年で、████回の地震が確認されており、収容当初半径約4mであった領域が、150m・300m・10km・300kmと拡大していきました。
現在SCP-654-JPの半径は約1800kmにまで達しており、日本国内に限らず中国大陸からでも観測が可能です。SCP-654-JPの領域が半径200kmを超過した時点で、領域外からの視認でも認識障害を発症することが判明、SCP-654-JPの暴露者は日本国内だけでも1.█億人が確認されており、その数は明らかに財団が対応できる規模を超過しています。
SCP-654-JPがこのまま拡大傾向を停止しなかった場合、EK-クラス世界終焉シナリオを想定し、アンカー計画を実行 [データ消失]
浮上するSCP-654-JP-1
SCP-654-JPの観測領域が約1500kmを超過した時点で、[編集済]の沖合いに、半径約████kmの球体が出現しました(以下、SCP-654-JP-1)。SCP-654-JP-1は自身から10km周辺のあらゆる物体を未知の手段で消滅させながら海底から浮上。SCP-654-JP-1は現在、上空2.3km地点で浮上を停止しています。
SCP-654-JP-1が浮上活動を停止した瞬間、上空に長さ約250km・幅約30kmに渡る裂け目が出現しました。その裂け目の左右に細かい亀裂が発生し、現在も範囲が拡大しています。また亀裂の他に、SCP-654-JP-1を始点に海面及びあおぞらに異常現象が発生、地球上の全海域は「宇宙空間のよう [データ消失] 機動部隊-や"杞憂"を派遣し、調査に参加したエージェントにインタビューを行いました。
オブジェクトナンバー: SCP-654-JP
OC: Euclid Juggernaut
説明: SCP-654-JPは██県███市 [データ消失] この礼拝堂は23██年 [データ消失]
[編集済]の沖合いに [データ消失] 機動部隊-や"杞憂"がSCP-654-JP-1の調査を行っています。
[データ消失]
SCP-654-JP-1-調査インタビュー記録
対象: エージェント・七瀬
インタビュアー: 小木博士
付記: エージェント・七瀬は[編集済]に浮上したSCP-654-JP-1の調査を行った人員の一人です。
<録音開始>
[データ消失]
小木博士: [ノイズ] それで、[編集済]に出てきたSCP-654-JP-1の様子はどうだったんだ?
エージェント・七瀬: 浮上が停止してから調査に向かったんだが、あれ [ノイズ] だ。SCP-654-JP-1の真上に、大きな裂け目が突然発生した。裂け目は縦に真っ直ぐ伸び、亀裂が左右に細かく拡がった。
小木博士: [ノイズ]
エージェント・七瀬: [ノイズ] ......裂け目を見ていたら、その中に宇宙が見えた。地球の外に宇宙があることは知っているが、普通距離的に見えるわけがないのに、確かに見えた。裂け目の中をみていると、そこに青い曲線があった。
小木博士: 曲線?
エージェント・七瀬: どう言って良いのかわからない。ただ、裂け目の向こうに青い線が見えたんだ。最初は目を凝らさなくても見ることが出来たが、時間が経過するごとに細くなっていった。......まるで水溜りに滴が落ちて波紋が広がるように、青い線は遠くに離れていったんだ。
小木博士: [ノイズ] か?
エージェント・七瀬: そうか [ノイズ] い。でも、見間違いじゃない。
小木博士: ......それで、どうなったんだ?
エージェント・七瀬: 青い線が遠ざかるにつれて辺りは夜のように......いや、宇宙のような景色に変化していった。変化したのはあおぞらだけじゃない......SCP-654-JP-1も段々変わっていった。SCP-654-JP-1は最初オーロラのような色をしていたが、海の紺碧と、空の群青を反映したかのように変色していった。
エージェント・七瀬: SCP-654-JP-1は周りの風景と合わさって、宇宙にポツンと浮かぶ地球のようだった。......場違いな事を言うかもしれないが、地球の中には地球があるんだと、そう思った。
小木博士: [ノイズ] しれない。SCP-654-JP-1の発生始点 [ノイズ] の真ん中だった。地球空洞説というのを知っているか? 地球の中核は空っぽで、空白部位に知的生命体や未知の惑星があるのではないかという説だ。
エージェント・七瀬: ......博士、空白部位に今の地球より小さな地球が入っている、ということですか? だとしたら、今起きている現象は一体......。今私達がいる地球も、かつては大きな星の中に入っていたと言うのですか?
小木博士: もしそれが正解だったら、今起きているSCP-654-JPの影響は、地球が破壊され中身が出ている段階......そうだな、卵の殻があおぞらで、白身が宇宙、黄身が地球......イヤイヤ、バカなことを言った。忘れてくれ。
エージェント・七瀬: お疲れですか?
小木博士: ちょっと疲れているが何ともない。そう言うきみこそ大丈夫か? 目に何かが入ったと聞いたが。
エージェント・七瀬: 大丈夫です。上を見ていたら、あおぞらの破片が入っただけ......[ノイズ]
<録音終了>
アイテムナンバー: SCP-654-JP
オブジェクトクラス: Eukleides Juggernaut
特別収容プロトコル: SCP-654-JPの本来の項目と、出現したSCP-654-JP-補遺-B・-C・[データ消失]のデータベースの調査を行ってください。礼拝堂の中庭内の上空に異常性が発現した場合、正式にオブジェクトとして研究及び収容を行います。
[データ破損]に添付されていた画像。遠ざかる青い線
説明: SCP-654-JPは22██年 [データ消失]、『本来、SCP-654-JPとして』登録されるはずだったオブジェクトの報告書をアーカイブした瞬間、未知の手段で改変された記事です。本来存在していたオブジェクトの研究内容・報告書は全て改変事象により消失され、SCP-654-JP-補遺-B・-C・[データ破損]に変化しました。改変による現象は書類物に限らず、正規のSCP-654-JPについて記憶を保持する者は、財団内部の人間を含め誰も存在していません。
改変により出現したSCP-654-JPのデータベースは、編集・追記・消去といった操作を"拒絶"します。しかし内部に侵入を行うことは可能で、データ内部はA、B、C、[データ破損]、E、Fの6文字で構成されていることが判明しました。
文字列は1文字つき約2GBほどの異常な容量を有し、この文字列はファイル変換プログラム等、"仕掛け"が施されていないにも関わらず、あらゆる電子機器の画面上に補足-B・補足-C・[データ破損]として表示されます。改変されたSCP-654-JPは別次元の財団から何らかの手段で転移した記事である可能性が指摘されていますが、認識障害の可能性を視野に調査を行っています。
補足-B・補足-Cに記載されている情報を元に、██県███市に位置する██山を調査したところ、礼拝堂が建設されていることが判明しました。礼拝堂の敷地内には中庭が設けられており、Dクラス職員を用いて上空の調査を実施しましたが、補足-B・-Cに記載されているような認識障害は発生しませんでした。しかし特筆すべき点として、礼拝堂周辺の上空は厚い雨雲に覆われているのに対し、中庭内の上空は快晴状態でした。その異常性を考慮しAnomalousアイテムに分類した上で、礼拝堂付近に人員を派遣し監視を行っています。
監視員から礼拝堂に関する異常性が報告された場合、礼拝堂から500m周辺を封鎖し禁止区域を確立し、補足-B・-C・[データ消失]を参照にオブジェクトの研究が行われます。なお、[編集済]の沖合いを調査したところ、海底█████mに未知の球体が存在していることが判明しました(以下、球体をSCP-654-JP-1)。SCP-654-JP-1の調査報告は、梨枝博士の調査書類を参照して下さい。