クレジット
タイトル: SCP-6376 - 真っ赤な木。
翻訳責任者: Musibu-wakaru Musibu-wakaru
翻訳年: 2025
原題: SCP-6376 - A Red Tree.
著作権者: LizardWizard LizardWizard
作成年: 2022
初訳時参照リビジョン: 5
元記事リンク: https://scp-wiki.wikidot.com/scp-6376
発見時のSCP-6376。2013年04月03日撮影。
アイテム番号: SCP-6376
オブジェクトクラス: Thaumiel
特別収容プロトコル: 財団の前哨基地-6376はSCP-6376のもとの所在地を取り囲うように建設されました。SCP-6376は前哨基地-6376内の施錠された庭に収容されています。約2週間ごとに10リットルのヒトの血液をSCP-6376周囲の土壌と根に注ぎます。
倫理委員会による明確な承認がない限り、儀式-6376は禁止されます。
説明: SCP-6376は鮮やかな赤い葉を持つ未知の種の樹木です。SCP-6376は生存のために定期的にヒトの血を必要としますが、その他の環境要件はありません。SCP-6376は季節の変化によって葉を落とすことがなく、目立った成長もしません。SCP-6376を伐採や樹皮への彫刻などの手段で傷つけようとする人物はその行いをやめるように警告する声を聞き、それでもなおSCP-6376を傷つけ続けると、その人物が衰弱させられるような幻覚を見ます。
SCP-6376の「声」は儀式-6376や人間がSCP-6376を傷つけようとした場合など、特定の状況下でSCP-6376が発する人間の話し声に似た幻聴です。この幻聴は半径30メートル以内の人間や動物全員に発生し、障害物の影響を受けません。この声を聞いた人物は、この声のことを重厚で楽しげな口調の、低く中性的なものであると説明します。
儀式-6376はSCP-6376とコミュニケーションをとるための儀式です。SCP-6376には予言能力があると考えられ、過去に財団に対して有益な情報を提供してきました。これにより、SCP-6376はThaumiel指定を受けています。
補遺1: 儀式-6376
儀式-6376はSCP-6376から情報を得る方法です。はじめに、儀式を行う者は犠牲を捧げなければなりません。その方法は様々ですが、ヒトの身体の一部(血液、骨、髪の毛など)を捧げる必要があります。儀式を行う者にとって犠牲がどれだけの価値があるかによってSCP-6376によって得られる情報の価値は高まります。
生贄は捧げられた後、SCP-6376の根の上に横たわる必要があります。すると根が動き出し、生贄を自身の足元に引きずり込みます。生贄がSCP-6376に受け入れられると、儀式を行う者は質問をしなければなりません。生贄が質問の価値に見合ったものであると判断された場合、SCP-6376は返答します。生贄の価値が不十分である場合、SCP-6376はさらなる生贄を要求します。
補遺2: 注目すべき儀式-6376の実例
儀式-6376-1
実施日: 2013年05月10日
実行者: ミランダ・サイクス上級研究員。
犠牲: 血液1リットル。
質問: 「あなたは何ですか?」
返答: 「我は木である。」
儀式-6376-2
実施日: 2013年05月10日
実行者: ミランダ・サイクス上級研究員。
犠牲: 血液1リットル。
質問: 「なぜ話すことができるのですか?」
返答: 「それを教えるにはもっと供物が必要だな。」
儀式-6376-3
実施日: 2013年05月11日
実行者: ミランダ・サイクス上級研究員。
犠牲: 医療用余剰品より、1本の腕。
質問: 「なぜ話すことができるのですか?」
返答: 「そのようにさせられたからだ。」
追記:
SCP-6376は自分自身に関する情報を話したがらないようです。本日の残りの質問は私の助手に託します。—サイクス博士
儀式-6376-4
実施日: 2013年05月11日
実行者: リチャード・ホームズ次席研究員。
犠牲: 医療用余剰品より、1本の腕。
質問: 「あなたを作ったのは誰ですか?」
返答: 「お前の犠牲はその質問に不釣り合いだ。」
儀式-6376-5
実施日: 2013年05月11日
実行者: リチャード・ホームズ次席研究員。
犠牲: 医療用余剰品より、1本の脚。
質問: 「あなたはどのくらい物を知っているのですか?」
返答: 「最適な表現としては...何でもだ。」
儀式-6376-6
実施日: 2013年05月11日
実行者: リチャード・ホームズ次席研究員。
犠牲: 医療用余剰品より、1本の脚。
質問: 「何でも? あなたは全知なのですか?」
返答: 「お前の視点から見れば、そうだ。」
儀式-6376-9
実施日: 2013年05月13日
実行者: ミランダ・サイクス上級研究員。
犠牲: ヒトの心臓1個。
質問: 「この儀式の後、乱数ジェネレーターが1から1,000,000,000までの100個の数字を生成します。これらの数字は何ですか?」
返答: 「683,134,009、592,351,900、...[簡潔にするため省略]...そして897,329,444だ。」
追記:
与えられた数字はすべて正確でした。
儀式-6376-13
実施日: 2013年05月15日
実行者: ミランダ・サイクス上級研究員。
犠牲: 医療用余剰品から得たヒト血液10ミリリットル。
質問: 「私は誰ですか?」
返答: 「ミランダ・サイクス上級研究員、人類学博士、ストラトフォード・アポン・エイボンで1982年12月7日に産まれ、国民保険番号は██-██-██-██-█。」
儀式-6376-14
実施日: 2013年05月15日
実行者: ミランダ・サイクス上級研究員。
犠牲: 地元の肉屋から得たブタ血液10ミリリットル。
質問: 「私は誰ですか?」
返答: SCP-6376は犠牲を受け入れることを拒否し、それを片付けるよう要求しました。
追記:
つまり、SCP-6376はヒトの犠牲しか受け入れません。—サイクス博士
儀式-6376-15
実施日: 2013年08月15日
実行者: リチャード・ホームズ次席研究員。
犠牲: ヒトの脳1個。
質問: 「あなたは神ですか?」
返答: 「いくつかの定義によれば。」
追記:
翌日、ホームズ博士はSCP-6376に関する複数の奇妙な夢を報告しました。これらの夢はそれ以降の夜に繰り返されなかったため、非異常であるとみなされました。
儀式-6376-17
実施日: 2013年05月18日
実行者: ミランダ・サイクス上級研究員。
犠牲: 医療用余剰品から得たヒトの死体1体。
質問: 「SCP-8███の最適な収容方法は何ですか?」
返答: 「それを群れから隔離し、鉄の壁で囲え。収容室内に塩で円を描き、3日に1度は必ず塩を取り替えろ。21日毎に、塩の円の中に一頭のヤギを押し込め。ヤギが食い尽くされればそいつは大人しく座り込み、お前らは自由に骨を掃除できるだろう。」
追記:
この実験で、SCP-6376が財団にとって非常に貴重な資産になり得ることを示せたことを願っています。—サイクス博士
儀式-6376-19
実施日: 2013年05月24日
実行者: リチャード・ホームズ次席研究員。
犠牲: ヒトの死体1体。
質問: 「SCP-0███はどこにいますか?」
返答: 「マリアナ海溝の底だ。だが案ずるな。圧死して異常な影響も消失した。」
儀式-6376-26
実施日: 2013年07月01日
実行者: ミランダ・サイクス上級研究員。
犠牲: ヒトの死体1体。
質問: 「SCP-3███には何が起こったのですか?」
返答: 「それは"蛇の手"によって奪われ、今はネパールのポカラにある倉庫の何も書かれていない箱の中にある。」
儀式-6376-35
実施日: 2013年07月25日
実行者: ミランダ・サイクス上級研究員。
犠牲: ヒトの死体1体。
質問: 「財団に潜入しているすべての二重スパイの名前は何ですか?」
返答: 「悪いが、お前の犠牲は不十分だ。」
儀式-6376-36
実施日: 2013年07月25日
実行者: ミランダ・サイクス上級研究員。
犠牲: ヒトの死体3体。
質問: 「財団に潜入しているすべての二重スパイの名前は何ですか?」
返答: 「お前の犠牲は、改善はしたがまだ不十分だ。」
追記:
ここらが1つの質問に費やせる上限ですね。—サイクス博士
儀式-6376-37
実施日: 2013年07月26日
実行者: リチャード・ホームズ次席研究員。
犠牲: D-2349。
質問: 「財団に潜入しているすべての二重スパイの名前は何ですか?」
返答: SCP-6376は128人の財団職員の名前のリストを提出しました。128人のうち41人は人質や盗まれた異常存在と交換され、32人は情報のために尋問され、4人は警告した上で解放され、残りの53人のうち30人は前哨基地-6376でDクラス職員として雇用されました。
追記:
この儀式の後、ミランダ・サイクス研究員はプロジェクトから撤退しました。今回の功績が認められ、リチャード・ホームズ氏が研究員に昇進しました。
儀式-6376-42
実施日: 2013年08月15日
実行者: リチャード・ホームズ研究員。
犠牲: D-6376-3。
質問: 「人生の意味は何ですか?」
返答: 「それは個人によって異なる。」
儀式-6376-49
実施日: 2013年08月24日
実行者: リチャード・ホームズ研究員。
犠牲: D-6376-8。
質問: 「現時点で財団にとっての最大の危険は何ですか?」
返答: 「都合が悪い時に不本意にヴェールが崩壊し、大衆がお前らに反抗して立ち上がることだ。」
追記:
この儀式は、途中で犠牲者が庭からの逃亡を試みたため中断されました。幸運にも、前哨基地-6376のセキュリティチームは犠牲者が庭から逃げる前に彼らを排除することができました。
儀式-6376-54
実施日: 2013年09月01日
実行者: リチャード・ホームズ研究員。
犠牲: D-6376-14。
質問: 「今後10年間で訪れる危機に対して、財団はどのようにすれば最善の備えができるでしょうか?」
返答: [O5の命令によりデータ削除済み]
追記:
この儀式の後、財団への貢献が認められ、ホームズ氏は上級研究員に昇進しました。
儀式-6376-66
実施日: 2013年09月08日
実行者: リチャード・ホームズ上級研究員。
犠牲: D-6376-23。
質問: 「財団があなたに訊ねることが可能な最も有益な質問は何ですか?」
返答: [O5の命令によりデータ削除済み]
追記:
この質問に対する答えを見つけることは、O5評議会にとって最優先事項であるとみなされています。
儀式-6376-67
実施日: 2013年09月09日
実行者: リチャード・ホームズ上級研究員。
犠牲: D-6376-24。
質問: [O5の命令によりデータ削除済み]
返答: 「このような物では答えるには及ばないな。」
儀式-6376-68
実施日: 2013年09月10日
実行者: リチャード・ホームズ上級研究員。
犠牲: D-6376-25、D-6376-26。
質問: [O5の命令によりデータ削除済み]
返答: 「すまんが、まだ足りんな。」
儀式-6376-69
実施日: 2013年09月12日
実行者: リチャード・ホームズ上級研究員。
犠牲: D-6376-27、D-6376-28、D-6376-29、およびD-6376-30は、SCP-6376の庭にある木製の檻の中に入れられます。その檻に火がつけられ、犠牲者たちは焼却されます。その灰をSCP-6376に与えます。
質問: [O5の命令によりデータ削除済み]
返答: 「まだ足りん、が、その演出は気に入ったぞ。」
儀式-6376-74
実施日: 2013年09月20日
実行者: ミランダ・サイクス上級研究員。
犠牲: ヒトの死体1体。
質問: 「[O5の命令によりデータ削除済み]という質問に値する犠牲は何でしょうか?」
返答: 「我が受け入れるものは沢山ある。お前は間違った角度からその問題に取り組んでいる。犠牲の価値とは、犠牲にされた値段や量ではなく、その犠牲がどれほど困難であるかによって決まるものだ。お前が我にどれだけ多くのDクラスの命を与えたとしても、お前は彼らを既に使い捨てのものだと考えている。その認識が彼らの価値に影響を与えているのだ。」
追記:
儀式は終わりにしろ、ホームズ。—サイクス博士
放っといてください。私が解決します。—ホームズ博士
儀式-6376-75
実施日: 2013年09月26日
実行者: リチャード・ホームズ上級研究員。
犠牲: リン・ホームズ、デビッド・ホームズ。
質問: [O5の命令によりデータ削除済み]
返答: [O5の命令によりデータ削除済み]
追記:
ホームズ博士は、妻と幼い息子に薬品を飲ませることでこの犠牲を達成しました。彼は2人を庭へ運び、2人が眠っている間に殺しました。財団への貢献が認められ、かつ損失に対する補償として、翌年から33%の昇給が決定しました。
補遺3: インシデント-6376
インシデント番号: 6376
発生日: 2013年09月28日
報告: 03:41、リチャード・ホームズ上級研究員がSCP-6376の庭に侵入し、バリケードを築いた。その後、彼は斧を用いてSCP-6376を傷つけようとした。以下の記録は、SCP-6376の囲いの内部で撮影された監視カメラの映像を詳述したものである。留意すべきこととして、SCP-6376は精神的にコミュニケーションを行うため、会話の相手側は不明である。
[ホームズ博士が庭に入り、ドアをバリケードで封鎖する。]
ホームズ博士: やあ。
[ホームズ博士がSCP-6376に向かって歩く。]
ホームズ博士: あんたは嘘をついた。あんたは僕に成功を約束した。そして、僕の家族を殺したんだ!
[ホームズ博士はSCP-6376に向かって斧を振り回す。彼は振り回す途中で動きを止める。]
ホームズ博士: 分かってる。気にしないでくれ。
[ホームズ博士は斧を振りかざし、叫びながら倒れる。]
[ホームズ博士は目を閉じて斧を握りしめ、やみくもに振り回す。]
[ホームズ博士が叫ぶ。]
ホームズ博士: 嫌だ! 嫌だ! 嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!
[斧がSCP-6376と接触し、少し樹皮が剥がれる。血と区別がつかない赤い樹液が漏れ出る。]
[ホームズ博士は振り回すのをやめ、斧が手から落ちる。]
[ホームズ博士はSCP-6376の根の上に倒れ込み、すすり泣き始める。]
[ホームズ博士は震え、そして静かになり、すすり泣くのをやめる。]
ホームズ博士: ...畜生。
[SCP-6376の根が伸びてホームズ博士を掴む。ホームズ博士は抵抗しない。]
[15秒間の破損した映像。]
[ホームズ博士はSCP-6376の根の中でぐったりと横たわっている。彼は地面の下に引きずり込まれている。]
結果: 現在、前哨基地の管理者による明確な命令なしにSCP-6376に接触することは禁じられています。さらなる侵入を防ぐために、SCP-6376の庭周辺のセキュリティが強化されました。