[フレーム]
[フレーム]
[フレーム]
SCP-6115: 公的医療保険The Public Option
著者: aismallard aismallard
画像出典:
- package.jpg — SnappyGoat (パブリックドメイン)
- sick.jpg — Wikimedia Commons (パブリックドメイン)
- phase-diagram.png — Wikimedia Commons (パブリックドメイン)
スペシャルサンクス:
翻訳:
[フレーム]
SCP-6115と取扱説明書を収めたパッケージ。
特別収容プロトコル: SCP-6115-1個体は、SCP-6115を治療可能な医療設備が整った最寄りの財団施設に移送されます。財団の医療方針に従って、患者は解放前に健康証明書を受け取るか、もしくは権利放棄書に署名する必要があります。
機動部隊アルファ-4 ("ポニー・エクスプレス") は、郵便物の中から発見されるSCP-6115実例を全て破棄します。
説明: SCP-6115は青緑色のゲル状物質です。通常、4c×ばつ1.5c×ばつ12cmの円筒形プラスチック容器に入った状態で、紙製パッケージに収められています。SCP-6115は生体組織に多様な影響を及ぼす奇跡術活性物質です。
SCP-6115-1個体は、SCP-6115との皮膚接触を行った人間です。
SCP-6115との最初の接触によって、奇跡術的な共感結合が生じ、影響者の身体のエネルギー処理・分配メカニズムが代替臓器系を形成します。無力化のためには、この結合の安全な解消が不可欠です。
自己貪食の奇跡術的相図。
これらの変化が完了すると、影響者の身体は"自己貪食"self-limosisと呼ばれる異常なプロセスを介して、外部エントロピー的かつほぼ無期限に自活できるようになります。この状態のSCP-6115-1個体は、臓器を機能させるために必要なエネルギーを生成できますが、その効率は一般的に低く、運動機能を発揮するには至りません。
この身体システムにおいては臓器と身体組織を隔てる従来の境界線が無くなっており、体内の循環系がほぼ完全に奇跡術媒介体液で構成されています。幾つかの対流サイクルがSCP-6115-1個体の体内に生じ、儀式エネルギーの生成、老廃物の再利用、脳への信号伝達、余分な体液の生産などの様々な役割を果たします。
壊死を防ぐため、余分に生産される体液は体外に排出する必要があります。初期段階では、これは皮膚の毛穴からの体液浸出という形式を取ります。SCP-6115胆汁は通常の体液に対する比率が低いため、ほとんどの排出物は後者で構成されています。また、初期段階ではサイクルの形成が未発達であるため、分配が不十分であり、体内の各所に体液が溜まって皮膚の一部が膨張します。
この段階では、一般的に次のような症状が報告されています。
- 多量の出血
- 吐き気・嘔吐
- トキシックショック症候群
- 皮膚の炎症
- Situs consolidatus (内臓融合症)
- 減歯症 (通常、歯肉組織の融解に起因する)
- 頭痛
SCP-6115の取扱説明書によると、激しい嘔吐が引き起こされるため、生成される異常な体液はこの症状に対応できるよう特別に設計されています。実際に、あらゆる嘔吐物は皮膚に溶け込み、接触から数分後にはコケ様の大きなかさぶたを形成します。
SCP-6115-1患者の治療にあたって超常医師が考慮すべき懸念事項の1つに、奇跡論的過形成の発生が挙げられます。これはSCP-6115の設計の都合によるものです — 本来の異常物質が過剰な触媒ポリープを含有していた場合、過剰な細胞分裂を促す場合があります。固有の召喚枠が無いため、このような腫瘍成長は考え得る限り全ての末端 (手足の指、目、臍、舌が一般的)から突出します。これらの突起は通常の身体の境界を大幅に超えて成長し、患者に不快感を及ぼす場合があります。
SCP-6115の取扱説明書は、この時点でSCP-6115と接触した旨を財団に通報することを推奨しています。
SCP-6115の末期症状は、患者の体内で奇跡力サイクルが従来の臓器や身体組織に取って代わり、患者が完全に柔軟な形態と化すことを特徴とします。異常な自己像投影の訓練を受けている民間人はごく少数であるため、この状態での移動は極めて困難であり、患者の身体はその時点で収まっている容器に合わせて変形する傾向があります。これは、財団の医療職員が到着する時、大半の患者が浴槽の中に留まっている主な理由です。
従来の口が消失するため、この頃になると連続的な嘔吐も収まります。
深刻な症状にも拘らず、SCP-6115は通常、致命的な影響を及ぼしません。死亡する影響者は僅か2.7%であり、その場合の死因は老齢による合併症がほとんどです。直腸奇跡術太陽条虫療法と血液結界の併用は、影響者の治療に効果的であると証明されています。回収された患者はほぼ全員、1ヶ月以内に喪失した臓器を再成長させ、通常の健康状態に戻ります。
補遺6115-1: 米国法に基づく義務
2023年、アメリカ合衆国議会で"アメリカ超常医療提供者法"が可決され、大統領によって署名されました。バーモント州の某上院議員が起草・後援したこの法律は、財団がアメリカ政府からの資金援助を受ける条件として、アノマリーとの相互作用で健康への悪影響を受けた全ての非異常なアメリカ国民及び永住権保持者への医療提供を義務付けるものです。
ほとんどのSCP-6115実例は1点あたり20ドル (送料・手数料別) でAsheから購入されています。財団がSCP-6115-1個体を治療する技術的能力を有することから、上記の法律はSCP-6115-1個体となった民間人に医療を提供する広範な義務を課しています。財団は2025年以降、深刻な非異常疾患に罹患したものの健康保険に加入する余裕がないことを理由に、SCP-6115を意図的に自己投与した患者を年間170,000人以上受け入れています。