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オブジェクトクラス: Enochian
特別収容プロトコル: 現在、SCP-6010は民間人に対し広範に影響を与えているため収容は不可能です。ヴェールの維持はもはや優先事項ではありません。それに代わり、SCP-6010実例のリハビリと将来的なSCP-6010による変化に対する全人類の備えに重点が置かれます。SCP-6010により変化した財団職員は、2週間の適応期間を経て財団における従来の職務を継続することが許可されます。
説明: SCP-6010は現在までに地球上の全動物の約3分の1に影響を及ぼした世界的な再構築イベントです。2021年06月21日以降、動物界の生命は前兆なく急速に変容し、十脚類の甲殻類に変化しました。対象の標準的な体高は40cm前後です。以降SCP-6010-A実例と呼称するこの対象は、最前肢に1対の鋏、及び平らな円盤状の体の上にキチン質の厚い外骨格が発達しています。SCP-6010-A実例は主に水棲ですが、鰓に水の層がある限りは水の外でも無期限に生存可能です。中央の6本の脚は基本的に海底を歩行するために使用され、最後肢は平板で泳ぎに使用されます。
極端な生物学的変化にも拘らず、元人間のSCP-6010-A実例は人間レベルの意識と変容以前に形成された記憶を保持しています。SCP-6010-A実例を以前の形態に戻す既知の方法はありません。
SCP-6010の開始以降、地球上の動物は指数関数的な速度でSCP-6010-A実例に変容しており、現在の予測では2028年の中盤にはSCP-6010が完遂されると考えられています。
補遺1: 以下はSCP-6010の主任研究員であるフランシス・ヘルナンデス博士が作成したビデオシリーズである新たなるカニ化世界からの転写です。ヘルナンデスはテキスト読み上げプログラムと鋏用に特別に設計されたキーボードを用いて意思疎通しました。
自分の殻を脱いで
[記録開始]
ヘルナンデス: こんにちは。今、地球上には2種類の人々がいます。私のようにもう変わってしまっている人か、避けられない運命を待っている人か。どちらにせよ、あなたはこれがどのような感じか、そしてどのようにすればできる限り普通に近い人生を送れるか知りたがっているのでしょう。
ヘルナンデス: あなたの身体がこのように変化するのを見ると動揺してしまうかもしれませんが、安心してください。SCP財団の私たちは変異を容易にするために出来る限りの手を尽くします。
ビデオは財団の運営するリハビリテーションセンターの映像に切り替わり、多数の人間の財団職員と民間ボランティアが新たに変容したSCP-6010-A実例が新たな身体に適応する手助けをしている様子を映し出す。ヘルナンデスは画面外で話を続ける。
ヘルナンデス: 数週間、あるいは数か月はかかるかもしれませんが、一度新しいあなたに順応してしまえば、自分がかつて人間の体を持っていたなんて想像もつかなくなるでしょう。
場面はSCP-6010-A実例が居住する小型の水中集合住宅に切り替わる。数体が建物内を歩いているのが見える。
ヘルナンデス: 覚えておいてくださいね、カニであるというのは決して悪いことなどではありません。
[記録終了]
現在、財団は以前の家に留まることを望まない、あるいは留まることが不可能なSCP-6010-A実例が居住するよう設計された4つの居住地を管理しています。各居住地には約500万体のSCP-6010-A実例が生活する集合住宅や、持続可能な藻類養殖場や潮力発電が備えられています。SCP-6010-A実例となった財団職員は各サイト管理官の裁量によりこれら居住地に移住することが許可されます。
居住地 | 現状 |
---|---|
居住地アルファ(第二アトランティス) | グレートバリアリーフ沿いに位置する。都市は財団の介入をほとんど必要としない程度に自治を行っている。 |
居住地ベータ(ダハット) | 地中海に位置する。都市は居住地デルタとの自立した経済を形成しており、財団の介入を必要としない。 |
居住地ガンマ(クラスト) | メキシコ湾に位置する。都市は現在アメリカからの大量の移民を緩和するために財団の管理下にある。 |
居住地デルタ(ニューロンドン) | イギリス海峡に位置する。都市は欧州連合の管理下にあり、財団の介入を必要としない。 |
これら居住地に加え、財団はSCP-6010-A実例が新たな身体に適応する支援を行う世界的なキャンペーンに資金提供しました。このキャンペーンは倫理委員会によって組織され、異常な身体変化を経験した財団職員と民間ボランティアが雇用されています。このボランティアにはレベル0クリアランスが付与され、当ファイルの限られた範囲にのみアクセスが許可されています。
以下はフランシス・ヘルナンデス博士が作成したビデオシリーズのはさみ持ちとの対話からの転写です。
はさみ持ちとの対話 エピソード1
[記録開始]
ヘルナンデス: 新たな人生に向けてのもう一つのガイドへようこそ。あなたの身体について気付いていることがあるかもしれません。話すことができないのです。財団はあなたに必要な手助けを提供します。クラブ・サインランゲージCrab Sign Language、略してCSLで。
ヘルナンデス: このビデオシリーズでは、SCP-6010再居住施設でやっていくために学ぶ必要のある最も一般的なフレーズを紹介します。
ヘルナンデス: 始める前に、名前やその他固有名詞を言う場合には、一度に一文字ずつ綴ることを覚えておいてください。説明にあるリンクを見てもらえればCSLアルファベットの全文字の表が見つかるはずです。全ての文字を知ったら、数個の簡単な挨拶に移りましょう。まず始めに。こんにちは。
ビデオにはヘルナンデスが右の鋏を頭まで押し上げ、横に下ろす様子が映っている。
ヘルナンデス: これだけです。本当に簡単ですね。もう少し長いのをやってみましょう。名前を紹介する基本的な方法です。「私の名前」と言った後、何であれあなたの名前を綴ってください。
ビデオにはヘルナンデスが右鋏を腹部に押し当て、両鋏を2回叩き、H-E-R-N-A-N-D-E-Zと綴っている様子が映っている。
ヘルナンデス: 以上がカニの姿で自己紹介するに必要な全てです。もっと手ごろに使えるヒントのために私たちと一緒に来ましょう。あるいは、鋏ごろ、というべきですかね?
[記録終了]
CSLに堪能な全人物はその地域のSCP-6010-Aリハビリテーション施設でボランティアをする資格を有します。希望者は、以下のフォームのコピーをmoc.tenpics|pleh0106pcs#moc.tenpics|pleh0106pcsまで送信してください。
SCP財団ボランティアフォーム
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現在、1573体のSCPオブジェクトがSCP-6010-A実例に変化しています。これら実体の内、107体が変容の後その他の異常性を喪失しました。現在、これは異常性が当時の形態を維持していた実体に依拠していたために発生したと考えられています。
異常性を維持したSCPオブジェクトの収容プロトコルは随時更新されています。多数のKeterクラスアノマリーは、アノマリーあるいは収容職員の大多数がSCP-6010-A実例に変化した後も実行可能な最適な収容プロトコルを決定するため試験されています。
多数のSCP-6010-A実例の収容のため、財団は既存のサイトを複製した複数の水中施設の建設を開始しています。現在唯一機能している水中施設はサイト-19-Cであり、現在100体のアノマリーと300人の財団職員を収容しています。
以下は財団職員が新規に建設されたサイト-19-Cに移転する際に閲覧したビデオからの転写です。ヘルナンデスはCSLを用いて意思疎通し、下部には字幕が表示されました。
新たな深みへ沈む: 新しいサイトへようこそ
[記録開始]
ビデオは藻類バーと大型キッチン、200の席を備えたサイト-19-Cのカフェテリアを映す。ヘルナンデスがカメラに手を振りながら画面内に入る。
ヘルナンデス: こんにちは、そしてもう一つのSCP-6010のオリエンテーションビデオへようこそ。これを観ているなら、あなたは私たちのような人のためにデザインされた財団サイトのダッシュCに再割り当てされたということですね。今のところは一つしかないですが、今後もっと増える予定です。
場面は海を横から見て、その下部に財団サイトが建っている図に切り替わる。ヘルナンデスは左下隅に映っている。
ヘルナンデス: このサイトを建設する際、私たちは海の中でも暖かく屋外エリアへのアクセスが容易な場所を選びました。海底を歩くのは慣れが必要ですが、完全に安全であり、予定にある休憩時間に散歩することだってお勧めします。
図には多数の財団職員がサイト外で海底を歩いている様子が描かれている。数人の新人研究員が収容下のアノマリーについてメモを取っている場面に切り替わる。
ヘルナンデス: こう思っているかもしれません。水中でどうやったら今までと同じレベルの働きができるんだ? 私たちの研究チームは、最新にして最高の水中技術を提供するために24時間体制で働いています。コンピュータ、タブレット、さらには信頼できるキーカードだって水中で使用できるのはもちろん、鋏でも手と同じくらい簡単に使えるようにデザインされています。
場面はDクラス独房に切り替わり、いずれも中にはSCP-6010-A実例がいる。
ヘルナンデス: SCP-6010がもたらしたもっとメジャーな変化の一つは、人間を用いた実験プロトコルの中止です。地球上の全動物は私たちのようにカニなので、痛みを感じる知的生命体で危険かもしれないアノマリーを実験する必要はもうありません。かつては虫のような、あるいはその他の下等生命でしかなかった何も感じないカニを使うだけです。それらは確かに私たちに似ていますが、そのアリのようにちっぽけな心はカニになったときにもう粉々になってます。お見せしましょう!
ヘルナンデスはDクラスの一体を独房の格子に突き刺す。Dクラスは反応しない。
ヘルナンデス: 私たちと同じように腕の再生だってできるので、ある程度は再利用可能です。
場面は収容房内の異常性を持つSCP-6010-A実例に切り替わる。実例は複数の職員により観察されている。
ヘルナンデス: ここの生きているアノマリーの大半も私たちと同じようになりましたが、依然としてアノマリーではあります。ケテルがカニになったからといって油断しないでください。
非常に攻撃的なSCP-6010-A実例が収容房の扉を攻撃している。
ヘルナンデス: このようなアノマリーと働く際は、変容したことでその性質が変わっているかもしれないことを忘れないでください。
人間の職員が古い収容房を清掃している。部屋の中央には酸による火傷に覆われた部分的にカニ化した大きな死体がある。
ヘルナンデス: 性質が変わったアノマリーといえば、一緒にこのビデオを見ている人たちを見てみてください。そのうちの誰かがかつては何か軽微な異常性を持っていたがSCP-6010で喪失した、という可能性は十分にあります。一時はSCPナンバーがあった人もいるかもしれません。彼らのことは新たな財団の他の仲間たちと同じように扱ってください。
場面はSCP-6010-A実例で満たされたサイト-19-Cのカフェテリアに切り替わる。全員がカメラの方を見て手を振る。
ヘルナンデス: 以上でオリエンテーションは終わりです。海でお待ちしています、新たなカニさんたち。
[記録終了]
現在、財団職員はSCP-6010が完了した場合に収容不可能となる12のアノマリーを認知しています。これらのアノマリーを無力化する決定は現在倫理委員会の審査待ちです。
補遺2: 2024年における各要注意団体の現状
要注意団体 | 現状 |
---|---|
アンブローズ・レストラン | 特定のメニューに元人間のSCP-6010-A実例が使用されていることが判明して間もなく破産を宣言した。 |
アンダーソン・ロボティクス | SCP-6010-A実例が以前の生活に戻るのを支援するために設計されたSCP-6010-A操縦ユーティリティードロイドの開発を開始。 |
世界オカルト連合 | SCP-6010により過半数の指導者を喪失した国々の利益保護のため平和維持活動に従事。 |
マナによる慈善財団 | SCP-6010により全収入源を失った人間の援助及びボランティア雇用において財団を支援。 |
マーシャル・カーター&ダーク株式会社 | カーター氏はSCP-6010-A実例に変化し、SCP-6010の影響を逆転させるために未承認で1000億ドルを費やした後、会社を解雇された。残存している構成員は会社の経営を維持しているが、経済の急速な変化のため収益の大部分を失っている。 |
サーキック・カルト | サーキサイトの大半は過剰な肉体変異のために変容プロセスの際に死亡し、残存している構成員は最小限の脅威とみなされる。 |
蛇の手 | 蛇の手の構成員の大半は放浪者の図書館に移動し当該現実との全ての関わりを絶った。残った構成員は他の要注意団体かSCP-6010-Aリハビリテーションセンターのボランティアに加わった。 |
異常事件課 | アメリカ政府の指導者全員がSCP-6010-A実例に変化し、政府が崩壊したことで消滅した。人間の工作員は新たな政府機関の選出のため現在GOCの下で活動している。 |
ウィルソンズ・ワイルドライフ・ソリューションズ | SCP-6010-A実例の世話やボランティアの雇用において財団を支援。 |
多数のより小さな団体は、程度は小さいもののSCP-6010の影響を受けています。財団とGOCの世界情勢、特にSCP-6010-A居住地への影響が増大しているため、SCP-6010勃発以降人々への積極的な脅威となる異常活動はほとんど発生しませんでした。
新たに発見されたアノマリーに対処するために、多数の機動部隊が新たな状況下で活動できるよう再編されました。機動部隊ガンマ-6 ("大食らい") が水中作戦の調整を担当し、ヘルナンデス博士が以下のビデオを作成するのを支援しました。
機甲部隊Mobile Crab Force
[記録開始]
ビデオはSCP-6010以前の機動部隊ガンマ-6が水中の異常な構造物を調査している場面から始まる。場面はSCP-6010-A実例への変化後のチームの同一ショットへとフェードする。
G-1: やあ、私はロジャー、機動部隊ガンマ-6の隊長だ。このビデオでは、深海でアノマリーをどうやって回収したらいいか教えよう。
G-1: 最初の主な違いは防護服だ。硬い殻のおかげで、脆弱な皮膚袋だった頃と比べると必要性は薄い。とはいえ備えておくに越したことはないから、腹部と鋏に固定するケブラーパッドを持っている。
G-1: 二つ目の主な違いは武器だ。どう考えても持って使うタイプの銃は使い物にならない。そこでもう少し面白いものを用意した。
ヘルナンデスがMk I CTアサルトウェポンを持った状態で歩いて画面内に入る。
ヘルナンデス: これはカニ兵器の最新の成果で、毎分最大3発の弾を放つことが可能です。
ヘルナンデスはG-1が大砲を取り付けるのを手伝い始める。
G-1: 現場では、こいつが天恵になる。最速で撃てる銃じゃないかもしれないが、最高にタフなアノマリーだって一撃で倒す威力を備えている。
G-1は後部の大砲を起動し、後壁の標的に向かい発砲する。壁は衝撃で崩壊する。
ヘルナンデス: 大砲は左前脚の横の撃針で起動します。軽く動かすだけで撃つことができます。
G-1: 次に取り上げるのは水中作戦だ。アノマリー回収任務を負ったら、深い海藻の森や昔の難破船なんかを旅しているかもしれない。難破船でアノマリーがどれだけ見つかるか知ったら驚くだろう。
場面はガンマ-6が放棄された原子力潜水艦を探査する様子に切り替わる。隊員は空のミサイルサイロまで泳ぎ、そこで異常なSCP-6010-A実例を発見する。アノマリーは逃亡を試みるが、G-2がその頭上めがけて炸裂弾を放つ。アノマリーがパニックになり異常性を発現させ、潜水艦が再活性化し上昇を始める。
ヘルナンデス: 生きているアノマリーに遭遇した場合、自分の命が危険にさらされない限りはそれを生きたまま回収することが重要です。そのため私たちは、付近のカニを電流で失神させられる装置のエボルタイEVoltai・テーザーを開発しました。引き金の上で軽く鋏を閉じるだけで、狙っている相手は制御下に置くのに十分な時間失神します。
G-3はアノマリーを失神させ、潜水艦は動きを停止する。部隊はアノマリーの鋏にゴムを取り付け、自部隊の潜水艦に回収する。
ヘルナンデス: これらの装置があれば、遭遇したどんなアノマリーにだって対応できるでしょう。外海での幸運を祈ります、カニさんたち。
[記録終了]
補遺3: 2016年における大規模財団サイトの現状
サイト番号 | 現状 |
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11 | 北米での再居住活動の拠点として使用され、後に米国崩壊のため避難した人間市民の居住地として使用された。当該地域での平和活動支援のためGOCに売却され、現在は空となっている。 |
17 | 多数のアノマリーがカニ化した後、サイトは財団職員のリハビリテーション施設として再利用された。2016年時点でサイトは運営を終了し、保管目的で使用されている。 |
19 | 全異常実体はサイト-19-Cに移転させられた。各職員は様々なサイトに移転させられた。空となったサイトは現在、施設の再利用を妨げる継続的な異常影響を除去するための取り壊し待ちである。 |
77 | 当初はヨーロッパでの再居住活動の拠点として使用されていた。現在は保管庫として使用されている。 |
81 | 職員の大半がカニ化した後、排水溝がサイトの上に開けられ上部の湖から水が流れ、改修後も引き続き運営可能となった。 |
ほとんどのより小規模なサイト内のオブジェクト・資源は対応する-Cサイトに移転され、空のサイトは廃止されました。
先日、SCP-6010の研究に関してヘルナンデス博士にインタビューが実施されました。インタビューの転写はイカに記録されています。
インタビュー6010-1
インタビュー対象: フランシス・ヘルナンデス、SCP-6010研究主任。
インタビュアー: O5-1。
日付: 28/05/19
[記録開始]
O5-1: ごきげんよう、博士。
ヘルナンデス: またお目にかかれて光栄です。
O5-1: もう七年も経ったとは想像し難いな。時があっという間に過ぎ去ってしまったようだ。
ヘルナンデス: このような何かしらのことに対処していた日々を追うのも難しいことですね。
O5-1: 私にもわからない。財団の、まして一般社会の再構築を成し遂げるのは… 二度とやりたいとは思うまい。
ヘルナンデス: あなたがそうおっしゃるのはこれで何度目でしょうね?
O5-1: ハハ、君の言う通りだな。
ヘルナンデス: 今日の討議の主題はカニ化についての私の発見だと考えているのですが、どうでしょうか。
O5-1: そうだ、私たちは君が見つけたものを知りたい。
ヘルナンデス: 正直に申し上げますと、そう多くはありません。当初、私たちはそれが怒れる神による報復か、何らかのパラウイルスではないかと考えていました。しかししばらくしても、何一つ見つけられませんでした。それはただ起こったのです、単純明快に。敬虔なカルトが救われるということも、誰が最初に変化するかというパターンが見つかることもありませんでした。結局のところ、いくつかのことがただ起きて、それをどうする手段もないのです。
O5-1: 面白い。多くの人々がこの不合理な出来事を理解する必要を感じている。だがそれは財団の仕事ではない。結局のところ、世界が無事に保たれているならば、我々の役目は果たされていることになる。
ヘルナンデス: そしてこれまでと同様に、最終的に乗り切ることができました。以前より良くなったと言う人もいるかもしれません。もし治療法が見つかったとして、人々はそれを受け入れるでしょうか?
O5-1: 恐らくは。だが地上には何も残っていない。それに、私はこれまで無数のアノマリーが現れては消えていくのを見てきたが、6010が世界の平穏を変える最初の存在ということはないだろう。
ヘルナンデス: 6010? その番号を忘れかけていました。この殻を手に入れてから相当に久しいので、これのない人生がどのようなものだったか思い出すことができません。
O5-1: 君が新たなカニたちを助けるためのビデオを作成していたのがつい昨日のことのように感じる。他の評議会員を助けるため君にビデオを作らせようか考えたことも覚えている。
ヘルナンデス: 後で記憶が消されたりしないならば、それは面白いプロジェクトになっただろうと思います。そのビデオについて申し上げますと、実際にシリーズをきちんと終わらせたことはありません。もしかしてこのインタビューが最終回になったりするのでしょうか。
O5-1: 君はどのように終わらせたいんだ?
ヘルナンデス: この世界を修復するのを手伝ってくださった、そしてこれを最後まで見てくださった全ての人々への感謝、でしょうか。
[記録終了]
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2032年10月05日時点で、当ファイルに詳述されている出来事は異常とはみなされなくなりました。メインデータベースの混乱を避けるため、SCP-6010-ARCという指定が与えられています。再構築により生じた他の全-ARCファイルとともに、歴史的参照のためファイルはアーカイブされます。