SCP-5534
評価: +1

クレジット

タイトル: SCP-5534 - 不安な実験
著者: kantum kantum
オリジナル: SCP-5534
訳者: nebula2700 nebula2700

評価: +1

アイテム番号: SCP-5534

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-5534は人型収容サイト-06-3の標準人型収容セルに収容されます。SCP-5534を用いた実験は許可されていません。人間との接触をさせる場合は、任命された児童精神科医の承認が必要です。

説明: SCP-5534は10歳の人間の子供です。

自身が実験を受けているとSCP-5534が思う場合、こうして得られた情報は、SCP-5534がどのような媒体で伝えても、認識災害を引き起こします。

SCP-5534の曝露者は、SCP-5534に向けた敵対的な言葉を発したい衝動に駆られます。 この効果の強さと持続時間は、知覚した情報量に依存します。

補遺 5534.1: 発見

SCP-5534は2020年05月02日、現地の児童保護サービス(CPS)に潜入した財団のエージェントが発見しました。 アメリカ合衆国カンザス州ウィチタのオフィスで、SCP-5534の社会福祉司がSCP-5534に暴言を吐く様子が目撃されました。 同僚が集まり、SCP-5534が記入した書類を読んだ後SCP-5534の影響を受けました。認識災害の影響を疑い、エージェントはその書類を没収し、財団に通報しました。 曝露者は記憶処理を実施され、SCP-5534は収容されました。

補遺 5534.2: インタビュー記録

対象: [SCP-5534]

インタビュアー: [アラン・ボーズ博士]

序文: 異常性に対する判断により、財団の児童精神科医のアラン・ボーズ博士がSCP-5534の精神鑑定を行いました。

ボーズ博士は、この異常が回避できるかもしれないという仮説のもと、インタビューはフォーマルではない場所で行うことを提案しました。その結果、インタビューはサイト-06-3の職員の食堂で行われました。

<記録開始>

アラン・ボーズ博士: こんにちは!私はアランだよ。君は全部の実験を終わらせるのに少しだけ疲れているんじゃないかな? ちょっとだけ、ぶらぶらすると少し楽になるかもしれないよ?

SCP-5534: (応答なし)

アラン・ボーズ博士: このサイトは安全な場所だよ、だから君が慣れているものとは違う感覚を味わえると思うよ。 家や学校での様子とは違う。 私たちは、いろいろな人、特別なお世話が必要な人たちを看ているんだよ。

SCP-5534: (応答なし)

アラン・ボーズ博士: そういえば、君がここに来るときに持っていたリュックサックに、ちょっとしたものが入っているのに気づいたんだよ。ここの自販機も悪くないと思うよ、ちょっと待っててね。

アラン・ボーズ博士: (食堂の自動販売機に向かって歩き、バウンティキャンディバーを2個持って戻ってくる。) あの包み紙を見たときは、本当に嬉しかったよ。 私たちココナッツファンは普通じゃないよ。ほら、1つは君、もう1つは私。

SCP-5534: (判別不能)

アラン・ボーズ博士:よく聞き取れなかったよ。大丈夫ならもうちょっと大きな声で言ってくれる?

SCP-5534: リュックサックを返してもらえませんか?

アラン・ボーズ博士: もちろん。

SCP-5534: お願いします。お願いしますを言い忘れてしまってすみません。

アラン・ボーズ博士: 全然気にしないから大丈夫だよ!私はこの周りで一番礼儀正しいわけじゃないからね。君がここにいる間、安全な場所に置いておいたよ。君にとって大切なものだろう。

SCP-5534: (うなずく)

アラン・ボーズ博士: その中で自分で持っておきたいものはある?

SCP-5534: う、ううん

アラン・ボーズ博士: なるほど。 安心して、全部いつか返すよ、約束する。

SCP-5534: (一瞬、ボーズ博士の方を見て、また下を向く)

アラン・ボーズ博士: 私は今日忙しいから、友人に持ってきてもらうよ。足りないものがないか確認したいから、何が入っていたかを書いて。私のノートを使っていいよ。

SCP-5534: (およそ5分程書き続けた後、ボーズ博士にノートを返して、耳を塞ぐ。)

アラン・ボーズ博士: (ノートを閉じる。SCP-5534にうなずいて微笑む。) いいね。よく頑張った。ほらね?ぶらぶらしたり、お菓子を食べたりするだけでしょ。部屋まで送ってあげるね。

<記録終了>

補遺 5534.3: アイテムリスト

- 鉛筆 1本
- 消しゴム 2個
- 修正ペン 1本
- お菓子の包み紙

補遺 5534.4: ボーズ博士のノートのまとめ

財団に入る前は、SCP-5534のような子どもたちを助けることが私の任務だった。でも今の私の任務は確保、収容、保護だ。後者が優先されることだが、必ずしも相反しないことはない。

私が知る限り、それを両立するためには2つの理論が正しくなければならない:

- SCP-5534は自分自身の異常性に免疫がある。それは私たちのやり取りから考えてもそうだろう。

- SCP-5534は一夜にして異常となったわけではなく、生まれつき異常だったわけでもない。この異常性は、異常ではないが似たような現実を体験することで成長し、強くなっていったのかもしれない。永久的なサイクルによって、最終的に異常な状態になる。SCP-5534はおそらく、このような事態が発生しても、何も異常には気づいていない。

私の起こしうるたった1回のミスで、どれだけの被害が出るのか想像もつかない。 いつSCP-5534が「実験されている」と知るのか分からないから細心の注意が必要だ。 正直今のところ、どうしたらいいのかわからない。効果的な治療をするのは難しそうだ。

Footnotes
. 詳細については、アラン・ボーズ博士にお問い合わせください。
. 複写された情報や口頭で直接伝えられた情報は、その異常な性質を失います。
. SCP-5534の両親は生きています。
. 訳注: アメリカで販売されているチョコレートスナックバー。
. 異常性のない複写は補遺5534.3に記載されています。
. リュックサックが返却された時、SCP-5534がリュックサックの中にさらに包み紙を入れているのが目撃されています。
ページリビジョン: 1, 最終更新: 09 Dec 2022 08:07
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