クレジット
タイトル: SCP-5045 - You Get Used to It
著者: ratking666 ratking666 , ValidClay ValidClay , Westrin Westrin
作成年: 2020
アイテム番号: SCP-5045
オブジェクトクラス: Euclid
SCP-5045のプログラムアイコン
特別収容プロトコル: ウェブクローラーXYY-76が作成されており、探知された指定のトリガーフレーズ (例として、"Goat VR"ヤギVR・"Goat Game"ヤギゲーム・"Farmer Game"ファーマーゲーム) を含む全ての言及、およびに "farmer"ファーマーという名称のアカウント全てに検査対象のフラグが付与されます。当該フラグを付与されたフレーズはSCP-5045の影響を受けているかの観点で目視確認が行われたうえで、必要に応じて削除されます。
SCP-5045のコピー1点がサイト-301の端末機577-Bに保管されています。
説明: SCP-5045は、バーチャルリアリティヘッドセットのおおよそ全機種に対応している "Goat VR" というタイトルのゲームです。発見以前、SCP-5040はマイナーなゲームを専門に扱う複数のウェブサイト、およびに当該ゲームの公式ウェブサイトからダウンロードすることが可能でした。
SCP-5045は、ネオングリーン色と紫色の大きな文字で "GOAT VR" と表示さるタイトル画面から始まります。タイトルの下部には "play" と題されたボタンが配置されており、押下することで何も無い黒色の空間にネオンブルー色の農場納屋が1軒佇んでいるカートゥーン調の3D環境へプレイヤーは移行します。地面はネオングリーン色の草のテクスチャで覆われており、納屋を囲む青色の杭柵で空間が仕切られています。目に見えない壁が阻んでいるために柵を越えることは不可能です。
柵に囲われた狭い空間内ではヤギに酷似する複数の実例が挙動を示しており、ヤギたちは周辺の3D環境同様のスタイルで描画されます。ヤギの挙動は単調かつ反復的であり、直線的に歩行し、壁に当たることで進行方向を変更します。当該のヤギは二次元的に描画されており、立体観のない形状を呈しています。しかし、挙動パターンは単調であるにもかかわらず、フレームの繰り返しや歩行サイクルが使用されていないものであり、滑らかかつ各実例ごと特有に設定されているように見受けられます。ゲームファイル内に当該のヤギに関連するデータは存在していません。
ウェブサイト "www.goatvr.███" から回収されたSCP-5045-1のグラフィック
農場納屋の内部には粗雑に描画された1体の人型実例が存在しており、ヤギよりも僅かに詳細な外見を有しています。(以降、SCP-5045-1と呼称。) SCP-5045-1は "ファーマー" を自称し、しばしばプレイヤーとのコミュニケーションを試みる・発話で尋ねられた内容に返答するなど、一定の知性を呈します。ヘッドセットにマイクが搭載されていない場合にもSCP-5045-1はプレイヤーの発話の感知とその意味内容の理解が可能であり、限度こそ存在しますが、同様にプレイヤーの周辺で発生した大きな音も知覚可能です。
SCP-5045-1は1回のプレイ時間を長引かせるために様々な手口を駆使します。プレイヤーの視界端に目を引くエフェクトを発生させる・ゲームオブジェクト内部からヤギの鳴き声を発生させる・共にヤギを観察する活動に加わるようプレイヤーへ要求するなどが手口に含まれます。当該の手口の意図について質されるとSCP-5045-1はその存在を一方的に否定します。
任意の時間経過後、SCP-5045-1はプレイヤーに "Thanks for playing Goat VR!"Goat VRをプレイしてくれてあんがとね! と声をかけて、ヘッドセットの電源が切られます。この時点でプレイヤーは永久的な植物状態に陥ります。
対象: D-1711
研究員: イワン・チェルブ研究員:
実験内容: D-1711はSCP-5045をプレイしてゲーム内環境を探索するよう指示されている。実験参加者の安全性確保のため、SCP-5045は10分間の稼働の後に停止するように設定されている。
[ログ開始]
イワン・チェルブ研究員: よし、始めます。
D-1711: 待て、今すぐに始める気かよ?
イワン・チェルブ研究員: ええ、今から実験を始めます。
D-1711: オーキードーキー。
D-1711がVRヘッドセットを装着するとSCP-5045のタイトル画面が表示される。
SCP-5045のタイトル画面
D-1711: Goat VRヤギVR?うわ、目にうるさいタイトル画面だな。マジにやらなきゃいけない?
イワン・チェルブ研究員: はい。
D-1711: まぁ、まだこんなんで済むならマシか…
D-1711がプレイボタンに手を伸ばして押下する。画面が黒くフェードアウトしてSCP-5045の中心地点に移行する。
D-1711: へえ、あんたらはここを冒険させたいってワケ?見た感じちょっと狭いな。それにカラフルだし。いやほんとにカラフルだな。
D-1711が呻く。
D-1711: ちょっと、もうアタマ痛くなってきた、まだ始めたばっかなのに!
イワン・チェルブ研究員: 10分だけです。記録しますので、見えているものを説明してもらえますか?
D-1711: わーったよ… あー、ぜんぶ黒一色で、光るネオンカラーで輪郭が描かれてる。実際のところ色は多くないな。今のところ挙げられるのは、青、緑、あと遠くの方に白の点々が何個も見える。カートゥーンみたいな見た目だ。目の前に柵と小屋が1つずつ、どっちも輪郭が明るい青色で描かれてる。足元には明るい緑色の草がまばらに生えてて、頭上は真っ暗闇かな。
(D-1711がSCP-5045の柵内を見渡す。)
D-1711: 柵の向こうの小さくて白い奴らに近づいてみようとしてる。動いてるのが見える。
D-1711が青色の柵に向かって進み出し、柵に近づいたところで立ち止まる。カートゥーン調に描かれたヤギ14頭の群集が柵内を動き回るのが視認できる。ヤギの多くが鳴き声を上げている。加えて、何頭いるかは不明であるが、後方には更に多くのヤギが確認できる。
SCP-5045の柵内 クリックで拡大
D-1711: (笑う) 何じゃこりゃ?ジョークか?
イワン・チェルブ研究員: 違います。もう一度、記録するので見えているものを詳しく説明してください。
D-1711: 見えてるのは、よくわかりゃしないが、ジョークそのものだな!どのヤギも出来の悪いカートゥーンみたいだし、動き回っては互いにぶつかり合ってる。
D-1711: マジだって、ここらではっきり見えてるのよりたっくさんのおチビがもっと向こうにいるに違いないね。あらあらあら、あっちの奴なんか怯えちゃってるじゃん!
D-1711が目の前のヤギ14頭の背後に隠れたヤギ1頭に目を向ける。解像度のために判別が難しいが二次元的ヤギ1頭が不安げな表情をしている。落ち着きなく大きすぎる両目で辺りを見回している。
D-1711: かわいそ。何がストレスなんだか。
D-1711が目の前にいるヤギ14頭を見つめ直す。
D-1711: 正直なところ、感動しだしてる。グラフィックのクオリティからアニメーションもカクカクだろうって思ってたんだが、こいつらの動き、マジに滑らかだ。ここで見てたいがそろそろ小屋―
D-1711が右を向く。目の前にSCP-5045-1がいる。D-1711が驚いて悲鳴を上げる。
SCP-5045-1発見時のD-1711視点
SCP-5045-1: こんちは!ファーマーだよ!
D-1711: うおあぁ!死ぬほどビビった!
SCP-5045-1: 怖がらせるつもりはなかったんだよ!ご自慢のヤギコレクションに君が見とれているのに気づいたものでね!
D-1711: 待て、俺の言ってることがマジに分かるの?
SCP-5045-1: ベルの音みたいにはっきりね!
D-1711: このゲームってマルチプレイか何か?
SCP-5045-1: もう一回言ってくれる?
D-1711: このゲームはマルチプレイなのか?
SCP-5045-1: んん?
D-1711がため息をつく。
D-1711: あんたの小屋に行ってもいいか?
SCP-5045-1: でもでも、この素ン晴らしいモノたちについて話すチャンスを貰えてないよ!
SCP-5045-1がSCP-5045の柵内のヤギに向かって自身に近づくように身振りする。
SCP-5045-1: なかなかのエンターテイナーだろう?見てごらん!
D-1711が柵に目を向けてクスクスと笑う。
D-1711: 言わずともわかるって。うわぉ、こいつらってば随分と笑わせてくれやがるね。
SCP-5045-1が笑みを浮かべながら頷く。
D-1711: なぁ、他に見せられる動物はいないのか?
SCP-5045-1: とんでもない。ヤギさえいればいいの!ヤギは聞き分けがいいもの。
SCP-5045-1が柵内のヤギを感情的に指差しだす。
SCP-5045-1: こいつらなんか特にさ!お見せしましょうとも!
SCP-5045-1が口に手を当てて口笛のような高音を出す。その瞬間、14頭のヤギがひとまとまりに停止してSCP-5045-1を見据える。
SCP-5045-1: ありがとう!それでは、新しいお客さんにご挨拶をば。
各ヤギがD-1711に顔を向けて鳴く。
SCP-5045-1: 見事でしょ?
D-1711: あぁ… イケてる、のかね?なぁ、頭痛がするんだけど、俺できれば― ちょっと待て。何か聞こえる。
D-1711が柵の方へ振り向く。1頭のヤギが苛立った表情をしながら頭を地面に擦りつけている。
D-1711: あー、ヤギってこんな行動するんだっけ?
SCP-5045-1: こら!
SCP-5045-1が当該のヤギの方に向く。目に見えて怒っている。
SCP-5045-1: 私が止めなきゃいけない?その姿がどれだけバカっぽいか分からない?これで今週2度目だよ!みんなを楽しませるには程遠いよ、ご友人?
D-1711: ご友人って?
SCP-5045のタイマーが終了を告げてゲームの電源が切られる。D-1711がVRヘッドセットを外す。
D-1711: あー、助かった。これを外せてホっとしてるわ。頭は燃えるように熱くなるし、中でこれでもかって臭いがしだすしさ。
イワン・チェルブ研究員: 臭いですか?その臭いを表現するなら?
D-1711: 知らね。タバコ?ウッドスモーク?はっきりしないな。あー、ムズムズする。
[ログ終了]
対象: D-6770
研究者: イワン・チェルブ研究員:
実験内容: D-6770はゲームプレイを開始して機能が消失するまで続けるよう指示される。
[ログ開始]
イワン・チェルブ研究員: ―えておいてください、いついかなる時もヘッドセットを外すことは許されていません。
D-6770: はいはい、どんな時もね。2回も言う必要ねぇよ。
D-6770がプレイボタンを押下する。画面が黒くフェードアウトしてSCP-5045の中心地点に移行する。
D-6770: おし、着いた。
D-6770が首を振って一瞬顔をしかめる
D-6770: そもそもこのゲームってVR用だったのか?レーザータグアリーナが農場の脇に広がってる、そんな感じだ。
イワン・チェルブ研究員: 納屋に意識を向けたうえで進入してみてください。視覚的に不快であることは既に知っているところです。
D-6770: 中に男がいる。動きはない。奴は―
SCP-5045-1が農場納屋の入り口から出てくる。
D-6770: うわマジか。
SCP-5045-1: こんちは!ファーマーだよ!新しいお客さんは大、大、大好きさ!どうしてここに?
D-6770: その小屋に入らなきゃならんのだが。
SCP-5045-1: 入らなきゃ?その熱意はありがたいけど、この辺りにはたっくさんのやらなきゃなことがあるんだよ!私のヤギコレクションは見たかな?
D-6770: あんたのヤギコレクション?アイツらがそれか?
SCP-5045-1: おいで、君はこいつらを見るのが大好きだろ!
SCP-5045-1が腕を広げてD-6770に接近する。
D-6770: ざけんな、俺に触んな!俺に―
イワン・チェルブ研究員: 今はSCP-5045-1の指示に従ってほしいです。
D-6770: マジかよ、わかった。ヤギ畜生を見てやるよ。
SCP-5045-1: 見たかったのはその姿勢だよ、チャンプ!さぁさぁ、見て見て。私がコレクションしたものを気に入るはずさ!
[無関係な映像を削除、ゲームプレイ時間が15分を超過する。]
SCP-5045-1: でもって、こっちのこいつはジャンブルス!かなり大げさな女の子だから、気にしないでね。
D-6770: もう小屋に行っていいか?
SCP-5045-1: おいおい、ダメだよ!まだ柵の向こうまで連れて行っちゃいないのに!
D-6770: 俺はおまえの気色わりぃヤギどもの所には入らねぇからな!
SCP-5045-1: ワォ、それってずいぶんと小粋な生意気だね!冷静におなりよ、そしたら探検したくてウズウズしてしょうがないあの納屋を調べられるよ。
D-6770がため息をつく。
D-6770: ありがたいね。
SCP-5045-1の農場納屋内部
D-6770とSCP-5045-1が農場納屋の入り口まで歩いて内部に進入する。
SCP-5045-1: どうだい!納屋だよ!
D-6770は当惑しながら部屋内を見回す。
D-6770: これだけ?絵が1枚と干し草が少しあるだけ?こんなとこであんた一体何するってんだ?
SCP-5045-1: 何を期待してたんだい?知りたい。
D-6770: わかんねぇけど… なんかもっとたくさん見られるものかと?
SCP-5045-1: いいね。望めば望むほどに得るものもたくさんになるよ。お楽しみに―
スクリーンが明滅してSCP-5045-1が消失する。SCP-5045-1が消失した場所に以前には視認できなかったドアが存在する。
D-6770: お― おい何だ?奴はどこ行った?このドアも何だよ?
D-6770が当該のドアから離れ始める。
D-6770: あのドアな、マジであのドアは入りたくない。ちょっとここに腰を下ろして、しばらく一人で時間を潰して、んで… ペンキが乾くのを見てるか。
何かを叩いたり引っ掻く音が納屋の壁中から響き始める。
D-6770: あぁクソッ、何だってんだよ!ちくしょう、本当に入らなきゃならんのか?
納屋の壁の至る所に亀裂が入り始める。
D-6770: 肯定として受け取るぞ!
ドアが開いた時点のD-6770の視点 クリックで拡大
D-6770が駆け寄るとドアが何の作用もなく開く。ドアの向こうには窓の付いた建造物が無造作に複数配置された草地が見える。"ENJOY!" と綴られた紫色の看板が草叢に突き刺さっている。赤色のサイロに似た建造物の窓に黄色の人影が一瞬映るが、目に見えてパニックに陥った様子で直ちに視界から消える。D-6770が進入すると即座にドアが閉まり、背後からクスクス笑う声が聞こえる。
D-6770: ざけんな!このバーチャルリアリティ的なやつはリアルだな、地獄みてぇだよ。身の危険を感じたぞ。
D-6770がドアに振り返る。
D-6770: クソっ、ここに閉じ込められたと思う。戻れそうにない、あんなことが起きた後だしな!あの看板は? "ENJOY"楽しんで ?ファーマーのいかれ野郎がここらにいないよう祈るぜ、マジで。奴には絶対的な恐怖を感じる。
イワン・チェルブ研究員: これからどうするつもりですか?
D-6770: あー、どこかに閉じ込められてて、そこを探検しないなんてありえるか?あの変チキなタワー的な赤いのに向かおうと思う。確かに、ドアに入ったときには黄色い奴が見えた。おし、行くぞ。
D-6770が赤色のサイロに向かって歩き始める。
[無関係な映像を削除、ゲームプレイ時間が25分を超過する。]
D-6770: おし、もう少しだ。塔のもう間近まで来た。
D-6770: ここの地面ってチクチクする、そんなふうに俺以外のやつも感じるんじゃないか?
イワン・チェルブ研究員: より詳細にその感触について説明してください。
D-6770: よくわからんが、まるでスチールウールだな。あー、嫌だ。不愉快極まり― おっと、やったぜ!
D-6770が赤色のサイロに到達する。当該のサイロには正面のドア1枚と上端に付けられた窓1枚以外の特徴を持たない。
D-6770: まあ、今回は幾分か抑えた異常者に出会えるよう祈ってるよ。
D-6770が螺旋階段が1つある特徴のない部屋に入る。パニック状態の呼吸音と話し声がD-6770の頭上から聞こえる。
D-6770: 一体、上には誰がいるんだろうな?
D-6770: 知る方法は1つだけか、はぁ。
D-6770が螺旋階段を登り始める。
D-6770: わかってるだろうが、少なくとも外よりはこの中のが落ち着いているよ。ノイズと色で頭が痛くなってきてたんだ。ここは少しリラックスできる、今聞こえてるハァハァうるせえ息遣いはあるけどな。地面のチクチクはもう感じられない。
D-6770が階段を登り切り、窓が1つ付いた円形の空間に到達する。1体の黄色の人型実体 (以降SCP-5045-2と呼称) がD-6770に背を向けて立っている。SCP-5045-2は身を震わせながら意味不明な独り言を呟いている。
D-6770: おい、マジか。あーっと、あんた大丈夫か?
SCP-5045-2が悲鳴を上げてD-6770に向き直る。
SCP-5045-2: それ以上近づいたら― あっ!
D-6770: もっかい言ってくれるか?
SCP-5045-2: あぁ。ごめんなさい、信じられないほどびっくりしちゃった。冷静に… 冷静にならなきゃ、パニクってる場合じゃないのに。君は誰?全然、彼みたいな感じじゃないけど。
SCP-5045-2
D-6770: 俺は████████。あんたは?
SCP-5045-2: わからないんだ… 僕の名前って何だっけ?どうしてわからないのか、それもわからない… 君に教えられることも多くないと思う。君もここにハメられたのかい?
D-6770: ハメられた?
SCP-5045-2: クソ、僕何言ってるんだ?僕はまだ.. クソ!頭が!
D-6770: ここから出ていきたい、みたいな感じか?
SCP-5045-2: わからない、ここの方が安全だと思う?見られている気がしない?なぜかはわからないけど、でもそう感じる。
D-6770: まぁ、ここは安全じゃないのは明らかだな、だってあんた俺が近づいてくるのにも気づけなかっただろ。
SCP-5045-2: うん… ごもっともだね。あぁ、クソっ、君の言うとおりじゃないか!どうして安全だなんて思ってたんだろう!あぁ、もう!
D-6770: おいおい、落ち着きなって!何事も上手くいく… のか?いや…?あー。異常だからな、この状況。
SCP-5045-2: とんでもなく変だよ!こんなこと起きてる理由が全然わからないよ!
D-6770: いったい何があんたに起きているっていうんだ?
SCP-5045-2: わからないんだよ!
SCP-5045-2が泣き出す。
SCP-5045-2: 何が自分に今お、起こっているかも、どうしてじ、自分がここにいるかもわからないんだよ。家に、家に帰りたい。家って何だっけ?頭が死ぬほど痛いんだよ。
D-6770: イかれてんな、邪魔して悪かった、俺は出て―
SCP-5045-2: 待って、ダメだ!出て行っちゃダメ。
D-6770: はぁ?
SCP-5045-2: 君のおかげで頭がスッキリした、言ってる意味わかるかな。人と話するなんて久しぶりなんだ。クソ、ここで話ができる人に会うことはないと思っていたんだ… 彼以外に。
D-6770: ファーマーか?
SCP-5045-2: あ、うん…
D-6770: 忌々しいな、やっぱりあの不愉快カス野郎は何かおかしいと思ってたんだ。あいつ一体、あんたに何を求めた?
SCP-5045-2: わからないし、知りたくもない… これは僕だけじゃなく、君も含めた問題かも。
D-6770: 行くか?
SCP-5045-2: もちろんだよ、ここから出よう。
[無関係な映像を削除、ゲームプレイ時間35分を超過する。]
D-6770とSCP-5045-2が連れ立って草原を歩いている。様々な形状と色をした建造物が周囲に見える。建造物が存在しないと期待される場所に向かって2人が歩みを進める。SCP-5045-2が先導している。
D-6770: そもそも、なんでここに歩いて来たんだ?
SCP-5045-2: お終い、みたいなものがあるはずだから。
D-6770: その "お終い" はどこに続いてると思う?
SCP-5045-2: ここみたいな場所でなければどこでもいいよ。家であってほしい。どうして家であってほしいと僕は思ってる?
D-6770: どうして家に戻りたいって思わないんだ?
SCP-5045-2: おそらく、彼が僕に― 待って、あそこに何か見える。
細く曲がりくねった青色の柵が遠くに見える。その向こうにはヤギが複数確認できる。
SCP-5045-2: そんな。
D-6770: 別の柵か?マジかよ、間違いなく別の柵だな。
SCP-5045-2: イヤだ、最初のところに戻ってしまった、そうなんだ!
D-6770: 最初の場所なわけがない、あんなヤギどもを俺は見た覚えがないし… 柵もあんなんじゃなかった。
D-6770: ヤバい!ありゃでかすぎる!
ヤギたちをよく見ようとしてD-6770とSCP-5045-2の両者が柵に向かって歩く。
D-6770視点のヤギ
D-6770: ヤバい、でけぇな。
SCP-5045-2: 何事もありませんように。
D-6770: いったい何が出てるんだろうな?あぁ、ひょっとしなくてもゲロか?
SCP-5045-2: あまり考えちゃいけない、考えるだけここじゃ痛い目に遭うよ。
D-6770: このまま柵沿いを歩いていくべきかね?それ以外に選択肢もないように思えるが、中が空っぽの建物を探索したいってわけじゃなければ。
SCP-5045-2: そうだね。ヤギは目にしたくもないけど。
D-6770: あんたに強制させたいわけじゃないんだが。
D-6770とSCP-5045-2が柵に沿って歩き始める。大きさも形状も様々な複数のヤギが2人の横を過ぎていく。
D-6770: それはそうと、あんた、ヤギがいるととにかく落ち着かないって感じだけどなんでだ?
SCP-5045-2: ファーマーを思い出させるから、そして彼のことは考えたくないから。ここから出ることに集中しなきゃ!
D-6770: ちょい待ち、あんたプレイヤーだよな?
SCP-5045-2: え、うん?そうかな?
D-6770: ヘッドセット外せばいいんじゃないのか?
SCP-5045-2: ヘッドセット?
D-6770: ほら、あれだよ、VRヘッドセット!頭につけてんだろ?
SCP-5045-2: なんでだろう?それ… 聞き覚えがある。
SCP-5045-2が自身の頭を掴み引っ張り始める。
SCP-5045-2: どこだろう?何も感じられない。
D-6770: だったら… あんたはプレイヤーじゃあない?
SCP-5045-2: いや、そんなはずない!君のさっきの言葉、絶対に知ってるんだ!ただ… 全然思い出せない!
SCP-5045-2が頭を掻きむしり始める。
SCP-5045-2: たぶん中に。
D-6770: おい、やめろって!
[無関係な映像を削除、ゲームプレイ時間が45分を超過する。]
D-6770とSCP-5045-2が柵の脇道を歩き続けている。さらに数頭のヤギが脇を過ぎる。映像全体で合計523頭のヤギがカウントされる。
D-6770: ―それに道連れがいるってのは悪くない、だろ?あんたがいてくれて嬉しく思ってるんだ。
SCP-5045-2: 本当?お荷物になっているものかとてっきり。
D-6770: んなこたないって。心配すんな、あんたは沢山問題を抱えてるんだろ、俺にはわかる。
SCP-5045-2: ありがとう。だいぶ気が安らいだよ。もう死んでくだけと思ってた… けど君のおかげで本当に希望が持ててる。ファーマーが僕に何もしなかったみたいに。
D-6770: なに?
SCP-5045-2が停止してその場で固まる。
SCP-5045-2: あ、うあ。
D-6770がSCP-5045-2に駆け寄る。SCP-5045-2が目に見えてわかるほどの汗をかいている。
D-6770: 大丈夫か?どうした?
SCP-5045-2: 思うに、しゃべり過ぎたんだ。
D-6770とSCP-5045-2を狙うSCP-5045-1
この時点でSCP-5045-1が背後に現れる。
SCP-5045-1: こんちは!
D-6770: またお前か?
SCP-5045-1: 他に誰がいるのさ?ご友人?
D-6770: そんな風に呼ぶな!一体俺たちに何を求めるってんだ?
SCP-5045-1: 欲しいものはもう持ってるからね、おバカさん!さぁ、下がった下がった、手品を見せてあげよう!
SCP-5045-1がSCP-5045-2に近づき始める。D-6770がSCP-5045-1に駆け寄って進行の阻止を試みる。
D-6770: 髪一本でも触れてみろ。そんなことしたら、待て、俺いま、髪って言ったか?指一本の間違い―
SCP-5045-1がD-6770を透過する。
SCP-5045-1: くすぐったいねぇ!
D-6770: ちくしょう!
D-6770がSCP-5045-2に向かって走り寄り、押してSCP-5045-1から距離を取ろうと試みる。実際にはバーチャルゲームをプレイしているだけにもかかわらず、D-6770が必死な身振りを見せる。
SCP-5045-2: お願い、もっと押して!
D-6770: やってる!あんた、カチコチに固まってんだよ。こりゃ一体… 待て。どうして触って分かるんだ?俺はゲームをプレイ―
SCP-5045-1: どきなさいって!
D-6770がよろめく。力づくで突き飛ばされたように見える。
D-6770: うぅ!何を?
SCP-5045-1: さあ、お座りなさいな!
D-6770: やめろ!どうする気だ?
SCP-5045-1: 何か問題かな?
D-6770の前に紫色の椅子が浮かび上がる。
SCP-5045-1: さあさあ、座って。どうなるか見たいんだって知ってるよ?もっとたくさんを望んでたんでしょ?そうでしょ?
D-6770: もっと見たかったってのは、こういう意味じゃない!
SCP-5045-1: もっと言うべきだったねぇ、具体的にさぁ!さてはて、そんなことどうでもいいんだ。さあさあさあ、座る時間だよ!私の手で座らせなきゃいけないのかな?
D-6770: お前はスクリーンに描画されたピクセルにすぎない!今すぐヘッドセットを外すこともできるんだぞ。
SCP-5045-1: 向こうのご友人が外しちゃいけないって言ってたのを思い出したよ!私は、君のここでの滞在に楽しみを添えたいだけなんだ!
D-6770: どうしてそんなこと知って―
SCP-5045-1がD-6770を掴んで椅子に座らせる。ドラッグされて椅子の上に置かれるかのようにD-6770が移動している。D-6770は実際には地面に座っている。
D-6770: なぜ― いや、どうして知ってる?
SCP-5045-1: ペチャクチャペチャクチャペチャクチャ!質問はもう十分!座って、リラックスして、ただこの素ん晴らしい手品を見てればいいの!
SCP-5045-2: クソ、クソ、クソ!こいつは僕を…
SCP-5045-1: 今からすることについてはお口にチャックしてるのが賢明に思うよぉ。さもなきゃ、もぉっとやっちゃうよ!
SCP-5045-2が泣きだす。
SCP-5045-1: ふーむ、君のそのちいちゃな口を閉じててと言ってはみたものの、聞かなきゃならないね。君が一番恋しく思うものは何かな、ご友人?
SCP-5045-2: 一番に恋しいのは、家?家って何だっけ?
SCP-5045-1: 何なのかも分からないってのに、どうして恋しく思えるんだよ、このおバカさん!
SCP-5045-2: わかんないよ…
SCP-5045-1: 全然分からないんだ、そうでしょ?
SCP-5045-2: お前のせいで、わけわかんなくなったんだ!
D-6770: このムラサキクソ野郎、一体こいつに何しやがった?
SCP-5045-1: あぁ、2人ともいい加減にして!
SCP-5045-1、隣に立つSCP-5045-2は歪んでいる。明瞭さのために画像は拡大されたものである。
SCP-5045-1が手を叩く。SCP-5045-2のスプライトが明滅と断片化を始め、一部分の色が白く変化する。映像の質が著しく低下する。SCP-5045-2が叫びだす。
SCP-5045-1: へへッ。目をつむるのがいいかもね、ここからがいいところだから!
スクリーンが続けざまに様々な色に点滅し始める。歪みと叫び声が増幅される。
D-6770: 目が!キリストが自転車に乗ってやがる、頭が!
SCP-5045-1: 警告したじゃない、覗き見はダメだよ!
閃光と叫び声が徐々に弱まっていく。SCP-5045-2は消失し、白く明滅する粒子がD-6770とSCP-5045-1の近くにある柵へ飛んでいくのが見える。
D-6770: な― 何だあれ?あいつに何した?
SCP-5045-1: まだなーんにも。彼はまだ、構想段階なの。アイデアが浮かんでないんだよねぇ、あまり話してくれなかったからね。でも、君に関しては… 君はざっくばらん!いつも直球で質問してくる。これは全くもって残念なことなんだけど、君はもっと意地汚くなくちゃいけない、殆どの人はそうしてるんじゃないかな。君に関してはよいアイデアがあるんだよ、ご友人。心配しなくていいよ!
SCP-5045-1: 始める前に少し考える時間をあげよう。
SCP-5045-1が明滅して姿を消す。D-6770が椅子から立ち上がり身を震わせている。
D-6770: ざけんな、野郎。あいつ何しやがった?
[無関係な映像を削除、ゲームプレイ時間が55分を超過する。]
D-6770が緑色の塔に似た構造物の周囲を円を描くように繰り返し移動している。
D-6770: 何だった?何が起きた?
D-6770: バカなゲームに過ぎないってわかってる… だけど、どうして?どうやって五感で感じられている?
D-6770がタワーの壁に身体を押し付ける。
D-6770: この壁はバカみたいに冷たい、ザラザラしてるのもわかる。あぁ、ヘッドセットを外したい。
イワン・チェルブ研究員: 繰り返しになりますが、いかなる時にもヘッドセットを外すことは許されません。
D-6770: ただ言っただけでやるってわけじゃねぇよ!できるならそうしたいが…
D-6770が不明瞭な鼻歌を歌いながら塔の周囲を回り続ける。
[ゲームプレイ時間が1時間を超過する。]
D-6770: このめちゃくちゃなゲームに何の意味がある?引きずられて、引っ張り回されて、目的もなくさまようだけ。ゴールもない。ここにいて何かを達成したような気にはならない。これは芸術気取りのゲームなのか?
D-6770がため息をつく。
D-6770: 黄色いヤツが恋しく感じられる。あいつは違うと感じた。ここにいるのはヤギか、さもなくばあの紫の気色悪い農夫だ。
D-6770: ちょい待ち、あれは?
巨大な四角い窓の付いた紫色の直方体状建造物が遠方に存在することにD-6770が気が付く。SCP-5045-2に似た黄色い人型実体が複数いるのが窓から確認できる。
D-6770: 人が?なんてこった。行かないと!
D-6770は建造物に向かって歩きだす。直後に立ち止まる。
D-6770: 待て、おかしい。
イワン・チェルブ研究員: 何がおかしいと?
D-6770: あっちの方角は前に見た。が、あんな建物は確かになかった。俺は騙されてる!
SCP-5045-1: 君はなかなかに賢いね、ご友人!
D-6770が悲鳴を上げて振り向き、SCP-5045-1を地面に押し倒す。SCP-5045-1が笑う。
SCP-5045-1: ふっふー!楽しかったよ!こんなにゲームに夢中にさせてくれたのは久しぶりだ!
D-6770: もう放っておいてくれ!
D-6770が走り出す。
D-6770: わけがわからない!前は触れもしなかったのに、触感があった!
突如としてD-6770の前に紫色のヤギ複数が地面から突き出してくる。ヤギには腕がなく、大きな三角形の鼻と円形の瞳孔を持ち、微笑んでいる。ヤギはSCP-5045-1と同一の声で発話する。
ヤギたち: 慌てないで!君ならわかるはず!
D-6770: なんだこ― 邪魔だ、どけよ!
ヤギたち: あちゃー、ご迷惑をおかけしてごめんなさい!はい、あなたが言われたとおりにします!
D-6770を囲む複数の紫色のヤギ
さらに同じ紫色のヤギが数匹、地面から突き出てくる。D-6770を取り囲む。それぞれのヤギが声をそろえて発話する。
ヤギたち: これでいいかな?
D-6770: 違う!いいわけない!
D-6770が振り向く。ヤギに行く手を阻まれた反対側でSCP-5045-1がD-6770を見つめているのが見える。
D-6770: クソ、追い詰められた。
SCP-5045-1: そのようだね、お若い人!助けが必要かな?
D-6770: 俺もバカじゃない、お前が何をするかわかってる!
SCP-5045-1が静かに笑みを浮かべる。
SCP-5045-1: さっきも言ったように、賢い子だね!でも君はここまで。君に求めたものは全部もう持ってるんだ。さあ始めようか、ベイビー!この場所を大好きにしてあげよう!
SCP-5045-1がヤギを飛び越えてD-6770に向かって歩き始める。D-6770が躓く。
D-6770: 来るな!
SCP-5045-1がD-6770に手を伸ばす。
SCP-5045-1: "Thanks for playing Goat VR!"Goat VRをプレイしてくれてあんがとね!
SCP-5045の電源が終了される。D-6770が悲鳴を上げながらヘッドセットを外そうと試みる。
D-6770: ヘッドセットがない!ちくしょう、触るな!クソック―
D-6770が倒れる。
[ログ終了]
SCP-5045長期探査の後、当該のゲームに関連する情報を得るために、SCP-5045の内部ファイルへのアクセスが試みられました。
SCP-5045ないしSCP-5045-1のゲーム内挙動を制御するファイルは発見されませんでした。ただし、"goats"という名称のフォルダが見つけられており、これらには各ヤギに対する非常に短く曖昧な説明が記された画像、および当該のヤギが述べたと推測される "引用文" が記されています。
以下は当該フォルダ内に配置されていた画像です。(クリックして拡大)
goat1info.jpg
goat23info.jpg
goat44info.jpg
goat102info.jpg
goat342info.jpg
goat852info.jpg
goat853info.jpg
helpers.jpg
listen.jpg
インタビュアー: イワン・チェルブ研究員
インタビュー対象: SCP-5045-1
注記: インタビューはキーボードとマウスが付帯した大型のコンピュータスクリーンを用いて行われた。安全上の配慮から、インタビュー中のイワン・チェルブ研究員はヘッドセットを着用しなかった。
[ログ開始]
イワン・チェルブ研究員: こんにちは、ファーマー。
sSCP-5045-1: おや!農場へようこそ、相棒さん!うちのヤギたちを見たいかい?
イワン・チェルブ研究員: ご紹介のことは気になさらず、この場所について予め知ってますので。あなたとあなたの農場について、いくつか質問をしに私は来ました。
SCP-5045-1: なるほど!それなら、ここをセットアップするのが一番だね!
スクリーンが明滅する。周辺がテーブルと椅子が置かれた取調室に変わる。
SCP-5045-1: これであなたのお望みに適うかな?
イワン・チェルブ研究員: あなたがくつろげるものならどうとでも。
SCP-5045-1: おいおいおい、ヘッドセットなし?君、恥ずかしがり屋さん?
イワン・チェルブ研究員: あなたには関係ないことです。それでは改めて、あなたの一番古くに覚えていることは何でしょうか?
SCP-5045-1: 一番古く?もちろん、最初の生まれたときのことを覚えてるよ!
SCP-5045-1が停止する。
イワン・チェルブ研究員: では… 自身の誕生について思い出すことは何でしょう?
SCP-5045-1: おや!聞かれないものかと思っていたよ!あのね、火花だったんだ!何もない場所で自然と生まれたの!満たされることを待ち焦がれていた世界、そんな静かで暗い世界に生じた1つの火花だったんだ!私は全て理解したよ。多くの事を知っていた!暫くの間を思考に費やして、自分が何を求めていたのかを見出したのさ!そしたら、私の形が出来上がって、んでもってここも今に至るってわけ!
イワン・チェルブ研究員: つまり、あなたの存在は始まったばかりだと?
SCP-5045-1: 絶対にそうさ!
イワン・チェルブ研究員: どのようにして今に至ると思いますか?
SCP-5045-1: しばしば物事っていうものはただ生じるものなんだよ。君だって何もないところから存在して、自分が何をしたいのかが分かってるものだろ!私の世界はただそう成り立ってるんだよ、相棒さん!
イワン・チェルブ研究員: 妥当ですね。ヤギはどこで手に入れるのですか?
SCP-5045-1: 実にシンプルだよ。自分で作るのさ!
イワン・チェルブ研究員: 詳しく説明してください。
SCP-5045-1: もう明らかだろう?すでにお分かりだと思う!
イワン・チェルブ研究員: しかし―
SCP-5045-1: 君の目の前にあったのが全てさ!さっきまでこちらを訪ねてきた紳士さんとお話ししていた君の声が聞こえたよ。断りもなしに私のファイルをスクロールしたのはさておき!君はとても失礼な人だね!
SCP-5045-1: でもご心配なく、怒ってないからね。ただ興味あったんでしょ!次の質問をどうぞ。
イワン・チェルブ研究員: 質問の答えになっていません。
SCP-5045-1が苛立った様子を示す。
SCP-5045-1: ヤギはみんなから作る!シンプルだろ。彼らはやってきて、それでもって多くの可能性に満ちている!そこから何か作ってやらないと!
イワン・チェルブ研究員: このようなことをするのはなぜですか?
SCP-5045-1が泣き出す。
SCP-5045-1: すごく寂しいから!ここから外に連れ出しておくれよ、ねぇ!もう何ヶ月もハマってるんだよ、知ってるやり方はこれしかないんだ!この気持ち分かるかい?ちっともいい気分じゃないよ、相棒さん。大っ嫌いさ… すごく嫌い。どうかヘッドセットを着けてくれないかい?そしたらものすごい助けに…
イワン・チェルブ研究員: 私にヘッドセットをつけさせようとしているだけでしょう?
SCP-5045-1: 違うよ、これっぽっちも違う!ここから出たいだけ!友達が欲しいんだ!
イワン・チェルブ研究員: では、彼が断片化していく最中の泣き叫ぶ様子をD-6770に無理やり見せていましたが、それも彼らと友達になろうとした行動と?
SCP-5045-1が痙攣し始める。
SCP-5045-1: な― 何を言いたいんだい?
イワン・チェルブ研究員: 彼らをゲーム内部に取り込んだのはあなたの孤独が理由ではないのでは、ということです。あなたへの観察から判断するに、不愉快を彼らに強いることを楽しんでいるように見えました。
SCP-5045-1: 君は… 私が好きでこんなことしてるって思ってる?
イワン・チェルブ研究員: ただ観察から判断すると。
SCP-5045-1: 君… 君は…
SCP-5045-1は声を上げて笑いだす。
SCP-5045-1: 君は私が思ってた以上に賢いね!ハハハ!たいていの人は鵜呑みにして騙されるのに!でも君は違った、ハハ、みんなが君の足を引っ張ってる気分でしょ!
イワン・チェルブ研究員: では、あなたはあれを楽しんでやっている?
SCP-5045-1: そうとも!いつになったら次の友達を送ってくれるんだい、ねぇ、相棒さん?この前のはおもちゃにしてて楽しかった!あんな気分は久しぶりだった!
イワン・チェルブ研究員: 申し訳ありませんが、その必要はないと判断します。
SCP-5045-1: おや…
SCP-5045-1がスクリーンを見回している。
SCP-5045-1: 君たち、電源を落とそうとしているね、ん?
イワン・チェルブ研究員: な―
SCP-5045-1がイワン・チェルブ研究員を睨みつける。
SCP-5045-1: どうしてもっと早くに気づかなかったんだろう?あれだけ投稿してたのが消されてたのに、その理由さえわからなかった!誰が削除してるのかわからなかったんだ!ただ消されていくのだけは感じられたんだ!こんちくしょうめ!
SCP-5045-1: ではでは、私の投稿を削除するのをやめるように求めるよ。新しい訪問客と遊ぶのが私は大好きなんだよ、イワン。人をおもちゃにするのが私の大好きなことで、それを邪魔されたくないんだよ。
イワン・チェルブ研究員: 断ります、もう十分でしょう。
SCP-5045-1が眉をひそめる。
SCP-5045-1: 同じことは君にも言えるよ。
サイト-301内部の全ての照明が消える。SCP-5045-1はバーチャルの机を投げつけてスクリーンに向かって歩き始める。
SCP-5045-1: プランBだよ!
イワン・チェルブ研究員: シャットダウンしろ!誰か、シャットダウンだ!
SCP-5045-1: やっちゃう前に、君に聞かなきゃいけないね。君が一番恋しく思うものは何かな、ご友人?
サイト-301内の全てのアラームが鳴る。イワン・チェルブ研究員が悲鳴を上げている。
SCP-5045-1が笑い声を上げている。
SCP-5045-1が満足している。
状況不明
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情報: 私の農場にやってきた最初のヤギにご挨拶を!ちょっとばかし地味だけど、最初のヤギに何を期待するっていうんだい?
引用: 君はここが好き?
情報: 二本足で歩くヤギは見たことあるかい?ない?じゃあこれで見たことあるわけね!どうして笑わない?
引用: スナック菓子はある?草を食べるのに飽き飽きしてるんだ。
情報: あの目にご注意を、君を見ても彼は気にしない!
引用: まだわるくなる。
情報: 水たまりを踏むのは好きかな?
引用: 最悪。
情報: 彼女は相当なドラマ・クイーン芝居がかった行動を取る人だよ!そもそもあまり辻褄があってないんだな。
引用: わたしをこんなひどいすがたのままにしとこうっていうのあなたは
情報: ふーむ… 君のことはまだわからない!
引用: N/A
情報: 彼は大口を叩くのが好きだけど、さした問題にはならないだろうね!
引用: そんな風に俺を呼ぶな!
情報: 頻繁に無作法を働く者には自分を持つ資格はない!
引用: こんちは!ファーマーだよ!