SCP-5007
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翻訳責任者: Tutu-sh Tutu-sh
翻訳年: 2025
著作権者: Dr Balthazaar Dr Balthazaar
原題: SCP-5007 - Bass Strait
作成年: 2020
初訳時参照リビジョン: 51
元記事リンク: https://scp-wiki.wikidot.com/scp-5007


評価: +8
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SCP-5007の活動の被影響下にある典型的な環境。この特定地域は現在の収容プロトコルが実施されて以降██件の事案が発生している。


SCP-5000.jpg

青色で強調表示されたSCP-5007活動域の地図

アイテム番号: SCP-5007

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: ×ばつ60メートルの円柱形収容房セル-5007-Aに収容されます。セル-5007-Aは厚さ25cmの鉄筋コンクリートおよび防弾ガラスで構成されています。実験を除き、セル-5007-A内への食物や外部物質の持ち込みは禁止されています。

サイト-40-RはSCP-5007-Bから出現するSCP-5007実体に備えてサイトを監視するため、SCP-5007-Aから200mの地点に建設されています。サイト-40-Rは空中・水中救命装置や気象測器が配備され、またSCP-5007実体から職員を保護するため全箇所を網で被覆されます。SCP-5007-Bから出現したSCP-5007実体が確認された場合、職員は気象データと予測ソフトウェアを用いて実体を追跡しその上陸地点を予測します。目的地が確立された場合、当該地域から避難の上、ガス漏れ・暴風雨・ウイルスの発生としての偽装の下で民間人は屋内待機を指示されます。航空および海上交通も実体の予想飛行経路から10km以内に接近できないように経路を変更されます。航空機や水上艇はサイト-40-RあるいはSCP-5007-Aの10km以内への進入を禁止され、接近時には経路を変更されます。

避難プロトコルが失敗した場合、サイト-40-Rから派遣されたチームが小火器の使用や市民の隠匿により拉致被害を最小限に抑えるべく尽力します。これらの出来事の目撃者は全員クラス-B記憶処理を施され、拉致事件は溺死・非異常の誘拐・無断欠席として説明されます。SCP-5007により拉致された人物は損失したものとみなされ、職員の判断で終了される可能性もあります。財団による関与以前に発行された目撃証言は、UFO陰謀団体および組織内に潜入した財団職員、死亡証明書の捏造、記憶処理により信憑性を損なうよう誘導されます。

SCP-5007-Aの調査を行う職員は40分を超過してその場に留まることを禁止され、また2時間以上SCP-5007-Aの表面に残されたいかなる道具も損失したものと見なされます。SCP-5007-Aの研究を行う全ての人員は洋上船に配備された高速回収ハーネスを装着します。SCP-5007による攻撃を受けた場合、職員は船に巻き上げられ、安全に帰還可能と判断されるまでサイト-40-Rへ戻ります。ファイアチームによる立ち合いが無い場合いかなる研究も許可されず、また全ての職員はいかなる状況下においてもSCP-5007-Bへの進入を許可されません。SCP-5007に拉致された人物、難破船の生存者、SCP-5007-Aに墜落した飛行機事故の生存者の救出は試みられませんが、レベル3の監視下における遠隔終了が許可されます。

遠征5007-19-S以降、SCP-5007-Bを恒久的に封鎖するため、直径44mかつ厚さ6mに達する鉄筋コンクリートおよび鋼鉄製の収容結界が建設され、被覆するように付設されました。

事案5007-40-R-12以降、SCP-5007-Bはいかなる状況下においても被覆・封鎖されません。

説明: SCP-5007は悪意ある部分的人型実体に対する総称です。SCP-5007はタスマニア島とオーストラリア本土とを隔てる海域であるバス海峡の縄張りを維持しており、当該範囲内での一連の失踪事件に関与しています。

SCP-5007の形態は多岐に亘ります。一般的にSCP-5007は、黒色の触手の大規模な集合体の中央に位置する互いに癒合した2〜9人のヒトの体で構成されます。これらの触手は長さ約2〜70メートルに達し、直接接する皮膚に癒合しているように見られます。SCP-5007の特筆性はその胃にあり、これは著明に歪曲し、直径15〜20メートル近くまで膨大しています。SCP-5007実体は受動的飛行が可能であり、胃の内部で生産される膨大な気相により浮力を獲得します。大半の個体において、これらの器官の表面には単純な眼球と生物発光器官との集合体が発達します。人型要素の多くは一見して不規則な個所を継ぎ接ぎされているように見られます。

SCP-5007との遭遇は遅くとも1858年以降から知られています。最初に成功した視覚的記録は1982年後半に成し遂げられたものであり、1体のSCP-5007実体が5人の児童をタスマニアの浜辺から拉致する様子が記録されました。

SCP-5007のヒト部分は互いに独立したままのようであり、その振る舞いから多大な不快感が見て取れます。発声は支離滅裂かつほぼ理解不能であり、典型的に喘ぎ声・うめき声・泣き声で構成されます。ただし、実体は他個体との遭遇時において、接近するように当該個体へ懇願する様が報告されています。また、自傷行為や胃臓器の破壊といった無為な試みも報告されています。

行動: SCP-5007は人間を拉致することが知られています。

記録された各遭遇は同様のパターンに従っています。犠牲者はほぼ例外なく、単独、または監督されていない状態であり、特筆すべき点として眼鏡のような視覚補助具を必要としない人物に限られます。SCP-5007はいかなる気象条件・時刻・時節においても出現する可能性があります。彼らは晴天であれ荒天であれ、あらゆる天候において容易に航海が可能と見られます。全ての遭遇はバス海峡内で発生しており、特に小規模な沿岸の町や小型船舶が主な発生地点です。

SCP-5007は海岸の方へ移動し、標的とした犠牲者を短時間に亘って尾行した後、無数の触手と付属器官を下ろして当該人物を物理的に捕縛します。単一の実体が一度に複数の人々を拉致する場合もあり、ある実体が商業漁船の甲板から15秒以内に8人の男性を拉致することに成功した例もあります。犠牲者を確実に捕獲すると、SCP-5007実体は開けた水へ高速で戻ります。その速度はしばしば320km/hを超過します。

SCP-5007実体の追跡により、彼らはバス海峡内の離れた礁に生息し、そこに拉致被害者を安置・堆積させていることが明らかになっています。

取得記録: SCP-5007の発見に繋がった初期調査は当該地域を対象とする異なる調査であり、初期の仮説では広範囲かつ長期間に亘る数多くの異様な拉致事件を関連付けられませんでした。仮説には、異常な人物の集団、成層圏に生息する1体以上の敵対的空棲実体、未確認飛行物体に関連する現象、地下棲アノマリー、時間の歪み、異様な天候パターンが含まれていました。

しかし、エージェント・タベルネールの3人の幼児と妻が1980年の白昼に浜辺から失踪して以降、当該地域に対する追加調査が優先されました。やがてUFOや空の光に関する報告が隣接地域での多数の失踪事件と一致することが判明しました。これがさらなる研究の最前線に置かれると、複数のパターンが浮上しました。

直後に財団は、行方不明となったタベルネール家の構成員4人の所在地の特定のみに注力しました。本捜索は、ヴィクトリア州の海岸、後にはタスマニア州の海岸や地元の島々で同様のパターンを辿った、原因不明の失踪事件の大規模調査へと急速に発展しました。彼らが要注意団体あるいは地元の未知の陸棲要素により連れ去られたという当初の憶測はただちに誤りであると判明しました。これらのパターンはバス海峡海岸域全体に亘って普遍的であることが3週間以内に確認されました。

財団のチームは120人を超過する目撃者・近親者・警察集団への事情聴取し、パターンの確立に成功しました。事例のうち圧倒的多数において目撃者が不在であり、空の光や、より具体的には「風船のようである」と表現される未確認飛行物体に関する目撃情報が拉致事件の前後に寄せられていたことが判明しました。

1982年05月23日、緊急サービスのコールセンターがヴィクトリア州ノーマン湾の海岸での多数のUFO目撃情報を受けました。コールセンター内に潜入していた財団職員と緊急対策組織が地元のサイトに警告を発し、機動部隊の工作員が調査のため派遣されました。部隊の到着に際し、現在SCP-5007として文書化されている存在の出現と実在が確認されました。

短時間の避難および実体との遭遇の後、実体は無事に捕獲され、収容のためサイト-40へ輸送されました。SCP-5007-Aの発見は、その後のサイト-40-Rの建設と当該実体のSCP-5007-S1指定を促進する運びとなりました。

補遺5007-01:

Holt.jpg

ポートシー海岸でスピアフィッシング調査中の首相ハロルド・ホルト。この海岸から█人がSCP-5007により拉致されている。

インタビュー対象: アラン・スチュワート

インタビュアー: ██████████博士

付記: SCP-5007-S1での収容に先駆けたSCP-5007の初期調査において、財団は失踪事件のパターンを決定するための取り組みの一環として、SCP-5007による犠牲者と思われる人物の親族との膨大なインタビューを実施しました。インタビューを受けた者の1人であるアラン・スチュワートは、元オーストラリア首相ハロルド・ホルトの失踪事件において現場に居た人物です。本失踪事件の注目度の高さを鑑み、██████████博士は行方不明事件に関する記事を執筆する記者として偽装しました。


<記録開始>

██████████博士: スチュワートさん、お会いする機会をいただきありがとうございます。あの日に何が起こったか多くの人に尋ねられてうんざりしていることかと思います。連絡を差し上げた際にも申し上げましたが、我々は実際にそこに居た方に何が起きたのかをお聞きしたいのです。ここのところよく耳にするようになった噂話ではありません。

スチュワート: 心配要りませんよ。それで、ええと、どこから始めましょうか?

██████████博士: あなたが水に入ったところからが一番よろしいかと。

スチュワート: 分かりました。さて、私たちはヨットが湾の中に入ってくるのを見られなかったので、それにガッカリして、泳ぎに行くことにしたんです。女の子たちとマーティは水を一目見て、入るのを止めようと言いました。荒れていたのは事実ですが、そんなに酷いとは当時思っていませんでした。

██████████博士: では、あなたとホルト氏は泳ぎに覚えがおありだったのですか?

スチュワート: ええ。私たち2人とも、何度も来たことがありました。でも、腰くらいの深さまで来た時、引き波を感じたんです。浅瀬に居た方が良いだろうか?とハロルドに言いましたが、彼は私に向かってニヤッと笑ってさらに泳いでいったんです。私ももう少し向こうへ泳いではみましたが、彼ほど得意なわけではないので、それほど遠くには行きませんでした。彼も自信を無くしつつあるようだったので、戻った方が良いんじゃないかと声をかけると、彼も頷きました。それから彼は後ろを振り返って風船がどうのと言っていましたが、私はそれが何のことなのか全く分かりませんでした。

██████████博士: 風船?彼は具体的に何と言いましたか?

スチュワート: とても不思議なものでした。彼は私の方に目をやり、崖の周りに風船が見えるかと問いかけてきました。私がノーと答えると、彼は見に行きました。なぜ風船を気にするのかと訊くと、彼は崖に来るべきだと。彼はただ首を振って、普通の風船じゃない、その中に誰かが居ると言ったのです。それから彼は泳いでいきました。

スチュワート氏が数瞬沈黙し、首を振る。

██████████博士: それで何が起きたんです、スチュワートさん?

スチュワート: 次に起きたことなんて、誰でも知っていますよ。激しい波が彼を薙ぎ払ったんです。まるで潮の流れの外に弾き出される1枚の葉っぱのように、物凄い勢いで連れ去られました。あなたがご想像の通り、彼が抜け出そうと横向きに泳いでいるのが見えましたよ。私は......いや、気にしないでください。

██████████博士: スチュワートさん?

スチュワート: 何でもありません。友人が海流に攫われたのを見て動揺しただけなんです。そんな状況なら、幻覚が見えることもあると、そうお考えかもしれませんね。

██████████博士: 何を見たとお思いに?

スチュワート: きっと、気でも違えたと思うでしょう。

██████████博士: そんなことはありえません、スチュワートさん。あなたが見たように感じたものは、お望みでないなら記事には載せませんよ。

スチュワート氏が頷き、数瞬の小休止を挟む。

スチュワート: 私が見た......私が見たと思った光景は、ハロルドが叫んで他の方向へ泳ぎ始めた様子でした。彼はほぼ水平線上の1個の点になっていましたよ。彼は水の中で何か恐ろしいものを目にしたのでしょう。そしてそれは彼の言う風船と何かしらの関係があるかもしれません。そして......それから......

スチュワート氏が発話を止め、顔を擦る。

スチュワート: 私は彼が空中へ引き上げられるのを見ました。何かが......雲の中に潜む何かが降りてきて彼を連れ去ったのです。私は見ました。マーティは単なる光のトリックだと言いましたが......でも私にはそうは思えない。そんなものじゃない。

██████████博士: すみません、スチュワートさん。そんなことを思い出させるつもりは無かったんです。今日はこのあたりで終わりにしましょうか?

スチュワート: 私を信じてくれるのですか?

██████████博士: 我々は皆、時々そうした物を目にしているのです、スチュワートさん。お時間を頂きありがとうございました。

<記録終了>

終了報告書: これまでのところスチュワート氏は拉致イベントの唯一の目撃者であるらしい。目撃から本インタビューまでに18年が経過していることを踏まえると、記憶処理はここにおける選択肢たりえない。残念であるが、スチュワート氏が出来事の説明を流布するようであれば、我々は彼の信用を失墜させる必要があるであろう。

補遺5007-02:

sasidome.png

1980年から現在までのSCP-5007による推定犠牲者を示す地図

目撃者との広範な事情聴取、犠牲者の可能性が高い者のデータベースの収集、SCP-5007-S1の収容後、少なくとも16体におよぶ未確認のSCP-5007実体が存在すると判断されました。本情報の結果として、SCP-5007の発生地点の探索は最優先事項となりました。財団職員は海岸線とバス海峡の水域を詳細に監視し、SCP-5007実体の発生地点の痕跡をいかなるものであれ追跡するためクラスB水中調査船を配備された様々な海洋広域調査チームを待機させました。

1985年05月19日 03:21 AM、サイト-40の外部で活動中であった財団広域調査チームにより、バス海峡からヴィクトリア州キルカンダの沿岸部の町に向かっている大型のSCP-5007個体の目撃報告がありました。個体の発生地点の特定を目的とし、個体追跡のため海洋広域調査チーム40-アルファが派遣されました。以下はその後の出来事を撮影した████・プライス軍曹のボディカメラによる映像記録です。

探査映像記録転写

日付: 1985年05月19日

探査チーム: 海洋広域調査チーム40-アルファ

対象: SCP-5007

チームリーダー: ████・プライス軍曹

チームメンバー: ███████・ベントリー伍長、███・マザーズ伍長、████・ツメガフ伍長


[記録開始]

プライス伍長: この先に実体が居る。警戒を怠るな、そして保護カバーは開けるな。連中のリーチは長い、お前たちが連れ去られるのはごめんだからな。

私用漁船の直上を浮遊する大型のSCP-5007実体が約75メートルの距離に目視できる。当該実体は直径23m、7人分で構成されると推測される。これらの個人のうち5人は未特定であるが、他の2人は1963年の新婚旅行中に失踪したマーク・███████とホープ・███████であることが確認される。

マザーズ伍長: イエッサー。

ツメガフ伍長: クソッ、本当にUFOみたいだ。あの緑の光を見てみろよ。

マザーズ伍長: ああなんてこった、気分が悪くなってきた。

ベントリー伍長: どうした?

マザーズ伍長: あそこの男と女だ。あれは......あれはまるで粘土だ。一緒に押し潰されているらしい......女の口の中に触手が伸びてる......

プライス軍曹: もういい。気を張れマザーズ。あいつらは人間じゃない、個体の一部に過ぎないんだ。

マザーズ伍長: イエッサー。申し訳ありません。

ベントリー伍長: サー、あれは船に向かって飛んでいます。攻撃するつもりかと。

プライス軍曹: 同感だ。ツメガフ、我々をあそこに連れて行ってくれ。

ツメガフ伍長: イエッサー。

40-アルファは、「冷却許可」と印字された、グレゴール・ボルウェル氏に名義の漁船に接近する。当該船舶は拉致被害者-1から-6と呼称される6人に占められている。拉致被害者-1は甲板上に居り、残る乗組員は船室内で朝食を取る様子が確認できる。SCP-5007実体は現在直線的に漁船へ接近しており、拉致被害者-1がこれに気付く。

拉致被害者-1: あれって一体何?

拉致被害者-4: 何って何が?ジェーン、早くタバコ済ませて朝飯食えよ。アリスが卵作ってくれてんだ。

拉致被害者-6: マジ美味いよ!

SCP-5007実体がボートに向かってある程度降下する。複数本の触手が水中で引きずられ、ボートの乗組員に気付かれたと見られる。実体は徐々に向きを変え、人型部分の大多数が拉致被害者-1と向き合う。

SCP-5007: 見えているぞ。お前も我が目となるのだ。

拉致被害者-1: 何だってのよ!

拉致被害者-3: お母さん見て、風船!

拉致被害者-1がボート船室の扉の方へ駆け出すが、触手に締め付けられ、空中に放り出される。

拉致被害者-5: ジェーン!

拉致被害者-2: 何てこった!

拉致被害者-4: どうにか逃げないと!

拉致被害者-5が船室からの脱出を試みるが、拉致被害者-2と拉致被害者-4がこれを押さえ込む。

拉致被害者-2: 駄目だ、よせやめろ!

拉致被害者-5: 放せ、私の妻なんだぞ!

SCP-5007実体が船室の窓に沿ってその触手を前進させ、扉の位置を特定する。この時点で人間の手の塊を形成した触手が扉を開き、船室に侵入する。拉致被害者-2を掴み、暴力的に空中へ放り出す。拉致被害者-3から-6は恐慌状態に陥り、手に持った物体で強引に触手を船室から押し出そうとする。

ベントリー伍長: 全く、嘘だろ......俺たち本当に彼らを助けられないんですか?

プライス軍曹: そうだ。イベントの妨害は任務を危険に晒しうるぞ。

SCP-5007個体が拉致被害者-3から-6を掴むことに成功し、40-アルファの方へ前進する。

プライス軍曹: 焦るな、進入経路は施錠され、5トンの力で封鎖が維持されてる。中には入れない。

マザーズ伍長: 本当そう願いますよ。

ツメガフ伍長: 5トンで十分でしょうか?

ベントリー伍長: 嘘だろ。奴ら、自分を締め殺そうとして、オレンジのゲロを吐いてる......

プライス軍曹: 漁船の乗組員か?

ベントリー伍長: いえ、SCiPの人間 ⸺ 人型実体部分です。

プライス軍曹: それは気にするな。あいつがどこに住み着いていようが、待って追いかけるだけだ。

ツメガフ伍長: ラジャー。

//SCP-5007実体がその触手を40-アルファの船に這わせる。繰り返しエントランスハッチを力づくで開放しようと試みるが、進入不可能である。実体は降下し、船とその内部の乗組員をその全長に亘って綿密に調査する。

マザーズ伍長: 何てこった、あいつの目......まるでビーチボールだ。

ツメガフ伍長: こんなビーチボールはお目にかかった試しが無いけどな。

プライス軍曹: もういい。黙れ。

当該個体が振動して空中に再び浮上し、南西方向へ向かう。

プライス軍曹: ツメガフ、あれを追え。逃すんじゃない。

ツメガフ伍長: サー。

プライス軍曹: ベントリー、あれに標識を。

ベントリー伍長が前進し、「イスルス」級ハープーントラッカーを個体の方へ発射する。個体の触手の1本へ無事に挿入される。

プライス軍曹: ナイスショット。

ベントリー伍長: やったね。

SCP-5007個体が南西経路を進行し、40-アルファが追跡する。4時間19分後、40-アルファは当該個体に大きく遅れを取ったが、陸地を通過すると個体が減速したため追いついた。

プライス軍曹: あそこだ!見ろ!礁に向かってる!

ツメガフ伍長: クソッタレ、あいつら見てみろよ!

映像には彼方に灰色を呈する大型の礁が映し出され、その上位に複数隻の難破船が映る。13体以上のSCP-5007実体が当該領域に浮遊しており、そのうち数体が触手で礁にしがみついている。

マザーズ伍長: 上陸を目指しているようです、サー。

プライス軍曹: 間違いない。

当該個体が減速して礁の直上で停止し、アルファ-40がその横に並ぶ。SCP-5007実体は拉致被害-1から-6を礁の方へ降ろし、地上の僅か直上から落下させる。

拉致被害者-4: 皆大丈夫か?

拉致被害者-1: んなワケないでしょうが!

拉致被害者-2: こいつら何なんだ?

拉致被害者-6: 見ろ!ボートだ!

拉致被害者-6がアルファ-40の方へ駆け出すが、礁の隙間から大型のSCP-4159実体により捕縛・攻撃される。拉致被害者-2が救助に駆け出すが、水中から他個体が出現したため足を止める。

ツメガフ: なんてこった、あいつら見ろよ!

プライス軍曹: これだけの数は初めてだ。

SCP-4159実体が前進して拉致被害者-6によじ登る。残された拉致被害者たちは一方向へ逃走し、救助を求めてアルファ-40へ腕を振りながら呼びかける。著明な苦痛の兆候が示されている。

マザーズ伍長: 我々は今彼らを追ってきたんです。少なくとも今は助けても良いでしょう?

ツメガフ伍長: 化け物どもがウヨウヨ居る場所に行くなんてごめんだぞ。

プライス軍曹: 駄目だ。連中が彼らに何をするか、把握しなければ。

ベントリー伍長: ああ、そんな。

拉致被害者-1から-5はアルファ-40の協力を得ようと試み続けた後、最終的に諦め、礁の探索に出る。礁の中央に接近した彼らは大規模な池を発見する。SCP-4159によるさらなる攻撃に関する懸念んを口にして彼らはその縁から退却しはじめるが、複数体のSCP-5007実体とSCP-4159実体が彼らの周囲に集結する。

拉致被害者-3: 戻ってきた!

拉致被害者-1: 水の中なら捕まらないかも!

拉致被害者-5: 飛び込め!

拉致被害者-1, -2, -3および-5が池に飛び込む。拉致被害者-4は躊躇した様子を見せ、複数体のSCP-4159個体に巻き付かれる。残る拉致被害者たちは深刻な苦痛を顕にし、複数回に亘って水を踏みつける。

拉致被害者-1: 今度は何?

拉致被害者-5: 分からない。考えるんだ。

拉致被害者-2が突如として水中に引きずり込まれる。

拉致被害者-5: アリス、どう思う?

拉致被害者-1: アリス?

拉致被害者-3: お母さんはどこ?お母さん?怖いよ、ジェーンおばさん!

拉致被害者-3が水面下に引きずり込まれる。

拉致被害者-1: サラーッ!

拉致被害者-5: クソッタレ、あれは触手か?待て、やめろ!

拉致被害者-5が水面下に引きずり込まれる。拉致被害者-1が恐慌状態に陥り、池の縁まで泳ごうと試みるが、SCP-5007とSCP-4159に威嚇される。彼女は絶叫とともに水面下に引きずり込まれる。アルファ-40は72秒間に亘り沈黙する。

プライス軍曹: もう、帰ろう。

[記録終了]

ボディカメラの映像、エージェントによる報告、追跡データをレビューした後、財団チームは当該の礁がSCP-5007の生息地かつ発生源であると判断してSCP-5007-Aに指定しました。このような経緯を踏まえ、監視と調査を目的とし、SCP-5007-Aの東方200m地点にサイト-40-Rが建設されました。

補遺5007-03:

5000-a.jpg

SCP-5007-A

SCP-5007-Aは中央部バス海峡に位置する、約1.3km2に達する大型潮間帯礁です。SCP-5007-Aは外見上花崗岩に類似する従来的に確認されていなかった様々な暗色多孔質岩を主体としており、供給源不明の酸化鉄の沈着がよく見られます。当該の岩石は成長速度が異様に速いという異常性を有します。非異常の岩石が一般に著明な成長に数百万年を要するのに対し、SCP-5007-Aは僅か40分で著明な成長を遂げます。SCP-5007-Aの周囲に激しい海流が存在するためこの成長速度により当該岩石が拡大することはありませんが、岩石上位の遺物に対する上方成長は阻害されません。この結果として、SCP-5007-A上には完全に岩石で被覆された多数の難破船や航空機が存在します。

SCP-5007-Aは様々な異常海棲生物の安息地であることが確認されています。その表面の大部分はSCP-5007-Aの新鮮な成長した岩石の消費に特化した紅藻や、一時的な空中浮遊が可能な無数の海棲ワーム、非異常のものと同様に絹で潜伏場所を形成する肢幅1〜3メートルに達する海棲グモが生息しています。加えて、岩石の水溜りやSCP-5007-A周囲の海水には他地域で発見されていない小型魚類も生息しています。SCP-4159は11月から3月に亘ってSCP-5007-Aへ渡りを行い、岩石の水溜りや周囲の海水に生息します。

SCP-5007-AはSCP-5007の発生地点であることが確認されており、SCP-5007は時折不活発時において触手で露頭を掴んで静止します。

SCP-5007-Aの中央には直径33mに達する大型の孔が存在しており、水面下の深度は現時点で不明です。この孔はSCP-5007-Bに指定されており、最低でも4000mの深度を持つことがドローンによる無人探査で示唆されています。SCP-5007-Bから採集された水の試料には多量のヒトのDNA、Carnobacterium pleistocenium、および生命の高度な保存特性を持つ未確認の生物学的化合物が含有されています。当該の水溶液に浸された有機体は、完全に水没して呼吸不能の状態に置かれた場合においても、重傷を負った状態で無期限に生存可能であることが実験で確認されています。

SCP-5007-Aに位置する難破船のうちの1隻の探索では、収納箱に収められた1冊の日誌が発見されました。その大部分は水による損傷のため判読不能でしたが、ある一節が財団の興味を惹くものであることが判明しました。

復元された文書5007-1: HMSサッポーの未確認乗組員の日誌、1858年2月
復元された日付: 1990年8月31日
付記: 本日誌はHMSサッポー内で回収されており、当該船舶は難破しSCP-5007-Aの岩石によりほぼ完全に被覆された状態で発見されています。最終ページのものと見られる一節を除き、日誌の大部分は判読不能です。

1858年2月

まだ東へ向かう。皆と私はまだモレスビーを呪っている。あいつがアメ公どもを追いかけたせいで、我々は海峡を航行しなければならなくなった。そして知っての通り、案の定、海は荒れている。四方八方の波は何ヤードもの高さで、我々は転覆しないように南進せざるを得ない。私とフレッチャーは、波の下に、黄色の目をした巨大な黒い蛇のような何かを見た。乗組員を怖がらせまいと、彼らに伝えるつもりは無かったんだが、フレッチャーは走ってこのことを広めてしまった。まるで波をかき立てているような感覚だ。モレスビーが前方に島を見つけると、皆は島の上に巨大な風船がぶら下がっていると言う。我々は恐怖に襲われているが、浜辺に上がって救助を願うほかにできることは無い。もし私が事故で命を落とすことがあれば、この日誌を仲間に託し、私がメアリーのことだけを考えて最期を過ごしたことを彼女に知っていてもらいたい。

注記:
当該船舶内には、岩石で被覆された数多くの人間の骨格が横たわっていました。この大きさの船舶の乗組員の人数は船内で発見された人数を上回ると推測されますが、残る乗組員は依然として行方不明です。

補遺5007-04:

フレデリック・ヴァレンティッチは1978年10月21日にバス海峡上空で飛行訓練に参加していた操縦士であり、その失踪事件はSCP-5007に起因する可能性があります。遺憾ながら当該イベントにおけるメルボルン航空交通管制への送信の転写は財団による関与以前に公衆へ公開されました。このため財団のウェブ・スクラバーはオンラインのUFOコミュニティのメンバーを偽装して超常現象仮説が疑問視されるよう誘導に尽力しました。また失踪事件に関して「ヴァレンティッチは飛行中に姿勢が上下反転し、水面に反射した自身の光あるいは付近の島嶼に由来する光を目撃して混乱した」という公的な説明が用意されました。

439px-Frederick_Valentich.png

操縦士フレドリック・ヴァレンティッチの写真

音声転写: フレデリック・ヴァレンティッチからメルボルン航空交通管制へ
以下の転写は1978年10月21日 07:06 PMに操縦士フレデリック・ヴァレンティッチがメルボルン航空交通管制へ連絡した内容であり、バス海峡上空でセスナ182Lを操縦していた際に彼の空域にSCP-5007実体が存在したことを報告したものです。本転写の後、実体の攻撃により機体は緊急着水を余儀無くされました。

ヴァレンティッチ: メルボルン、こちらデルタ・シエラ・ジュリエット。5000フィート下に既知のトラフィックは?

メルボルン: デルタ・シエラ・ジュリエット、既知のトラフィックはありません。

ヴァレンティッチ: デルタ・シエラ・ジュリエット。えー、5000フィート下に大型航空機があるように見える。

メルボルン: デルタ・シエラ・ジュリエット。航空機の種類は分かりますか?

ヴァレンティッチ: デルタ・シエラ・ジュリエット。確認不能。着陸灯のような、眩しい4つの光が見える。

メルボルン: デルタ・シエラ・ジュリエット。

ヴァレンティッチ: メルボルン、こちらデルタ・シエラ・ジュリエット。航空機が当機を通り抜け、少なくとも当機上空1000フィートに上昇している。

ヴァレンティッチ: //デルタ・シエラ・ジュリエット。メルボルン、件の機体が静止したようだ。当機は現在周回中で、件の機体も当機の上をただ周回している。緑色の照明が灯いていて、メタリックな感じで、外側は全面に光沢があるらしい。

ヴァレンティッチ: デルタ・シエラ・ジュリエット。エンジンがラフアイドルだ。23、24に設定したが、咳き込むような異音を立ててる。

メルボルン: デルタ・シエラ・ジュリエット。ラジャー。あなたの目的は?

ヴァレンティッチ: キング島に行くつもりだ。メルボルン、あの奇妙な航空機がまた当機上空で浮いている......滞空してる、航空機じゃない。

メルボルン: デルタ・シエラ・ジュリエット?

ヴァレンティッチ: デルタ・シエラ・ジュリエット。メルボルン......

メルボルン: デルタ・シエラ・ジュリエット。メルボルン?

付記: 「金属的な摩擦音」として説明される未確認の雑音によりこの時点で送信が妨害され、その後交信が喪失しました。これらの音は、ヴァレンティッチの航空機を攻撃しそのバイオマスでプロペラの閉塞を試みたSCP-5007実体に起因する可能性があると考えられています。

財団による関与以前において、数多の組織や市民捜索隊がヴァレンティッチの残骸を調査しましたが、これらは全て失敗に終わりました。墜落した彼の航空機はSCP-5007-Bの無人探査においてようやく発見されており、当該機体は海面下1200mの岩壁に埋め込まれ、非常に高い圧力で圧壊した状態を呈していました。残骸はサイト-40-R外で活動していた財団職員により1993年10月27日に分析のため損失無く回収されました。

残骸の分析により、当該機体が大型の生物の塊との衝突に起因する壊滅的なエンジン故障を受け、航空機が水上不時着を余儀無くされ、その後の損傷に繋がったことが示唆されました。内装の分析では、既知の生命体と一致しないDNA試料と混合された、ヴァレンティッチの記載と一致する人間の遺体が発見されました。また、コックピットでは二次的に追加された録音装置の存在が明らかにされました。部分的に破損していますが、録音の転写は以下で確認可能です。

音声転写: コックピットの録音装置VH-DSJ
回収日: 1993年10月27日
付記: 以下の録音はヴァレンティッチによるメルボルン航空交通管制への送信が終了した時点から開始するように編集済みです。損傷のため利用可能なデータが取得不能である部分を含みます。
録音転写:


航空機のエンジンの調子の悪い駆動音と共に、荒い呼吸音が聞こえる。メルボルン航空交通管制が無戦越しにヴァレンティッチに連絡を試みる様子が聞こえる。

ヴァレンティッチ: ああ、近づくんじゃない。離れろ ⸺ クソッ、やめろ!

大きな衝突音が鳴り、エンジンが停止する。

ヴァレンティッチ: クソ、襲ってきやがる!こっちに突っ込んできて、プロペラが詰まってる!ああ、駄目だ、落ちる!

SCP-5007: 見ているな。

ヴァレンティッチが悲鳴を上げ、23秒間に亘って恐慌状態に陥る様子が聞こえる。その後落ち着きを取り戻したようである。

ヴァレンティッチ: あー、水面に不時着するまで、できる限り長く滑空するんだ。誰かが......誰かが見つけに来てくれるかもしれない。

風、SCP-5007、ヴァレンティッチの奮闘が2分48秒間に亘って聞こえる。その後航空機が水面に強い衝撃を与える。着水に際し、様々な電子機器がショートする音や圧壊音が聞こえる。

ヴァレンティッチ: うわ!なんてこった、こんなこと想定外だ。ああ、ここはまだ水漏れしてないが......アイツは衝撃で落ちたか、助かった。波が荒れてるな。救難連絡は起動したが、無線が全部イカれてる。

船室の外側の海の音が聞こえる。ヴァレンティッチが発話を開始する。

ヴァレンティッチ: ごめん、父さん。あなたは ⸺

[破損部]

ヴァレンティッチ: ⸺ だったのか?

激しい水音、続いて強打音が聞こえる。

ヴァレンティッチ: 駄目だ!やめろ!そんな、触手が戻ってきた。戻ってきた!俺を見つめて、機体を掴んでやがる!駄目だ!駄目だ、やめろ!

機体外部からの音が鈍くなる。機体の完全な水没が示唆される。

ヴァレンティッチ: 出してくれ。ここから出せ、出すんだよ!

ヴァレンティッチは恐慌状態に陥り、さらなる39分間に亘って苦痛を示す。その後、機体が押し潰されたように軋む。砕け散る音が鳴り、コックピットに流れ込む水の音が聞こえる。

付記: この時点以降他に特に記録なし。機体への破損損傷に基づき、SCP-5007-Bと関連する未知の実体が物理的にヴァレンティッチの航空機を海面下8000メートル以深に引きずり込んだとの仮説が立てられている。当該実体はSCP-5007-B内での拉致被害者-1から-6の失踪事件の原因であり、回収された文書5007-1に記載されたものと同一であると考えられる。

補遺5007-05:

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SCP-5007-Aから見たサイト-40-R

サイト-40-Rの建設後、SCP-5007の全ての出発と帰還との記録が管理されています。実体が拉致被害者を連れて戻る頻度は現行収容プロトコル以前よりも83%低減しています。しかし、サイト-40-Rは2003年04月19日にSCP-5007-Aを出発するSCP-5007の3実体、2008年04月23日に帰還する36実体を記録しており、そのうち新鮮な拉致被害者を保有していない個体は2体のみでした。行方不明者の情報、SCP-5007目撃情報、衛星データのいずれにおいても、これらの未確認実例の存在を示す記録はモニタリングポストに存在しません。

当該イベントの後、SCP-5007-Bから出現した1本の大型の触手により最大のSCP-5007実体が[データ削除済]。当該過程は78時間を要し、現場での心理カウンセリングは26%の増加を必要としました。

SCP-5007-Bの直下に大型実体が存在するという憶測は以前よりなされていたものの、財団に示された具体的証拠は本件が最初のものです。当該実体はSCP-5007-Cに指定され、その実在はSCP-5007-Cの性質の特定を目的とするSCP-5007-Bの有人探査を必要とするものでした。当該任務にはステーンストロップ博士が志願しました。

補遺5007-06:

SCP-5007-B 有人探査38映像記録


日付: 2017年12月04日

付記: SCP-5007-BおよびSCP-5007-Cの両方の特性を決定するための取り組みとして、SCP-5007-Bの有人探査が必要であると判断されました。2008年05月19日から2017年12月04日にかけて37回の探査が試みられ、その全てが極度の圧力に起因する船体崩壊のため失敗に終わりました。民間企業との共同作業を経て、財団は水深最大1万3500mまで潜水可能な深海潜水艇の開発に成功しました。前回の探査試行における熟練職員の損失を踏まえ、Dクラス職員が本潜水艇の作戦において訓練を受け任務を遂行することが決定されました。D-5007-98はSCP-5007-Bの底へ潜水し、有意な深度の測定値を報告するように指示を受けました。
SCPSノーチラスはその外装に組み込まれたカメラと内部に装着されたマイクロフォンが可能な限り詳細な記録を行う予定です。本実験における水深が深いため遠隔での本映像の確認は不可能であり、確認のためには艇の物理的再回収が必要とされました。
簡略化と破損に関する注意: 本記録は探査5007-B-38の完全な記録ではありません。余剰あるいは無関係な映像が除去され、記録後半段階にデータの破損が存在します。


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正面から見たSCPSノーチラス

[記録開始]

[00:00:01]: D-5007-98が潜水前の準備を完了し、彼自身とSCPSノーチラスを確認する。SCP-5007-Bへクレーンで吊り上げられる。

[00:02:30] D-5007-98: 全系統よし。潜水準備よし。

[00:03:00]: SCPSノーチラスがSCP-5007-Bへ降下し、クレーンから外される。

[00:03:19]: D-5007-98: 良さそうだ、降下する。溝の壁の周りは黒くて黄色い妙な蔓が纏わりついてるな。

[00:26:35]: 視界は良好である。黄色いマーキングを伴う黒色の触手が壁面に配列している様子が認められる。

[00:32:12]: 複数のSCP-5007-A3実体が、共有された生きた大規模な1個の網として可視化される。最大個体が1本の肢を伸ばすとSCPSノーチラスに接触し、素早く引っ込める。

[00:37:08]: 大型のSCP-5007実体が岩石露頭にしがみついている様子が映る。当該個体が持つ全ての黄色い眼球がSCPSノーチラスを追っている。それまで確認されていた触手の多くは当該個体の周囲に巻き付けられており、特に個体の巨体を構成する個人の口腔や鼻腔といった開口部の内側にも巻かれている。

[00:37:20]: D-5007-98: なんてこった、飛行機を掴んでんのか?あー、水深528メートル。

[00:37:30]: 528メートルから1750メートルまでの間で、他の16体のSCP-5007実体がSCP-5007-Bの壁面に寄りかかって静止している様子が映される。

[01:03:27]: D-5007-98:自然光はもう届かない。連中が俺に興味無さそうで良かったよ。

[01:13:52]: 6対の鰓孔を持つ大型のサメがSCPSノーチラスの横を泳いで通り抜けていき、SCP-5007-A3実体を攻撃する。

[01:15:00]: D-5007-98: 現在2123メートル降下 ⸺ なんてこった、あいつはどこから来た?

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01:13:52

[01:20:00]: 水深2123メートルから5391メートルまでの間で、他の119体のSCP-5007実体と487体のSCP-4159実体、および岩石に被覆された58機の航空機の残骸が確認される。これらの残骸は往々にしてSCP-5007-A3実体が生息している。当該深度に到達する自然光は存在しない。

[03:45:36]: D-5007-98: どうしてまだ底に着いてないんだ?水深4000メートルも無いって話だったろ。こりゃ何なんだ?5520メートル、機械が見える。

[03:53:19]: 壁沿いに繁茂した黒色の触手が絡みついた、無数の無人潜水艇が映し出される。ほぼ完全に石に被覆されたものも見られる。

[03:58:56]: SCPノーチラスが酷く損傷した人間の腕を通過する。当該の腕は押し潰されているように見える。腕は明らかに痙攣している。

[03:59:03]: D-5007-98: ああ、なんてこった。あー、現在5800メートル、人間の死骸を見た。もう今すぐにでも浮上して帰りてえ。今ならもうムショに戻っても構いやしないさ、ここはとにかくイカレてやがる。

[04:19:19]: SCPノーチラスが塩水溜まり内に進入し、視界が悪化する。

[04:19:26]: D-5007-98: 視界がさらに悪くなってきた。現在6000メートル、ちょうど塩水層に入った。魚も何も見えやしねえ。

[04:40:40]: SCPSノーチラスが、03:58:56で遭遇した腕と類似する大量の人間の遺体に突入する。遺体は全て押し潰されたようであり、血液が絞り出されている一方、眼球が損傷を負っていないようである。当該領域に入ると同時にD-5007-98の過呼吸の音が聞こえる。当該領域に漂う各個人は肉体に甚大な損傷を負っているにも拘わらず生存しており、また動作を試みている。SCPSノーチラスが彼らを通過する際、彼らは全員明らかに潜水艇を視認している。

[04:44:44]: D-5007-98: 何だってんだ、クソクソクソクソクソ。こんなのあり得ない、どうやって動いてんだ?

[04:47:52]: この時点で、遺体がSCPSノーチラスを掴もうとし、また意思疎通を試みる様子が映る。彼らが潜水艇に衝突すると、内部で鈍い打撃音が生じる。

[05:27:19]: D-5007-98 あいつら何か言おうとしてる、ああ、俺に向かって話しかけてる。何言ってんだ?

[05:34:21]: SCPSノーチラスの正面に部分的な遺体の一纏まりが漂い、カメラを直接的に見つめる。その後の分析では、当該遺体が元オーストラリア首相ハロルド・ホルトのものであることが確認された。遺体はカメラに向かって何かを口にしているが、財団の読唇術者による解読は不可能であった。

[05:34:28]: D-5007-98: 戻れ!彼ら、戻れっつってんだ!クソッタレ、もうやってられるか、やってられるか!6700メートルまで来たんだ、もう充分だろ。

[06:03:47]: SCPノーチラスの降下速度が減速したように見えるが、大量の人間の遺体を通過して再び透き通った水の中へ進入する。

[06:08:09]: D-5007-98: もう......終わりにしてくれ......もう二度とあれは見たくない。もしかしたら......海底に辿り着く別の方法があるかも、頼む......

[06:10:23]: D-5007-98が19分間に亘って心を落ち着かせる呼吸運動を行う音が聞こえる。

[06:29:56]: D-5007-98: オーケー、続けよう。現在7208メートル降下。

[07:08:24]: 開けた水域に漂う1隻の財団潜水艇が映し出される。潜水艇は明らかに内破している。

[07:08:29]: D-5007-98: うーわッ。これが最先端の代物で良かったってとこか......8963メートル、壊れた潜水艇と遭遇した。

[07:45:07]: 1本の大型の黒色の触手が下方から急速に出現する様子が映される。触手は直径約8メートルに達し、その表面には黄色を呈する無数の眼球が発生している。当該の触手はSCPSノーチラスの周囲に伸びて巻き付き、急速に下方へ引きずり始める。当該過程でD-5007-98が恐慌状態に陥り苦痛を示す音が聞こえる。

[07:45:47]: D-5007-98: 神よ私を守りたまえ救いたまえ私の罪を赦したまえ深海5マイルで死にたくないまた私のクロエに会いたいやめ ⸺

[07:53:94]: この時点でデータの破損が映像に影響しはじめる。音声は聞こえず、映像は静止した部分が現れる。

[07:57:34]: さらなる8本の触手がSCPSノーチラスの方へ上昇する様子が見える。これらの触手のうち3本は先端に開口部があり、潜水艇に接近するにつれて開裂し、触手に移植されたと見られる眼球や口や人間の頭の大規模な集合体が露出する。

[08:13:40]: 不鮮明な静止画。D-5007-98の嘔吐する音に続き、くぐもった打撃音が鳴る。これに伴い彼は意識を喪失したと推測される。

[10:74:85]: SCPSノーチラスが海底に静止しているように見える。視界に岩壁は存在しない。黒色の触手が海底を被覆し、水中の砕屑物が不規則に運動し、カメラが何者かによって動かされていることが示唆される。ノーチラスに黒い影が接近しはじめる。

[10:76:20]: 静止画。

[11:03:52]: SCPSノーチラスは現在崖の縁に張り出した岩棚で静止している。崖の縁から出現した細い触手の塊は████・タベルネールと██████・アンダーソンを捕えている。触手は2個人を共に圧密しはじめ、結果として彼らが不明な手段により癒合する。両名は深刻な苦痛の兆候を示す。触手はさらに両犠牲者に改変を加えはじめ、やがて上方から細い緑色の触手が画面に進入し、犠牲者らの腹部に強引に侵入してこれを膨張させはじめる。

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11:97:97

[11:97:97]: 静止画。不明瞭な断片的な画像。

[44:44:44]: 画面全体が触手、大型の鉤爪、人間の遺体に囲まれた巨大な眼球で埋め尽くされる。その直系は最低でも650メートルと推定される。映像の当該部分の全体に亘ってD-5007-98の絶叫が響く。

[12:35:08]: 静止画

[12:38:48]: [データ削除済]

[12:58:19]: SCPSノーチラスが急速に上昇するが、カメラは未知の物質により部分的に視界を遮られている。D-5007-98の譫言と嘔吐とが聞こえる。

[13:02:15]: D-5007-98: 俺を見てやがった!見てたんだ!あいつは全部見てる、全てを知りたがってる、なんで俺にはあんなにも見えるんだ?もうこれ以上あれに見られたくない頼む俺を見ないでくれ!

[15:37:12]: SCPSノーチラスが水面に浮上する。回収チームが潜水艇の回収に成功する。


[記録終了]

後記:

SCPSノーチラスの回収時、潜水艇が厚い有機層でほぼ完全に被覆されていることが判明しました。当該層は視覚的に黒色の粘菌と類似していましたが、数十個の眼球がその表面に生えていました。加えて、潜水艇自体は部分的な圧壊損傷を負っており、アクセスハッチが動作不能に陥っていました。D-5007-98と記録を安全に取り出すため、回収チーム2が一時的収容システムでノーチラスをサイト-40-Rへ輸送しました。

SCPSノーチラスからの取り出しに際し、D-5007-98は突如として財団職員への攻撃と自傷行為を試みました。D-5007-98は異常な肉体的変質の兆候を示しており、上半身と腕の至る所に無数の眼球が発生していました。サイト内の警備員はD-5007-98が職員の安全に対する脅威であると判断し、小火器を用いて直ちに終了しました。

複数の破損が存在したものの、記録データは無事に回収されました。搭載されたコンピュータシステムの分析では、SCPSノーチラスは最大水面下1万7934メートルまで潜水したことが示されました。潜水艇を被覆する物質の性質が不明であるため、ノーチラスは解体されD-5007-98の遺体と共に焼却処分されることが決定されました。

回収された映像のレビューの後、SCP-5007-Bは封鎖の必要があると判断されました。SCP-5007-B上に付設する強化された収容結界の建設が現在進行中です。

補遺5007-07:

インシデント5007-40-R-12分析:

SCP-5007-B収容結界の建設は2018年01月19日に完了し、削孔されたアンカーポイントを介して2018年01月21日にSCP-5007-B上へ付設されました。サイト-40-Rは施工の成功を報告し、13:28時点でSCP-5007-Aの監視を再開しました。

2018年01月22日 01:48、サイト-40-Rはサイト-40への全ての信号の送信を停止しました。サイト-40-Rへ様々なメッセージや指示を送信した際、サイト-40内の全ての装置がステーントロップ博士のアカウントから以下の電子メールを受信しました。博士はSCP-5007-Bを探索する初期の試みにおいて活動中に損失しています。

日付: 2018年01月22日
件名: 見たい
差出人: <edgar.steenstrup@███████>
宛先: <█████.██████████@███████>

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見つけた

当該の電子メールを受信した職員のごく一部は、D-5007-98に見られたものと同様の異常な肉体的変化を受けました。被影響下に置かれた職員のうち85%は外科手術により回復しました。サイト全体のネットワークの精査が開始され、サイト-40-Rとの再度の接触には機動部隊ガンマ-6("大食らい")が必要と判断されました。悪天候のため、サイト-40-Rの調査は2018年02月17日以降に実施可能と判断されました。


サイト-40-R調査:

付記: 以下のイベントは2018年02月17日に発生し、機動部隊ガンマ-6("大食らい")が1984年以降に経験した最悪の損失に帰結しました。映像自体は██████・ウォレス大尉のボディカメラから得られたものであり、彼女はサイト-40-R遠征の生還者2人のうちの1人です。無関係な詳細や会話は本記録から除去されています。

[05:37:12]: 海上輸送船に搭乗し、サイト-40-Rへの接近を捉えた映像。当該サイトは深刻な損傷を受け部分的に水没していると見られ、複数のSCP-5007実体がSCP-5007-A上と同様に静止している。

[05:43:30]: 海面上からサイトを詳細に観察すると、西向きの支柱の両方が重大な衝撃を受けて湾曲したことが見て取れる。サイト最上部に残る3個の大型物体が視認でき、また複数の消火痕が存在する。サイトを被覆していた防護ネットは除去されている。輸送船は水路接続地点の付近に停泊を開始する。

[05:48:30]: サイト-40-Rの外部の初期調査が開始する。甚大な構造的損傷を見て取ることができ、3個の大型物体が当該の損傷の大部分を引き起こしたと見られる。これらの物体の詳細な調査では、SCP-5007-B上に付設された収容結界であることが示される。これらの結界区画は巨大な物理的力により破砕されたと見られる。各セグメントは複数の大型の眼球が生えた厚い有機物質で被覆されている。当該物質はサイト-40-Rの外側の表面の大部分に亘って広がっているようであり、そこから発生しつつある眼球は機動部隊の動作を追う様子が映る。

[06:13:27]: 機動部隊が通路12-Bを通ってサイトへ進入する。インタフォメーションターミナルの調査が実行され、サイトが予備電力のみで稼働しており、反応炉がメルトダウンを回避するため自動システムによって停止されていることが示される。サイトを継続的に探索した結果、有機物質が通路内で成長していることが判明する。サイト内の職員は発見されず、サイトの探索対象は第6階層に変更されることが決定する。

[06:34:03]: サイトの階段の吹き抜けが構造的損傷を受けているため、第6階層への到達にはメンテナンストンネルの使用を余儀無くされた。機動部隊がトンネルを通って直接的に辿り着いた主要司令部には、複数の職員の所在が確認された。全ての職員は内部臓器を含む全身で無数の黄色い眼球が発生していた。中には胴部全体が巨大な1個の眼球に変換されて付近の表面に固着している例や、顔が完全に単一の大型の眼球に置換された例があった。

[06:51:55]: 第6階層の調査を続け、サイト職員の82%の所在の特定に成功した。職員は全員主要司令部で見られたものと同様に変換されていた。これらの者の大多数は座っていたか横たわっていたが、起立した者やサイト内を動き回る者も居た。これらの者から生えた眼球は機動部隊を追う様子が観察されたが、いかなる形式であれ機動部隊員に応答した職員や相互作用を示した職員は皆無であった。

[07:09:23]: 調査継続中、階段の吹き抜けと第7階層に通じるメンテナンストンネルがアクセス不能であることが判明した。遠隔スキャナーを用いた下層階の調査では、第7階層に海水が存在しないこと、主要収容施設が周囲の環境よりも数度分温暖であることが示された。収容施設に突入して降下する判断が下された。

[07:52:15]: 主要収容施設は床の大規模な亀裂を除いてほぼ損傷を受けていないが、極めて大型の黒い触手が侵入していることが映像から見て取れる。当該の触手は部屋の壁沿いに巻かれており、その末端は天井から無造作に垂れ下がっている。その全体の表面は大型の眼球の列が螺旋をなして覆っており、その終端は人間・鯨類・爬虫類・魚類の解剖学的構造の要素に類似した大型の肉質の塊である。残る職員は当該の触手末端付近で螺旋状に配列し、先端の開口部に1列で進入していく様子が見られた。これらの職員は第6階層で見られたものと類似する変質を様々な程度で受けていた。

[07:55:27]: 機動部隊が第7階層への進入に成功し、部屋の調査を開始する。潜在的な浸水を予期して呼吸装置が準備されている。この時点で███・ホクター軍曹が変質の少ない職員との意思疎通を試みるが、結果として機動部隊は被影響下にある全職員による集団攻撃を受ける。

[07:58:58]: 機動部隊ガンマ-6("大食らい")の全隊員が自動小銃で被影響下職員と交戦する。変質した職員は異常発生を遂げた眼球が破壊されるまで死に至らないことが複数の場合で見られる。███████・ウィートリー二等兵は非致死的な負傷を負い、異常の影響を受けた他の全ての職員は無事に終了される。

[08:07:46]: ウィートリー二等兵が負傷の手当てを受ける。複数の機動部隊員が遺体を調査していた際、触手がチームに対し暴力的な攻撃を開始する。ホクター軍曹、ロイス二等兵、トルヒーリョ二等兵、クラハン二等兵が当該の触手の最近接位置におり、それぞれ壁に投げつけられるか、触手に押し潰される。他の機動部隊員は警備詰所へ後退して触手を銃撃する。サイト-40に救難信号が発信され、サイト-40-Rへ救命ヘリコプターが派遣された。警備詰所への侵入を複数回試みた後、触手は部屋を脱出し、急速な浸水を引き起こした。機動部隊は呼吸装置を装着してウィートリー二等兵を放棄せざるを得ず、亀裂からの退却を余儀無くされた。

[08:08:03]: サイト-40-Rからの脱出に際し、SCP-5007-Cのものと思われる16本から30本の触手が海底から出現する様子が映る。後で追いつく前に水没した足場へ向かって水面へ浮上するよう、ウォレス大尉が他の機動部隊員へ指示する様子が映る。フェーン軍曹とシュナイダー二等兵はSCP-5007-Cにより掴まれ、急速に深海へ引き込まれる様子が映る。触手はその結果として生じる小銃の発砲に一切の反応を示さない。

[08:08:42]: 機動部隊が足場に到達し、水面へ昇り始める。水面近くには直径17メートルと推定される1本の大型の触手が存在しており、支柱全体に巻き付き、アンダース二等兵、デイヴィス軍曹、ブレドル二等兵を押し潰す。ウォレス大尉とテイラー二等兵は無事に水面に到達し、救助を待つため通路12-Bへ進む。

[08:56:19]: 3本の大型の触手が水中から海上輸送船を持ち上げ、海の外へ数百メートルに亘って投げ飛ばす光景が映る。波により船舶はSCP-5007-Aに座礁する。この時点以降、さらなる触手は確認されない。

[09:28:23]: ウォレス大尉が肉体的不快感を訴え、女性用化粧室12-Bへ向かい、鏡で自身を確認する。黄色を呈する眼球の集合体が彼女の左肩・胸・腕・頬から出現しつつある様子が見える。ウォレス大尉は苦痛を示し、テイラー二等兵に向き直す。二等兵も同様の症状を示している。

[11:15:56]: ウォレス大尉とテイラー二等兵が無事に救助ヘリコプターにより回収され、サイト-40へ帰還する。

後記:
ウォレス大尉とテイラー二等兵はいずれも異常発生を除去する広範囲の手術を受けて救助され、その努力に対して表彰を受けました。サイト-40-Rは修復され、新たな人員を配置することが推奨されました。これらの修復は2018年10月27日に無事に完了し、SCP-5007-AとBおよびCの調査は円滑に進行しています。サイト-40-RはSCP-5007の収容管理を再開し、SCP-5007-Cのさらなる目撃は報告されていません。


サイト-40-Rから回収された映像の分析:

注意:
サイト-40-Rの修復と人員再配置の後、サイト内のサーバーからセキュリティ映像が回収されました。当該映像には広範な再構築が必要でしたが、事案5007-40-R-12での出来事に新たな光を提供するものでした。本映像のレビューの後、SCP-5007-Bの封鎖を目的とするさらなる取り組みは行われないことが決定されました。以下は回収された映像の転写です。

01:45、サイト-40-R外部カメラ6-B: 悪天候によりカメラの視野が制限される。暴風雨の状況下で、サイト-40-Rの外部が視認可能な映像に映る。SCP-5007-Aを周回する巡視船が見える。当該船舶のサーチライトはSCP-5007-B上の結界に焦点を当てている。極端にけたたましい一連の打撃音がSCP-5007-Bから生じ、収容結界が外側に座屈する。警笛が鳴り、サイト内の警備が動員される様子が映る。

01:45、収容結界カメラ1: 視認可能な全てのSCP-5007実体がサイト-40-Rへ接近している様子が映る。収容結界の全体に亘って亀裂が見て取れる。

01:46、サイト-40-R外部カメラ6-B: 収容結界が破裂する。5本の大型の触手(おそらくはSCP-5007-Cのもの)が収容結界の突破口から出現し、SCP-5007-Aから結界をてこで持ち上げる。巡視船が触手に対する銃撃を開始する。3体のSCP-5007大型実体が巡視船を空中に持ち上げ、SCP-5007-Aの上に置く。1本の触手がSCP-5007-Bから出現し、船舶を掴んで水中のSCP-5007-Bへ引きずり込む。

01:46、サイト-40-R外部カメラ7-F: 複数のSCP-5007-実体がサイト-40-Rを襲撃する様子が映る。実体は協働して防護ネットをサイトから取り外している。自動警備システムとサイト内の警備職員がSCP-5007実体と交戦し、3実体を無力化する。

01:47、サイト-40-R外部カメラ6-B: SCP-5007-Bから出現しつつある触手がその住処から収容結界の1区画を断裂させ、それをサイト-40-Rへ投擲しはじめる。衝撃はフレーム外で発生し、結果としてサイトの主要電源が喪失する。自動兵器類が機能を停止し、現場の非常灯と警報が起動される。

01:47、サイト-40-R外部カメラ1-G: 複数の財団水上艇がサイトからSCP-5007-Aに向けて出発するが、到着以前にSCP-5007-Cとの交戦に入る。3隻のガンシップが大型の触手により空中に持ち上げられ、崩壊した後に水面下へ引きずり込まれる様子が映る。

01:47、サイト-40-R外部カメラ7-F: SCP-5007実体がサイト-40-Rからの防護ネットの取り外しに成功し、撤退する警備職員に対して一斉に攻撃および拉致を開始する。

01:47、収容結界カメラ1: 残る財団のガンシップがSCP-5007-Aの方へ投擲される。生存者が残骸から現れ、複数のSCP-5007-A3やSCP-4159実体と交戦する様子が映る。

01:48、サイト-40-R外部カメラ6-B: SCP-5007-Cが収容結界の残りの区画を取り外すことに成功し、サイト-40-Rにそれらを投擲しはじめる。このうち1個は連絡塔に直撃し、現在のサイトは外部の至る所で出火している。大量の警備職員が拉致されている様子が映る。

01:48、サイト-40-R外部カメラ6-B: デイヴィッド・ハール二等兵がサイトの足場の中に登ってSCP-5007-A実体から隠れようとするが、流れ弾により海に叩き付けられる。

01:48、サイト-40-R水中カメラ19-H: ハール二等兵が砂から出現したSCP-5007-Cにより海底へ引きずり込まれる様子が映る。海底に到達したハール二等兵は脱出を試みるが、砂の下に引きずり込まれる。複数のSCP-5007-Cの触手が海底から出現し、急速に浮上する様子が映る。

01:48、収容結界カメラ1: 生存しているガンシップの乗組員が複数のSCP-4159実体により制圧・無力化される。SCP-5007実体がサイト-40-RからSCP-5007-Aに戻り、SCP-5007-Aで捕獲されたサイト内の警備部隊が推定20メートルから35メートルの高度から投げ飛ばされる様子が映る。無数のSCP-5007-A3実体がこれらの職員を捕食している様子が映る。

01:49、サイト-40-R外部カメラ6-B: 複数のSCP-5007-Cの触手がカメラの枠に進入し、サイトの周囲を包み込み、重大な構造的損傷を引き起こす様子が映る。これらの触手が様々なアクセスポイントを経由してサイトに進入する様子が映る。収容結界の追加荷重を受けてサイトの支柱が湾曲するにつれ、この時点でカメラの視界が傾斜しはじめる。

01:53、サイト-40-R警備詰所12-Bカメラ: 複数のサイト内警備職員が所在地を要塞化し、外扉に向けて銃を向けている様子が移る。アンドリュー・ウィリアムソン軍曹が会敵を報告し、外扉の方へ全警備職員が発砲する。螺旋状に配列した眼球と終端に大型の口を持つ1本の大型の触手がカメラの枠に入り、持続的な銃撃により損傷を受けている様子が見える。触手の「口」が開くと大型の黄色の眼球が露わになる。

01:54、サイト-40-R警備詰所12-Bカメラ: 全警備職員が極度の不快感と疼痛とを訴え、その多くが武器を落とす。複数の大型の眼球が彼らの体で発生しはじめており、特にウィリアムソン軍曹の口はそうした1個の眼球に充填され、顔全体を被覆するほどに拡大している。触手が警備職員を通り抜け、カメラを破壊する。

02:08、サイト-40-R主要司令部カメラ6: 残る職員が司令部を要塞化し、残る警備員が職員に武器類を供与する様子が映る。スクリーンの映像端末には、複数のSCP-5007-Cの触手が司令部に集結する様子が映し出されている。

02:22、サイト-40-R管理官執務室カメラ: サイト管理官グレイディス・モリソンが彼女の執務室の扉にバリケードの設置を試みるが、後方に弾き飛ばされ、1本の大型の触手が室内に侵入する様子が映る。モリソンはデスクの裏に隠れる。触手が開裂し、重度の変異を起こしたステーンストロップ博士が触手の中に組み込まれている様子が映される。モリソン管理官はサイドアームでステーンストロップ博士に数発発砲するものの、効果は無い。ステーンストロップ博士が腕と触手を振り上げる様子が映り、カメラの映像が大きく乱れる。モリソン管理官の皮膚が脈動と膨張を開始し、ステーンストロップ博士が大声で慟哭する。この時点で現場にある全てのカメラの映像が停止する。

後記:
上記映像の回収の後、サイト-40-Rにクラス-Σ自動砲が配備されること、またSCP-5007-Bの封鎖のためのさらなる取り組みは行われないことが決定されました。SCP-5007-Cの性質に関する今後の研究が最優先課題とされ、利用可能な最も非侵襲的手法により遂行されなくてはなりません。

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事案5007-40-R-12後の朝に回収された映像。ソース不明。

Footnotes
. ジリアン・タベルネール、エリザベス・タベルネール、ウィリアム・タベルネール。
. マリー・タベルネール
. マージョリー・ガレスピー、ヴィナー・ガレスピー、マーティン・シンプソン。いずれも失踪の際にその場に居た人物である。
. 拉致被害者-4
. SCP-5007-A1
. SCP-5007-A2
. SCP-5007-A3
. 訳注: 英語版では"sea spider"でなく"marine spider"と記載されている。前者は鋏角類のうちウミグモ綱全体、後者は鋏角類のうちクモ綱クモ目のDesis marinaという1種のクモを指しており、完全に異なる分類群である。
. 従来的に紀元前3万2000年の永久凍土でのみ発見されていたもの
. SCPSノーチラスと呼称
. D-5007-98
. 2001年にディール島から失踪
. 主要司令部、警備施設、医療施設、居住施設を有するもの
. 主要調査施設および収容施設
ページリビジョン: 2, 最終更新: 06 Apr 2025 08:02
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