SCP-4970
アイテム番号: SCP-4970
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 財団は、SCP-4970が存在するオフィスビルを購入しており、また█████ ███エレクトロニクス社の破産を偽装し財団の関係者ではない従業員全てを解雇しています。SCP-4970と関わりを持っていた従業員は記憶処理が施された後解放されました。
説明: SCP-4970は、主にホームオフィスや小規模な企業で使われるISDNテレビ電話の一つであり、元█████ ███エレクトロニクス社事務所に存在します。SCP-4970は、モニターを除き非異常性のものと同様に働きますが、そのモニターはビデオ電話では正常に機能しません。
ある一つの電話番号(以後SCP-4970-1と指定)がSCP-4970の内部メモリーに格納されていますが、その桁数はSCP-4970のスクリーンが表示できるより大きいものです。他のどの機器によってもSCP-4970-1にかける試みは成功しません。
SCP-4970-1を選択すると、直ちに自動受付システムに繋がりますが、英語が提示される前に17言語で話しかけられます。別の試験では、13時間後に試験が終了するまでに4093語以上の方言が確認されました。言語のほとんどは歴史上のどの言語とも類似点を持ちません。また幾つかの言語の音声はヒトの声帯では再現不可能であるか、ヒトの耳が聞き取れる周波数スペクトルの範囲外です。英語が選択されると、SCP-4970-A――「ユニバーサル・インフォメーション・テクノロジー」という名の異常性を持つヘルプデスク――の受付の元に繋がります。この時、かけた側は多岐にわたる話題について質問することができ、それは物理法則、哲学的問題、形而上学的概念にまでも及びます。
この電話番号をSCP-4970のメモリーに登録した人物は不明ですが、SCP-4970-Aは█████ ███エレクトロニクス社が電子機器の急速な技術進歩に繋がりうる情報を得、競合他社に対して優位に立つために使用されていたと推測されます。
ファーストコンタクト | ||
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日時: 2019年02月21日 | ||
インタビュアー: コリンズ博士 | ||
前説:関係者への尋問により、SCP-4970が1年前に█████ ███エレクトロニクス社が達成した異常な技術的飛躍の原因であることが判明しました。関係者から詳しい説明が得られず、この試験が行われることになりました。コリンズ博士が通話を担当します。 |
[SCP-4970が使用され、直ちにSCP-4970-Aに接続します。コリンズ博士が英語を選択し、受付(以後SCP-4970-2と指定)との会話が始まります。]
SCP-4970-2: ユニバーサル・インフォメーション・テクノロジーへのお電話ありがとうございます。私は[不明瞭]と言います。いかがなさいましたか。
コリンズ博士:ああ......どうも。コリンズ博士です。この電話機についていくらか聞きたいことがあって電話しました。
SCP-4970-2:お尋ねになっているのはあなたが今お使いの電話機か、それとも一般的な電話機についてですか。
コリンズ博士:"これ"のことです。どのようにそちらと繋がっているんですか。
SCP-4970-2:恐縮ですが、そのことについてはコミュニケーション・エレクトロニクスにお繋ぎさせていただかないといけません。今私が見る限り、初めてのお電話ではありませんよね?
コリンズ博士:いや、つまり、私はこれが初めてですが、この電話機は以前に使われたことがあるんです。
SCP-4970-2:詮索するようで申し訳ございませんが、それは少し......元の所有者様とお話させていただけませんでしょうか。あちら様名義でのあなたの使用への同意があるのか確認しないといけませんから。
コリンズ博士:すみませんが、今出られないんです。
SCP-4970-2:ああ、承知しました。[休止]ここに、その方はもう私どもの知識を持っていないとありますね。あなた方は別の組織の一部、間違いないでしょうか。
コリンズ博士:どうやってそれを?
SCP-4970-2:ケース・ファイルを見たんです。何か筆記用具はございますか。
コリンズ博士:ああ......はい。
SCP-4970-2:では、あなたのケース・コードをお伝えします:A324-E3212-564I-4242です。そして、これはしっかりと取っておいてください、以後のお電話で伺います。よろしいでしょうか。
コリンズ博士:わかりました。
SCP-4970-2:それでは、要件をお伝えください。
コリンズ博士:はい、おかしいと思われるでしょうが、あなたが誰か、どこに勤めているのかあまりわかっていないのです。
SCP-4970-2:より具体的に仰っていただいてもよろしいでしょうか?あなたが掛けているのはユニバーサル・テクニカル・サポートで、私は受付の一人です。「お客様サポート」のようなものとでも言いましょうか。
コリンズ博士:どうやってこの電話機はそちらと繋がっているんですか。
SCP-4970-2:電話線を通じてとは思いますが、あなた様は......そうではない理由が何かおありで?
コリンズ博士:いや、ただ他のどんな機器でもこの番号に掛けられなかったのでお聞きしたのみです。
SCP-4970-2:ああ。では、そのことについて調査することもできますが、まず製品サポート担当者の方に連絡をして、それからお伝えすることになります。
コリンズ博士:それで大丈夫ですよ、あとで伺います。前の所有者がこれまでの通話でどんなことを尋ねていたか教えてもらえますか。
SCP-4970-2:申し訳ありませんが、お伝え出来ません。会社方針ですよ、プライバシー上の理由でそのような情報は開示できないのです。
コリンズ博士:ああ、残念です。それで、あなたは、いや......あなたの専門分野を聞いてもよろしいですか?
SCP-4970-2:広く浅くで、特に専門はありませんよ。物理法則も、まあ、基礎的なものです。
コリンズ博士:量子力学は?
SCP-4920-2:ええ、そんな感じのものです。
コリンズ博士:少しだけ待っててもらえますか?同僚に相談したいんです。
SCP-4970-2:[笑い声]ちょっと、それは私のセリフですよ!
コリンズ博士:ははは。とにかくー
SCP-4970-2:いえ、全然いいですよ、私はどこにも行きませんよ。
[二分間の沈黙]
コリンズ博士:どうも、戻りましたよ。
SCP-4970-2:おかえりなさいませ。お知りになりたいことを伺えますか。
コリンズ博士:宇宙はいつ、どのように生まれたのでしょうか。
SCP-4970-2:ええ、それはあなた方での「宇宙」と「生まれる」の定義によります。そちらの文明で現在使われている理論のレベルを教えてください。
コリンズ博士:何のレベルですか。
SCP-4970-2:どこかに書き留めていらっしゃるはずですが。
コリンズ博士:私に......それがあるのかどうかわかりません。
SCP-4970-2:元の所有者様はお持ちのはずですね?でもそれは難しいですね、いまお出になられないのなら。ユニバーサル・レジストリーにお繋ぎします、少々お待ちください。
コリンズ博士:ああ、わかりました。ありがとうございます。
[30秒劣悪な音質の録音された音楽が流れ、その後別の実体が電話を取りました。インタビュアーは単調で、冷淡な声調であったと記載しています。]
SCP-4970-3:ユニバーサル・レジストリーです、いかがなさいましたか。
コリンズ博士:どうも、ええ、コリンズ博士です。あなたの同僚がここなら―
SCP-4970-3:ああ、もう大丈夫です。ケース・ナンバーを教えてください。
コリンズ博士:すみません、わかりました。A324-E3212-564I-4242です。
SCP-4970-3:名前は「コリンズ」と。
コリンズ博士:そうです。
SCP-4970-3:で、あなたのユニバーサル・コードを探すのは難しそうですよ、そちらに、どこを当たればいいかわかるようなものが何もないなら。
コリンズ博士:すみませんが、あなた方での私たちの宇宙の分類をどう私は知ればいいというのですか。
SCP-4970-3:はあ、初めに何か書類を持っていたはずでしょう。私たちにはたくさんありますよ、無限にです。こういうことを7[不明瞭]の間やってきてるんですよ。
コリンズ博士:どこからの書類ですか。
SCP-4970-3:いや、どこでもあなたが初めに受け取ったところです!そちらの宇宙はどれくらいの期間お持ちで?
コリンズ博士:137億年ほど、でしょうか。
SCP-4970-3:[ため息]それでもう無くしたんですか?そういうのは保証が無効になるって分かってますよね?
コリンズ博士:何に対する補償ですか?
SCP-4970-3:当然テクニカル・エラーですよ。まあ、構造不良災害ですね。宇宙を自ら損傷しない限りですが、それは所有者の責任です。
コリンズ博士:私の手の及ばない所での損傷については?
SCP-4970-3:あなたの宇宙保険を呼べばいいでしょう。
コリンズ博士:そちらにその番号はありますか。
SCP-4970-3:では、どこで契約したんですか。どこの会社ですか。
コリンズ博士:わからないんです。
SCP-4970-3:[ため息]お客様、私もわかりませんよ。少なくともそれを書き留めていたりはしないんですか。
コリンズ博士:それは......調べないといけないですね。すみません、何もかも今まで全然知らかったんですよ。
SCP-4970-3:大丈夫ですよ。近くにもっと慣れている人がいたりはしないんですか?そうならその人に電話を渡したら、それから調査しますよ。
コリンズ博士:ここの誰にも、私より知識があるとは思いません。
SCP-4970-3:まったく大丈夫ですよ。今私が待つか、それともそちらが我々に必要な情報を見つけたらまた掛けるか、どちらが良いですか。
コリンズ博士:また電話します、時間を無駄にしてしまってすみません。
SCP-4970-3:問題ありませんよ。お電話お待ちしていますよ!
コリンズ博士:さようなら。
愛とは何か? | ||
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日時: 2019年02月23日 | ||
インタビュアー: コリンズ博士 |
SCP-4970-2:ユニバーサル・インフォメーション・テクノロジーへのお電話ありがとうございます。トムといいます。いかがなさいましたか。
コリンズ博士:やあ、ええと、またお電話しました、コリンズ博士です。
SCP-4970-2:ああ、どうも!昨日お話しましたね。
コリンズ博士:そうですか?トムという人は記憶にありませんが。
SCP-4970-2:ええ、そうでしょう、あなたの声帯で私の本名が発声できなさそうだったので、翻訳しましたよ、まあ、名前を実際に呼べたら、会話も弾むでしょう?
コリンズ博士:ははは、違いないですね。
SCP-4970-2:昨日お求めになっていたことは見つかりましたか。
コリンズ博士:ああ、いや、宇宙に関する情報が手元になくて、それで......
SCP-4970-2:あの人はイライラしてましたか?つまらなさそうでしたか?
コリンズ博士:そう言えたかもしれないですね。
SCP-4970-2:ええ、あの人のことは知ってますから、心配しなくてもいいですよ、いつもああなんです。ただ「お堅い」人なだけです。私たちあの人のことスマイリーって呼んでるんです。あの人はお気に召さない様子だけど、それがいいんですよ。
コリンズ博士:私だけじゃなくて良かったです。それで、あなたもこの宇宙のシリアルナンバーが分からないんでしょう?
SCP-4970-2:いやいや、何から始めればいいのかわかりませんよ。詳しいことは知りませんが、あなたのいる宇宙とあなたがそこにいる期間を比べたら、どうでしょう?ええ、比べ物にもならないですね。シリアルナンバーと保証書情報を無くすのも無理はありません。はっきり言いましょう、製造過程と日時についての疑問は簡単には解決しませんし、不可能かもしれません。良くて、ご自分で正確な被創造時間を見つけ出して、それから我々が番号を見つけるまで遡ることになります。
コリンズ博士:創造?
SCP-4970-2:ええ、創造、存在し始める、なんであれ、意味論ですよ。
コリンズ博士:どういうことかまったく......つまり宇宙は創造されたもので、創造者がいると?
SCP-4970-2:いや、常にそうというわけではありません。いくつかはそうですが。すべてではないです。もっと詳しくお話したいんですが、そちらにそのための単語があまり多く存在しないので、難しいんですよ。英語はイカした言葉だとは思いますがね、とてもくだけていて。短い単語とか、気に入ってますよ。
コリンズ博士:ありがとう......ございます。
SCP-4970-2:いえいえ!それで、何か決まった質問はあったんでしょう?
コリンズ博士:ああ、そうでした、忘れるところでした。ええと、愛とは何かと聞くように言われました。
SCP-4970-2:わかりました、それでは、そのことについては......化学、生物学、それとも哲学のほうにお繋ぎできましょうか。私は化学か生物学をお勧めしますよ、2時間も受話器を握っていたくないなら。
[[以降データ編集済、アクセスはレベル5クリアランス限定]]
附録:発見時より、加えて7回会話が交わされております。この転写は要請を受け次第開示されます。要請はベルローズ博士に送られうります。
N/A | ||
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日時: 20190230 | ||
インタビュアー: コリンズ博士 |
SCP-4970-2:ユニバーサル・インフォメーション・テクノロジーへのお電話ありがとうございます、トムと申します、いかがなさいましたか。
コリンズ博士:やあ、ええと、そちらトムですか?
SCP-4970-2:あ、どうも!調子はどうですか。
コリンズ博士:ええ、元気です。そちらは?
SCP-4970-2:まあ......まあまあですね。
コリンズ博士:そうは思えませんが。
SCP-4970-2:ええと、まあ仕事で少し......
コリンズ博士:何があったか、私に話したいとか?
SCP-4970-2:ええ、バカみたいなことですよ。
コリンズ博士:言ってみてくださいよ。
SCP-4970-2:まあ、あれはただ......あるクライアントが、[識別不能]宇宙が故障したかなんかで来たユニバーサル・リペアーマンが、今日のいつ来たのかわからないといって電話してきたから、その人に電話したら「4通くらいは修理費支払いに同意する催促状を送ったけど、返事がなかった。」みたいなことを言ってきたんです。
コリンズ博士:当ててみせましょう、そのクライアントは自分が馬鹿みたいに感じてあなたに愚痴を言いたかったんでしょう。
SCP-4970-2:あの人、本当に私名義でクレームを入れたがってたんですよ、「あやふや」で「催促状なんてもらってない」とか言って。まあ、奥様、初めの紙を受け取っていたとしても、全部空の彼方に行ってしまったところでしょう。それで言ったんです。「あなた様は、私がそちらのお返事がないとお伝えしたことについてクレームを入れたいのですか?」とね。それでイライラして「いや、あなたに対してどうこう言いたいわけではない、今の状況に納得いかないだけだ。」みたいなこと言ってきたんです。
コリンズ博士:自分で引き起こした状態に?
SCP-4970-2:でしょう?まあどうともないですよ、慣れましたから。「悪いのは自分以外のみんな」ですよ。
コリンズ博士:災難でしたね、トムさん。心配無用ですよ、実際終わればその人を愚かとしか思えなくなりますよ。
SCP-4970-2:ありがとうございます、あなたが正しいんでしょう。とにかく私のことはもういいでしょう、何か質問はおありで?
コリンズ博士:え?ああ、ええ、あの、少しおかしな質問かもしれませんが。
SCP-4970-2:良いですよ、月並みな質問は面白くありません。
コリンズ博士:それで......私がしていることは実際何かの役に立っているんでしょうか。
SCP-4970-2:それは、その......まったく技術上の問題ではないでしょう。
コリンズ博士:わかってます、ただの......
SCP-4970-2:好奇心?
コリンズ博士:そう呼びましょうか。
SCP-4970-2:良いでしょう、今考えましょう。まあ特にあなたの場合ですが、そちらの団体は、そうあるべきでない物体を収容しているので、人々をそれから保護することに役立っていますよ。まあ、そちらの種族が異常とみなすものは厳密にはそうでないとも言えます、でなければそちらの宇宙には存在しないはずですから......
コリンズ博士:こちらには別次元由来と考えられる異常存在もいますよ。
SCP-4970-2:おっしゃる通りで。
コリンズ博士:私個人についてはどうです?
SCP-4970-2:あなたの責任ではありませんよ、あなたが聞きたいことがそれなら。そうでなくてもね。
コリンズ博士:同僚が殺されたんですよ。
SCP-4970-2:あなたに、ではありませんよね。
コリンズ博士:私がもっとしっかりしていたら、彼女を救えたんです。
SCP-4970-2:ええ、ええ、過ぎたことについて言うのは簡単です、でもその方を殺めた生物は予測不可能なものだったではないですか。
コリンズ博士:未来は事前に定められているんでしょうか?
SCP-4970-2:そちらの宇宙でですか?細かく言えば、量子レベルではいろいろと予測できますが、あなた方の種族には適切に読みとれはしないでしょう。馬鹿にしているわけではないですよ、当然ながら。
コリンズ博士:気にしていませんよ。
SCP-4970-2:その方との離別については気の毒に思っていますが、私は単なるテクニカルサポートです。その方を戻すことはできませんし、こちらがそちらの宇宙に合わせて、量子レベルでのモデルを作り上げられたとしてもその時にはすでに熱的死が訪れているでしょう。
コリンズ博士:わかりました。とにかく、ありがとうございました、トムさん。私に......何か、あなたの対応への満足を伝えられるようなことはできますか?
SCP-4970-2:やってくれますか?
コリンズ博士:もちろんです、当然のことですよ。
SCP-4970-2:それは......嬉しいです。ありがとうございます。
コリンズ博士:どういたしまして。
SCP-4970-2:また連絡しますよ!他に何かあります?
コリンズ博士:今はこれくらいにしておきましょう。
SCP-4970-2:わかりました、何か必要になった時にはお知らせくださいね!
2019年3月5日に、SCP-4970の所在するオフィスビルのファクシミリから以下のアンケート用紙が印刷されました。
ユニバーサル・テクニカル・サポートへ貴重なお時間を割いてあなたの意見をお知らせしてくださりありがとうございます。
ご意見ありがとうございます!