SCP-4789

[フレーム]

評価: +3

アイテム番号: SCP-4789

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-4789とそのDVDは標準Safeクラスロッカーで保管されます。

説明: SCP-4789は2005年に公開された映画『シャークボーイ&マグマガール』のプロモーション用に製作された、ダンボール製の3Dメガネです。

SCP-4789を使用して映画を鑑賞すると、対象はしばしばそれを「没入感がある」、あるいは「現実的」だと評し、映画の鑑賞中に雨、風、熱、振動などの幻聴や幻覚を感じたことを報告します。

SCP-4789を繰り返し使用した場合、対象の睡眠中に付近で異常な効果が発生します。対象はこれらの効果によって目を覚ますことはありませんが、正常に目覚めた後気分が著しく良くなったことを報告します。発生する効果は以下の通りです。

  • 大きな足音、大声、爆発音、エンジンの騒音といった、音源不明の音。
  • 爬虫類及び軟骨魚類の噛み跡が付近の壁に出現する。
  • 周囲の温度の著しい変化。
  • 小規模な放電。
  • 部屋の中の物が水中にあるかのように動く。

補遺: D-19060はSCP-4789を使用して映画を鑑賞することを許可され、さらに、試作型のOJOSドリームビシュアライザーシステムを装備しました。

[ログ開始]
視界に若干の混信の影響がみられる。D-19060は夜間の、広大で平坦な岩場に出現した。遠くに火山が見え、大きく真っ黒な雲が地平線の半分を覆い、月を隠している。何千体もの様々な形、大きさの似たような黒い実体が雲の前を歩いている。

オレンジ色の鎧を纏った女性が雲から伸びる触手を狙って目から強烈な爆風を放つ。眩い光線は月まで伸び、雲を貫く。

D-19060: 指が通り抜けるぞ。

D-19060は指で手のひらを押す。指は手のひらを貫通しているように見える。

D-19060: よし、うまくいった。待てよ。

D-19060は再び自身の腕を見下ろす。すると、彼は色とりどりの宝石が散りばめられた鎧を纏っていることに気付く。

D-19060: ああ、悪くない。

D-19060は雲へ向かって走り出す。

大きな(〜200mの)雲の腕が地面から吹き出てくる。腕は大きく弧を描くように自身を振り回して、複数の実体を脇へ投げ飛ばした。D-19060は衝撃波により吹き飛ばされる。

D-19060: クソッ!

玉虫色の鎧を着た紫の肌の人型実体がD-19060を助け起こす。暗黒物質の小さな塊が二人へ向けて発射されるが、人型実体は特大のグレイブを用いてそれを両断する。真っ二つになった塊は煙となって消える。

D-19060: おっと、ありがとさん。えーと?

紫の人型実体: トビルだ。

D-19060: とー、びる?

トビル: まだまだ出てくるぞ!さあ、一波乱起こしに行こうじゃないか。

トビルは走り去り、他の暗黒実体との戦闘へ移った。

D-19060: 指揮官だか、リーダーだかを見つけなきゃならんな。

彼の左側で噴火が起こり、一瞬彼の視界が遮られる。次の瞬間、混信が強まる。OJOSシステムが熱を持ち始める。

D-19060: 多分あっちか?

D-19060が走りながら上を見上げると、空を飛ぶロケットエンジンのついたヴァイキング船が6つの光る金属製の宇宙船に囲まれながら火山へ向かっているのが見える。

高さ500メートルのガス状の実体が出現し、雲の中から出てくる。実体は三つ首のドラゴンのようで、ゴリラのような腕が何本かランダムな位置に突き出ている。

[空電によるノイズ]

巨大な、4本腕の戦闘ロボットがドラゴンと組み合い、その間にヴァイキング船とその護衛が鎮火を行う。

D-19060は前部に特大の車輪が1つ、後部に下向きのジェットエンジンのついた乗り捨てられた自動車を見つける。彼はそれに乗り込み、火山へ向かう。

D-19060: こりゃ夢を見てると言っても間違いじゃねえな。

[空電によるノイズ]

大きな青い装甲を纏ったティラノサウルスが、赤と黒の光る刃を振り回しながら火山へ突進する。その背中にはピンク色の髪をした人間の女性が座っている。

女性: 前へ!

女性は立ち上がり、恐竜の尻尾の先端へ向かって走る。恐竜は尻尾を鞭のように振り抜き、女性をドラゴンの頭へ向けて飛ばした。女性は明るい光を放つ。

女性: 破滅ではない。単なる炎ではない。

女性が叫び、火山から閃光が噴出し、女性とドラゴンの両方を包み込む。

[空電によるノイズ]

D-19060はワームのような暗黒実体の顔面を殴り、それは大量の貝殻の中で爆発する。ハイスクールのマーチングバンドが前進し、楽器から発せられる衝撃波でより多くの実体を打ち倒す。大きな、車輪の形をした暗黒実体がD-19060へ向かって転がり、バンドが散り散りになる。

男性の声: 立ち去れ!

宝石の散りばめられた鎧を纏い、グレートソードを振り回す背の高い男性が空いた手で握り潰す動作をする。すると、車輪型実体の内側から大量の緑の光線が溢れ出し、それらを破壊する。D-19060は少しの間固まる。

D-19060: まさか...翠界の王?

翠界の王: エリック!よくぞ戻った!

D-19060: 俺...ああ。俺だよ。

数秒の間、緑色の光が翠界の王を包み込む。

翠界の王: 我が彼らと再会できれば、他の王たちは皆お前に会えて喜ぶだろう。

D-19060: ここは一体?

翠界の王は眉をひそめる。

翠界の王: 大丈夫か、マスター・エリックよ。我は今頃お前はお前自身の使命を知っていることだろうと思っていた。ふむ、そうだな、旧き織女を呼び戻すとしよう。彼女なら何をすべきか知っておるだろう。

翠界の王は自身の耳を叩く。光る繊維で編まれた卵形の織物が空中へ現れる。繊維が解け、以前に見た青いティラノサウルスが出現する。

翠界の王: 旧き織女よ。我はこれで失礼する。十の宝玉が磁場で我のバックアップを必要としておるのだ。

旧き織女は頷く。

旧き織女: 貴方の剣が、いつまでも鋭くありますよう。

翠界の王は口笛を吹く。すると緑色のドラゴンに似た、蝶の羽を持つ生物が飛んでくる。王はその生物に乗ると、飛び去っていった。

旧き織女はD-19060の方へ向き直る。彼女の左目は機械的で赤く光っており、D-19060をスキャンしているように見える。

旧き織女: エリック。

D-19060: 頼む、旧き織女さんよ。俺はただ、自分がどこにいるのか知りたいんだ。俺は14の時から翠界の王や彼の兄弟姉妹について、考えたこともなかった。

旧き織女: 貴方は彼らを夢に見たのです。貴方が彼らをもはや必要としなくなった時、彼らはどこへ行ったと思いますか?(少しの間)何かがおかしい。貴方は何年もここで大切にされてきた戦士なのです。王と女王は貴方の旗の下に集い、貴方の記憶の力の下で栄えるのです。それなのに...

D-19060: 俺は前にもあんたに会ったような気がするよ。

旧き織女: 夢を見る魂は全て、私と出会うものなのですよ。

旧き織女は剣を外側へ向けて持ち、それを捩って、D-19060に大量の糸を絡ませる。彼女が剣を鞘に収めると、糸は水晶へ変わる。

この時点で、OJOSシステムは数秒間フリーズし、再接続した。機械が許容熱量の限界に達し始めている。

D-19060: おい、待ってくれ!

暗雲で構成された大きな彗星が遠くの地面へ落下し始め、大きな黒いサソリが衝撃で砕け散る。マンボウに似た飛魚がサソリと交戦するためにやってくる。

旧き織女: 時間がありません、空を漂う闇も強くなってきています。もし貴方が本当に危険に晒されたならば、私は貴方を救うために全力を尽くします。

D-19060: せめてここから出してくれ、そうすりゃ家に帰れるんだ。

旧き織女: ギジェルモとウィルベルトの言う通り、貴方達は多くのものを夢の世界へもたらしています。光の純粋さ、可能性の広大さ、愛するもののために戦う勇気と強さ。闇が何よりも貴方を狙い攻撃しようとするのも不思議ではありません。

旧き織女は手を伸ばし、それをD-19060の頭へ通して同調させる。

D-19060: 何すんだよ!?

旧き織女: 後で貴方がこの夢の中でのおかしな出来事をどれだけ覚えているのか、私には分かりません。もし貴方が何かを記憶していたのなら、より良い夢を見ることが貴方の使命だということにしましょう。そして今度は私達が、それが現実となるよう戦いましょう。

旧き織女はD-19060の頭から金属製の繊維を引き抜き、激しい空電を発生させた。

旧き織女: ああ。[空電によるノイズ]侵入者ね。私達は以前もお会いした、私はそう信じています。もう邪魔をしないで。

旧き織女は右を向き、剣を抜いて備えた。

旧き織女: 全ては夢から始まる、または始まったのです。そして私、パルシノールが、揺るぎない決意を持って立派な戦士たちの指揮を執らねば、全ては悪夢と共に終わってしまうでしょう。

大地が揺れる。雲が分かれ、大きな数本の足を持った不定形の塊が前方へ這う。不明瞭な顔が正面から浮かび上がり、大きな唸り声を上げる。

旧き織女は剣を円を描くように回転させた。D-19060を捕らえていた水晶の罠が粉々に砕け散った。

旧き織女: 彼の再生能力は思っていた以上ですね。蒼玉の王!ジェリカムが私の元へ来ます。

大きな雷鳴。

旧き織女: 夢見人たちよ、今が好機です!

旧き織女の後ろへ様々な衣装や鎧を纏った人々が大勢出現する。その一人一人がSCP-4789を身につけている。

旧き織女: 夢見人たちよ、貴方達の創り出したものを喚ぶのです。かつて貴方達が彼らを創り、彼らが貴方達を助けたように、今は彼らを助けてあげて。私達がこの戦いを終わらせるために、手を貸してください。

巨大なサファイアの破片を剣として振るう青い鎧を着た男性が、大きな、生命を持った亀のぬいぐるみに乗ってやってくる。彼が剣を上へ振り上げると、数百もの彼の分身が地面から出現する。そしてその一方で、月からは宇宙服を着た人型実体が降りてくる。

旧き織女: (D-19060へ向けて)貴方は自由を求めるのか、それとも、私達と共に戦うことを選ぶのか、どちらですか。

D-19060: (自分自身へ向けて)全部思い出した。(大きな声で)俺は戦う。

旧き織女は微笑む。彼女は背からもうひとつの武器である黒曜石のマクアウィトルを引き抜き、正確な型でそれを振るった。小さな太陽フレアがその縁に沿って揺れ動く。

旧き織女: もう一度踊りましょう、ジェリカム。しかし貴方には私達の生んだ星々から光を奪うことなどできないでしょう。

蒼玉の王: あれを次元から駆逐するぞ!進め!

ジェリカムは8本の脚を射出し、それは急速に軌道に乗る。加速した後、8本の脚は全て軌道を離れ、D-19060や他の人々へ向かって突き進む。蒼玉の王が叫ぶと、固い水晶の壁が脚を防ぎ、砕け散った。蒼玉の王が剣を振り回すと、サファイアの破片は回転して脚を破壊し、脚は煙になった。

旧き織女が声を上げると、煌めく蜘蛛の巣のような円状の門がジェリカムの中心を囲むように現れる。彼女が地面に剣を突き立てると、それぞれの門から輝く光線が放たれ、ジェリカムを襲う。空に白い雲が現れ、そこから脳が落ちてジェリカムを襲い、触れた瞬間に爆発する。

D-19060はベルトへ手を伸ばす。以前には存在しなかった武器が現れ、D-19060はそれを引き抜く。それは銃身がサメの頭のような形をした、特大の銃である。

旧き織女: 伏せて!

D-19060は即座に目を覚まし、OJOSシステムがオーバーロードを起こして炎上する。

Footnotes
. 訳注: 原文は"OJOS Dream-Visualizer system"
. 訳注: 原文は"Guillermo and Wilberto"
. 訳注: 原文は"Palsinnor"
. 訳注: 原文は"Jelrikam"
ページリビジョン: 7, 最終更新: 11 Sep 2021 14:05
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