SCP-4771
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サイト-19の保管庫内のSCP-4771

アイテム番号: SCP-4771

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-4771はサイト-19の標準safeクラス異常アイテムロッカーに保管します。SCP-4771は広範にわたる実験において予測可能な振る舞いを見せています。SCP-4771は多数の財団職員の安全確保に貢献したため、2021年11月14日以降、機動部隊隊員ならびにレベル2以上のクリアランスを有する財団職員は、SCP-4771の利用申請が可能となっています。

説明: SCP-4771は異常な犬笛です。SCP-4771は異常性の無い同等品と異なり、周波数スペクトルで表される音を一切発しません。

SCP-4771の異常効果は、既に死去した飼い犬の元飼い主 (以下、対象と呼称) が吹いた場合に現れます。

SCP-4771使用後のある時点で対象が生命の危機にさらされた場合、対象の死去した飼い犬の姿をした、特定の相手にのみ敵意を向ける、意志を持ったクラス-VIII無形実体 (以下、SCP-4771-Bと呼称) が一時的に出現し、対象を助けます。全対象のうち98%において、この効果は1度しか発生しません。

対象が以下の条件のうち1つ以上を満たしていた場合、SCP-4771の異常効果が発現する確率が上昇します。

  • 幼少期/青年期に子犬だった頃のSCP-4771-Bを迎え入れた
  • 殺処分場からSCP-4771-Bを引き取った
  • SCP-4771-Bとともに育った
  • SCP-4771-Bの生涯を通して敬意と愛情をもって世話をしてきた
  • 長期間SCP-4771-Bと一緒に遊び活動に興じた
  • SCP-4771-Bの死に立ち会った
  • SCP-4771-Bが死去するまで、抱きしめる、撫でるなどして直に接触していた
  • SCP-4771-Bの遺骨を居住地の敷地内に埋葬した
  • SCP-4771-Bに関する習慣や癖、その他印象に残っている思い出を記憶している
  • SCP-4771-Bについて頻繁に話す
  • SCP-4771-Bを写した、写真などの何らかの視覚媒体を飾っている

SCP-4771-B個体が実世界に及ぼすことのできる影響力の強さは、上記の青字で書かれた条件に左右されます。一般に、対象が青字で記載された活動に従事していればいるほど、対応するSCP-4771-B個体の呈する効果が強まります。

全てのSCP-4771-B個体が発した音のハイファイ記録を分析した結果、聴覚認識災害に対する財団の現状の理解では、SCP-4771-B個体が発する音は本来であれば人間にとって致死的であると判明しています。人体に致死的な影響が及んでいない理由については現在調査中です。

対象の名前: ジョゼ・オルテガ隊長、機動部隊ガンマ-6 (大喰らい) 指揮官。

SCP-4771-Bの外見: メスのラブラドゥードル、12歳で死去。

特筆すべき特徴: 対象は15歳の頃に両親を交通事故で亡くしてから、鬱やアルコール依存症を患い、薬物を服用していた。対象は道端でSCP-4771-Bと出会うまで数か月間ホームレス生活を送っていた。対象はSCP-4771-Bのおかげで薬物乱用や精神健康にまつわる問題を克服できたと頻繁に述べていた。

背景: 2022年2月4日、機動部隊ガンマ-6はSCP-████の収容を再確立するために派遣された。この任務は失敗し、極めて多くの死傷者を出した。22名の機動部隊隊員のうち、生き残ったエージェントはわずか3名 (対象も含む) であった。対象は極度のPTSDと生存者罪悪感に苦しんでおり、財団が定めた精神健康治療は対象の体調改善にほとんど寄与していない。

イベントの内容: 2022年8月2日、対象は財団支給の.44口径リボルバーを用いて自殺を試みた。対象の証言によれば、銃口をこめかみに当て、撃鉄を引いて目を閉じたところ、膝の上に "暖かくてふわふわした塊" が据えたのを感じたとのことである。対象が目を開けると、辛うじて視認できるSCP-4771-Bのゆらめく幻影が、両脚の上に座っていた。SCP-4771-Bはさらに約5分間対象とともに過ごし、その間、対象から拳銃を少しずつ遠ざけていった。SCP-4771-Bは非物質化する直前に対象の顔を舐めた。

その後: 対象は財団のメンタルヘルスケアサービスに連絡し、自殺を試みたことと上述の異常活動を報告した。財団のセラピストは対象を監視下に置き、追加の治療措置を提供した。対象のPTSD症状はその後の数か月間で大きく改善した。対象の顔から採取した唾液サンプルをDNA鑑定した結果、ラブラドゥードル種のイヌのものと98.2%一致することが判明した。

対象の名前: パトリシア・オリーリ研究助手

SCP-4771-Bの外見: オスのジャーマン・シェパード、15歳で死去

特筆すべき特徴: 対象は暴力犯罪が多発する貧民区で育った。対象は、SCP-4771-Bが生前に攻撃者から自分を守ってくれた事が何度かあると記載している。SCP-4771-Bは飼い主に危害が及びかねない物がないか常に警戒していたと説明された。

背景: 2022年9月21日、サイト-114から12マイル離れた場所でマグニチュード8.8の地震が発生した。サイト-114の構造に損傷が及んだ結果、3体のSCP-3199個体が収容違反した。

イベントの内容: オリーリ博士がKeter収容ウィングからの脱出を図って階段へ駆ける様子が見られる。金切り声が聞こえると、隣接する廊下からSCP-3199個体が姿を現し、逃走路を遮る。引き返そうと振り向くと、別のSCP-3199個体が曲がり角から現れ、オリーリ博士を追い込む。
突如として、1体目のSCP-3199個体が不可視の力によって床に投げ出される。SCP-3199個体は金切り声をあげ、立ち上がろうともがくが、試みは失敗する。攻撃的な唸り声や吠え声が現場に響き渡る。もう一体のSCP-3199個体が躊躇し、反対方向へと逃げる。動きを封じられたSCP-3199個体には深い咬合痕が現れ、重要な腱や主幹動脈が切断される。オリーリ博士が階段から脱出する。SCP-3199がSCP-4771-Bから受けた負傷により死亡する。

その後: SCP-3199の死体に対する科学調査の結果、残された咬合痕は成体のイエイヌと特徴が一致すると判明した。

対象の名前: キム・サンチョル伍長、機動部隊ベータ-7 (マズ帽子店) 配属のフィールドメディック。

SCP-4771-Bの外見: メスのゴールデンレトリバー、18歳で死去

特筆すべき特徴: 対象はアメリカ合衆国の農村部で移民一世として育った。経路の問題から、スクールバスは居住地から半マイル離れた場所で対象を降ろしていた。SCP-4771の利用申請書にて、対象はSCP-4771-Bが降車地点で対象を毎回出迎え、自宅まで連れ添ってくれていたと記載している。

背景: 機動部隊ベータ-7はカオス・インサージェンシーのエージェントからSCP-008の改変株を確保するために派遣された。この改変株は異常な手段で強化されており、曝露から発症までにかかる時間が、3時間から数分に著しく短縮されていた。最後の抵抗として、カオス・インサージェンシーのエージェントは改変したSCP-008サンプルを機動部隊ベータ-7隊員に曝露させた。その時、キム伍長は負傷した機動部隊隊員 (ジェリー・スティール兵卒) を手当てしていた最中であり、スティール兵卒のエアーフィルターは作戦行動中に榴散弾によって破損していた。スティール兵卒が感染する寸前に、キム伍長は自身の防毒マスクを素早く外し、患者に取り付けた。

イベントの内容: 当インシデントの経緯は、キム伍長とスティール兵卒のボディカメラの映像をもとに編集されている。キム伍長がスティール兵卒の胴体の傷口を縫合して塞ぐ様子が映像に映る。無線機から通信音が聞こえ、マイヤーズ隊長がガス攻撃の接近を機動部隊に告げる。キム伍長は一瞬ためらいながらも、自身の防毒マスクを剥いでスティール兵卒の顔に取り付ける。直後、オレンジ色の煙霧がカメラの視野に入り、わずか数秒で辺り一帯が改変されたSCP-008粒子で満たされる。

改変されたSCP-008粒子が触れると、キム伍長の顔が痙攣する。よろめきながらスティール兵卒から離れると、瓦礫の山に向かって倒れ、寄りかかる。対象は激しく咳き込み、多量の血液や液化した肺組織を口から吐き出している。対象が苦痛から大きなうめき声を上げ始め、身悶えするとともに、あらゆる開口部から大量の血が流れ始める。その後数分かけて、対象の露出した皮膚に重度の組織壊死が起こり始める。対象はスティール兵卒に目をやり、両者の距離をさらに空けるように弱々しく命令する。

突如として対象が目の前を見つめ、腕を伸ばす。両者からのカメラ映像には第三者の存在は映っていない。対象の顔から苦痛の表情が消え、弱々しい笑みに変わる。対象がSCP-4771-B個体を抱きしめ、撫で始める。対象の呼吸が乱れなくなり、痙攣が治まっていく。対象が「お利口さんがいるな」と囁く。この間、生体測定センサーは血圧と心拍数が致命的なまでに低下していることを示している。対象が死亡する前に、SCP-4771-Bに向かって「家に連れ帰りに来たか?」と尋ねるのが聞こえる。

その後: 戦闘終了後、キム伍長は作戦区域内で、意識を失いながらも生存していたスティール兵卒のそばで死亡しているのが発見された。検死の結果、キム伍長は頭部外傷を負っておらず、血流は改変されたSCP-008粒子で飽和していたものの、プリオンの異常蘇生作用は起きていないと判明した。

キム伍長の上着からは1房の黄色の毛皮が発見された。

Footnotes
. 詳細については、ロヨラ主席監督研究員に連絡を取ってください。
. 機動部隊ベータ-7隊長
ページリビジョン: 3, 最終更新: 08 May 2022 12:17
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