クレジット
アイテム番号: SCP-4616
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-4616収容ゾーンには、財団が提供する農業訓練を受けた、または農業の実地経験がある非暴力的なDクラス職員を常駐させ、営利目的の農場として運営させます。Dクラス職員は必ず日没までに農舎に戻り、日の出まで屋内に留まらなければなりません。
農舎には、全ての潜在的な進入口を封鎖する自動保安シャッター、セキュリティ侵害時に居住者全員が避難できるパニックルーム、防音寝室が設けられます。
秘匿地下トンネルが、農舎地下室と、SCP-4616収容ゾーンからの待避所を接続します。待避所は収容ゾーンから見える位置にあってはならず、またSCP-4616が農舎に侵入した場合に備えて、地下室側のトンネル入口は使用しない時には封鎖・隠蔽されます。
SCP-4616収容ゾーンは無許可の侵入を防ぐために柵で囲い、収容ゾーンを通過する田舎道は埋め立てられていない陥没穴があるように装って恒久的に封鎖・経路変更されます。全ての供給品や生産物は遠隔操作または自動運転の車両で運搬されます。職員は地下トンネルを通ってSCP-4616収容ゾーン内外へ移動します。物資運搬と職員移動は日中、SCP-4616の存在を目視できない時にのみ行われます。地上の収容ゾーンに進入した職員や民間人はロストしたものと見做されます。
Dクラス職員は隔週でビデオ通話を介した心理評価を受け、サイト-76精神医学スタッフの裁量で異動となります。
SCP-4616が別な農場に移転した場合、その農場は財団によって買収され、新たなSCP-4616収容ゾーンに転用されます。
説明: SCP-4616は組成・知性ともに未知のヒト型実体であり、現在は██、█████████に位置する400ヘクタールの農地と森林に隔離されています。
SCP-4616は超人的な速度と敏捷性を有し、また収容ゾーン内の監視装置を積極的に回避・破壊します。このため、財団は未だに当該実体を捉えた高解像度の画像や動画を入手できていません。
目撃者の証言では、SCP-4616は一貫して、身長約4mで、極度に痩せており、猫背の姿勢で、ほぼ全身が白く、幅広い楕円形の頭部と大きく間隔が空いた黒い目を有する実体だとされています。身体は擦り切れた緩い衣服を着ているか、もしくはもつれた白い毛皮に覆われており、右手には3本の長く湾曲した鉤爪があるか、もしくは何らかの3枚刃の道具を把持しています。
日照時間中、SCP-4616の出現はごく稀かつ散発的で、専ら森林地帯の端に現れる程度に留まります。SCP-4616は時折、その場にいる者に向かって右手を振りますが、接近されると森の中へ後退します。収容ゾーンの捜索が幾度も行われていますが、棲み処らしきものは見つかっておらず、姿を見せない時のSCP-4616が何処に棲んでいるかは不明です。日中にSCP-4616との非敵対的な接近遭遇が幾度かあったものの、これらの事案は常に、SCP-4616が発見直後にその場から逃走する結果に終わっています。
SCP-4616は収容ゾーン内に生えている合計37本の樹木に白いペンキで粗雑なピクトグラムを描いており、入手可能な材料で作った単純なドリームキャッチャーを定期的に枝に吊るします。この行動の重要性は判明していません。
夜間、不定期にではあるものの、SCP-4616はしばしば森を出て農場を訪れます。SCP-4616はこの際、有益な農作業を行うことも多い反面、定期的かつ一見ランダムに物品を再配置し、時には地所や家畜に危害を加えます。また、SCP-4616は定期的に農舎を叩き、引っ掻きます — 過去の収容ゾーンに存在した居住施設に侵入した事例が確認されているため、これは農舎への立ち入りを試みているものと思われます。
SCP-4616が森を離れない夜には、1回あたり3〜5時間にわたって泣き叫ぶ声を聞くことができます。SCP-4616の発声は如何なる形式でも直接観察されたことが無いため、これらの音源がSCP-4616であるのかは不明確です。
SCP-4616の夜間活動中に、農舎の居住者が屋外に出ていた場合、SCP-4616は通常その人物を拉致しようとします。SCP-4616は決して1晩に1人以上の拉致を試みず、速やかに被害者を森の中へ連れ去ります。 これまで拉致被害者が回収されたことはありません。 補遺を参照してください。また、SCP-4616は例え日中であっても、収容ゾーンを離れようとする居住者を拉致しようとします。
如何なる時でも、農場の居住者以外の人物がSCP-4616収容ゾーンに入った場合、SCP-4616は暴力的な攻撃を加え、典型的には数分以内に車両を横転させ、被害者の死体を半流体状になるまで傷付けます。SCP-4616は無人車両に対して全く反応を示しませんが、車両の乗員の有無をどのように見分けているかは未だ不明です — 乗員が隠蔽されていても、SCP-4616はそれを見抜くことができます。
何らかの理由で農場の居住者がいなくなるか、運営されなくなると、SCP-4616は森林地帯を地所として含む最も近場の農場へと移動します。収容以前、SCP-4616は自らが出没する前から農場で暮らしていた人物らを"居住者"と見做していたようですが、現在は特設地下トンネル経由で収容ゾーンに新たに訪れる者たちも許容しています。同様に、SCP-4616は地下トンネルを通って財団職員が去るのを妨害しません。現在、SCP-4616はトンネルの存在に気付いていないと考えられていますが、地所を占拠した後に農場の居住者が入れ替わったのを把握しているかは不明です。
発見: SCP-4616は、███ ██████という人物が911に通報し、SCP-4616に近付こうとした夫が連れ去られたと訴えた際に、緊急通報を監視していた財団によって発見されました。機動部隊イプシロン-6 "村のアホ" が到着する前に、数名の救急隊員が殺害され、隠蔽工作が必要になりました。収容の完了前に、SCP-4616は███ ██████と彼女の娘を拉致し、続いて近隣の農場に移動しました。ヘリコプターで居住者たちを避難させる試みは失敗し、SCP-4616はまたしても別な近隣の農場へ移動しました。予備的な実験によって、現在の収容体制が確立される前に、SCP-4616は更に3回移動しています。
補遺: ██/██/██、環状に並んだ37本のオークの苗木が、農舎の前庭に出現しました — これらはいずれも掘られたばかりの浅い墓穴らしきものから生え出ていました。調査の結果、苗木はそれぞれ人間の死体から生えており、広範な根系が死体の内部全体に張り巡らされていることがすぐ明らかになりました。死体は後ほどSCP-4616-A-1から-37と指定されました。遺伝子検査によって、SCP-4616-A実例の少なくとも16体が、SCP-4616による拉致の被害者だと特定されました。死体にはほとんど腐敗が見られず、これは苗木の根から分泌されていた抗菌・殺虫化学物質が主な原因だと考えられています。
検死解剖によって、苗木のドングリは被害者たちが生きているうちに外科的に移植されたものと判明しましたが、死体の腐敗が進んでいないため、被害者たちが死亡するまでにどの程度苗木が成長していたかは推測できません。
SCP-4616-Aを発掘して現地から運び出したところ、SCP-4616は翌晩、農場に約14,000ドル相当の被害を及ぼしました。
この事件以来、SCP-4616の行動に幾つかの変化が生じました。農舎に居住するDクラス職員らは、SCP-4616が夜間にしばしば屋根の上を歩くようになり、日中も屋根の上に立っているのを3回目撃したと報告しています。また、Dクラス職員らは、SCP-4616が窓越しに短時間覗き込んでいたことが少なくとも2回あり、畑で作業している時には高速で走り抜けてゆくようになったとも主張しています。掘られたばかりの穴が朝方によく見つかるようになり、家畜の死亡率も17%上昇しています。
これらの行動の変化を受け、追って通知があるまで、Dクラス職員の異動は中止されています。