SCP-4493-1の一例。
アイテム番号: SCP-4493
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 如何なる状況においても、SCP財団、その子会社、それらの従業員が6月中にLGBTアイデンティティへの誇りや支持を表明することは認められません。
SCP-4493の性質上、完全な収容は困難です。SCP-4493-1は投稿されたインターネットプラットフォームから削除不可能です。機動部隊ラムダ-69("ライディングスピナーズ")が影響された事業体に派遣されます。MTF L-69隊員はSCP-4493-1実例によって暴露された情報の"迂回誘導"を重視し、その情報が本質的に異常である場合には難読化します。SCP-4493-1実例はプロトコル0-クールで難読化処理を施すことが可能です。SCP-4493-2実例は速やかに破壊しても構いません。
財団の工作員を、LGBTの人物に対する非倫理的対処、もしくはその他の非倫理的慣行への関与が疑われる企業や警察署に(可能な範囲で)潜入させます。これらの工作員は、潜入先の組織が6月中にLGBTアイデンティティの支持を表明することの阻止を試みるものとします。
説明: SCP-4493は、6月中にLGBTの人物への連帯/支持を公に表明した大規模な組織、とりわけ企業や政治団体に影響する現象です。影響された組織がLGBTコミュニティの支持を明示するソーシャルメディア投稿や広告を公開した場合、それらのメディアは問題の組織がLGBTの人物に及ぼした悪影響を強調する内容へと改変されます。また、SCP-4493はソーシャルメディアサイトに新しい投稿を作成することも可能です。SCP-4493は経済的・政治的に強い繋がりがある組織の間で伝染するらしく、同じLGBTプライドパレードの行進に参加した組織間でも伝播します。
SCP-4493が改変または新規作成したソーシャルメディア投稿はSCP-4493-1に指定されます。SCP-4493-1実例は通常の手段で投稿先のソーシャルメディアプラットフォームから削除できません。この特性は別なソーシャルメディアページへ再投稿されたSCP-4493-1実例にも拡張します(Twitterの"リツイート"など)。この結果、SCP-4493-1実例を収容するには、被影響組織とSCP-4493-1実例が投稿されたソーシャルメディアプラットフォームの双方との協力が必要になります。
SCP-4493に影響された物理的広告(看板やパンフレットなど)はSCP-4493-2に指定されます。SCP-4493-2実例は瞬間的に改変され、映像記録上ではフレーム間で変化します。SCP-4493-2実例は常に既存のメディアが改変された物であり、SCP-4493現象で新たに生成されることはありません。これらは変換後に異常性を保持せず、問題なく破壊できます。
事案4493-7: 2019年6月24日、コロンバス警察署のFacebook投稿がSCP-4493-1実例に変化しました。この投稿はLGBTやその他の人物に対する無数の人権侵害と、3名の警察官(N・クラム巡査部長、B・スミス巡査、L・アーロン巡査)がその地位を利用して市民に多数の犯罪を行ったことを強調しています。問題の警察官3名は後日、それぞれの自宅で死亡しているのが発見されました。3名は全員、何ら犯行の兆候が無い心臓発作で死亡したものとされています。
GOI-5869が関与した可能性については調査中です。
SCP-4493がKeterクラス収容プロトコルを必要とし、過剰な業務上負担を引き起こしたために、GOI-5869の行動は現在財団との間に結ばれている合意および条約への違反と見做された。この問題に決着を付け、また説明責任を果たさせるために、O5-6とPOI-6870の会合が予定された。
会合は2019年6月14日に行われた。
O5-6: 私はO5-6。O5司令部とSCP財団の代理としてここに来た。
3秒の沈黙。
POI-6870: <咳き込む> ああクソ。失礼。俺はジュード・クライヨット。俺自身の代理としてここに来た。
O5-6: それを私が信じるとでも?
POI-6870: なぁ、聞いてくれ。今回の件は全部俺がやった。チャットの他の奴らは一切これに関わってない。俺は自分の行動が、何だ、ゲーマーズ・アゲインスト・ウィード全体の意思表示と取られるべきだとは思わない。もし事前に話を聞いてたら、あいつらはそんな事するなと俺を止めたはずだ。
O5-6: 君はSCP-4493の — 俗に言う"プライドハッカー"の創造を認めるのだね?
POI-6870: 俺は番号知らないって分かってるだろ。
O5-6: あくまで記録のためだ。
POI-6870: ああ、オーケイ。クール。でもまぁそうだ、俺の仕業だよ。そして俺はあれが契約違反だとは考えてない。
O5-6: では、どういう理屈で?
POI-6870は椅子にもたれかかる。彼は22秒間発言しない。
POI-6870: 記憶が正しければ、ついでに言うと俺の記憶力は驚くほど良いんだが、あの契約は俺がガキどもを行儀良くさせておくって内容のはずだ。世の中の善良な方々を過剰に傷付けないよう、俺は全員に目を光らせておく。アンタたちに大きなトラブルを引き起こしかねないチビどもが、地下室で怪獣や乱交ハーレムなんかを作る代わりに、そのエネルギーを馬鹿げた楽しいお遊びに費やすように取り計らう。そうだよな?
O5-6: その通り、それも合意の一環だ。しかし—
POI-6870: それに俺は、何つったっけアレ? ヴェールか、ヴェールを破ってはならない。普通の世界だか何だかアンタたちがどう呼ぼうと構わないが、ともかくそこに住む連中に魔法を大っぴらに見せびらかしてはならない、だったよな?
O5-6: その通り。今回はそれが問題なのだ。君個人がアブソルート・ウォッカのTwitterアカウントを標的にすれば契約違反にはならないと思ったのか? 流石の君もそこまでは我々の取引を拡張できないと、私はそう考えるがね。
POI-6870 実はな、そこが要点だ。俺は奴らを狙わなかった。
O5-6: 狙わなかった?
POI-6870: しくじったんだよ。俺はあの新しいミスターズ・アゲインスト・ウィード云々の投稿に、自分の欠片を混ぜ込んだ。ワンダーテインメントがいちゃもん付けてくるのは分かってたからな。あれはインフルエンザと同じだ。一緒に働く企業の間で商取引を通じて拡散して、虹色商法に手を出すと発症する。
O5-6: そして勿論、ワンダーテインメントはマーシャル・カーター&ダークの供給元という訳だな?
POI-6870: マジでさ、こいつは俺たちの内輪に収まるはずだった。あいつらが、その、普通の企業とも取引してるのを知ってたら、あんなクソみてぇに削除しにくい投稿にはしてねぇよ。俺はそこまで事を大きくする気は無かった。
O5-6: これは依然として契約違反だ。
POI-6870: いや、違うね。俺は企業を、その、公共社会の一部だとは考えてない。むしろ俺は社会奉仕をしてると思ってるぐらいだ。
O5-6: 残念だが、財団はそのようには見ていない。
POI-6870: へぇ、じゃあ契約をどう理解してるかはお互い少し違うらしいな?
15秒の沈黙。
O5-6: 同僚の多くは、我々が君たちへの保護を完全に撤回することを求めている。彼らはこの事件を快く捉えていない。
POI-6870: 俺は誰も傷付けなかった。
O5-6: 直接的にはな。
POI-6870: <声量が上がる。音質に一瞬、静電気のような歪みが生じる> 全く誰も傷付けてない。これっぽっちも。
11秒の沈黙。
O5-6: <咳払い> 誤解が明白になったのに鑑みて、この件は契約違反とは見做されない。財団は、一般社会におけるゲーマーズ・アゲインスト・ウィードのこれ以上の関与があった場合、違反と判断して保護措置を無効にするということを通達する。
POI-6870: クソが。
O5-6: 条件に同意しないかね?
POI-6870: <溜め息> 同意する。でもな、最後に一つだけ言わせてくれ。
O5-6: どうぞ?
POI-6870: もし俺がアンタたちの立場なら、当分の間プライドを祝おうとはしない。
O5-6: どうして君は我々が何かを祝うような組織だと思う?
POI-6870: あのなぁ。今時はCIAでさえ同性婚が合法化されて虹を掲げてるんだぜ。ごまかすのは止めろ。
O5-6: 我々が感染しているのは確かか?
POI-6870: ああ、100%だ。今はな。アンタたちはこの騒ぎに足を突っ込んだ。一人残らずやられてるね。
O5-6: 同僚たちはきっと喜ばないだろう。
POI-6870: 俺は別にどうでもいいけどな、ボス犬。もう帰っていいのか、それとも俺を独房に入れるか?
O5-6: いや。帰って構わない。記録を終了する。
POI-6870は会合を通して財団とその活動方針に対する全面的な軽蔑を示し続けていたが、彼の収容に際して必要となるであろう膨大なリソースや、GOI-5869による報復の可能性を踏まえて、未収容状態の方がより有用であると判断された。
合意への更なる違反が発生した場合、財団は総力を挙げてこれに対応する。