2/4345 LEVEL 2/4345
CLASSIFIED
classified-lv2.pngアイテム番号: SCP-4345
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-4345の原因は非異常性の神経障害であるとする偽情報キャンペーンが進められています。大規模なアウトブレイクが発生した場合は、記憶処理剤の投与が許可されます。心理的・生理的治療は必要に応じて行われます。
説明: SCP-4345は異常な疾患であり、明確な理由なく身体の様々な部位で重度の神経障害として現れます。この症例は、患者の罹患した神経および脳内におけるヒューム値のわずかな変動によって、非異常性の疾患と区別できます。加えて、この痛みにはいかなる既知の鎮痛剤も効果がありません。
発見: SCP-4345は2013年12月03日に初めて記録されました。レイノルズ研究員はサイト-52の西診療所に出向き、自身の下腹部・左脚・喉の鋭い痛みを訴えました。治療が施されたにもかかわらず、症状が数日間持続したため、より綿密な検査が行われました。
補遺1:Reynolds1.png2012年時のレイノルズ夫妻。
インタビューログ
日付: 2013年12月15日
インタビュアー: ロザリンド・リュテス博士
対象: ディマス・レイノルズ研究員
[ログ開始]
[ レイノルズはインタビュー全体を通して重苦しく呼吸しており、時折うめき声が聞こえる。 ]
リュテス: ハロー、ディマス。調子はどう?
レイノルズ: やあローザ。良くはない。2週間もずっと変わらず痛んでる。治まりそうにない。
リュテス: 貴方のファイルは読んだけど、もう一度検査しましょうか。痛み始めたのはいつ頃か教えてもらえる?
レイノルズ: 正直分からない。2週間ぐらい前だろうか? その日は遅くまで働いていて、報告書を仕上げて帰路に着いた。それでサイト前の通りを渡ろうとしたところで気を失った。ぼんやりしていたのは一瞬だけだと思う、かなりスピードを出していた車がちょうど僕を通り過ぎていったから。でもその直後に痛み始めた。
リュテス: どういう痛みか説明してくれる? 焼けるような感じ? それとも突き刺すような感じ? 痛みは鈍い?
レイノルズ: 脚と下腹部のはどっちかっていうと鈍い。でも喉のはとても鋭い。ちょっと焼けるような感じか? まるで突き刺されているようだ。
リュテス: 何らかの要因で症状が重くなったり軽くなったりする? 触ると痛い?
レイノルズ: 悪化することもある。でも何故かは分からない。患部を押してみたり、動き回ったり、色々してみた。何も変わらなかった。
リュテス: 身体の何処かが他のところよりも痛く感じる?
レイノルズ: そうでもない。説明が難しいな。喉の痛みは悪化しているけど、それは単に部位が小さいからかもしれない。脚と腹部は押し潰されているように感じるし、足の感覚はもう完全に無い。
リュテス: それはいつ頃から?
レイノルズ: ちょうど2日前から。
リュテス: 本当にごめんね、ディマス。絶対私たちがすぐに何とかして貴方を助けるから。今日はこれで終わりだけど、その前に言っておきたいことは他にある?
レイノルズ: ある。でもどう表現すればいいのか分からない。
リュテス: 大丈夫、時間をかけて構わないから。
レイノルズ: 奇妙な、それでいてずっと続くような感覚があるんだ。時間とともに強くなっているように感じる。でもこれは、単に僕が以前より気にしているせいかも。
リュテス: というと?
レイノルズ: 小さかった頃、僕の両親はしょっちゅう引っ越しをした。新しい土地に落ち着いて、自分の居場所ができたと思ったらすぐに立ち去った。その度に全てを置き去りにするような感じがした。心を安らがせてくれるもの全てを、自分の居場所のように感じさせてくれるもの全てを失うような。
[ レイノルズが休止し、両手をこめかみに押し当てる。 ]
レイノルズ: 何故かは分からないけど、痛み始めてからこの感覚が蘇ってきた。そう思う理由なんて無いのに。僕はここ7年間暮らした場所に今も暮らしている。大事に思っているあらゆる物も、僕が出会ってきたあらゆる人も、いつものようにそこに存在し続けているんだ。でも僕がそこにいるように感じない。意味が通じるかな? まあ、僕には分からないのだけど。水曜日に車で帰宅していたら、全く違う住所に辿り着いた。でも、そこの郵便受けは確かに僕のヤツだったはずだ。どうやら僕はすっかり混乱して妻に電話したようで、妻が君たちを迎えに行かせたらしい。その節は苦労をかけてしまった。本当にその夜のことはあまり覚えてない。
リュテス: いいって。結局はそれも私たちの仕事のうちなんだし。今は休息に努めて。そのうち次の予定の旨をメールで送るから。
レイノルズ: ありがとう、ローザ。
[ログ終了]
補遺2:
Reynolds2.png保護拘留下に置かれる前のレイノルズ。
レイノルズ研究員が保護拘留下に置かれた後のインタビューログ
日付: 2013年01月03日
インタビュアー: ロザリンド・リュテス博士
対象: ディマス・レイノルズ研究員
[ログ開始]
リュテス: ご機嫌よう、ディマス。
レイノルズ: [ レイノルズは静かに話している。 ] やあ。リュテス博士。
リュテス: "リュテス博士"? 別にファーストネームで呼びたければそう呼んでもいいのよ。
レイノルズ: 分かってる、ただ — ごめん。
リュテス: 謝ることなんてないって! ただちょっと貴方のここ2、3週間の行動について心配していて。ファイルによると、貴方はサイト前の通りに戻ってきたそうね? それも医療休暇を強制されているにもかかわらず。
レイノルズ: そうだね。
リュテス: ここに彼らは車道で倒れている貴方を見つけたって書いてあるけど、本当?
レイノルズ: そ — うん。そう。
リュテス: その1時間前に奥さんと喧嘩したことと関係が?
レイノルズ: [ レイノルズが大きく息を吐く。 ] うん。
リュテス: 他に思い当たる節はない? 怪我を負ったことについてとか —
レイノルズ: [ レイノルズがリュテスの話を遮る。 ] もう限界だ。この痛みに耐えられない。耐えたくない。疲れた。
リュテス: お願いディマス、落ち着いて。話してくれなきゃ助けられないじゃない。
レイノルズ: 君が僕を助けられるとは思えない。そんなこと誰にもできやしない。
リュテス: お願い、やらせて。何が起こっているのか話して。どうしてあの通りに戻るの?
レイノルズ: 僕は — ただ吸い寄せられただけだ! あそこが全ての始まりだ! 僕は知ってる、あそこで何かが起こったって。僕の妻だと思う人と喧嘩して、それで — 諦めた。すぐにその場で轢かれた方がマシだと思った。そしたら君たちが僕を見つけた。
リュテス: ごめん、「僕の妻だと思う人」ってどういう意味? 喧嘩相手が貴方の妻のクラリスじゃないのなら、一体誰だったの?
レイノルズ: 僕は惨めな奴だよ。妻に謝る方法を見つけないといけないんだ! 僕は妻に、君は僕と結婚した人じゃないって言った。妻は何も間違ったことなんてしなかった。ただ僕はとても不安だったんだ。もう何もかもが間違ってると感じる。自分の住む街で迷いもする。夜には家具につまづきもする、買った覚えのないヤツに。君もだ! 眼鏡なんて前から掛けていたか? 僕の娘は、僕のと同じ目をしている! けどそんなはずはない! 娘の目はクラリスのと同じはずなんだ! 絶対そうだ...... 僕の知ってる何もかもが置き換えられた気分だ。それと同時に自分の気持ちに正直でない気もする。ローザ? 僕はおかしくないよな? [ レイノルズがすすり泣き始める。 ] 僕は僕だよな? 僕はいつだって僕だろう? どうしてもうそんなことに確信すら抱けないんだ? 僕は誰だ? 何処の所属なんだ? 何処から来たんだ? もうこんなのは嫌だ。もう痛いのは嫌なんだ。お願いだ......
[ インタビューを終えるまでレイノルズが慟哭する。 ]
[ログ終了]
補遺3:
2014年01月22日 リュテス博士による優先要請
この2か月にわたり、さらに数件のSCP-4345事例が世界中の様々な場所で確認されています。SCP-4345の潜在的事例についての民間人による報告を調査したところ、厄介な問題が明らかになりました。感染の拡大が既知の疫学的パターンと一致しません。犠牲者に共通の特徴は見受けられません — 各事例に強い結びつきが存在しないのです。財団施設には影響を受けた職員を手当てするリソースはありません。ましてや民間人ともなればなおさらです。確認された発症数が増加しているため、そして我々の使命を最大限に果たすためにも、SCP-4345の研究優先度をレベル5に引き上げることを提案します。研究作業への資金提供がしきりに拒否される理由が私には分かりません。SCP-4345の収容は倫理委員会・研究部門・財団全体にとって最大の重要事であるべきです。
この提案は以下の結果となったために拒否されました。
O5評議会 投票 賛成0 棄権2 反対11 結果 申請否決 倫理委員会 投票 賛成25 棄権1 反対3 結果 申請可決 管理者 投票 反対 最終結果 管理者により却下
補遺4: インシデント-3749-B-16中、SCP-3749がサイト-78で収容違反しました。SCP-3749は18時間以内に成功裏に再収容され、死傷者も出なかったものの、収容違反に居合わせたほぼ全ての職員がSCP-4345を発症しました。SCP-4345とSCP-3749の間に決定的な関係はありません。
補遺5: 2015年04月19日、ロザリンド・リュテス博士とコリーン・エヴァンズ主任研究員が、各人のクリアランスレベルでは入手できないSCP-4345関連資料の取り扱いについて叱責と再割り当てを受けました。クラスC記憶処理が施されました。
多次元鱗状重層部門
プロジェクト・テセウス
以下のファイルはレベル5機密指定です
アクセスが拒否されました。この情報を誤って受け取ったと思われる場合は、監督官に連絡を取ってください。