SCP-3862
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評価: +20

SCP-3862: 貴族カルキスト

著者: MalyceGraves MalyceGraves .

画像クレジット: コメント参照。


翻訳:

3/3862 LEVEL 3/3862
CLASSIFIED
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Item #: SCP-3862
Euclid
サイト割り当て サイト管理者 研究主任 機動部隊割り当て
サイト-54 アンドレアス・ゲッツ博士 ジェイム・フォレスター博士 サイ-8(「最後に倒れるもの」)

特別収容プロトコル

SCP-3862はサイト-54の古物保管庫の3つの生物収容ロッカーに確保されます。どのような状況においても、現在のHMCL監督者またはサイト管理者のサインされた許可なしに3つのオブジェクトを共に試験してはいけません。

全てのテストイベントはクラスA滅菌施設で行われなくてはならず、SCP-3862オブジェクトのいずれかに暴露した研究員は完全な除染手順を受けなくてはなりません。

収容違反の際には、サイト-54は即座に生物汚染ロックダウンに入り、全ての職員はSCP-3862-Σの拡散を防止するため、即座に最寄りの除染施設に出頭しなくてはなりません。

当初はポルトガル貴族層の中で流布された非公式の欺瞞情報キャンペーンは、エレアノーレ・ターヴォラとルシエン・デュトイトの関係についてのあらゆる言及を抹消することに大きく成功しており、このキャンペーンは現在財団により維持されています。

TSATPWTCOTTTADC.aicはネット上及び学術上のアブランテス侯爵とその交友関係への言及をモニターしてきています。ルシエン・デュトイトへのあらゆる言及はタグ付けされ、現在のSCP-3862主任研究員に評価のため送られなくてはなりません。

覚書: SCP-3862への研究はジェイム・フォレスター博士の指導のもと再開されました。詳細については3862.doc.01を参照してください。


説明

SCP-3862は3つの別々のオブジェクトの総称です。これらは、以前はアブランテス侯エレアノーレ・ダ・ピエダーデ・デ・ランカストレ・エ・ターヴォラおよび彼女の情夫であったルシエン・デュトイトにより所有されていました。

指定 説明
SCP-3862-A 真珠層で飾られ、ラッカーを塗られたヴィクトリア時代のレターボックス。ラッカーからは多量の人血に由来する成分が検出された。
SCP-3862-B 装飾された壁取り付け式の燭台。人骨から発生している。
SCP-3862-C 装飾されたサイドテーブル。ケラチン状の物質から削り出されている。

3つのオブジェクトおよびSCP-3862-Aに内包された手紙にはいずれも、2種類のこれまで未知のVibrio vulnificus の亜種が生息しており、互いに合わさると強毒性の病原性感染が発生します。これはSCP-3862-Σに指定されています。この細菌感染はあらゆる既知の抗微生物療法に高度に抵抗し、病原菌は生物学的に不死であると考えられています。SCP-3862-Σは両方の亜種が存在している場合にしか活性化されないことに留意してください。

付属文書

発見
palace.jpg

アブランテス侯の宮殿。2013年頃

SCP-3862は1952年、アブランテス家のかつての居住地であり、現在はポルトガル、リスボンにおけるフランス大使館であるサントス宮殿の改装の際に、初めて財団に接収されました。宮殿は1909年にフランスに取得され、すでにある程度の期間フランス政府により事実上の大使館として使用されていました。1951年に大規模な改装が必要になり、内装が新調され、構造にも修復が加えられました。

改装の際に、小型の「礼拝堂」への第一の隠された入り口が発見され、エレアノーレ・ランカストレ・エ・ターヴォラの寝所が置かれていたことが判明しました。さらなる調査で、さらに隠された入り口と通路が存在し、来客用寝室と「礼拝堂」を繋いでいました。現在では、来客用寝室にはフランスのポルトガルへの外交派遣団の一員であったルシエン・デュトイト卿が滞在していたと考えられています。

この「礼拝堂」の発見と、その内容物については極めて僅かしか文書化されていません。この区域の改装に携わった職員と労働者は全員SCP-3862に関連した病原体汚染に暴露され、発症した細菌感染により間もなく死亡しました。この疾患の異常な性質および礼拝堂の内容物そのものにより、財団は領事職員に潜入した工作員により通報を受け、大使館は即座に検疫下におかれました。

初期のアウトブレイクがどのように収容されたのかは不明瞭です。SCP-3862の取得に割り当てられた財団職員の多数もSCP-3862-Σに暴露し死亡しました。引き継いだ職員は汚染規模が不明なままSCP-3862に関連した全ての報告書と研究資材を破壊しました。これによりSCP-3862-Σのアウトブレイクを収容することに成功したように見えるものの、SCP-3862の取得と発見場所にまつわる情報の大部分が失われました。

追加研究

SCPF内部メモ


FROM: ジェイム・フォレスター博士
TO: サイト管理者アンドレアス・ゲッツ博士
DATE: 2013年02月12日
RE: SCP-3862および関連オブジェクトの研究続行要請

ジュディス・ロゥ博士のプロト、およびネオ-サーキック活動の増加についての報告を受け、我々はSCP-3862の研究についての立場を再考する必要が生じました。問題の物品は明らかにサーキシズムに起源を持つものであり、これらの性質に関する研究はビクトリア時代のヨーロッパのネオ-サーキック・カルトの活動を更に解明するものとなるかもしれません。

現在のところ、我々はネオ-サーキック系GoIの欲求と目的について、貴重ではありますが極めて僅かな知見しか得ておりません。彼らの影響力が、異常の世界でも、非異常の世界でも拡大するにつれ、財団にとって可能な限り多くを知るのみならず、彼らの計画──それが何であったとしても──の影響を軽減する方法を考案することが不可欠となってきています。

あれらの手紙の送り手は明らかに当時のネオ-サーキック社会の高い地位にあった構成員であり、そこに書かれた内容は彼らの現在の欲求──それが何であったとしても──の原型について何らかを明らかにするものであると私は考えています。カルキストは皆人智を超えた長期の計画を抱くものです。彼らの不死となる能力は、彼らに忍耐と極めて遠大な目的を計画し達成する胆力を与えます。現在のところ、我々にはそれが何であるかの手がかりすら無く、その正常性への衝撃を可能な限り最小化するためには手段を選ぶことはできません。

添付された、SCP-3862の研究の再開に関する提言を読んでください。シグマ病原体に関する現在までの全てのデータ、すでに完了した汚染拡大防止措置について書いてあります。

敬具、

ジェイム・フォレスター博士
歴史部門上席研究員──宗教的GoI脅威分析担当


SCPF内部メモ


FROM: サイト管理者アンドレアス・ゲッツ
TO: ジェイム・フォレスター
DATE: 2013年02月13日
RE: SCP-3862および関連オブジェクトの研究続行要請

要請を許可する。

君の議論は説得力があり、ロゥ博士による脅威度の分析もむしろ君の立場を補強するものだ。

シグマ病原体の収容違反の可能性を考慮した収容手順の改定については、ジュリエッテ・メシエ医師に相談して欲しい。

アンドレアス・ゲッツ博士
サイト-54管理者

第8代アブランテス侯エレアノーレ・ダ・ピエダーデ・デ・ランカストレ・エ・ターヴォラ
兼第15代ペナギアン伯、第11代ヴィラ・ノヴァ・デ・ポルティマン伯


eleanore.jpg

エレアノーレ・ランカストレ・エ・ターヴォラ侯爵

1834年1月19日生、没年不明。
第7代アブランテス侯ペドロ・マリア・ダ・ピエダーデ・デ・ランカストレ・アルメイダ・サ・メネゼス(1816〜1847)の長子。

彼女は1847年、父の死により称号を引き継ぎましたが、彼女の権限の多くは叔父であるジョアン・マリア・ダ・ピエダーデ・デ・ランカストレ・エ・ターヴォラにより執行されていました。執権がおかれた公的な理由は彼女の継承時の年齢であり、全ての公的な記録では、執権の役目は健康状態を懸念して彼女の成人後も続いたとされています。ジョアン・マリアは正式には第8代侯爵とされたことはありませんが、殆どの公的な記録では不用意にもそのように記録されています。

現在では、エレアノーレの第8代侯爵としての実質的な継承は、主として悪名高いフランス貴族ルシエン・デュトイトとの関係に関する醜聞のため控えられたと考えられています。しかしながら、興味深いことに多数の非公式の著述、証言では、彼女はかつては社交上の名士であったと言及されています。ある時期には、彼女の叔父は、彼女を英国貴族界の有力者であるアバディーン卿と婚姻させようと交渉していたが、実現しなかったと噂されています。しかしながら、公的な文書ではこれらに反し、健康状態の悪化により彼女は隠棲し、未婚であったと記録されています。

SCP-3862-Aに内包されていた手紙からは、彼女は1851年5月にイングランドへと旅行し、ヴィクトリア女王の誕生日を祝う社交的イベントにおいてルシエン・デュトイトと出会ったことが判明しています。

1851年5月19日


エレアノーレさま、

貴方のような高名で、それでいて魅力的な淑女との邂逅の真の歓喜を表現することもまた、至上の喜びであります。私は貴方との最初の会話で、適切な言葉を見つけることができなかったことを告白します。夜会の場だというのに、私は貴方のこの上なく優美な佇まいへの崇敬を抑えられませんでした。私が貴方に向けた態度が、不快なものでなかったことを心から望みます。貴方とともに過ごした夜は、この鬱蒼とした国で過ごした中では、最も楽しいものとして思い起こされるばかりです。貴方の優美さと雄弁さは私の心を射抜き、貴方の知的な言葉と音楽的な笑い声で私は真の自分自身を見出すようでした。ああ、それらをもう一度、何度も何度も、私の耳にそれしか聞こえなくなるまで聞くことができたら!もし貴方さえよろしければ、このような形で会話を続けることはできるでしょうか?私は紙上で苦労することになるでしょうが、私の言葉は残り、私が伝えたいと望むものの影くらいは表すことができるでしょう。私はあなたの愛情を全身全霊で求めること以外は何も望みません。私達が共にいた時間は短かったですが、あなたの笑顔の歓喜とあなたの関心のぬくもりに比べられるものはこの世に存在しないことが、私には感じられます。

あなたのお返事をお待ちしながら、あなたへの敬愛の中にいます。永遠の敬意と共に

─ルシエン

1851年6月1日


私のギャラント・サー・ルシエンさま

私達がついに別れなくてはならなかったときに、あなたのぬくもりから自らを引き離さなくてはならなかったのは、とても辛いことでした。あなたから手紙を送るという提案を聞いたときには、本当に喜びすぎるほどの喜びでしたが、それすらも、あなたから本当に手紙を頂いたときの喜びに比べれば、輝く太陽の前の青白い蝋燭のようなものでした。あなたの手紙を何度も読むたびに興奮は高まり、私の侍女たちは私がすぐに返事を書こうとペンを取るのを止めねばならないほどでした。交通の整った時代とはいえ、私達の間にある距離を今は怨みます。あなたの手紙と手紙の間にあるであろう期間を耐えられるとは思えません。この手紙を受け取った日に、すぐにお返事を書いてくださいね。待つ時間は、たとえ少しであろうとも、私の胸の中では大変な苦しみです。

あなたのお返事を、息もできないほどの期待を込めて待っています。この身全ての敬意と共に

─エレアノーレ

ルシエン・デュトイト・ネイ・ティエール──レジオン・ドヌール将校
ソシエテ・デ・ラ・フルール・ソングロン(血の花の協会)のカルキスト


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ルシエン・デュトイト卿

生没年不詳。
SCP-3862-Aの手紙以外では、デュトイトについては殆ど情報がありません。全ての彼に関する言及は、ポルトガル政府からの要請により、フランスの外交記録から抹消されています。この情報の乏しさこそが、「ルシエン・デュトイト・ネイ・ティエール」がこの人物により使用された偽名のひとつに過ぎなかったことを示唆しています。

様々な外部の情報からも確認され、知られていることとしては、デュトイトはネオ-サーキック・カルトであるソシエテ・デ・ラ・フルール・ソングロンSociété de la Fleur Sanglante(血の花の協会)のカルキストにより使用された偽名だったということです。1848年の7月王政の崩壊のあとに、このカルキストはノム・デ・ゲール偽名としてデュトイトを使用し始めたと考えられています。

どのようにしてデュトイトがフランス外交団を通じて英国の宮廷に入り込んだのかについての我々の理解は、完全に推論でしかありません。彼の手紙から、フランスにおける彼の権力の低下を補うため、英国の貴族社会からの協力を得ようとしたこと、およびその試みは外部の実体により阻止されたか、あるいはポルトガルへと移動することがより展望があると彼自身が判断したことが推測できます。

いずれにしても、ソシエテはポルトガルに移動し、そしてデュトイトは彼の侯爵へのコネを、サントス宮殿をフランスの外交拠点として確保するために利用しました。外交団の何割がソシエテの構成員で構成されていたのかは不明ですが、デュトイトのリスボンへの移動により、結果としてサントス宮殿は恒久的にポルトガルにおけるフランス大使館として使用されることになりました。

1852年6月17日


エレアノーレさま

この数ヶ月は貴方の手紙の巻き起こした疾風に吹き飛ばされたかのように過ぎました。優美さを装う無骨な田舎者たちとの仕事に戻る辛さは、私が常に心臓近くに持ち運んでいる手紙の言葉について考えるときに感じる恍惚の高みには及びません。実際、私は貴方の手紙をコートの胸ポケットに入れており、私が議会へ入るときに少なからぬ人々がその芳香に眉をひそめます。私は彼らの見当外れの不同意など気にしません。特に、あなたに伝えたい素晴らしいことがあるときには。

コロナ=ヴァレフスキー伯爵と会談し、急いでここに走ってきてこれを書いています。興奮しすぎて、普通には歩けなかったのです。手が震えて、これを書くのにも苦労しています。この報せを紙に書き出すと、無へと消え、ただの希望からの幻想だった事になりそうで怖い。いいえ、それでもこれを書かなくてはなりません。これを書くことによって、私達の最大の夢がついに叶ったことになるのですから。今日、四十分足らず前に、アルマンド伯爵への要請が許可されたと知らされました!それだけでなく、彼と共にこれから二週間、パリから旅をして、サントス宮殿に居住します!

あの石頭のヴァレフスキーが、アルマンド伯がブルジョワジーの宮殿を滞在地として選んだことを信じられないと言ったとき、私は喜びのあまり飛び上がるのをもう少しで抑えられなくなりそうでした。それはともかく、私達の祈りが実際に届き、貴方の側に行けることは、私が貴方に伝えられるうちで最も深い喜びです。早く日々が過ぎ、この手紙を侍従が貴方に届ける頃には貴方のもとに着けますように。

焦がれて待つ永遠のような日々が、もはや終わったことを祝して

─ルシエン

1852年8月1日


私の最も愛する人へ

あなたの早い到着を待ち望む私の心を表現するのに十分な言葉が、英語の中にはありません。この言語には洗練されていないところがあり、宮中で私達の真実を隠すためにしなくてはならないジェスチャーが私は嫌いです。だとしても、このことは私の心を些かも邪魔しません。この手紙はあなたの到着を待ってお渡しします!叔父が私に教えた礼儀作法を、愛するものと面したときに守れるとは思えません。あなたがすでにリスボンにいると知ることは、真の歓喜の発作を引き起こします。まるで浮かんでいるような感覚が、あなたが来ると聞いてからずっと続いています。

こちらにいる間は、柳の間をご自由にお使いください。左の燭台が、私達二人のために用意した部屋への入り口を開きます。私の部屋の燭台は、あなたからの贈りものに取り替えました。その美しい軸を私が撫でれば、貴方の部屋へと通じる通路が開きます。歓迎会が終わり次第、私はできるだけ早く寝所に戻ります。そこで私は息を殺して、そして、ああ言いますわ、太腿を濡らして待ちますわ。

心臓の鼓動の間で止まった時の重みの中で、私は永遠にあなたのものとして

─エレアノーレ

SCPF内部メモ


FROM: ジェイム・フォレスター博士
TO: サイト管理者アンドレアス・ゲッツ
DATE: 2013年06月08日
RE: SCP-3862研究の進捗
thebox.jpg

SCP-3862-Aファイル写真

我々のSCP-3862の研究はすでにいくつかの重要な発見を得ています。そのうち第一となるものは、ソシエテ・デ・ラ・フルール・ソングロンについての情報です。

7月王政に関与したサーキック・カルトが存在したことはすでに知られています。このことは、超常現象の確保収容に関する王立財団(HMFSCP )がフランスに干渉することを正当化する理由のひとつとして挙げられたものでした。

HMFSCPの記録では、当該カルトは「ザ・ソシエテ」としか呼称されていませんが、これでフルネームが判明したと言えるでしょう。図書館とのコネクションを利用して、彼らの動向の痕跡を追うことが可能となりました。

加えて、SCP-3862-Aの箱そのものは、人間の皮膚から作られていること以外には、非異常性です。皮膚から得られたDNAサンプル分析の結果、デュトイトと侯爵の双方のものであることが示されましたが、ラッカー塗布のためにDNAは損傷しており、断定は困難でした。もしそうだとすれば、これはSCP-3862-Σの要素である可能性があります。この要素は、これまで探索されていたものです。メシエ医師と彼女のチームがワクチン開発のためにこれを利用できるかもしれませんが、現時点では開発は初期段階です。

敬具

ジェイム・フォレスター博士
SCP-3862主任研究員

1854年9月13日


私のヴォルタールへ

貴方のリハクタァクlih'acut'aqの技術は急激に上達しており、それを持って私のヴォルタールに相応しいと考えるものです。ソシエテはここリスボンで栄え、これについて貴方には感謝しかありません。貴方のナルカを受け入れることについての情熱は私にとっても刺激的で、私の古い心も貴方のような若い方のあのように素晴らしい技術を見せることで解きほぐされるようです。

私の大業に貴方を迎えることは、多大な価値があり、多大な喜びを伴うことになりました。貴方が私の傍らにいれば、私達の神格化を妨げるものなど何もないでしょう。私達の上昇は肉の宴であり、快感の絶頂の歓喜を通じた自己の純化となるでしょう。私は今でも、指を貴方の臓器の濡れた襞に這わせ、貴方の湿った熱が私の肉に広がり、貴方の内部で一体となることに焦がれています。

私は貴方の内部に勃ちます。そして私達の結合を通じ、私達はこの世界に新たな夜明けを解き放つでしょう。

─ルシエン

覚書: この手紙は急いで書かれたように見え、複数箇所に暗色の物質のシミがついています。物質は収納されていた年月にもかかわらず、一定の粘性を保っていました。

1854年12月22日


マスターへ

お逃げください!私の妊娠を気づかれずに済ますことは出来ず、ジョアン・マリアは激怒しました。私達は当初ほどは注意深くなくなっていました。叔父は教皇代理の元へと話をしに行きました。あなたは追放されるでしょう!教会があなたに対しどれほどの力を振るうのか、考えると震えます。私にできることは、この警告と、最後のひとつの贈り物です。

これを書き終えたら、私は残った力を子供の誕生のために使います。彼女は私達の復讐の津波となるでしょう。彼女はその中に私の魂と、あなたの愛の抱擁の中で転生する希望を宿すでしょう。私に教えたように、彼女に教えてください。私を愛したように、彼女を愛してください。私に触れたように、彼女に触れてください。彼女が私となるように。ただ私となるだけでなく、私の最も愛するマスター、あなたの祝福により、よりよい私に。

私は彼女に、この手紙と、他のすべての手紙を残します。あなたと彼女が共にいるのを、この目で見ることができないことだけが心残りです。この目はすぐにそれらを輝かせる魂を失い、虚ろとなることでしょう。

真の永遠への望みの中で、かしこ

─エレアノーレ

SCP-3862-Bオブジェクト書類

sconce.jpg

SCP-3862-Bファイル写真

担当研究者: ジェイム・フォレスター博士
補佐: サミラ・ゴルザー博士
日付: 2013年09月12日


制作日時:
1852〜1853年頃

物理的説明:
オブジェクトは壁取り付け用の燭台であり、2つの蝋燭を設置できます。様々な花、葉、構造物といった、自然の精巧な描写がされています。最も目立つものは白い小さな鳥で、おそらくは鳩と思われます。

素材:
骨(ヒト)、ラッカー、金箔(24金)。

寸法:
高さ66.04cm、幅25.38cm、奥行き15.22cm。

オブジェクト保管場所:
サイト-54、古物保管庫。

覚書:
注目すべきことに、全体の構造は彫り込まれたものではなく、成長したもののように見えます。様々なイメージング手法が、これがサーキックの解剖学的構造によく見られるような「新たに成長した」骨か、あるいは「ドナー」のすでに存在した構造から作られたものかを調べるために使われました。

結果として、以前に同定されていた生物学的に不死の実体の骨格構造に典型的に見られる再構築成長カルシウム密度マーカーとの一致が見られたため、これは「すでにあった骨」であると確認されました。加えて、DNAサンプル分析では、これはSCP-3862-Aに関連した人物の一人に属するものであると判明しました。

研究チームの結論は、SCP-3862-Bはルシエン・デュトイトにより、彼自身の肉体から作られたものであるということです。さらに、これは既存の骨格構造(主に胸郭から取られた)から作られたものです。

SCP-3862最終報告


FROM: サイト管理者アンドレアス・ゲッツ
TO: O5-█; O5-█; 倫理委員会委員長ジョナサン・デクロイクス
DATE: 2015年04月03日
RE: SCP-3862最終報告

あなた方にジェイム・フォレスター博士の死を伝えなくてはならないことについて、私自身もいささかの悔恨を感じております。彼の研究がネオ-サーキシズムについての我々の理解を前進させた一方で、彼のような優秀な研究者を失ったことが、得られた情報に見合うものであるか確信が持てません。

このような喪失は我々の奉仕する仕事ではしばしば避けられないことですが、それでもなお、可能な限り防止するために最大限努力しなくてはならないことです。この場合は、SCP-3862の研究の再開を許可した私の判断が、結果としてフォレスター博士に早すぎる、残虐な死をもたらしました。

それでもなお、今や「ルシエン・デュトイト」として知られる実体が未だに活動している可能性があり、当初考えられていたよりも大きな脅威を提示していることが判明しています。ロゥ博士の、イオンがSCP-610の製作者であるとは考えにくいという示唆が確認されました。ある意味でそれは恐るべきことです。これまでに世界にばら撒かれた恐ろしい病原体のうち一体いくつが、デュトイトの行為によるものだったのでしょうか?

にくにくしいものは、状態に関わらず誰にでも同じ致死性を発揮します。そして抑圧されたものを開放すると伝えられるイオンの目的に合致しないものを全て殺します。歴史部門では、イオン本人は純粋に復讐のためのような疾病を創造し、開放するにはあまりに善良であったという考えが、概ね定説です。

誰か別の人物が610の製作者であるという可能性はこれまで仮説でした。そして強い証拠なしには、それは仮説以上にはなれません。私はこれがその証拠ではないかと考えます。

添付ファイルは、SCP-3862に関するフォレスター博士の最後の実験の転写です。この情報が、私の罪を軽くしますように。

アンドレアス・ゲッツ
サイト-54管理者

table.jpg

SCP-3862-Cファイル写真

日付: 2015年03月12日, 13:22
担当研究者: ジェイム・フォレスター博士
研究対象: SCP-3862-A, -B, -C
前書: フォレスター博士はSCP-3862オブジェクト全てを用いた実験を行うことを許可されました。厳格な生物汚染防止手順が導入され、フォレスター博士はクラス4陽圧バイオハザードスーツを装着して実験を行いました。SCP-3862オブジェクト3つ全ての収容容器が滅菌室ベータに設置され、フォレスター博士は一人で滅菌範囲内に入りました。ゴルザー博士は監視役を務めました。


[ログ開始]

[フォレスター博士は滅菌室ベータのエアロックに入り、防護服を着るために前進する。]

フォレスター博士: マイクチェック。こちらジェイム・フォレスター博士。3月12日、午後1時を少し過ぎたところだ。

ゴルザー博士: 良好に聞こえているわ。ジェイム、本当に自分でやるつもりなの?

[フォレスター博士はスーツの機密を最終チェックし、カメラに向けて親指を立てる。]

フォレスター博士: 私なりに懸念はあるが、必要なことだ。シグマ病原体が実際どの程度の毒性があるのか正確に測定しておくことは重要だ。そして君はこういうことにD-クラスを用いることについての私の意見を知っているだろう?

ゴルザー博士: わかったわ。今からサイクルを開始する。リハーサル通りにやって。

[内部ドアの上のライトが琥珀色になり、それから緑になる。フォレスター博士はそれを開けて通り、テストチャンバーに入る。SCP-3862-Aと-Bの収容ロッカーが部屋の中央の大型の鉄のテーブルの上にあり、その側にSCP-3862-Cの収容ロッカーがある。フォレスター博士はテーブルに近寄り、-Cを開け始める。]

フォレスター博士: 早速始めるぞ。まずテーブルの上を片付ける。[短い間]私は何度もこれらを見てきたが、正直に言うと、同時に開けるのは少し緊張するな。

ゴルザー博士: 興奮するのは違いないけど。ただ......気をつけて。

[フォレスター博士はカメラを見上げ、透明シールド越しに笑う。]

フォレスター博士: もちろんだ。

[彼は-Cをロッカーから取り出し、脇に置く。続く数分の間、彼は-Aと-Bを取り出し、-Cの上に置く。]

フォレスター博士: シグマ病原体のことを除けば、これらは実に精巧に作られているだろう?骨や髪の毛で出来ているとは信じられん。[-Cの表面をそっと撫でる]化け物共にも感情があるということだ。[再度間を置き、カメラを見る。彼の手は-Cの表面で止まっている]私は、ルシエンは本当に侯爵のことを案じていたのだと思う。

ゴルザー博士: その話は何度もしたわ。デュトイトはすでに人間ではなかった。彼は彼女を目的のために利用しただけよ。

フォレスター博士: [首を振る] ああ、彼には隠された目的があった。だが、なぜ-Bを作り彼女に渡した?自分の肋骨から作り出して。恐ろしく痛んだに違いない。それに精巧さを見てみろ。注意深く各部を育てて、何時間もかかったに違いない。

[彼は側面に回り、SCP-3862-Bを取り上げ、手に持って回す]

フォレスター博士: これが骨で出来ているとしても、かなりのレベルの職人技で作られ──

[彼は突然テーブルの上へ数インチ-Bを落とし、右手袋を掴む。]

ゴルザー博士: ジェイム、ジェイム!どうしたの?

[フォレスター博士はカメラから目を逸らし、頭を振って右手を見る。]

ゴルザー博士: ジェイム、応答して。私はいつでもアエロゾルを注入できる、そのクソ──

フォレスター博士: [静かに割り込む]いや、サミラ、その必要はない。このクローブは2センチ以上の厚みがある。一体どうやって......?

ゴルザー博士: クソ、ジェイム、中断するわ。そこをすぐに出て。

[フォレスター博士は首を振り、手を示しながらカメラに向き直る。グローブを貫いて、掌の中央に細長い骨が刺さっている。]

フォレスター博士: 手遅れだ、サミラ。シグマがどれほどタチが悪いか知っているだろう?研究所全体を汚染の危険に晒すわけにはいかない。[咳]いいぞ、効果を発揮するまでの時間がわかる。[湿った咳をし、間がある。]極めて早いようだな。

[彼はグローブを外し、それからヘルメットを脱ぐ。即座にスーツにかかっていた圧力が抜ける。彼は深い息をつき、カメラを見上げる。少量の血が口の端から流れている。]

フォレスター博士: 一緒に働けて楽しかったよサミラ。これだけは伝えておきたい。

[フォレスター博士はSCP-3862オブジェクトのテストを予定通り終わらせるため作業を続ける。その間、彼はSCP-3862-Σ病原体の培養サンプルに加え、自身から複数の組織サンプルを採取する。

続く62分間のテストの間、彼は急速に壊死性筋膜炎の症状を呈する。48分の時点で、右腕の組織の大部分を失ったため実験を続行できなくなる。彼は背中をSCP-3862-Cにもたれさせて座る。]

フォレスター博士: わかったかサミラ?[激しい咳の発作により発話が中断される。彼は濡れた物体を近くの床に吐き出す。]わかった気がするぞ。これ全部に隠されたものが。

ゴルザー博士: 何?ジェイム。

フォレスター博士: ずっと──[咳]ずっとエレアノーレと......ルシエンの子供はどうなったのか謎だった。私は......

[咳の発作が再度起こり、その後は発話できなくなったように見える。彼は頭の後ろに手を伸ばし、SCP-3862-Cの上の、SCP-3862-Σ病原体サンプルの入った封印されたペトリ皿を手に取る。彼はカメラを見上げ、露出した左手の人差し指の骨でペトリ皿を激しく叩く。]

[ログ終了]


結語:

この時点で、フォレスター博士は床に倒れ、12分後に死亡しました。死後の部屋とSCP-3862-Bオブジェクトの検査では、損傷及びフォレスター博士のグローブを貫いた棘の起点は発見できませんでした。このオブジェクトはSCP-3862-B2に指定され、-Bと共に確保されました。

第一幕: 見よ、蒼ざめたる馬来たりて | 追憶のアディトゥム

Footnotes
. DNA解析からは、2名の別々の人物のDNAが検出されました。1人は、北ユーラシアに典型的なY染色体DNAハプログループであるN(M231)由来であることを示すマーカーを呈しました。このハプログループにはアディトゥムの住人が含まれていたと考えられています。
. 分析によるとこれも人体由来であることが示されましたが、これほどの量のケラチンを産生する方法は現在不明です。操肉術によるものである可能性が高いと考えられています。
. 財団の前身団体のひとつです。
. アディタイト語のLihakut'akのバリエーションのひとつと思われます。操肉術の技術である「肉の工芸」を意味します。
. SK-BIOタイプ005など(SCP-2095を参照)。
. 主に肋骨、胸骨、鎖骨。
. 一般に人食いバクテリア症とも呼ばれ、人体の軟部組織の壊死を招く感染症です。症状には感染部位の皮膚の赤色、紫色への変化、強い痛み、発熱、嘔吐などがあります。
ページリビジョン: 26, 最終更新: 14 Jun 2024 15:41
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